2005年
12/02 弥生土器に建物の絵 壁や屋根飾り、詳細に描写
愛媛県今治市の別名寺谷1遺跡で、平屋と高床式の2棟の建物を描いた弥生時代中期後半とみられる土器の破片が見つかり、同県埋蔵文化財調査センターが2日、発表したとのこと。
屋根飾りや、壁に細かい碁盤の目状の模様を表現するなど緻密な描写とのこと。弥生時代の建物の絵はこれまでにも銅鐸などで確認されているが、屋根の下に柱だけを描いた例が多く、壁など細部の様子が分かるのは珍しいという。
共同通信。
12/03 米高校の所蔵絵画、競売で3億8千万円
イリノイ州の高校教師が57年前に購入し、高校に所蔵されていた絵画「花の静物画」が1日、クリスティーズでオークションに掛けられ、買値の5万倍にあたる約3億8千万円で落札されたとのこと。
時事通信。
12/03 重文弓破損 国に事実報告せず展示
福井県若狭町の鳥浜貝塚から出土した国の重要文化財の漆塗り弓(縄文前期)が運送中に折れた問題で、所蔵する福井県立若狭歴史民俗資料館が破損の事実を1カ月以上も国に報告せず、貸し出し先でそのまま展示していたことが2日、分かったそう。
文化財保護法では確認後10日以内の届け出を義務付けている。弓の破損は貸し出した静岡県の浜松市博物館の職員が9月15日に見つけ連絡したが、同資料館の指示で10月23日までそのまま展示。福井県は返還後の同月28日に文化庁に届け出、11月18日に経緯を文書で報告した。
毎日新聞。
12/03 仏塔現存の石窟発見 日本の調査チーム
ユネスコの世界遺産、アフガニスタン中部のバーミヤン遺跡で、旧タリバン政権が破壊した西大仏立像跡の頭上付近のがけで、7-8世紀ごろの仏塔が内部に現存する石窟を、独立行政法人文化財研究所のチームが3日、発見したとのこと。バーミヤン遺跡では、長年の戦禍や盗掘で、仏塔が内部に残る石窟は長く確認されていなかった。
石窟は切り立ったがけにあって近づけないため、今回は実際に石窟に入っての調査は見送られたとのこと。
共同通信。
12/03 現代美術作家・田中敦子さん死去
3日、肺炎で死去。73歳。
「具体美術協会」に参加。管球や電球をつなぎ、服に見立てた「電気服」や、円を連鎖させた絵画で知られた。
読売新聞。
12/06 岡本太郎壁画「明日の神話」を修復 愛媛
東温市で進められている「明日の神話」の修復で、破片をつなぎ合わせる作業がほぼ終わり5日、報道陣に公開されたとのこと。来夏にも一般公開を予定しているそう。
毎日新聞。スクラップ2005年7月16日の続報。
12/09 玄武や亥、お引っ越し キトラ壁画 奈文研へ移送
キトラ古墳(7世紀末―8世紀初め)で再開された壁画のはぎ取り作業で文化庁は8日、現地覆い屋で保存していた壁画を、修復保存のため奈良文化財研究所へ移送したとのこと。運ばれたのは、4神像・玄武をはじめ12支像の亥や子、丑の北壁の4つの壁画。壁画は今後、修復に向けて同研究所で保存されるとのこと。
奈良新聞。
12/09 高松塚床石にも亀裂 地震で壊れる危険性も
石室解体が決まった高松塚古墳で、石室の床石に亀裂が入っていたことが9日、文化庁などの調査で分かったそう。これまでに亀裂が確認されている天井石同様、過去の地震が原因とみられるとのこと。
石室壁面をチェックし、これまで3枚と考えていた床石が4枚あり、南から2枚目の石は、南北に亀裂が数本入っていると判明した。床石の表面はしっくいや土に覆われ、亀裂の状態は詳しく分からないという。
共同通信。
12/13 門外不出「森川コレクション」公開へ 遺族と名古屋市が合意
名古屋生まれの茶人の故森川勘一郎氏(森川如春庵)から約40年前に同市に寄贈されながら「国宝や重文の指定を受けず、そのための調査もしない」「門外不出」など異例の寄贈条件に縛られて本格的な公開や調査ができなかった古美術など188点について、森川氏の遺族と市が全面公開への道を開くことで合意した。市は来年3月までに現在の所蔵場所の名古屋城天守閣から名古屋市博物館に移して本格調査などに入るとのこと。
コレクションは、本阿弥光悦の黒茶碗「時雨」や豊臣秀吉自筆書状、中国・竜泉窯の「笋花入」などが含まれるとのこと。全容が公開されるのは2007年以降になる見込み。
中日新聞。
12/14 最古のマヤ壁画、グアテマラのピラミッドで発見
米ニューハンプシャー大と米地理学協会は13日、マヤ文明のものとしては最古と見られる紀元前100年ごろの壁画を、中米グアテマラ北部のピラミッドで発見したと発表したそう。壁画は長さ約9メートル、高さ約1メートルで、赤や黄色などの鮮明な色彩が良好に保存されているとのこと。トウモロコシ神の息子による水や土、楽園の創造から、王の即位までの様子が描かれ、判読困難な文字も見られるという。
読売新聞。
12/14 武人埴輪 和歌山・岩橋千塚古墳群から出土
6世紀前半の大日山35号墳から、つばと前頭部に突起のあるかぶとをかぶった武人埴輪の頭部が出土したとのこと。和歌山県文化財センターによると、かぶとは通常、つばか突起かどちらかしかなく、両方ある形は類例がないという。
武人埴輪の頭部は高さ約22センチ。「造り出し」と呼ばれる前方後円墳のくびれ部分の祭壇から見つかった。埴輪の胴体は見つかっていないが、全長は1メートル以上とみられる。
造り出しからは武人のほか、女性やいれずみの人物、馬、家など大型の形象埴輪が多数、元々置かれていた位置から出土したとのこと。形象埴輪が築造時の配列のまま見つかった継体天皇陵とみられる今城塚古墳(大阪府高槻市、6世紀前半)に匹敵するという。
毎日新聞。古墳群は4〜7世紀ごろ一帯を支配していた紀氏一族の墓。35号墳は全長102メートルで、首長が埋葬されたらしい。そうです。
12/14 国立博物館と文化研統合へ 文科省、質向上目指し
文部科学省は14日、独立行政法人の国立博物館と文化財研究所を統合する方針を固めたとのこと。今月下旬の政府の行政改革推進本部で最終決定する。統合時期や現在、東京(国立博物館)と奈良(文化財研究所)に分かれている本部組織の設置場所などは今後、検討するとのこと。
統合は、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会が11月にまとめた法人再編案に沿った措置だが、財政難や行革を背景にした統合には反対の声があがっていた。
共同通信。
12/15 モナ・リザの微笑の秘密を解明 83%が幸せ示す
「モナ・リザ」の微笑をアムステルダム大学がコンピューターで解析した結果、モナ・リザは83%幸福、9%がうんざりした気分、6%が恐れ、2%が怒りを表していることが分かったそう。英国の科学週刊誌ニュー・サイエンティストの次週号に結果が公表されるとのこと。
同大学は感情を認識し計算するソフトウエアを使用。唇の曲線と目の周りのシワの線などカギとなる特徴を調べることによって人間のムードを測定し、基本的感情を数値化したという。この計算手法は米イリノイ大学と共同で開発されたとのこと。
14日付時事通信。
12/16 大賞に吾妻氏の失踪日記 文化庁のメディア芸術祭賞
文化庁は16日、2005年度のメディア芸術祭の大賞に、吾妻ひでお氏制作の「失踪日記」をはじめ、4作品を選んだとのこと。このほか大賞には、「フリップブック!」(イタリア在住のフアン・ゴンザレス氏制作)などを選んだ。また功労賞として、フィギュアの世界を確立したとして海洋堂創業者の宮脇修氏が受賞した。
共同通信。受賞作品は来年2月24日から3月5日まで東京都写真美術館で展示・上映されるとのこと。
12/18 英でムーアの彫刻作品盗む 6億円余、トラックに積み
ヘンリー・ムーア(1898-1986)の作品を展示した英南東部ハートフォードシャー州の彫刻公園から、時価300万ポンド(約6億1500万円)以上もする作品が盗まれたことが17日、分かった。PA通信によると、盗まれたのは1969年から70年にかけて作られたブロンズ製の「横たわる人体」で、長さ3.43メートル。重さは約2トンという。
公園の監視ビデオによると、犯人は3人組。15日夜、クレーン付きのトラックなど車両2台で公園に乗り付け、中庭にあった作品を荷台に積んで逃げ去ったとのこと。
17日付共同通信。豪快な手口。しかし、盗んでどこに隠すのかしまうのか。
12/19 九博に6世紀の金銅製冠 1年以上かけ修復し公開
九州国立博物館は19日、朝鮮半島で出土したとされる金銅製の冠、冠帽など6世紀ごろの新羅王朝時代に関連する古墳資料約20点を購入したと発表したとのこと。今後1年以上かけて修復し、当時の輝きを取り戻した姿で公開する。
冠は銅に金メッキされ、高さ26.5センチ、最大直径33.5センチで、漢字の「出」の形をした装飾。朝鮮半島南部の古墳から発見され、新羅王家が地方の有力首長に与えた装身具と考えられるという。
このほか古代の九州を統治した役所の大宰府が、天智天皇の発願で建立された観世音寺にあてて9世紀に出した公文書の写し「大宰府牒案」(12世紀)、朝鮮半島でつくられた鉄製の「釈迦如来像」(9世紀末から10世紀初め)なども購入したとのこと。
共同通信。12月20日付毎日新聞より購入資料一覧。「新羅古墳資料」(金製装身具や馬具)▽両足を組んで座る朝鮮半島の鉄仏「釈迦如来像」▽奈良・西大寺から出土したとされる「銀貼海獣葡萄鏡(ぎんばりかいじゅうぶどうきょう)」▽中国・唐時代の硯「白磁円面硯(はくじえんめんけん)」▽古代の役所・大宰府が観世音寺にあてた公文書の写し「大宰府牒案(ちょうあん)」▽欧州向けに製作された中国製ベッドカバー「花卉鳥獣刺・飾布(かきちょうじゅうししゅうしょくふ)」▽中国・清時代の「婚礼用寝台」
12/20 ムンクの「叫び」強奪事件で6人を告発 ノルウェー検察
ノルウェーの検察当局者が19日明らかにしたところによると、昨年8月にオスロの美術館から「叫び」と「マドンナ」が強奪された事件に関与した容疑で6人が告発されたとのこと。同当局者によれば、5人は重窃盗、1人は盗品売買の容疑がかかっているそう。告発された6人のうち3人は収監されている。絵画は依然見つかっていないとのこと。
19日付時事通信。関連記事:スクラップ2005年4月9日2005年8月22日23日
12/20 高松塚古墳近くに修復施設 文化庁、地元意向を尊重
石室解体が決まった高松塚古墳の国宝壁画の修復施設が、同古墳に近い国営飛鳥歴史公園内に設置されることが決まったそう。建物面積は700-1000平方メートル。建設費は約4億円かかる見込みという。修復施設の設置場所について、文化庁は同古墳から約3キロ離れた奈良文化財研究所飛鳥資料館の敷地内を主張。明日香村は墳丘周辺を要望し対立が続いていた。
石室解体は2006年末にも始まり、壁画の修復には10年以上かかるとみられる。
共同通信。
12/21 鮮やかに1300年前の金 京都・高麗寺で相輪の一部
飛鳥時代に渡来系氏族が創建したとされる京都府山城町の高麗寺跡を調査している同町教育委員会は21日、塔の屋根から伸びた相輪の一部で、先端を飾った水煙部の金銅製心棒片が出土したと発表した。塔が完成した7世紀中ごろのものとみられ、メッキした金が鮮明に残っていたとのこと。
心棒片は長さ約13.5センチ、幅約4センチ、厚さ約1センチで、直径15センチの筒状の一部とみられるとのこと。塔の基壇を囲む石敷きから出土した。町教委によると、心棒片は兵庫県姫路市の播磨国分寺跡など数カ所で出ているが、金メッキはほとんど残っていなかったという。
共同通信。
12/22 ヒトラーの描いた水彩画、イーベイが競売 オーストリア
21日付のオーストリア紙デア・シュタンダードによると、イーベイのオーストリア国内ページで、オークションに掛けられたとのこと。同紙によれば、19日から競売に付されている作品の1つは「ミュンヘン」というタイトルで、ヒトラーの署名も書き添えられており、イーベイは珍品として2100ユーロ(約29万円)の言い値を付けた。また、ヒトラーの別の水彩画「バドガシュタイン」には、少なくとも25件の入札があり、20日に4500ユーロ(約63万円)以上で売られたという。
21日付時事通信。ヒトラーの作品をオークションに掛けることは、主要な競売商からこれまで敬遠されていた。そうです。
12/22 レンブラントの埋もれた作品、来月NYで競売に
サザビーズが21日明らかにしたとのこと。サザビーズは作品について、美術専門家からも事実上忘れ去られていた作品で、1930年代以降は書籍への掲載も実物の一般公開もなかった、としているそう。「白い帽子をかぶった老婦人の肖像(仮訳)」というタイトルのこの絵画は、1640年頃の作品だという。
来年1月26〜27日のオークションのハイライトとして出品される予定で、推定落札価格は300万ドル(約3億5000万円)〜400万ドルとのこと。
21日付ロイター通信。作品に描かれた女性についてはレンブラントの母親だと考えられていたこともあったが、後の研究などにより、同作品には特定のモデルはおらず、絵画における光の効果を研究するための習作だったことが判明している。そうです。
12/26 隋王朝の大規模古墳発掘 中国、壁画や石棺見つかる
26日付の中国紙・北京晨報などによると、中国陝西省潼関県で隋王朝の皇族のものとみられる大規模な古墳が発掘され、多くの壁画や彫刻を施した石棺、陶製の人形など200点以上の埋葬品が見つかったとのこと。
墓室内は直径約6メートル、高さ約5メートルの半円形。壁には女官の絵が描かれ、漆黒に塗られた天井部には、星や銀河を模したとみられる白色の斑点や帯が描かれていたとのこと。墓室に通じる地下通路は長さ約21メートル、幅約2メートルで、等身大の男性46人からなる儀仗兵団の壁画も見つかった。石棺には仙人やトリ、カメなど各種動物の複雑な彫刻が多数あった。
共同通信。
12/27 現代美術4000点超を政府に寄贈 ポルトガル
ポルトガル政府は同国有数の富豪、ホセ・ベラルド氏との間で同氏が所有する現代美術4000点超の寄贈を受けることで合意したと発表したそう。同氏は「今年末までに『公立美術館での常設展示』で合意しなければ他国に持ち出す」としていた。同コレクションはリスボンの「べレム文化センター」で展示されるという。
毎日新聞。
12/27 古代人の装飾品か 北京の周口店遺跡
北京原人の化石が見つかったことで知られる周口店遺跡の博物館は27日、後期旧石器時代の山頂洞人(約1万8000年前)が加工し、装飾品として使ったとみられる動物の歯や骨の化石が見つかったと発表したとのこと。動物の歯2個には穴が開けられ磨いてあった。ウサギの頭部の骨12個にも磨いた跡があったそう。
中国紙によると、歯の化石は72年前に発掘、保存されていたもので、博物館があらためて調査して発見したとのこと。山頂洞人の頭蓋骨などの化石は、1933-34年に同遺跡で発掘された。
共同通信。
12/29 大仏生まれの仏像6体目 公慶上人ゆかりの作
東大寺の公慶上人(1648-1705年)が大仏胎内の古材で造った阿弥陀如来立像が、宮城県白石市の当信寺で見つかったとのこと。体内の古材で1000体の仏像を造ったとされ、確認は6体目。奈良国立博物館が開催中の特別展「公慶上人」で5体を展示しており、来月2日からこの1体を展示に加える。公慶上人展は来月15日まで。
奈良新聞。スクラップ2005年10月4日の続報と思われます
12/30 仏像13体が盗まれる 旧東海道の豪商邸宅
30日午前10時半ごろ、滋賀県栗東市六地蔵の国指定重要文化財「大角家住宅」に隣接する薬師堂で、安置されていた仏像13体がなくなっているのを発見したとのこと。草津署は窃盗事件として捜査。前日午後4時ごろには異常はなく、翌朝までの間に何者かが侵入したとみている。
調べでは、盗まれたのは薬師如来坐像1体と十二神像12体で、高さはいずれも約50センチ。大角家が代々受け継いでいるもので、坐像は室町時代ごろ、十二神像は江戸時代ごろの作とされるが、13体とも文化財の指定は受けていないとのこと。
共同通信。






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