2003年
04/02 アンドレ・ブルトンらの遺品、競売へ
シュルレアリスム運動の中心となったフランスの詩人アンドレ・ブレトンらの遺品5500点余りが、今月パリで行われるオークションに出品されるそうです。
出品されるのは、ブレトンが生前使用した部屋に残されている品々。オブジェになっている壁部分はポンピドー・センターに寄贈済みですが、残りの遺品も遺族が売却を決めたそうです。予想落札総額は3000万ユーロ(約38億6600万円)。
ロイター通信。
--04/18 続報・ブルトンのコレクション、総額60億円で落札
17日までの10日間競売にかけられ、落札総額は4600万ユーロ(約60億円)に上ったそうです。マグリットやミロの作品を含む絵画だけで2600万ユーロに達し、ブルトン関係では「シュルレアリスムとは何か(1934年版)」が27万6021ユーロの高値をつけたそうです。
今回の競売には、遺品の散逸を懸念する活動家らが反発、競売参加者やフランス政府を批判していたそうです。政府はこうした事態を受け、国内33カ所の美術館展示用に総額1200万ユーロを費やし、ジャン・アルプの「Femme」など、高額な作品の一部を落札しました。
ロイター通信。
04/03 65年間非公開のルノワール作品、来月競売へ
ルノワールの油彩画「Dans les Roses」(1882年)が来月6日、サザビーズのオークションに出品されるそうです。評価額は2000万〜3000万ドル(約23億8000万〜35億7000万円)。
1937年、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されたルノワール展の後、65年間にわたり非公開だったそうです。
ロイター通信。パリ郊外の庭園に座る女性の肖像画で、ルノワールがモデルの夫である美術品収集家の依頼で描いたそうです。続報:スクラップ2003年5月7日
04/04 盗まれたダリの絵画、スペインで4年ぶりに発見
スペイン警察当局は、4年前に盗まれたサルバドール・ダリの絵画「The Motionless Swallow」(30万ユーロ相当、約3900万円)を無事回収したと発表しました。絵画は、マドリード市内の古美術店で発見されたとのこと。
同作品は他の古美術品とともに、ダリの出身地フィゲラスに近い北東部カタルーニャ地方の民家から盗まれたもの。
ロイター通信。容疑者5人が逮捕される模様。うち1人は昨年6月、サザビーズのオークションに同作品を出品しようとしたそうです。チャレンジャーです。
04/07 プリツカー賞、受賞者発表
2003年の受賞者は、シドニーのオペラハウスを設計したデンマーク人建築家ヨーン・ウッツォン氏。同氏は建設中の意見の対立から、正式オープン7年前の1966年にプロジェクトを離脱。以来オーストラリアに戻っていないため、完成したオペラハウスを自分の目で見たことはないそうです。
ロイター通信。プリツカー賞は、ハイアット財団が1979年に設立。「建築界のノーベル賞」といわれているとか。
04/09 ポンペイ遺跡から盗難のフレスコ画、見つかったが…
ポンペイ遺跡にある古代ローマ貴族の邸宅から先週末、約2000年前のフレスコ画2点が盗み出されましたが、警察当局が8日までに現場近くの空家から発見し、回収しました。フレスコ画は梱包された状態で見つかったものの、損傷がひどく修復できないかもしれないそうです。現場の邸宅は1987年に発掘が始まりましたが、一般公開されていなかったとのこと。
ロイター通信。フレスコ画は、天使や果物が描かれ、西暦45〜79年に作成されたとみられる。
04/09 日韓国宝級92点を一挙展示−NYで美術展開催
ニューヨークの日米文化交流民間機関ジャパン・ソサエティー、コリア・ソサエティー(韓米交流機関)、奈良国立博物館、韓国・慶州国立博物館の共催で、6〜9世紀の朝鮮半島から日本への仏教文化渡来をテーマとした北東アジア仏教美術展を開催するとのこと。
日韓両国の国宝級仏像、工芸品などの文化財を一挙に集めて展示するのは、米国はもちろん日本、韓国でも前例がないそうです。
共同通信。期間は6月22日まで、場所はジャパン・ソサエティー・ギャラリー。
04/10 第34回大宅壮一ノンフィクション賞決まる
受賞作は、近藤史人氏著「藤田嗣治『異邦人』の生涯」(講談社刊)。1920年代、パリで成功を収めた藤田嗣治の、祖国日本への愛憎を描いているそうです。
共同通信より。藤田嗣治ということで御紹介します。
04/10 古代蜀の秘宝初公開へ
中国で約5000年から2500年前まで続いたとみられる古代蜀文明の秘宝を公開する「よみがえる四川文明−三星堆と金沙遺跡の秘宝」(仮称)の開催が決定したそうです。
展示が予定されているのは成都近郊の三星堆遺跡から発掘された、青銅の仮面や、海外の報道機関には一切公開されたことがない金沙遺跡出土の黄金のマスク、装飾品など約110点。
共同通信。展覧会情報です。来年4月から日本各地で公開されるとのこと。
04/11 ナチスが略奪したエゴン・シーレの風景画、競売へ
6月にロンドンでオークションにかけられるそうです。出品されるのは、母親の故郷を描いた「Krumauer Landschaft」(1916年)。
ロイター通信。1938年にナチスドイツがユダヤ人から略奪〜今年、オーストリア北部リンツの画廊で発見、相続人に返還されていたそうです。続報:スクラップ2003年6月24日
04/12 文化遺産の緊急保護を要請−イラク略奪被害
バグダッドの考古学博物館が11日略奪被害に遭ったことを受け、ユネスコが米英に、イラクの考古学現場や文化施設に対して緊急保護と警戒を要請しました。
また、文化遺産の国外への不法輸出を防ぐため、イラク周辺国や、国際刑事警察機構(ICPO)、各国税関当局に監視を強めるよう呼び掛けたとのこと。
共同通信。
04/13 イラク国立博物館略奪被害
バグダッド陥落後の10日か11日頃、何者かが侵入、世界的に貴重な文化遺産が略奪され、廃虚と化したとのこと。
共同通信。約5万点が略奪被害に遭ったとのこと。一方、時事通信には、少なくとも17万点が略奪されたと出ております。
同館はイラク最大の博物館で、古代メソポタミア文明やイスラム文明などの遺跡から出土した文化財が数十万点収められていました。
--略奪被害・続報
--04/15
文部科学省、全国の国公私立博物館や美術館に対して、イラクの略奪文化財を購入しないよう指示へ(asahi.com)
--04/16
大英博物館、イラクの文化財保護で修復専門家チームを派遣へ(ロイター通信)
--04/18
イラクの文化財、これ以上の被害阻止を−ユネスコ声明(asahi.com)
--04/18
米文化財諮問委員長ら辞任−米軍が略奪を阻止できなかったことに抗議して(読売新聞)
他にも多数ありましたが、この辺で。略奪者については、「本物と模造品を見分けて盗んでおり、専門家も加わっているのでは(04/13 毎日新聞)」「密売を目的とした組織的な窃盗グループによるものでは(04/18 共同)」等の見方がなされているようです。また、フランス国境の税関でイラクからの可能性もあるとみられる文化財も見つかっている(04/18 asahi.com)とのこと。
--04/19
略奪絵画か、42点押収−国境でヨルダン税関(共同通信)
--04/23
略奪の罪を問わず収蔵品を買い上げる−メトロポリタン美術館館長声明(読売新聞)
--04/26
一部略奪品すでに仏に−イラク国立博物館の考古遺産(読売新聞)
--04/27
イラク文化財保護で百万ドル 日本がユネスコに追加拠出(共同通信)
--04/29
イラク文化財で国際会議 各国の美術専門家が参加(共同通信)
04/13 3ヶ月で年間入館者数更新−尾道市立美術館
尾道市立美術館で開催中のリニューアル・オープン記念展第2弾「ゴッホのはね橋がやってきた―印象派のあゆみ展」の入場者数が12日、3万8384人となりました。第1弾「印象派の故郷、ノルマンディーの風景展」の入場者数1万7654人と合わせると、5万6038人となり、僅か3ヶ月で過去最高の年間入館者数を突破したとのこと。
ちなみに、入場者数のピークは1989年の5万4483人。その後は年々減少し、2000年には1万9577人に落ち込んでいたそうです。
中国新聞より。同美術館は、安藤忠雄氏の設計で増改築し、1月11日にリニューアル・オープンしました。リニューアル・オープンという目新しさ、今をときめく安藤氏による設計、ある程度の集客が見込める印象派展。この辺りが勝因なのではないでしょうか。今時珍しい景気のよさです。
04/15 あのゴッホ一般公開
ゴッホの初期作品とわかり、落札価格が跳ね上がった「農民女性の頭部」の公開が15日、広島県のウッドワン美術館で始まったとのこと。
読売新聞。公開は7月13日まで。9月から来年3月まで他の所蔵品55点とともに東京、横浜など全国6都市を巡回予定。関連記事:スクラップ2003年2月7、9日
その後--ゴッホの作品公開のみ、好評のため8月24日までに延長。展覧会自体は、予定通り13日で終了とのこと。全国6都市での公開は予定通り開催。
04/15 ロンドンに新たな現代美術館、開館
広告業で財を築いた富豪チャールズ・サーチ氏の「サーチ・ギャラリー」が、開館することになったそうです。同氏は過去20年間で2000点以上の作品を収集したとのこと。
展示されるのは、ダミアン・ハ―ストによるホルマリン漬けのサメや、トレイシー・エミンによるシャンパンのコルクと使用済み避妊具で覆われたベッドの作品。この他、ゾウのフンを塗りつけた絵画、血まみれの頭部の彫刻、腐敗した牛の回りをハエが飛び交う作品など。
同美術館はテムズ川沿い、カウンティ・ホールの一角にオープン。年間75万人の来館者を見込んでいるといいます。
ロイター通信。個人的には、この品揃え嫌いではないです。臭いそうですが。
--04/16 現代美術館・続報 記念式典行われる
美術館の外には、公開の集団ヌード作品で有名なスペンサー・チュニックによる、男女120人が全裸で横たわるインスタレーションが登場したそうです。
ロイター通信。15日付のロイターでしたので、15日に開館したようです。多分。
04/15 雲谷等顔の水墨画を発見−奈良・壷阪寺
桃山時代の巨匠、雲谷等顔(1547−1618年)が描いた屏風が見つかったとのこと。
見つかったのは六曲一双の屏風で、1枚の大きさは高さ約1.5m、幅約3.6m。馬の群れが描かれているそうです。
共同通信。同寺によると、10数年前に蔵を整理中に発見、等顔作と知らず飾っていたそうです。作者がわかってびっくりですね。この作品、「重文クラス」といわれています。
4月27日から5月18日まで、同寺大講堂で開かれる「春の壷阪寺宝展」で展示されるとのこと。
04/18 重要文化財指定を答申
東京駅丸ノ内本屋(東京都千代田区)▽白山神社能舞台(岩手県平泉町・中尊寺境内)▽誠之堂(埼玉県深谷市)▽美濃橋(岐阜県美濃市)▽春日神社能舞台(兵庫県篠山市)▽桜井家住宅主屋ほか8棟(島根県仁多町)▽旧広瀬家住宅主屋ほか6棟(愛媛県新居浜市)▽旧筑後川橋りょう(筑後川昇開橋、福岡県大川市・佐賀県諸富町)
共同通信。建造物8件です。今回の答申により、建造物の国宝・重要文化財は2238件となるそうです。
04/19 「聖徳太子絵伝」盗難で2人逮捕
昨年7月、兵庫県の鶴林寺で重文「絹本著色聖徳太子絵伝」など掛軸8幅(計1億7500万円相当)が盗まれた事件で18日、1人を窃盗容疑、もう1人を盗品等処分あっせん容疑で逮捕しました。
「聖徳太子絵伝」などは寺に戻りましたが、重文「絹本著色弥陀三尊像」1幅が見つかっていないとのこと。取り調べで、「韓国で売却した」と供述しているそうです。
読売新聞。スクラップ2002年7月10日の続報です。昨年と今回では盗品数が1幅違いますが、どちらも記事通りです。
04/28 絵画盗まれる−英マンチェスター・ウィットワース美術館
ゴッホの「パリの家々ととりで」、ピカソの「貧困」、ゴーギャンの「タヒチの風景」が盗まれていることが27日わかったそうです。被害総額は、推定で約100万ポンド(約2億円)。
読売新聞。
--04/28 盗難・続報 公衆トイレで発見
28日未明、美術館そばの公衆トイレで発見されたそうです。匿名の通報を受けた警察当局が見つけました。3点とも無事なようですが、専門家が破損状況を調査中とのこと。
時事通信。早々と戻ってきました。しかし、何が目的で盗んだのやら。
04/29 北京の「日本名宝展」中止−SARS流行により
5月1日から開催予定だったとのこと。国宝6点を含む99点の展示品、担当者は既に北京入りしていたそうです。
読売新聞。こんな所にも影響が。
04/29 エリザベス1世ゆかりの展覧会、ロンドンで開幕
エリザベス1世の生涯をテーマにした展覧会が、生誕地にほど近いテムズ川南岸グリニッジにある英国立海事博物館で開幕するそうです。
エリザベス女王時代の美術品を集めた展覧会としては、過去類を見ない内容と希少価値。展示品は約350点で、殆ど人目に触れたことがない、あるいは初公開の品々が多数を占めるとのこと。目玉展示品は、1575年に女王のために制作されたダイヤモンド、ルビー、真珠をあしらったロケット・リング。
ロイター通信。ロケット・リングの蓋を開けると、エリザベスとその母アン・ブーリンを描いたボタンの大きさにも満たない肖像が現れるそうです。他に、エリザベスが1558年の即位後初めて行った演説の手書き原稿などを展示。会期は5月1日から9月14日まで。
04/30 欠落「兼輔集」断簡を発見−本願寺本三十六人家集
「兼輔集」の原本は失われ、本願寺本は平安時代末の書写とされています。60ページ程の冊子本でしたが、16ページ分が散逸、このうち数ページ分の存在が確認されていたそうです。今回の断簡は、これまで未確認だった1ページ分にあたるそうです。
読売新聞。本願寺本三十六人家集は、「西本願寺展(東京国立博物館)」で5月5日まで公開中。






topback