2005年
08/01 「原爆の図」展示 丸木美術館が存続の危機
反核や反戦平和を訴え続けた故丸木位里、俊夫妻の作品を展示する埼玉県東松山市の「原爆の図 丸木美術館」が、存続の危機に。84年度の6万3611人をピークに入館者が減少し、施設の維持改修もあって繰越金も底をつきそうとのこと。
朝日新聞。美術館は存続のために緊急カンパの呼び掛けを始めたそうです。
08/02 十一面観音の胎内仏は国産か 広陵・与楽寺 異例のマユミ材
与楽寺で平成7年に見つかった十一面観音の檀像(八世紀、重要文化財)が、マユミの木で造られていることが、県教育委員会などの調査で分かったそう。マユミ製の仏像は国内、中国とも例がない。高級材のビャクダンではなかったことや、細部の特徴から、奈良時代に国内で作られたとの見方が強まっている。
奈良新聞。檀像は高さ31センチの胎内仏。同寺の十一面観音像(鎌倉時代)を解体修理した際、袋に包まれた状態で見つかったとのこと。
08/02 シルクロードの遺跡、9割が被害 砂漠化などで
シルクロードに点在する石窟や土の建造物など約1200カ所の遺跡の約9割が、長期にわたる砂漠化による風化、雨水の浸食などで深刻な被害を受けていることが、中国・甘粛省の敦煌研究院の調べで分かったとのこと。原形をとどめていない遺跡が多く、石窟内の壁画や塑像などの破壊も目立つという。同研究院は、甘粛省と新疆ウイグル自治区内で修復可能な100カ所余りの遺跡の被害の実態を調べ、修復する方針。
朝日新聞。
08/02 二の丸御殿障壁画を永久保存 二条城「展示・収蔵館」完成
二条城の築城400年を記念して、京都市が同城内に整備していた「展示・収蔵館」が完成したとのこと。国の重要文化財に指定された二の丸御殿障壁画約1000点のうち8割を永久保存する。
二の丸御殿が大改修された江戸時代初期の1626年に、狩野派が3年の歳月をかけて完成させた障壁画や天井画など、二条城には3000点を超える障壁画がある。このうち、1016点が重文に指定されている。
京都新聞。二条城 10月10日に開館記念式典を行い、同日から11月30日まで、来年2月1日から3月12日まで一般公開されるとのこと。
08/04 ムンクの複製画3点、オスロのホテルから盗難
ホテル・コンチネンタルからエドバルト・ムンクの作品3点の複製が盗まれた。3人による犯行で、うち2人がホテルに進入、1人は逃走車で待機していたという。同ホテルは石版画、木版画、銅版画などムンクの原画12点を所有している。
3日付ロイター通信。ごくろうさんて感じです。
08/11 国宝壁画の現地保存を要望 文化庁に明日香村議会
石室の解体が決まった奈良県明日香村の高松塚古墳をめぐり、同村議会は11日、修復後の壁画を現地に戻し保存することなどを求める決議書を文化庁に提出したとのこと。
共同通信。古墳近くでの修復も要請しているとのこと。
08/11 「日本最古望遠鏡」展示へ 徳川美術館、初代藩主所蔵
徳川美術館が収蔵する初代尾張藩主徳川義直(1601-50年)の所蔵品の望遠鏡が、現存する望遠鏡としては国内最古とみられることが、国立科学博物館などの調査で11日分かったとのこと。
望遠鏡は江戸時代初期の1645年に欧州で発明されたとされる「シルレ型望遠鏡」で、3.9倍の倍率がある。口径5.2センチの4段式で、伸ばした長さは109センチ。材料や製法から中国製とみられる。
共同通信。30日から9月25日まで同美術館で展示する。
08/16 芦屋市美術博物館 民間委託で存続へ
民間委託か休館かで揺れていた芦屋市立美術博物館について、芦屋市は15日までに、民間委託で存続させる方針を固めたとのこと。
同美術博物館は市が全額出資する財団法人が運営。近年は毎年一億円以上の赤字が出ていた。市は本年度で同法人との契約を打ち切り、来年度から運営を指定管理者に委ねる制度の導入などを検討しているとのこと。
神戸新聞。関連記事:スクラップ2005年2月22日
08/19 フロリダの死体展示会、当局の禁止をふりきって開催
タンパにある科学産業博物館(MOSI)で18日、皮をはいだ人間の死体20体と260の臓器の展示が始まったとのこと。州当局が展示の禁止を可決したにもかかわらず、開催に踏み切っている。
この展示は議論を呼んでおり、研究・教育を目的とした死体の配布を規制するフロリダの解剖学当局は17日、展示の開催を否認していた。「走る人」「サッカー選手」などと題されてポーズをとった展示は、死体に対する適切な敬意を示していないのではないか、との懸念が背景。
18日付ロイター通信。人体の不思議展どころではない騒ぎなのでしょうか。
08/19 先史時代の金製品大量出土 ブルガリア中部
ロイター通信は19日、ブルガリア中部の先史時代の遺跡から、約5000年前のものとみられる金製の工芸品約1万5000点が出土したと報じたとのこと。同地方に金製品の高度な製造技術を有した未知の青銅器文明が築かれていた可能性があるという。
国立歴史博物館の調査チームによると、発掘作業が進められているのは首都ソフィア西方約130キロの3地点。精巧なビーズやらせん状の装飾品多数が出土しており、年末までに10万点に達する見通しという。
共同通信。
08/20 日本刀も競売で売ります 都が差し押さえ財産出品へ
ヤフーは19日、「ヤフーオークション」に、東京都が税金滞納者から差し押さえた日本刀の出品を予定していることを明らかにしたそう。同社は所持や登録について定めた銃刀法に抵触する恐れがあるとして、刀剣の出品を禁止していたが、都の責任で実施されるので問題ないと判断、初めて出品を許可した。最低落札価格は未定。
時事通信。「銃刀法に基づき美術品として登録されている日本刀1振り」とのことなので掲載。入札は9月12日午前10時から48時間、ヤフーオークション内の企画「インターネット公売」で行われるそうです。関連記事:スクラップ2004年4月16日
08/22 ムンクの「叫び」はもう戻らない? 強奪から1年
「叫び」と「マドンナ」がオスロのムンク美術館から強奪されて22日で1年、同美術館のスポークスウーマンは21日、「望みを捨てたわけではないが、長い時間がたったので、盗難作品を見つけ出す可能性は薄れている」と語ったとのこと。
ノルウェー警察は数人を逮捕したが、彼らは端役を務めただけと見られている。オスロ市は絵画発見につながる情報提供者に200万クローネ(約3400万円)の賞金を出すと発表したが、ノルウェーのメディアによれば、新しい手掛かりはなく、捜査は行き詰っているとのこと。犯人たちの動機も不明。専門家によれば、両方の絵は合計1億ドル(約110億円)の価値があると見られるが、あまりに有名な作品のため、売りさばくのは難しい。犯人側から「身代金」の要求もきていない。
21日付時事通信。事件以来閉鎖されていたムンク美術館は、警報システムなど防犯体制を一新し、今年6月に再開されたとのこと。関連記事:スクラップ2004年8月22日
08/22 三田焼 江戸時代は全国に流通
三田市教委調査報告書「三田焼の研究」によると、江戸後期から昭和初期まで作られた陶磁器「三田焼」が江戸時代に全国に流通したことや、大量生産せずに手作りに徹して途絶えた経緯などが新たに分かったとのこと。三田焼は、群馬から宮崎まで62カ所の江戸時代の遺跡で出土したことが確認されたそう。また、明治初期の史料で「中国青磁にも勝る」と評価されたものの、明治後期の大阪の第5回内国勧業博覧会では「依然として昔のままの技術で、改良の余地あり」と批評されたことも判明。
毎日新聞。これまでの研究で、青磁の三田焼は江戸後期に作られ、19世紀初めにピークを迎え、6カ所の窯が確認されていた。
08/23 古い船体発見「ニール号」か 文化財積み南伊豆沖で沈没
明治7年に文化財を積んでウィーン万博から帰国途中、静岡県南伊豆町沖に沈んだとされるフランスの貨物船「ニール号」を捜索している民間の調査チームが22日までに、海底から古い船体の一部を発見したとのこと。船体が見つかった地点は記録に残っているニール号の沈没地点に近く、形状は現存する船のスケッチと一致するとのこと。
産経新聞。まだ「可能性あり」の段階ですが。
08/23 イサム・ノグチ遊具が人気 近畿初の「オクテトラ」
彫刻家、故イサム・ノグチが創作した遊具「オクテトラ」が近畿圏で初めて大阪市此花区の団地「パークシティふれあいのまち」に登場し、人気を呼んでいるとのこと。コンクリート製の8面体をピラミッド状に積んだ遊具は、内部の空間がつながり迷路遊びも可能。
共同通信。
08/23 ムンクの絵画盗難で今後さらなる逮捕者 ノルウェー警察
昨年8月22日、ムンク美術館から「叫び」と「マドンナ」が覆面武装集団によって盗まれた事件で、ノルウェー警察は今後さらなる容疑者の逮捕を計画しているとのこと。
警察の捜査責任者は、ここ数カ月で新たに8人に事情聴取を行っており、今後さらに逮捕を続けると語ったそう。また、「犯人グループには中心となる10〜15人の人物がいるとみている。非常に秩序立った組織だ」と述べたとのこと。
22日付ロイター通信。8月22日に続き、ムンク記事です。美術館はあきらめ半分、警察はやる気満々な姿勢を見せとこうといった感じでしょうか。
08/27 ベネチア派絵画の光沢、秘密はガラスの粉
イタリア・ルネサンス期ベネチア派の画家たちが、光沢や明るさを出すために細かなガラス粉を混ぜた絵の具を使っていたことが、ワシントンのナショナル・ギャラリーなどの電子顕微鏡分析でわかったそう。米科学アカデミー発行の最新報告書に掲載されたとのこと。
ガラス粉は同ギャラリー所蔵のティントレット作「ガリラヤ湖のキリスト」やロット作「聖カテリーナ」などの絵画で確認された。赤や黄色で塗られた部分に含まれ、粒子の大きさは直径1000分の4〜8ミリ。当時栄えた地場産業のベネチア・グラスの材料を混ぜたものと見られている。
読売新聞。
08/28 充実期の思い、高村光太郎の未発表書簡55通発見
書簡はすべて、「パンの会」で知り合った作家、田村松魚(1877〜1948)あて。結婚した2年後の1916年から10年間続いている。智恵子と東京で結婚生活を始めた大正期の光太郎の芸術への思い、仕事ぶりや暮らしぶりを伝えているそう。
19年12月22日のはがきでは、〈人は一寸でも停滞しては腐ると思ひます〉と書いたうえで、プッチーニのオペラ「マダムバタフライ」について〈日本の端唄よりもずっと下等で不純ですよ。でっち上げたイカモノ芸術です〉と独自の芸術観を披露しているとのこと。
読売新聞。松魚の親類の子孫が保管していた手紙が法政大学に委託され、その一部が先月、同大の日本文学誌要に掲載されたとのこと。
08/30 ゴーガン「息子の顔」 デンマークで発見
ポール・ゴーガンが制作した息子の顔の像が見つかったとのこと。コペンハーゲン近郊の博物館が29日明らかにした。ゴーガンは1881年にパリでこの像を制作、1883年に妻と子ども5人とともに移住したコペンハーゲンに持ち込んだ。と、みられているそう。
読売新聞。像はコペンハーゲン近郊の家族がクリスマスの装飾品に使っていたが、5年前、保険代理人に査定を依頼。代理人が競売会社に送ったところ、同博物館の専門家が目に留め、20万クローネ(約360万円)で購入したとのこと。
08/30 平安の阿弥陀様修理終える 京都・宇治の平等院
平等院の本尊「阿弥陀如来坐像」(国宝)の修理が終わり30日、完了を報告する奉告式が国や府、市の関係者らが出席して行われたとのこと。
高さ約2.8メートルの坐像は寄せ木造りで、平安時代の1053年に仏師定朝が制作。近年は金箔が浮き上がるなど傷みが目立っていたとのこと。修理は約50年ぶりで昨年1月、坐像から魂を抜く儀式を行い、境内の特設工房で美術院の技師約10人が作業してきた。
今後は、坐像の頭上につるされた装飾「天蓋」(国宝)の修理を約100年ぶりに始めるとのこと。今回の国宝2点の修理は国の補助を受け、総事業費は約4億6000万円。
共同通信。修理に伴い中止していた鳳凰堂内部の拝観は9月1日から再開するそう。
08/30 島根・足立美術館の日本庭園が米専門誌で1位
日本庭園専門誌の05年庭園ランキングで、京都市の桂離宮をおさえて3年連続で1位に選ばれたとのこと。国内693カ所の庭園を建物との調和や管理などを総合的に比較したそう。
毎日新聞。
08/30 高松塚古墳の解体で8億円
文部科学省は30日、総額で本年度当初比9.4%増の6兆2746億円とする2006年度予算の概算要求を発表。文化財保護関係では奈良県明日香村の高松塚古墳の解体準備費8億円を盛り込んだとのこと。
同古墳は、国宝の壁画が劣化しており現場での保存を断念、解体して別の場所で修復することになった。06年度は準備として壁画の修復作業をする仮設施設の整備や、解体工程のシミュレーションなどを実施し、解体に着手するとのこと。
共同通信。
08/31 大和政権支えた首長墓か 三角縁神獣鏡出土
大阪府羽曳野市の庭鳥塚古墳(4世紀後半、前方後方墳)で、未盗掘の埋葬施設から中国製とみられる三角縁四神四獣鏡が見つかり、同市教育委員会が31日、発表したとのこと。邪馬台国の女王・卑弥呼が死んだ直後の3世紀半ばに作られた古いタイプの三角縁神獣鏡という。やりや鉄剣、やじりなど多数の武器類も出土。
共同通信。






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