2005年
07/01 ダヴィンチの“隠れ絵”発見
ロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されているレオナルド・ダビンチ(1452-1519年)の「岩窟の聖母」の下に、これまで知られていなかった“隠れ絵”を含む2種類の「下絵」が描かれていることが分かったそう。赤外線を使って調べたところ、女性が手を胸に当てながらひざまずき、もう一方の手を差し伸べているスケッチが浮かび上がったとのこと。もう1つは「岩窟の聖母」の下絵。英紙タイムズによると、ダビンチの新作が発見されたのは70余年ぶり。
共同通信。同美術館によると、ダビンチは当初、聖母子像を描こうとスケッチに取り掛かったが、何らかの理由で「岩窟の聖母」に切り替えたという。
07/06 弟子の名前後付け 大仏殿再建の棟札・草案見つかり判明
東大寺で、大仏殿にあげられていた棟札(国宝)の草案が見つかったとのこと。戦国武将・松永久秀の焼き討ち後、公慶上人らが大仏殿を復興した江戸時代に作成された。実際の棟札では公慶上人と並んで弟子・公盛の名前が記されているが、草案にはなく、奈良奉行らの名前と合わせて書き加えたらしい。
奈良新聞。草案は棟札とほぼ同じ大きさで、縦約2.5メートル、横約0.5メートル。同寺図書館で未整理の古文書を調査している同寺と奈良文化財研究所などが発見したとのこと。
07/08 前田青邨の作品偽造し販売 横浜の著述業者逮捕
前田青邨氏の弟子で日本美術院理事長の平山郁夫氏らが告訴していたとのこと。
調べでは、容疑者は1月、前田画伯の「お水取」「富士」など計7点や平山氏が鑑定したとする箱書きなどを偽造。古美術商に販売し、計約160万円をだまし取った疑い。「富士」は250万円、「お水取」は250万円程度で取引される作品。男性は購入後、平山氏に鑑定を依頼し贋作と分かった。
共同通信。容疑者は図録を参考に自分で描いたと、供述しているとのこと。古美術商は騙されているわけですが、かなりの腕前だったのでしょうか。それとも、嘘鑑定が効果絶大だったのでしょうか。
07/11 石室冷やすパイプ設置 高松塚、解体まで応急措置
文化庁は2006年末にも行われる石室解体までの緊急措置として、冷却パイプを設置して石室内の温度を15度以下に下げ、カビを抑えることにしたとのこと。
墳丘の表面と、石室の床下1.5メートルの地中に、約150本のパイプを設置。2度前後の冷却水を循環させ、上下から挟むような形で石室を冷やす。石室内の温度は11月ごろが最も高く、20度以上にもなるという。冷却は9月初めから開始する予定。
共同通信。
07/14 朱色の「午」全体像判明 キトラ古墳壁画
文化庁によると、石室南壁で見つかった獣頭人身の十二支図「午」の全体像が判明したとのこと。
壁の漆喰を覆った泥の層に、絵が裏返しに転写された状態で残っていた。泥が絵に張り付き顔料をほとんど吸い取ったため、奇跡的に制作当初に近い姿で保存されたらしい。こうした形で壁画が見つかるのは日本の考古学史上例がないとのこと。
共同通信。
07/15 人間国宝 文化審が5人の認定答申
組踊音楽歌三線の城間徳太郎氏(71)=那覇市、鉄釉陶器の原清氏(69)=埼玉県寄居町、紬織の佐々木苑子氏(66)=東京都杉並区、鋳金の大澤光民氏(63)=本名:大澤幸勝・富山県高岡市、竹工芸の勝城蒼鳳氏(71)=本名:勝城一二・栃木県大田原市を答申。これで人間国宝は重複認定1人を含めて117人、故人も含めた延べ認定数は309人となる。
共同通信。
07/16 巨大壁画、修復作業始まる 岡本太郎の「明日の神話」
約100片に解体され運搬。16日、本格的な修復のため愛媛県東温市の作業場に搬入されたとのこと。長年放置されたため雨水や土ぼこりによる傷みが激しく、約1.5メートルの高さに設置されたガラス盤上で接合するなど、慎重に修復を進める。
共同通信。スクラップ2005年6月7日の続報。 「明日の神話」は、原爆が炸裂する瞬間を描いた縦5.5メートル、横30メートルの大作。
07/20 大学教授が萩美術館に浮世絵寄贈
広島女学院大教授が19日、趣味で集めた明治中期の浮世絵12点を、萩市の山口県立萩美術館・浦上記念館に寄贈したとのこと。作品は7人の絵師が織田信長や楠正成などを描いた、53点の版画からなる歴史画シリーズ「教導立志基」の一部。
中国新聞。
07/20 翼広げた鳥の埴輪、初出土
和歌山市の岩橋千塚古墳群にある大日山35号墳(前方後円墳、6世紀前半)から、翼を広げて飛んでいる鳥の埴輪が見つかり、和歌山県教委が20日、発表したとのこと。県教委によると、飛んでいる姿の鳥の埴輪は木製では例があるが、土製では全国初。
鳥の埴輪は体長約50センチ。右の翼しか見つかっていないが、両翼を広げた長さは約60センチあったらしい。
共同通信。
07/20 色彩鮮明な仏像の壁画発見 バーミヤン遺跡
独立行政法人文化財研究所は20日、バーミヤン遺跡の石窟で仏像が描かれた壁画などを発見したと発表したそう。壁画は7-8世紀のものと推測されるとのこと。
壁画は、バーミヤン遺跡の西大仏の西方約6キロのコレ・ジャラールでバーミヤン谷のがけを掘った石窟で見つかった。仏像の一つは首を傾けたポーズで、目の部分などが欠けているものの、口元や頭の周囲を赤色で表現。石窟の内部には玉をつなげた文様の「連珠文」などのほか、金箔を細切りした線を張り付けた装飾も見つかったとのこと。
共同通信。関連記事:スクラップ2005年6月29日
07/20 勤務先から平山郁夫作品盗み、逮捕
広島中央署は20日、平山郁夫氏の作品「野の鳥」(購入価格約1300万円)を盗んだとして、窃盗などの疑いで容疑者を逮捕したとのこと。「野の鳥」は関係先で無事に発見され、持ち主に返された。
調べでは、容疑者は勤務先の不動産会社事務所に侵入し、「野の鳥」を盗んだ疑い。同社では「野の鳥」を含む絵画計3点(購入価格計約2000万円)がなくなり、被害届を出していた。「野の鳥」以外の2枚が古物商に預けられていたことから、容疑が発覚した。
共同通信。美術品って、国内外問わず盗まれまくっているなーと。
07/21 大友克洋氏に仏芸術勲章 フランス政府
フランス政府は、映像作家の大友克洋さんに「芸術文化勲章シュバリエ」を授与したとのこと。フランス紙フィガロが21日報じた。芸術文化勲章は、芸術や文化の創作活動に実績があった人に贈られる。シュバリエはその一つの等級で、騎士を意味する。
共同通信。
07/22 東博 戦前まで所蔵記録の和鏡 なぜか京都で発見
東京国立博物館が戦前所蔵していた和鏡とみられる鏡を、京都市の研究家が東山区の古美術店で見つけたとのこと。東博は21日、鏡を鑑定し、「所蔵の和鏡にほぼ間違いないが、流出した原因は全く分からない」としている。
和鏡は直径10センチの青銅製「野兎水禽鏡」で、平安後期の作とみられる。岐阜県瑞浪市の法明寺の経塚から1916(大正5)年に出土、翌年、東博に寄贈された和鏡7枚のうちの1枚。残る6枚は現在も東博が所蔵している。
京都新聞。1937(昭和12)年までは所蔵していたことを確かめたが、戦後の所蔵記録はなかったとのこと。東博では鏡を東京に持ち帰り、科学的な分析を行って本物かどうか最終的に判断するという。
07/27 傑作が「飲まれた」? 南極の水入りアート紛失―英
英国南西部デボンで開催中のアート・フェスティバルで、地球温暖化の危険を訴えるため「南極の水」を満たした瓶を台座に置いた形の作品が紛失したとのこと。作品は、米国の芸術家ウェイン・ヒルさんが「大量破壊兵器」と題して制作。透き通ったプラスチック製の2リットル瓶に、南極の氷の溶けた水が入っていた。
26日付時事通信。間違って捨てられたという話が昔ありましたが。
07/28 一日だけヌードで鑑賞可能に ウィーンの美術館
オーストリア・ウィーンのレオポルト美術館は27日、同国の著名画家グスタフ・クリムト(1862−1918)とエゴン・シーレ(1890−1918)らの絵画展「赤裸々な真実=クリムト、シーレ、ココシュカ(オスカル・ココシュカ=1886−1980)その他の問題画家たち」を見たい人は、29日に来館すればヌードで鑑賞できることにしたと発表したそう。
27日付時事通信。この時期に人々は美術館よりも海に行きたいと考える→海に行けば服を脱げるから→そこで美術館でも服を脱げることにした。という論法?の元に発案されたらしいです。恥ずかしい人は水着でも可とのこと。
07/28 サウジアラビアの王子、ルーブルに巨額の寄付
大富豪で投資家でもあるアルワリード王子は、パリのルーブル美術館にイスラム美術の展示コーナーを創設するため1700万ユーロ(約23億1000万円)を寄付したとのこと。寄付金はルーブル所蔵のイスラム美術品1万点の常設展示コーナー創設のため使用され、それにより西欧文明に対するイスラム文明の貢献について理解を深めたいとしている。
27日付ロイター通信。寄付金は、これまでに同美術館になされたもののうち過去最高金額とのこと。
07/29 皇帝の大理石像発見
古代ローマの中心地の遺跡フォロ・ロマーノの下水道跡から、皇帝コンスタンティヌス大帝(在位306-337年)の首から上の大理石像が発見されたとのこと。発掘チームが28日、明らかにした。像は高さ約60センチ。下水道に置かれたことで保存状態が良かったという。
共同通信。像は来年開館予定の「フォロ・ロマーノ美術館」で展示される予定。






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