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画集画集:オムニバス展覧会図録関連書籍|雑誌・変り種

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■ 雑誌 ■


日本美術工芸社(大阪)発刊の月刊誌でB5版120ページ。巻頭に若冲の特集記事あり。カラー1ページ、モノクロ5ページで若冲作品の図版掲載。本文は京都工芸繊維大学教授の土居次義による若冲<西福寺の襖絵を中心に>と題する8ページの論文があり、10点の図版も挟まれる。(大山甲日さんから情報いただきました)

辻惟雄 種村季弘 由良君美 笠原伸夫/美術出版社/1971.9
*種村季弘「伊藤若冲−物好きの集合論」は、『断片からの世界 美術稿集成』平凡社/2005.8刊に収録

図版、文共に大盛な1冊。図版は、「動植綵絵」より12幅、「梅花錦鶏図」、信行寺天井画「花卉図」、「仙人掌群鶏図」、「五百羅漢図」など。カラーは少なめですが、大きく掲載されています。蕭白も、同程度の掲載数です。文は、「綺矯の画家<流派ならざる流派>」(辻惟雄)、「伊藤若冲−物好きの集合論」(種村季弘)、「曽我蕭白−狂想の天明空間」(由良君美)、「天明の美と情念」(笠原伸夫)。 表紙画像

ジョー・プライス 千沢骼。 小林忠/新潮社/1971.10

「若冲の再見」と題した、12ページの小特集。図版掲載と、上記三氏による座談会です。
座談会は、「異端か正統か」「自然らしさの装飾性」「若冲の一点」というテーマに沿った内容。各氏による若冲の捉え方がうかがえます。対して図版は、色褪せたカラーにコピーのようなモノクロ。あまり楽しめません。古い雑誌なので、しょうがないですが。

芸術生活社/1971.10

カラー口絵「特集 奇想の花鳥画家 伊藤若冲」あり。掲載作品は、動植綵絵より「老松白鳳図」「雪中錦鶏図」「菊花流水図」「貝甲図」「蓮池遊魚図」、「雪芦鴛鴦図」(プライスコレクション)、「紫陽花双鶏図」(同)、「仙人掌群鶏図」(西福寺)。「仙人掌〜」は並び方が変です。口絵解説「動植曼荼羅の世界」(辻惟雄・4p)の掲載もあります。

日本美術工芸社

「伊藤若冲<その人と芸術>」と題して美術評論家の中村渓男が13ページにわたる文章を寄せる。モノクロ図版12点の挿入あり。ただし「葡萄図」は校正ミスで逆さに掲載されている。(大山甲日さんから情報いただきました)

文化出版局/1976秋

1970年春の創刊以降、現在も続刊されるこの雑誌は、京都国立博物館の売店にも置かれているほどだが、若冲の紹介は意外にも本号のみと思われる。「石を巡る旅 若冲の五百羅漢」と題して詩人の足立巻一が7ぺージの随筆を寄せている。五百羅漢を写すモノクロ図版5点は表情豊かで味わいがある。(大山甲日さんから情報いただきました)

平凡社/1976

「雪梅雄鶏図(両足院)」のピンナップが付録として付いていました。椿を主題にした特集で、本文中には若冲は取り上げられていません。辻惟雄氏が短い解説を書いています。(松岡隻さんから情報いただきました)


日貿出版社/1980.7

1977年の創刊以降、現在も続刊されるこの雑誌は、毎号水墨画として描く対象のテーマを絞って特集が組まれる。本号は巻頭に「若冲の鶏」と題して美術評論家の鈴木進が4ぺージの若冲についての紹介文を寄せる。作品のモノクロ図版は5点。なお本号以降にも若冲をわずかに紹介する号がある。(大山甲日さんから情報いただきました)


朝日新聞社/1980.9/A4変形/本文26p

朝日新聞社発行の週刊朝日百科は1971年(昭和46年)の創刊から現在も続くシリーズだが、『世界の美術』は全世界の美術を全140冊でコンパクトに紹介するもので、日本美術には計36冊が割り当てられた。本号における全5章のうちの「若冲と蕭白」の章は、東京芸術大学教授の山川武が執筆を担当し、「芙蓉双鶏図」「葡萄図」など、全部で8点のカラー図版が掲載されている。(大山甲日さんから情報いただきました)

特集「ジャパネスク」 B5版 272ページ

松岡正剛/工作舎の雑誌『遊』は1971年9月の創刊で、不定期発売ながら82年10、11月合併号まで、第1期から3期に分けて50巻が世に出た。本号は77年12月の「足穂・抱影追悼号」に続く臨時増刊号。カラー・ページ特集は間を置いて5点組まれていて、その最初に「絵師若冲の鶏」と題して8ページ、計6点の若冲作品の図版がフル.ページで紹介される。長文の代わりにコピーワークがあり、西岡文彦が担当。(大山 甲日さん)(大山甲日さんから情報いただきました)

ペヨトル工房/1987.2

生花、刺青、花札、絵画など、様々なジャンルにおける「花鳥風月」を取り上げた1冊。若冲に関する記述や図版が随所に見られます。
中でも、『風の変彩譜』(今野裕一)においては、若冲の生涯や画業、「物」に傾倒し画家を写生へ向かわせた時代背景、大典と京都文化ネットワークや中国文化、さらには若冲との関わりについて詳細に記されています(23p)。また、『江戸の鳥−花鳥茶屋の世紀−』(北野真弓)には、「伊藤若冲−博物学的写生」という章が設けられています。 表紙画像

佐藤康宏/至文堂/1987.9

1冊まるまる若冲。解説書+ミニサイズ画集あるいは図録といった趣。モノクロが主ですが、図版が多く参考になります。私事ですが、ここで初めて観た作品もありました。
日本画家・下村良之介氏による、「若冲の『群鶏図』に私自身の愉快な冒険を見出す」という文も掲載されています。 表紙画像

梅原猛 狩野博幸 灰野昭郎 小寺武久/新潮社/1990.5

京都国立博物館で開催された「十八世紀の日本美術−葛藤する日本美術」展にあわせた特集。わび、さび、あわれ、雅びでは括れない美術を広く紹介しています。
「奇狂の価値」という章では、若冲が大きく取り上げられてます。「仙人掌群鶏図」「動植綵絵」より4幅(部分拡大図含む)、「百犬図」の図版もあり。また、売茶翁に関する記述があり、彼を中心とした京都文化界を知る手がかりになります。他に「忘れさられた細工師 小川破笠」「奇社・奇寺・奇堂・奇庭 奇空間」。

玉蟲敏子(責任編集)/同朋舎出版/1993.4

1冊丸ごと若冲。生涯、画歴の紹介、作品の解説、1pにつき1作品、計11作品を掲載した「ギャラリー」が中心。加えて博物学、図譜、秋田蘭画などの解説や、 生涯のこの一年「1776年」という章が設けられており、時代背景に関するフォローもなされています。32p、オールカラー。裏表紙は「伏見人形図」。 表紙画像


安村敏信 松本彩 他/美術出版社/1994.9

1994年の3月8日〜6月12日に宮内庁三の丸尚蔵館において展観された「花鳥の美―若冲から近代まで」から取材した、動植綵絵30幅についての特集です。
他の特集ときわだって異なるのが、絵の部分を拡大して、鶏の絵の中から眼の部分のみ集めて比較、鳥の絵から羽毛の部分のみ集めて比較、というようになかなか間近で見られないポイントを掲載している点です。(松岡 隻さんから情報いただきました)

辻惟雄/朝日新聞社/1999.6

三の丸尚蔵館所蔵の近世絵画を特集。若冲についてもページが設けてあり、生涯、画業、「動植綵絵」について記されています(伊藤若冲の絵画世界・8p)。「動植綵絵」は、30幅すべての図版つき。ただし、1pにつき6幅の掲載なので、小ぢんまりとしています。 表紙画像は大山甲日さん提供

平凡社刊の『太陽』は1963年の創刊以来2000年12月号まで38年間続いたあまりにも有名な雑誌だが、若冲についてのまとまった紹介はおそらく廃刊に近づいた本号のみではないだろうか。「綺想の庭に生きる 没後200年 伊藤若冲の世界」と題する11ページの小特集は全ページにわたってカラー図版の掲載が多く、京都国立博物館の狩野博幸が同館で開催される若冲展の見所などをコンパクトに紹介する。(大山甲日さんから情報いただきました)

狩野博幸/新潮社/2000.11

「没後200年 若冲」展にあわせた特集。読むと、若冲のことが一通りわかるようになっています。掲載作品の殆どが出品作と重なるので、誌上若冲展も体験できます。値段も手頃(1200円/税込)で入門書代わりに最適。(よろしくない点がひとつ。「釈迦三尊像」の釈迦如来が、裏返しに現像されています) 表紙画像

「ひらがな日本美術史」(橋本治)に、若冲が登場しました。
その七十九…ひとりぼっちなもの 伊藤若冲筆「動植綵絵」「群鶏図押絵貼屏風」 追記:若冲の回が収録された本が出ました。「ひらがな日本美術史5

マガジンハウス/2001.9

Design That Never Ages「宗達、応挙、若沖、雪佳…、日本美術は超モダンデザインの宝庫でした」にて、プライス氏宅の若冲風呂が見られます。

小学館/2001.10/本文34p

中に、6月に行われる観音懺法という行事で、若冲の普賢&文殊ペアが方丈の壁にかけられている写真があります。そこでおつとめされるお坊さんたちがうらやましい・・・。この本は相国寺のいろいろが載っていて便利です。値段も安いですし(560円)。(中田さんから情報いただきました)

2002年

一昨年から昨年にかけて刊行されたフィギュア付きの雑誌なのですが、オナガドリ編で若冲の話が取り上げられています。サイトでは内容を確認できないのですが、若冲の解説文と鶏の絵が数枚載っており、郡鶏図は見開き+どの鶏が何という種類かの説明付きです。しかも印刷はかなり美しく、美術系の雑誌に引けを取っていないと思います。(まめもちさんから情報いただきました)

安村敏信(監修) 村田真/小学館/2002.7

最も安価(560円/税込)で、最も手に入れやすい関連本(2002年7月現在)。オールカラーで図版が多く、解説もわかりやすいです。この本の売りである「特別鑑賞室」は、『鳥獣花木図屏風』(右隻)。観音開きで図版が見られます。42p。 表紙画像

マガジンハウス/2002.9.1

巻頭特集「日本美術?現代アート?」。主旨は、共通項が見出せる古美術と現代アートを並べよう。動植綵絵「薔薇小禽図」「紅葉小禽図」は、草間彌生の作品と共に。キーワードは増殖とのこと。

心泉社/2003.2

巻頭特集「美の巨人たち」にて、『伊藤若冲「菜虫譜」』(2000年11月11日放送)の紹介があります。ところで、若冲の回はJAL機内でも放映されたそう。

マガジンハウス/2003.3.15

巻頭特集「近くて遠い国!? 四国探検帖」にて、金刀比羅宮奥書院・若冲の間が見開き写真で掲載されています。田窪恭治、山下裕二、千 方可各氏の対談もあり(2p)。

マガジンハウス/2003.11.15

巻頭特集「切手デザインをなめんなよ!」にて、若冲画を用いた切手が紹介されています。「動植綵絵」の切手発行ってどうよ。ということで30幅を使用し、独自に作った仮想切手の掲載もあり。

日貿出版社/2004.7

若冲の鶏の絵が複数枚紹介されていて、模写のコーナーでは果敢にも若冲にトライしてますが、やはり若冲に限らず、水墨画の模写は無理なんでないかと・・・。さすがプロ、構図と形は申し分なく捉えていますが、タッチで「模写」になりきれていない感があります。(松岡 隻さんから情報いただきました)

小学館

巻頭特集。内容は、第1章:「若冲コレクター」、ジョー・D・プライス氏ロス現地取材 「若冲に出合い、私の人生は決まった」、第2章:皇室御物『動植綵絵』という宇宙、第3章:江戸時代から現代まで、若冲ワールド探訪!。表紙にも「葡萄図」があしらわれております。 掲載されていた情報を少々-- ・2006年にプライスコレクション展を開催予定。開催場所は、東京国立博物館、京都国立近代美術館、愛知県立美術館。 ・関連本の出版予定があるとか。

■ 変り種 ■

描写部分を抜粋しました。3作とも青空文庫で読むことができます。

一夜 1905.9(明治38)
「……軸は若冲の蘆雁と見える。雁の数は七十三羽、蘆はもとより数えがたい」

草枕 1906.9(明治39)
「床にかゝっている若冲の鶴の図が目につく。これは商売柄だけに、部屋にはいった時、すでに逸品と認めた。若冲の図はたいてい精緻な彩色ものが多いが、この鶴は世間に気兼なしの一筆がきで、一本足ですらりと立った上に、卵形(なり)の胴がふわっと乗かっている様子は、はなはだわが意を得て、飄逸の趣は、長い嘴(はし)のさきまで籠っている」

硝子戸の中 1915(大正4)
「私はその説に不服だったので、色々の方面から向を納得させようとしているうちに、話題がいつか絵画の方に滑って行った。その男はこの間参考品として美術協会に出た若冲の御物を大変に嬉しがって、その評論を何処かの雑誌に載せるとかいう噂であった。私はまたあの鶏の図が頗る気に入らなかったので、此処でも芝居と同じ様な議論が二人の間に起った」
* 「この間参考品として美術協会に出た」というのは、こちらのことではないかと推測(妄想)。時期的に近いし、作品も御物=動植綵絵で符合するし。ところで、評論は雑誌に掲載されたのでしょうか。

狩野博幸/ぺヨトル工房/1993.10

ケースが丸くくりぬかれ、内側の鶏が顔を覗かす凝った作り。ポストカードが30枚入ってます。作品は、「紫陽花双鶏図」「仙人掌群鶏図」「百犬図」「蝦蟇・鉄拐図」他。ところで「動植綵絵」が一幅もないのは何故なのでしょう。 表紙画像

黒川創/講談社/1999.3

若冲を題材にした小説。「鶏の目」「猫の目」二篇を収録。史実としての若冲、作者が推理した若冲、まったくのフィクション。それらが交互に現われては消え、一つの物語を紡いでいく。
若冲ファンが書いた、若冲ファンのための小説という趣き。 表紙画像

大河原遁/集英社ジャンプ・コミックス/1996.4

週刊少年ジャンプに連載された漫画。内容は、主人公の骨董屋店主が関わるお宝と薀蓄、それにまつわる人間模様や事件について。掲載誌のカラーを反映してか(?)、伝来の秘術やアクションなどが盛り込まれています。一話完結で9話収録(H7年51号〜H8年9号掲載分)。その中に「若冲軍鶏図」と題された1篇があります。人生に絶望したいじめられっ子が、鶏のこと、若冲の作品と生き方を知ることにより、力強い歩みを見せるまでを描いています。

細野不二彦/小学館/2001.10/ *コミックス25巻に収録

「ビッグコミックスピリッツ」にて連載中の漫画。第215話「浮世不景気風呂」に、若冲が登場します。
銭湯の浴室に貼ってあったタイル。バラバラになっていたものをつなげたら、ある絵が浮かび上がった……
話の元ネタは、若冲コレクターのプライス氏が、自宅風呂場のタイルを「鳥獣草花図屏風」にしたという辺りなのでは?…単なる推測ですが。

萩原健次郎/彼方社/2002.6

詩集。「冬の池 若冲に」という作品が収録されています。「蓮池図」から着想を得て書かれたようです。長谷川等伯「松林図」、円山応挙「氷図」から生まれた詩の掲載も。

澤田ふじ子/徳間文庫/2004.5 *2001年10月徳間書店より刊行

時代小説。主人公は大垣藩士。永御暇を言い渡され、町絵師という再生の道を歩み始めるストーリーです。若冲の絵を見せてもらう場面や、若冲に関する記述があります。



画集画集:オムニバス展覧会図録関連書籍|雑誌・変り種



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