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画集画集:オムニバス展覧会図録|関連書籍|雑誌・変り種

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足立巻一・有馬頼底/淡交社/1976

京都の淡交社は1976年から1980年にかけて、井上靖、塚本善隆の監修のもと、京都と奈良の古寺巡礼シリーズをそれぞれ全30巻と16巻として刊行した。本書はその京都シリーズの第2巻目。カラー図版は多く、相国寺境内や所蔵美術品などを紹介するが、若冲作品は「釈迦如来像」「文殊菩薩像」「普賢菩薩像」の3点のみ。またこれらの作品を堂内に掲げての観音懺法の珍しい写真もある。巻頭には「若冲と大典、 相国寺で」と題して足立巻一が9ページにわたって文章を寄せる。A4版ハードカヴァー。(大山甲日さんから情報いただきました)

学習研究社(編集)/学習研究社/1977

教育テレビ「日曜美術館」を誌面に再現。番組ゲストのコメントを中心に構成されています。画家の生涯など補足の解説文、年譜や参考文献の掲載もあり。取り上げられているのは、若冲、尾形光琳、高橋由一、信貴山縁起絵巻、ガウディ、ムンク、マグリット、ミレー。
「テレビ対談 私と伊藤若冲」において、国文学者・松田修氏が若冲観を披露しています(16p)。他に、千澤骼。「若冲絶讃 ・若冲を蒐集する あるアメリカ人・」を収録(4p)。こちらの内容は、コレクターのプライス氏について。

梅原猛/講談社(講談社現代新書)/1977.2

著者独自の解釈を加えながら、羅漢像や羅漢思想を紹介した1冊。禅月大師の「十六羅漢図」とそこに書かれた讃を元に十六羅漢の紹介をしたり、各地の寺に伝わる羅漢を鑑賞したりしています。
「若冲と木喰 石峰寺・清源寺」にて、石峰寺の五百羅漢、若冲自身や作品に関する記述があります。こちらの章は、“一人の人間の個性によって作り上げられた羅漢像”を紹介したものです。*文章は、「仏像・羅漢 梅原猛著作集第2巻」(集英社/1981.12)にも収録されています

梅原猛/集英社/1983.2

「若冲の世界」と題された文を収録(約3p)。原題:「物・宗教・鶏−伊藤若冲展」。初出:朝日ジャーナル1969年10月19日号。

小林忠/瑠璃書房/1983.4

江戸時代絵画の通史。狩野派から浮世絵まで。
「凝視の画家 伊藤若冲」にて、『動植綵絵』の制作過程、鹿苑寺書院の障壁画、若冲にとっての写生の意味と画風について論じています。また、若冲の水墨画作品を前・後期に分けて比較したり、当時「旧風革新」の時期であった絵画界についても言及しています。カラー口絵に「雪中鴛鴦図」、モノクロ口絵に「仙人掌群鶏図(部分)」の掲載あり。

藤岡作太郎/ぺりかん社/1983.7
*底本は、明治36年初版(金港堂刊)の原著を用い、大正3年訂正10版、および昭和16年版(創元社刊)をもって校合したとのこと。

近世絵画に関する定番本。「発端 古代略記」「第一期 狩野全盛」「第二期 横流下行」「第三期 旧風革新」「第四期 諸派角逐」「第五期 内外融化」に分け、論じています。豊富で今なお色褪せぬ内容。
「第三期 旧風革新」内、明和頃の京都諸家という章にて、若冲が紹介されています。長崎と黄檗、長崎流伝の写生画と文人画等、他所においても関連の記述あり。

辻惟雄/角川書店/1986.4

若冲も載っていますが、後述の「奇想の系譜」よりあっさり。若冲に関していえば、最初から「奇想の系譜」を読んだ方が話が早いかも。

小林忠/ぺりかん社/1987.1

第1章「得意の技法」、第4章「見立絵の鑑賞」に、若冲に関する記述があります。タイトルはそれぞれ「伊藤若冲の筋目描」「遊女の夢と野菜の涅槃」です。
ところで、「筋目描」の中で気になる文が。「はじめて筋目描という耳慣れない用語を使ったが、このように新しく言葉を作らなければならないほど−略−ユニークなものであった」。ということは、小林氏が作った言葉なのですか。

近藤啓太郎/一枚の繪/1987.2

「一枚の繪」に2年間にわたり連載された、「名画中の名画」をまとめたもの。全30篇。うち1篇にて、「群鶏図」(動植綵絵)を中心に若冲を紹介しています。著者独自の解釈が新機軸(?)。

高橋博巳/ぺりかん社/1988.5

18世紀後半の京都文化を、人と人とのつながり−ネットワークという視点から論じた1冊。
若冲と交流のあった売茶翁に関する章(タイトル:売茶翁サークル)があり、生涯や人となり、彼を中心とした文化人ネットワークについて詳細に記されています。同章には若冲の紹介もあります。若冲のことは、他の章でもちょくちょく出てきます。

辻惟雄/ぺりかん社/1988.6 *ちくま学芸文庫/2004.9刊もあり

初めて出版されたのは1970年(当時は美術出版社から)。こちらは新版です。
「奇想」という概念を生んだ、ターニングポイント的な?1冊。若冲、岩佐又兵衛、狩野山雪、曾我蕭白、長澤蘆雪を収録。奇想をキーワードに、各人を論じています。この本がきっかけとなり、それぞれの画家が再評価されるようになりました。カラー図版2点、モノクロ8点掲載(若冲作品)。

森銑三/中央公論社/1988.12

近世の画家研究を主とした1冊。「若冲小録」において、「蕉斎筆記」と貫名海屋による「筆形石碑銘」が紹介されています。「蕉斎筆記」は若冲に関する条の全文、「筆形石碑銘」も全文を掲載。その他収録されているのは、池大雅、谷文晁、野呂介石、浦上玉堂など。*「森銑三著作集続編 第一巻 人物篇一」(中央公論社/1992.10)には、売茶翁に関する記述があります。

辻惟雄/平凡社/1989.6 *ちくま学芸文庫/2005.4刊もあり

「奇想の系譜」の姉妹編。今回は、かざり・からくりがキーワード。広い範囲の日本美術を、かなり奔放に評論してます。ときには西洋美術を絡めたり。と書いてますが、この本どうにも説明しづらいです。
若冲の頁は、それ程奔放ではありません。大典顕常の寿蔵碣銘が中国の画論「宣和画譜」を下敷きにしてるのでは、というくだりが興味深かったです。カラー図版有り。

種村季弘/河出書房新社/1991.2

「箱」「からくり」という言葉を絡めたエッセイを集めた1冊。「博物誌としての花鳥画 伊藤若冲の針穴写真機」という一文が掲載されています。
若冲を針穴写真機に見立て、話は展開していきます。画室は暗箱、眼は針穴、画布はスクリーン。スクリーンを埋め尽くすのは、博物誌的なイメージ。「あるサロン博物誌家 木村蒹葭堂」の収録もあり。 扉部分画像:わかりにくいですが、ちょっとした遊びがなされています。大根とか。

小林忠/ぺりかん社/1992.3

水墨画に焦点を当てた1冊。全269p。
「伊藤若冲 独創の奇技」という章(20p)において、水墨画の代表作である『鹿苑寺障壁画』を、着色の代表作である『動植綵絵』と対比して紹介。筋目描など、独特な画法・描法にも触れています。巻頭の「名作ギャラリー」には、『樹下雄鶏図』(モノクロ図版)の掲載あり。
他に取り上げられているのは、円山応挙、曽我蕭白、長澤蘆雪、池大雅、与謝蕪村、浦上玉堂、谷文晁、渡辺崋山、富岡鉄斎、速水御舟、横山大観。

三野亮/望月印刷/1993.8 *非売品(東京都現代美術館の図書室にありました)

石崎光瑤の全体像に迫る1冊。光瑤が『中央美術』『美の国』に寄せた若冲論(*)について記載されています。略されていますが、『中央美術』の論文引用あり。加えて、「光瑤が西福寺に残っている若冲の襖絵に触れているのを読んで、興味は若冲にまで及び…」ということで、「(参考)伊藤若冲について」という章が設けられています。内容は、若冲の紹介と著者による若冲評。
*『中央美術』No.126 大正15年5月号:「西福寺の若冲襖絵……新発見の画蹟を観て」 『美の国』大正15年第2巻第12号:「若冲考」

梅原猛/講談社/1994.2

随筆、対談、座談会をまとめたもの。「若冲・蕭白・春信−奇狂の価値」という一文が掲載されています。※文章は、「日本の名随筆別巻94 江戸」(田中優子編/作品社/1998.12)でも読むことができます。初出:「奇狂の価値」(芸術新潮1990年5月号)。

中野三敏/弓立社/1994.4

江戸文化に関する本。表紙に「鸚鵡図」、口絵に「乗興舟」、そして巻末には著者と御馴染み狩野博幸氏の対談を掲載。対談では拓版画の話題と共に、若冲にも触れられています。 表紙画像

今橋理子/スカイドア/1995.4 ※2017.1文庫化(講談社学術文庫)

博物学の視点から花鳥画をみることで、江戸の博物学・博物図譜と絵画の関係を探る1冊。ボリュームがあり、力の入った本です。
浮世絵花鳥版画の章において、若冲の版画作品が取り上げられています。「枯木鷲猿図」の主題に関する考察もあります。カラー口絵に「櫟に鸚哥図」(花鳥版画6枚の内)。

内山淳一/講談社/1996.7

江戸時代の美術を、科学との接近、連関から論じています。タイトル通り、好奇心溢れる江戸時代の様子がわかります。若冲の枡目描き作品の紹介あり。カラー口絵に「樹花鳥獣図屏風」右隻。

1998年 朝日新聞社編 B5変形版 162ページ

1984年4月から86年9月まで毎月発刊された全30巻の『朝日園芸百科』の姉妹編のような形で3冊の別巻がその後に出たが、本巻はそのうちの3冊目。カラー図版はほぼ全ページにあり、説明も充実している。全9章のうち3番目が16ページにわたる「応挙、若冲、春渓の動植物図」と題される章で、その前半を習院大学教授の小林忠が執筆。若冲作品の図版は部分図を除き6点掲載される。(大山 甲日さんから情報いただきました)

瀬木慎一/新潮社(新潮選書)/1998.1

中世から近代に到る絵画史を、値段の面から辿った1冊。作品の価値と価格の関係や、時代によって変わる評価(価格)など。4部構成。
「第2部 江戸期の群像」中に、『宮中に収まった市井の若冲 「動植綵絵」』という文があります。見出しが1p、本文は3pのみですが。

木村重圭(編集・校訂)/ぺりかん社/1998.5

岸駒の弟子でもある白井華陽編纂の「画乗要略」(天保2年・1831)、岡田樗軒「近世逸人画史」(文政7年・1824)を収録。共に画論集です。江戸時代後期における、画人評価が窺えます。どちらも若冲の記載あり。

赤瀬川原平 山下裕二/日経BP社/2000.2 *ちくま文庫/2004.3刊もあり

赤瀬川、山下両氏の対談集。日本画家から縄文土器、石庭に至るまで大らかに語り倒しています。全19章。
若冲は3章目に登場。12pしかありませんが、気楽に楽しく読めるので取っ掛かりにはよいかも。カラー図版8点掲載。(若冲作品)

日本経済新聞社(編)/日本経済新聞社/2000.4

日経新聞日曜版に掲載されたものをまとめた1冊。古今東西(…)、11人の芸術家を紹介しています。テレビ同様、わかりやすい解説。カラー図版が多い所も、いい感じです。カラー図版5点、写真1点掲載。(若冲作品) 裏表紙画像

田中優子/朝日新聞社/2000.6

百の図像から、「るつぼ」の如き江戸文化を論じています。いい意味で奔放な文章。「大根だって死ねばスター」では若冲筆『野菜涅槃図』を、「溶解する花鳥」では『雪中錦鶏図』(動植綵絵)を取り上げています。それぞれ2pの文に図版付き。

辻惟雄/角川書店/2000.8

アニミズムをキーワードに、日本美術の表現を追った1冊。「日本美術に流れるアニミズム」内、「近世−奇想派のイメージ」にて、若冲の頁が設けられています。取り上げられた作品は、動植綵絵「貝甲図」「雪中錦鶏図」、「石灯籠図屏風」、「野菜涅槃図」。それぞれ、見立てなどの視点から論じています。同章には葛飾北斎も。その他、円空、木喰、白隠、風外慧薫等に関する評論を収録。

朝日新聞日曜版「名画日本史」取材班/朝日新聞社/2001.3

朝日版「美の巨人たち」。日本の主な画家を収録。「主な登場人物」「見る」「読む」「訪ねる」などの注釈がついており、わかりやすい作りです。
若冲は、コレクターであるプライス氏の視点から紹介されています。図版あり。

鈴木晋一/平凡社(平凡社新書)/2001.8

たべものに関するエッセイを集めた本。「若冲『野菜涅槃図』を読む」という一篇が収録されています。
文中では、「野菜涅槃図」に描かれた60種類以上の野菜や果物の種類を推察、特定。図版を使った説明もあり、見やすく楽しめる一文。

国立科学博物館(編集)/東海大学出版会/2001.10

企画展「日本の博物図譜 十九世紀から現代まで」にあわせて出版。展示品である博物図譜をカラーで紹介、解説を加えています。「日本の博物図譜 その伝統をさぐる」という章に、2pですが若冲の紹介あり。文は辻惟雄氏によるもの。

土屋禮一/ビジョン企画出版社/2002.4

龍を題材とした美術作品、龍伝説、龍のことわざや形態学、著者自作・瑞龍図他を収録。まさに「龍の本」です。16作家による16の美術作品を紹介した「龍図を見る」において、『有頂天にさせる龍……伊藤若冲筆「雨龍図」』という項目があります(4p)。

河野元昭(監修)/美術年鑑社/2002.5

若冲筆「松鶴図襖絵(鹿苑寺大書院障壁画)」を見開きで掲載。狩野博幸氏の解説が付いています。加えて、小さなスペースですが、奥谷博氏が「蓮池図」について語っています。巻末の水墨画所蔵先リストにも、若冲の項あり。データは2002年3月現在。

小林忠/東信堂/2002.8

江戸から近代にかけて活躍した、12人の画家たちの故里を訪ね歩くという趣向。日本美術のエッセイです。「伊藤若冲 京洛の奇人」という章あり(10p)。京都で、個人の若冲コレクションを見せてもらうくだりが、興味深かったです。

赤瀬川原平/講談社/2003.4

赤瀬川氏独自の視点から、様々な日本美術を「観察」する1冊。動植綵絵「群魚図」が取り上げられています(2p)。

矢島新 山下裕二 辻惟雄/東京大学出版会/2003.6

2001年、渋谷区立松濤美術館で開催された「眼の革命 発見された日本美術」展から生まれた書籍。図録に収録された矢島・山下両氏の文が掲載されています。矢島氏の文章は大幅に加筆、山下氏は図録と同じです。本書で新たに、山下・辻両氏の対談「『奇想の系譜』以前・以後」が加わっています。
若冲は、「辻惟雄−奇想の系譜」という章と、対談中に登場します。カラー口絵に、動植綵絵「池辺群虫図」。本文図版に、動植綵絵「池辺群虫図」「芦雁図」「秋塘群雀図」「棕櫚雄鶏図」。「眼の革命」展図録展覧会の様子

前田恭二/新潮社/2003.8

読売新聞日曜版に連載された「絵と人のものがたり(古美術編)」を増補、改訂したもの。若冲他11名の画家を取り上げており、それぞれの主な作品を通して生涯や画業、画風などを紹介しています。
若冲の章は、図版を含めて14p。タイトルは『代表的な十八世紀の「奇想の画家」 伊藤若冲』。文中の引用先は、佐藤康宏説が多目。取り上げられた作品は、「旭日鳳凰図」、動植綵絵より「南天雄鶏図」「雪中錦鶏図」、鹿苑寺大書院障壁画より「竹図襖絵」、「菜虫譜」。

橋本治/新潮社/2003.9

芸術新潮の連載をまとめた1冊。『ひとりぼっちなもの 伊藤若冲筆「動植綵絵」「群鶏図押絵貼屏風」』が収録されています(14p)。円山応挙、曽我蕭白、浦上玉堂、喜多川歌麿他を取り上げた全15篇。

山下裕二/晶文社/2003.9

日本美術を、評価のゆらぎから捉えた1冊。画家や作品にとって、大きな契機となった年号や事例を絡め論じています。若冲、雪舟、源頼朝像、高松塚古墳、雪村、白隠、写楽、長谷川等伯を収録。
若冲の章は、「一九七〇年の伊藤若冲 奇想・アバンギャルド・サイケデリック」(20p)。1970年は『奇想の系譜』の出版年。

千 方可/小学館/2003.10

美術作品に登場する犬を集めています。絵本仕立てになっており、犬を愛でることに主眼を置いた1冊です。大部分が日本の絵画で、若冲筆「百犬図」の収録もあり。 小学館 > 検索 > ドッグ・ギャラリー > 表紙画像をクリックすると「百犬図」のページが見られます。

山下裕二(監修)/淡交社/2004.3

若冲の「菊花図」「果蔬涅槃図」が取り上げられており、筋目描きなどのテクニックを図解しています。いままでなかった視点で面白いです。(技法に合った紙を見つけられなかったと言うことで、失敗っぽい部分も・・・)たしかに、文章で説明されても実際どうやっていたか想像するのは、水墨画の経験者でないと難しい。想像してたのとは少し違ってました。(松岡 隻さんから情報いただきました)

玉蟲敏子/ブリュッケ/2004.6

酒井抱一に関する著作。『「絵手鑑」の章』に“伊藤若冲から学んだもの”という項目があり、抱一筆「絵手鑑」の内、若冲の拓版画「玄圃瑶華」から倣った11図について述べられています。もちろん抱一視点の考察ですが、若冲ファンにも参考になるかと思われます。「『玄圃瑶華』との対照」など、モノクロ図版あり。

朝日新聞大阪本社編/淡交社/2004.7

朝日新聞大阪本社の連載コラム「風景を歩く」の1〜50回を収録。近畿地方の探訪記です。
「錦市場 奇才が愛した京野菜」にて、若冲の作品や人となりを紹介しつつ、若冲が暮らした錦市場を歩いています(4p)。個人的肝は<キーワード>に書かれた事項。



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