2002年
05/02 奈良時代の極彩色壁画
京都府大山崎町の山崎院跡から、天平年間に描かれた壁画の破片が出土した。山崎院は僧・行基(668-749)が改修した寺院で、極彩色が施された金堂の壁画の一部と見られる。寺院の出土壁画としては、鳥取県の上淀廃寺に次いで2番目に古い。
05/04 竹内栖鳳の屏風「羅馬之図」、100年ぶりに発見
京都新聞ニュースより。竹内栖鳳がヨーロッパの風景を描いた屏風が見つかった。
王舎城美術宝物館が3年前、画商から購入。箱には「羅馬古城趾真景」と書かれており、作品名だけが伝わる幻の作品ではないかと調査を進めていた。このほど、1903年開催の第5回内国勧業博覧会(大阪)に「羅馬之図」の名で出品された作品であることが、図録で確認された。
屏風は六曲一双(一対)で、それぞれ縦145センチ、横374センチ。
「羅馬之図」は、10月に秋田県立近代美術館で開催される「竹内栖鳳展」で展示予定とのこと。「海を渡り世紀を超えた竹内栖鳳とその弟子たち」(ロータスプラン)という本にも掲載されるそうです。
05/05 旧官邸美術品お蔵入り
新首相官邸の始動と旧官邸の改装に伴い、旧官邸にあった美術品の大半が新官邸の倉庫にお蔵入りすることになった。美術品は、政府所有の27点と日展入賞作品など借り上げ品34点がある。
新官邸はガラス張りが多く、絵画を展示する場所がないそうです。美術品の中には、横山大観の「耀八紘(はっこうにかがやく・題材は富士山)」や、池上秀畝の「鷲」などが含まれているとのこと。
05/08 英テイト・モダン、マティス・ピカソ展開幕へ
企画準備に約8年の歳月を費やした展覧会。131余点を展示。会期は、5月11日-8月18日。9月-12月にパリ、2月-5月にニューヨークで巡回展示される予定。
05/10 マルセル・デュシャンの「レディ・メイド」競売へ
ロイターより。出品されるのは、1913-20年に制作された「レディ・メイド」全14作品。「泉」は、最高で250万ドルの値が付くと見られている。
05/10 アラブ諸国、ユネスコに呼びかけ
イスラエル軍の大規模侵攻で被害を受けたパレスチナの遺跡を世界遺産に指定して保存するよう、アラブ諸国がユネスコへ呼びかけを始めた。
パレスチナ側によると、キリスト教聖地ベツレヘムで「聖誕教会」の入り口の扉や壁のモザイク画などが破壊された。
05/20 美術品2300億円分運河投棄
欧州7か国の美術館で盗みを繰り返し、昨年11月にスイスで逮捕されたフランス人の男が自宅に隠していた美術品など172点を、母が証拠隠滅のため、運河に投げ捨てていたことが分かった。
ブリューゲル、クラナッハ、ワトー、ブーシェなどの作品が、捨てられたそうです…。この記事、asahi.comでも見かけたのですが、読売と微妙に違います。読売では、「川底を捜索し、ブリューゲルの作品など110点を回収」。朝日は「ブリューゲルなどの絵画を切り刻んでごみ箱に捨て、工芸品は近くの運河に投げ捨てた」。それから、被害総額も違ってたり。???とにかく、どちらにしても取り返しがつかないことは明白なわけで。捨てるなんて。
--06/02 運河投棄・その後の話 アルザスのアルセーヌ・ルパン
逮捕のきっかけや犯人のことが記事になっていました。
逮捕された場所は、スイスのワーグナー博物館。ここでは以前、ホルンを盗んでいました。「盗品を返さなければ別れる」と恋人に通告され、様子を伺うために舞い戻った所を逮捕されたそうです。
犯人のことをずらり。大学では美術史を専攻したが、約1年で専攻を変更した。最初は調べに非協力的だったが、美術品盗難専門の刑事が担当になると自供を始めた。盗品はすべて自宅に持ち帰り、自室に展示していた。しかも展示替えあり。逮捕後、一番気にしていたのは美術品の行方。母親が投棄したことを知ると、いっぺんにふさぎこんだ。母親は証拠隠滅の容疑で逮捕されるが、そんなの知ったこっちゃない。大事なのは、盗品でこさえたマイコレクションだ。と、いう具合なのだそうです。美術品を本気で愛していたようですが、盗品じゃあ…。
05/21 ニューヨーク近代美術館、改装のため移転へ
ロイターより。ニューヨーク近代美術館(MoMA)本館が、改装のため22日から休館する。6月29日からの3年間は、イースト・リバー対岸のクイーンズにあるMoMA QNSに移転する。改装されたマンハッタンの本館は、2005年に再開予定。
--06/28 その後の話・ニューヨーク近代美術館、新館オープン
ロイターより。ニューヨーク近代美術館(MoMA)の新館が27日、クイーンズ地区で開館した。MoMA QNSは、本館のあるマンハッタンからイーストリバーを挟んだロングアイランドシティーに位置し、以前は工場だった建物を利用。3年間におよぶ本館の増改築工事の間、展示は新館で行われる。新館は、MoMAが収蔵する作品の所蔵庫、修復や研究のための施設として今後も活用される。
05/21 大英博物館、経費削減で公開時間短縮
大英博物館がかつてない財政危機のため、経費削減を余儀なくされている。76室中3分の1で公開時間を短縮したほか、一部の陳列室については研究者や有料ツアーを除いて立ち入り禁止にすることも検討されている。
05/23 ノーマン・ロックウェルの絵画、オークションで記録的高値
ロイターより。第二次世界大戦に男性が出征している間に労働力を担った米国人女性を描いた作品「Rosie the Riveter」(1943年)が、約500万ドルで落札されたとのこと。ロックウェル作品としては過去最高。
05/23 ニキ・ド・サンファルさん死去
21日、米カリフォルニア州サンディエゴで死去。71歳。
パリ生まれ。モデルを経て1950年代から絵を描き始める。女性像シリーズ「ナナ」が代表作。
05/27 大英博物館、彫刻返還の話し合いに
大英博物館が所蔵する古代ギリシャの大理石彫刻、「エルギン・マーブル」のギリシャへの返還問題で、新館長に任命されたマクレガー氏が、返還を求めるグループとの話し合いに応じると発言した。これまで同博物館は一切の話し合いに応じないとの姿勢だった。
関連記事:スクラップ2001年8月20日
文化遺産に関するユネスコ国際会議関連記事
いくつかありましたので、まとめてみました。
--05/28 アフガン文化財保存協議
アフガニスタンの文化財保存問題などを協議する国際会議が、カブールで27日始まった。旧タリバン政権が破壊したバーミヤン大仏石窟の復元問題が焦点。ユネスコ関係者は、現状保存を主張。アフガン暫定政権側は、石仏復元やカブール博物館再建を主張している。
--05/28 バーミヤン地中に巨大涅槃仏が埋もれている可能性
asahi.comより。アフガニスタンのバーミヤンで、昨年3月に破壊された大仏とは別に、が地中に埋もれている可能性が出てきた。
以前、本格的な調査を行ったが、所在は突き止められなかったそうです。既に壊れてしまい、消滅したという見方もあるようです。
--05/30 ユネスコ、カブール美術館再建を優先課題に
ロイターより。カブールで開催されたユネスコの会合は、カブール美術館の再建を優先課題にすることを決定した。美術館の再建は、ギリシャからの寄付75万ドルで開始される。昨年破壊されたバーミヤンの仏教遺跡の修復については先送りされた。






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