2003年
06/01 タリバンによって破壊されたバーミヤン遺跡、保存・修復へ
日本とドイツの専門家チームによって、本格的に作業が始まることになったそうです。7月にアフガン入りするとのこと。
第1期は、盗掘にもさらされている仏教壁画の保存と調査、崩落の危機がある大仏立像が入っていた石窟の保存など。3年にわたりすすめられるとのこと。
読売新聞。関連記事:スクラップ2002年10月21日2002年7月13日2002年5月28・30日2001年12月11日2001年10月2日
06/04 美術評論家 ピエール・レスタニー氏死去
5月29日、死去。72歳。1960年、イヴ・クラインらを「ヌーヴォー・レアリスム」と命名して世に出した。
読売新聞。
06/04 明治の名建築、工事用シートに覆われ4年
京都市の指定有形文化財である「本願寺伝道院」(下京区)に関する記事。壁のひび割れや雨漏りがひどくなり、屋根飾りが落下する危険もあったため、飾りを固定し、建物をシートで覆う応急処置をしたのが4年余り前。そのままの状態で現在に到るそうです。10億円を超す改修費用の目処が立たないとのこと。
asahi.com。伝道院は煉瓦造りの2階建てで、高さ18.8m。1912年(明治45)、真宗信徒生命保険株式会社の社屋として建てられました。年度内に、約9000万円をかけて建物全体を仮設の屋根で覆う予定だそうですが、こちらも応急処置みたいなものらしいです。このまま朽ち果ててしまったら、勿体無いなさすぎます。
ところで、この記事って時事ネタの一種でしょうか。ワタリウム美術館で、設計者である伊東忠太の展覧会やってますし。
06/06 絵画の「救急病院」−兵庫県立美術館
全国の美術館から依頼された絵画や彫刻の補修や保存処理をする「修復センター」を2006年度に開設するそうです。
読売新聞。現在、国内の美術館で修復専門部門があるのは国立西洋美術館など2館のみ。
06/06 日本画家 山中雪人氏死去
6月5日、死去。83歳。法隆寺金堂壁画の再現模写に携わり、独自の画風の仏画などで知られた。
読売新聞。
06/09 約7000人が集団ヌード−写真撮影で新記録
スペイン・バルセロナで集団ヌードの写真撮影が行われ、集団ヌード写真で有名なカメラマン、スペンサー・チュニックが自身の記録を更新したそうです。チュニックのこれまでの記録は、オーストラリアで撮影された4500人。
ニューヨークを拠点に活動するチュニックは、これまでに世界各地で集団ヌードを撮影。米国では、わいせつ行為や歩行者の通行妨害容疑で数回逮捕され、不起訴処分になっていた。
8日付ロイター。「新記録」というのが、ちょっとオカシイです。今回実際に撮影に参加したのは約7000人でしたが、当初の申し込み件数はこの2倍を超えていたそうです。今後のイベントへの参加希望者は、同氏のホームページから応募できるとのこと。屋外で全裸。素敵。応募しないけど。
06/10 北野恒富20代の肉筆画発見−大阪市
明治30年代・20代半ばの作品とみられ、確認されている肉筆画で最も早い時期の作とのこと。これまでの最初期の肉筆画は、明治40年代作とされる「六歌仙」で、それ以前は不明だったそうです。
新発見の肉筆画は、掛軸「燕子花」(縦114.8cm、横41.5cm)。カキツバタの咲く池に着物女性を配しています。
京都新聞。この作品は、滋賀県立近代美術館で開催中の「北野恒富展」に17日から最終日の7月6日まで展示されるとのこと。
北野恒富(1880−1949):大阪を代表する金沢出身の日本画家。主に院展で活躍し、大正期には独特の妖艶な退廃美から「画壇の悪魔派」と呼ばれた。
06/11 イラクの芸術家相次ぎ失踪
バグダッド陥落後、フセイン大統領礼賛のための肖像画や彫像の制作にかかわった多くの画家や彫刻家が姿をくらましているそうです。国民からの報復を恐れて…とのこと。
読売新聞。「イラク芸術界の損失」を指摘する声も出ている。
06/11 ターナーの作品500点を発見
11日付の英紙インディペンデントによると、紛失していたジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851)の作品500点が見つかったそうです。個人収集家が所有していたり、海外でラベルを張り間違えて展示されたりしていたものを、テート・ギャラリーが収集したとのこと。
時事通信。
06/12 半世紀以上非公開のゴーギャン作品、オークションに
ロンドンで開催される印象派・近現代美術のオークションに、目玉商品として出品されるそうです。作品は、ゴーギャンがフランス領ポリネシアのヒバオア島で亡くなる前年の1902年に制作された「L'Apparition」。現地の魔術師と裸体の人物を描き、44年にニューヨークで売却されて以来は個人所有となっていたとのこと。
最高予想落札価格900万ポンド(約17億6600万円)で競り落とされた場合、ゴーギャン作品としては歴代2位の高額落札。これまでの最高落札価格は、89年に売却された「Mata Mua」の2400万ドル(約28億2500万円)とのこと。
11日付ロイター。この作品見てみたいです。その後--オークションは6月23日に行われたようなのですが、私の知る限りでは続報がありません。どうなったのだろうか?
06/12 「ノグチ・ルーム」解体中止を却下
彫刻家イサム・ノグチが内装を手掛けた慶応大学三田キャンパス(東京都港区)の研究棟「萬来舎」の解体・移築計画を巡り、東京地裁は12日までに、米イサム・ノグチ財団などが解体工事の中止を求めていた仮処分申請を却下したそうです。
読売新聞。同大は近日中にも解体工事に着手するとのこと。
--06/30 その後の話・現状保存求め国際委員会を設立へ
日米両国のイサム・ノグチ財団は30日までに、解体工事に抗議する緊急共同声明を発表し、近く現状保存を求める国際委員会を設立することを明らかにした。
読売新聞。
06/12 ベネチア・ビエンナーレ開幕
隔年開催で今年は50回目。「夢と衝突」をメーンテーマに、63カ国が参加する過去最大の規模で催される。一般公開は15日から11月2日まで。
共同通信。開会式、各賞の発表が14日行なわれ、パビリオン賞はルクセンブルク館に、大賞(一般)は、D.バイス氏らスイス人2人組に、同(35歳未満)はN.レルフ氏ら英国人2人組に、それぞれ決まったとのこと。
06/14 ミレーの作品、調査・修復作業へ−山梨県立美術館
今冬の閉館期間を利用し、所蔵以来初の科学的な調査、修復作業に着手するとのこと。対象作品は、ジャン・フランソワ・ミレーの「種をまく人」「夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い」「冬(凍えたキューピッド)」「ダフニスとクロエ」。
調査は、赤外線写真の撮影やミレーが使用した絵の具の化学的分析など多角的に行う予定。 修復作業は、画面の状態をどこまでオリジナルへと近づけられるかを検討しながら進める。
山梨日日新聞。東京・渋谷では、ミレー3大名画展を開催中。ということで(?)、ミレーの記事を御紹介いたします。作品は来年4月に「復帰」予定とのこと。
06/19 シートや排水溝設置を提案−高松塚古墳カビ発生問題
防水断熱シートで墳丘を覆い、墳丘周辺に排水溝を設置するなど緊急対策を提案したとのこと。7月上旬から保護作業に取り掛かる予定。
また、土を固めた墳丘の構造に問題があるとし、早急に抜本的処置をとるとともに壁画の再点検と本格的な保存修復、石室内のモニタリングが必要としたが、具体的な方法には触れなかった。そうです。
共同通信。スクラップ2003年3月12日の続報です。今回の対策は「あくまでも一時しのぎ」とのこと。カビ除去をはじめ、何もかもが来年度以降に先送りのようです。
06/20 「クリーン・ルーム」展−英自然史博物館
人類がどれほどの規模で何世紀にもわたって環境に公害をもたらし、自然を変化させてきたかを表現するとのこと。3人のアーティストが参加。
ロイター通信。展覧会情報です。会期は20日から8月3日まで
06/20 名称は「国立新美術館」
文化庁が一般公募していた、2006年秋オープン予定の美術館の名称が「国立新美術館」に決定したそうです。1006点の応募作品から選ばれたとのこと。候補の中には、頭に国立が付かない名称もあったそうです。
国立新美術館は、東京都港区六本木に建設。独立行政法人国立美術館の5番目の組織で、敷地面積約3万平方メートル、延べ床面積約4万5000平方メートル、地上4階、地下1階。展示面積は、約1万4000平方メートルと国内最大。コレクションを所蔵せず、世界を巡回する大型美術展を呼ぶなどして運営する方針とのこと。
共同通信。もし、この美術館の後に国立美術館を作ったら、新美術館は新ではなくなるような。次は「最新美術館」にすればいいか。
字面だけですと、どんな美術館になるのかピンときませんが、とりあえず約400億円を投じて巨大な箱を作るみたいです。
06/21 人間国宝、認定
工芸技術【無名異焼】五代伊藤赤水【献上博多織】小川規三郎【木工芸】村山明【竹工芸】五世早川尚古斎
読売新聞。工芸技術部門を抜粋。
06/24 エゴン・シーレの風景画、25億円で落札
ナチスドイツ時代にユダヤ人所有者から略奪、その後返還されたエゴン・シーレの風景画が、1260万ポンド(約24億7800万円)で落札されたとのこと。落札価格は、返還された美術品としては史上最高。予想価格は、500万〜700万ポンドだったそうです。
ロイター。スクラップ2003年4月11日の続報です。
06/25 ゴッホ作品3点、計16.5億円で落札
印象派と現代美術の作品を集めたオークションが英国で開催され、ゴッホの作品が計840万ポンド(約16億5000万円)で落札されたとのこと。
ゴッホが1888年、精神のバランスを崩して耳の一部を切断する直前に描いた読書する女性像「Une Liseuse de Romans」は、約337万ポンド。
裏に弟あての文書が記された素描「La Maison de Vincent a Arles」には、84万5250ポンドの値が付いた。ペンとインクで描かれた同作品は、長年所在不明となっていた。
また、花瓶に生けられた花々を描いた油絵「Nature Morte, Vase avec Oeillets」(1890年)は426万ポンドで落札された。
24日付ロイター。
06/26 リオの新美術館建設計画に差し止め命令
美術館の建設費は2億5000万ドル(約300億円)にも上り、そうした資金は犯罪防止や教育システム改善に使用されるべきだとして、リオ市民の反対運動が起きていたそうです。
ブラジルの連邦地裁は、4月に市長とグッゲンハイム財団の間で交わされた契約書は米法律に基づいたもので、費用も米ドル建てであるため、計画を進めることは出来ないとの判断を示したそうです。
市長が控訴した場合、本件は首都ブラジリアの連邦高裁で扱われるとのこと。
25日付ロイター。スクラップ2003年5月1日の続報です。急展開です。






topback