2003年
05/01 アムステルダム国立美術館、アスベスト使用により閉館
再開時期は未定とのこと。
読売新聞。
--05/02 国立美術館続報・一部施設を開館へ
3日から、特別展示場のフィリップス・ウイングが開館されるそうです。安全が確認されたとのこと。レンブラント作品他が展示されている本館は、調査が終了するまで閉鎖続行。
ロイター通信。
05/01 リオに新美術館開設へ−NYグッゲンハイム美術館と提携
ブラジル・リオデジャネイロの中心部マウアピアに開設されるそうです。
美術館の設計は、フランス人のジャン・ヌーベル。建物が湾に向かって380メートル張り出し、一部が海中に沈んだ大胆な構造となるそう。また、入口に白い壁を配し、内部は滝のある庭園や円筒型の特別展示館など、4つの部分で構成するとのこと。
グッゲンハイム基金は、提携先であるエルミタージュ美術館やウィーン美術史美術館とともに、リオの新美術館に対して専門知識などの提供や、世界の有名美術コレクションの紹介を行う予定。
ロイター通信。続報:スクラップ2003年6月26日
05/01 陶製の螺髪のハンが出土−鳥取・大御堂廃寺
7世紀中頃に創建された山陰最古級の白鳳寺院跡、大御堂廃寺(倉吉市駄経寺町)で、仏像の頭にある螺髪をつくる陶製の型「ハン」が見つかったとのこと。螺髪のハンが見つかったのは国内初。復元した螺髪は大きさなどから、塑像の本尊丈六(高さ約4.8m)如来に付けたとみられるという。
ハンは長さ約5cm、幅3.3-3.8cm、厚さ約2cmでほぼ直方体。螺髪を縦に切った半分の型になっており、2つを組み合わせて粘土を詰めたらしい。側面に小さなくぼみがあり、ひもで縛り固定したとみられる。
共同通信より。
05/06 330年ぶりに由来確認−当麻曼荼羅の旧軸木
奈良県当麻町の当麻寺西南院が所蔵する当麻曼荼羅=文亀本=の旧軸木を、元興寺文化財研究所(奈良市)が調査、制作由来を約330年ぶりに確認したそうです。
今回、軸木を初めて赤外線でデジタル撮影。寄進者や法橋慶舜ら絵師の名前、末法思想などを記した404字(1文字3-4cm四方)と、1cm以下の字で書かれた無数の協力者の名前を確認したとのこと。
共同通信。寄付が滞り資金不足になったり、絵師の意欲が衰えたため、完成まで10年もかかったことも記されていたそうです。旧軸木は、全長444.5cm、直径7.4cmのヒノキ材。奈良時代制作の曼荼羅(国宝)を1503年(文亀3)に転写した文亀本(重要文化財)の軸木でした。観覧の際には予約が必要とのこと。
05/06 マグリットの絵画、340万ユーロ(約4億6千万円)で落札
落札されたのは、「L'Oiseau de Ciel」(空の鳥)。作品は1965年、国営サベナ航空の依頼で描かれたもの。ここ20年間に競売に出品されたマグリットの絵画としては、最も重要な作品とのこと。
競売は5日夜、ブリュッセルの空港の格納庫で行われ、提示価格の約3倍の値をつけたそうです。
ロイター通信。収益金は、経営破綻した同航空の元従業員の支援金に充てられるそうです。
05/07 展示の文化財ほぼ無事か−イラク略奪
バグダッドのイラク国立博物館に展示されていたメソポタミア文明などの文化財の殆どは、事前に地方の安全な場所に保管されていて略奪を免れたとのこと。展示品では、盗まれたのは約40点と国立博物館職員が説明したそうです。地下倉庫などの被害は不明。
共同通信。大英博物館の調べによる。今までと真逆の話になっているのですが。
05/07 28億円でルノワール落札
サザビーズによる印象派・近現代美術のオークションで、ルノワールの「Dans les roses (Madame Leon Clapisson)」が2352万8000ドル(約28億円)で落札されたとのこと。同作品は、美術館レベルと評価が高い。
一方、ジャコメッティによる複数の人物像(落札予想価格800万-1000万ドル)や、マレーヴィチの作品(落札予想価格500万-700万ドル)など、目玉作品4点中2点に買い手がつかなかったそうです。
6日付ロイター通信。スクラップ2003年4月3日の続報です。
05/08 セザンヌの自画像に約20億円、米カジノ王が連日の落札
クリスティーズが開催した印象派・近現代美術のオークションで、1895年前後に制作されたセザンヌの自画像が、およそ1740万ドル(約20億円)で落札されたそうです。予想落札価格は1500-2000万ドル。
7日付ロイター通信。連日の落札というのは、上記のルノワール(5月7日)をさしています。羽振りがいいです。ルノワールもセザンヌも、ラスベガスに新たにオープンするカジノに展示するそうです。
05/09 英王室所蔵のダ・ヴィンチ作品、一般公開
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品が、ロンドン市内バッキンガム宮殿で9日から一般公開されるそうです。
コレクションを通じて、ダ・ヴィンチの人体への強い関心を浮き彫りにし、人間の美を定義しようとする様々な試みが紹介されるとのこと。写実的な人体のスケッチから醜く変形した頭部の習作まで、70点余り。ハイライトの1つは、代表作「最後の晩餐」のための習作。 
8日付ロイター通信。「神聖さとグロテスク」展 11月9日まで。
05/09 ゴヤの絵画、4億7千万円で落札
マドリードの富豪宅で発見された、ゴヤの作品2点が8日、マドリードで競売に掛けられ、計350万ユーロ(約4億7800万円)で落札されたそうです。落札したのはスペイン政府。
作品は、美術専門家が壁に掛けてあるのを偶然見つけたもの。発見後、本物かどうか論争が起きましたが、ゴヤ作品を多く所蔵するプラド美術館が鑑定、本物と判明したそうです。競売会社によると、「スペイン美術界で約20年来の発見」とのこと。
共同通信。スクラップ2003年3月27日の続報です。ゴヤ作とはわからなかった10年前の鑑定では、2点で1500ユーロ(約20万5000円)だったそうです。最近、日本でも似た話があったような。
05/10 修理現場公開の動き広がる−国宝・重文建造物
建造物を解体修理する際、工事現場を一般公開する動きが増えているそうです。
100〜数百年に1度の大規模修理時に普段は見られない部分を間近に見てもらい、歴史的建造物への関心や保護への理解を深めてもらおうと、所有者や地元教育委員会が協力して自主的に公開しているとのこと。
共同通信。大型連休中に一般公開した仙台市の国宝・大崎八幡宮には、11日間で約6400人の見学者が来訪。5-6mの高さに組まれた足場に上り、桃山建築の豪華絢爛な装飾部分などに見入っていたそうです。
これからの公開予定:西本願寺(京都市・重文)--5月20、21日 正法寺(岩手県水沢市・同)--完全予約制で5月30、31日
05/12 「彫刻のモナリザ」盗難−67億円の金細工
ウィーン美術史美術館で11日朝、16世紀のイタリアの彫刻家ベンベヌート・チェリーニの「サリエラ」が盗まれていることがわかったそうです。サリエラは高さ約26cmの塩入れで、チェリーニの金細工としてただ一つ現存している。
読売新聞。
05/14 北京・故宮博物院所蔵品、盗難〜競売に
国宝級の仏像など20点が展覧会の輸送中に盗まれ、香港で競売にかけられていたことが分かったそうです。競売会社に委託した人物は「10数年前に英国各地で買った」と話しているとのこと。
読売新聞。ところが毎日新聞では、「所蔵美術品約100点が盗まれ、ほぼ半数が香港でオークションにかけられていた」となっています。どちらも参照元は、13日付の香港紙「星島日報」なのですが。
05/15 ミイラと石棺のセット、記録的高値で落札
3000年前の古代エジプトで葬儀に使われた石棺と収められたミイラが、クリスティーズのオークションで88万3750ポンド(約1億6500万円)で落札されたそうです。
石棺とミイラはエジプト第21王朝末期のもので、セットになっている例はまれ。また、第21王朝はエジプト芸術が頂点にあった時期で、今回落札されたセットと同程度の良好な保存状態の物は、博物館以外では見られないということです。
14日付ロイター。
05/15 村上隆氏の立体少女像、50万ドルで落札−NYクリスティーズ
作品名は「Miss Ko2」。高さ2m弱で、ファイバーグラス製だそうです。落札価格は、日本円にしますと約5800万円(手数料除く)。
asahi.com。30万〜40万ドルという予想落札価格を上回ったそうです。関連記事:スクラップ2002年4月26日 / 2004年5月20日
05/19 古代エジプトのファラオ・ラムセス一世のミイラが帰国
今年10月、約150年ぶりにアメリカからエジプトに返還されることになったそうです。
ミイラは元々、古代エジプトの都があった南ルクソール西岸の「王家の谷」の墳墓に安置されていましたが、1860年、何者かが国外に持ち出し、今日までアメリカの博物館に所蔵されていました。
読売新聞。これにより、古代エジプトの王のミイラがすべてエジプト国内に揃うとのこと。ミイラは、ルクソール博物館内に建設される展示棟で公開予定。
05/19 棟方志功の版画3点盗難、逮捕−青森
盗まれた作品は「彼岸の柵」(時価180万円相当)、「女人観世音板画巻」16枚の内1枚(350万円相当)、「松竹梅」(110万円相当)。容疑者が盗んだ作品を青森市内の古美術商に売りに行ったことから犯行が発覚したとのこと。
読売新聞。
05/21 マイケル・ジャクソン、代金滞納訴訟で和解
マイケル・ジャクソンが、昨年落札した19世紀の絵画2点の代金およそ140万ドル(約1億6000万円)を滞納しているとして訴えられていた訴訟で、和解が成立したとのこと。原告のサザビーズ側は円満に解決したとしているが、具体的な和解条件は非公開。
20日付ロイター通信。スクラップ2003年2月1日の続報です。そういえば、「M・ジャクソンの真実」で、桁違いの浪費ぶりと衝動買いぶりを披露してました。あの買い方じゃ、後に気が変わることも多々あるだろうなぁと、見た当時思ったものです。
05/21 イラク国立博物館の略奪1000点以内
ユネスコ・松浦事務局長の19日付発言より。重要な展示品は守られているとのこと。ユネスコは15日から調査団を現地に派遣し、略奪された収蔵品のリストを作成。発言は、その調査報告を踏まえたものとみられるそうです。
asahi.com。「収蔵品の殆どが盗まれた」、「国外に持ち出された」、「荒らされた展示室にあったのはレプリカだった」、「収蔵品の約9割は地下室に保護され、略奪を免れた」など諸説ありましたが、この記事が真実…なのでしょうか。関連記事:スクラップ2003年5月7日、2003年4月・イラク略奪被害〜続報
05/21 阿弥陀如来50年ぶりに修理−宇治・平等院
所蔵する「阿弥陀如来坐像」と「天蓋」の国宝2点を6月から5年かけて順次修理するそうです。同坐像の大規模な修理は約50年ぶり、天蓋は約100年ぶりとのこと。
坐像(高さ約2.8m)はヒノキ材寄せ木造り。1053年、仏師定朝が鳳凰堂の本尊として制作。天蓋もヒノキ造りで二重構造になっている。
共同通信。坐像の胎内には未公開の種子曼荼羅と彩色を施した蓮台が収められており、修理の過程で初公開する予定。
05/27 文化財関連の被害相次ぐ−東北地震
仙台藩祖・伊達政宗の霊びょう「瑞鳳殿(青葉区霊屋下)」では、政宗の家臣ら20人の墓碑「宝きょう印塔」で、石材が落下したり一部が損壊。拝殿付近では地割れの跡が見つかったほか、歴代藩主の子女をまつった公子公女びょうで、3基の石塔が完全に倒壊し、地震の揺れにより位置が大きくずれた。

仙台城跡では、石垣が一部崩落。崩れたのは中ノ門跡と清水門跡の2カ所で、いずれも文化審議会が17日に国史跡指定の答申をした国有地内。最大で幅1m近い石が計22個石垣上部から崩落。この他、大手門跡の石垣塀上部の屋根瓦が、幅約10mにわたりはがれ落ちた。太白区の大年寺にある伊達家墓所でも石塔が倒れたという。

国指定史跡「有備館(岩出山町)」では、屋根北東側のかやが落ちたほか、池の周囲約40mが陥没した。

国宝「瑞巌寺本堂(松島町)」では、「上々段の間」の白壁に幅20cm、長さ1mの亀裂が入り、周囲の外壁40枚のうち5枚、計約15mに及ぶ亀裂が発見された。「松の間」でも、縦1m、横50cmにわたって白壁がはく離。その他、境内の一部で岩が崩落した。
河北新報。
05/27 行基建立の寺院壁画再現
奈良時代の高僧行基(668-749年)の建立とされる「山崎院」跡(京都府大山崎町)で出土した壁画片の絵柄が復元されたそうです。鉱物顔料の成分分析から色を割り出し、原寸大で着色。赤、青、金、銀など極彩色の花や唐草文様が浮かび上がったとのこと。
絵柄を復元したのは土壁の破片12点のうち縦約20cm、横11cm、厚さ5cmの1点。
共同通信。
05/29 著作権「ダリ財団に帰属」と逆転判決
「サルバドール・ダリの作品を無断掲載した本を販売し、著作権を侵害した」として、生前に著作権を譲渡されたオランダの法人が、作品管理をしているダリ財団と、展覧会で本を販売した山梨、広島両県などに損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁で言い渡されたそうです。
判決によると、「ダリとオランダ法人の契約は、スペイン民法に基づくもので、ダリの死亡により著作権の譲渡契約は失効している」として、計約670万円の支払いを命じた一審・東京地裁判決を取り消し、請求を棄却したとのこと。
読売新聞。
05/30 英ターナー賞候補者発表
候補入りしたのは、ゴヤのエッチング画をモチーフにした作品で知られるジェイクとディノス・チャップマン兄弟、アイルランドの映像アーティストで写真家のウィリー・ドハーティ、彫刻家アニャ・ガラッチョ、陶芸やドローイング、刺しゅうを用いた風刺的な作風で知られるグレイソン・ペリー。
授賞式は12月7日に行われ、受賞者には2万ポンド(約400万円)が授与される。
29日付ロイター。 ターナー賞は一部エントリーの奇抜さを理由に各方面から非難されているとのこと。今年度の奇抜エントリーは、チャップマン兄弟の作品「Insult to Injury」のようです。ゴヤ作品中の人物に滑稽な顔やグロテスクな顔を加え、批判を受けているそうです。
05/31 国宝の壁画を復元−宇治・平等院
鳳凰堂を飾る鎌倉時代前期に制作された国宝の壁画のうち「中品中生図」(縦約1m、横約1.2m)を復元、31日に公開されました。
中品中生図は、往生者を迎える阿弥陀如来らの姿をヒノキ板に描いた九品来迎図(縦約4m、横約3m)の一部分。堂内にはめ込まれたままにされていたため、剥落が進んでいたそうです。今回は、蛍光エックス線調査などで当時の色彩を分析、色鮮やかに復元されたとのこと。
共同通信。復元図は、7月31日まで境内にて一般公開される。






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