性善説と性悪説のよくある誤解

2006年1月9日

 「性善説」「性悪説」という言葉を誤解している人は結構多いようです。 その誤解とは、要するにこういったものです。

性善説
(人の本性は善であり)人を信じるべきだという考え方
性悪説
(人の本性は悪であり)人は疑ってかかるべきだという考え方

 これは間違った理解です。性善説を唱えた孟子はそのような能天気な人ではなかったでしょうし、 性悪説を唱えた荀子は別に人間不信だったわけではないでしょう。

 例えばgoo辞書では、性善説・性悪説はこのように説明されています。

せいぜん-せつ 【性善説】
人間は善を行うべき道徳的本性を先天的に具有しており、 悪の行為はその本性を汚損・隠蔽することから起こるとする説。正統的儒学の人間観。孟子の首唱。

goo辞書【性善説】より

せいあく-せつ 【性悪説】
人間の本性を利己的欲望とみて、善の行為は後天的習得によってのみ可能とする説。孟子の性善説に対立して荀子が首唱。

goo辞書【性悪説】より

 要するに、「人は生まれつきは善だが、成長すると悪行を学ぶ」というのが性善説、 「人は生まれつきは悪だが、成長すると善行を学ぶ」というのが性悪説です。

 つまり、どちらの見解でも結局「人は善行も悪行も行いうる」のであって、 これは人を信じるかどうかとは関係のない話なのです。

 誤解されていた方は、以後ご注意下さい。

「見損なった」のよくある誤解

2006年4月1日

 「見損なった」という言葉を誤解している人もまた結構多いようです。 説明のため、以下の例文をご覧下さい。

セリヌンティウス「メロス、何故お前がそこにいる? 妹の結婚式はどうしたのだ!?」
メロス「まだわからないのか、全部嘘だったのだよ。お前が騙されて苦しむところを見たいと王がお望みだったのでな。妹の結婚式は明日、王の褒美で盛大に行うことになっている。お前の処刑はその式のフィナーレだ。」
セリヌンティウス「馬鹿な! 見損なったぞ、メロス!」

 この場合「見損なった」は、具体的にはどういう意味なのでしょうか?  ここで恐らく何割かの人は、「セリヌンティウスが、信じていたメロスの評価を下げた」ことが「見損なった」ことだと 答えるのではないでしょうか。 この捉え方だと「メロスを見損なった」は「メロスの評価を下げた」「メロスに失望した」と同義と言っていいでしょう。

 しかし、それは間違いです。 「見損なう」とは「見極めを誤る」「評価を間違える」といった意味です。従って、 例文の「見損なった」は、セリヌンティウスがメロスを立派な人間だと思っていたことを指しているのです。 つまり、「俺はこれまでメロスという人物の評価を間違っていた(=見損っていた)。 本当はメロスはひどい奴だった」というわけですね。 「見損なった」というのは「これまでずっと間違い続けていた」ことを指す言葉であって、 決して「今、失望した」ことを指す言葉ではないのです。

 この言葉は普通に使う分には、 意味を誤解していても周りには気付かれません。 なので、誤解に気付かずにそのままになっている人も多いようです。 しかし、ちょっとこの言葉を変形して使うととたんに誤解が露呈しますので、ご注意下さい。

 最後に、「謀れメロス」の最終章をダイジェストでお送りします。

 妹の結婚式もたけなわというとき、メロスが動いた。彼は音もなく剣を抜き、護衛の止める間もなく王の首を落とした。 全てが策略だったのだ。彼は縛り付けられていた親友を解き放ち、言った。

メロス「お前をこんな目に合わせてしまい、本当にすまなかった。だが、あの暴君から人々を救うにはこうするしかなかったのだ。 ……今回のことで、私を見損なったか?」
セリヌンティウス「お前は間違っている、メロス。『見損なった』は、そういう意味ではない。」

 勇者は、ひどく赤面した。

海のトマソン2

2006年8月20日

 以前、海のトマソンで御前崎海水浴場にある謎の 物体を紹介しましたが、今年また同海岸に行くと、その付近に他にも謎の物体がありました。

 それは、道路を歩いていると嫌でも目に入ってきます。(写真はいずれもクリックで拡大します)

大きな鉄の壁

 写真だけだと分かり難いと思いますが、高さ4メートル程はあると思われる、大きな鉄の壁です。 左に写っている親子と比べれば、その大きさが伝わるのではないでしょうか。

上の写真を拡大したもの

 角度を変えて何枚か撮りましたので、ご覧下さい。 (2日に分けて撮りましたので、海の状態が全然違います。)

鉄壁その2

鉄壁その3

鉄壁その4

鉄壁その5

鉄壁その6

 前回のドラム缶もどきも謎でしたが、こちらはもっと訳がわかりません。 一体何のためにこの鉄壁は立てられたのでしょうか?  建物を建てるためだとしても一体何の建物を?  海の家を建てるような場所だとも到底思えないのですが……。

 この鉄壁が一体何なのかご存知の方、教えて頂ければ幸いです。

冬の怪談

2007年1月2日

 今回は「ころしたのに戻ってくる犬」という怪談をお送りします。

ころしたのに戻ってくる犬

ある家に、女の子とその両親の一家が暮らしていた。
あるとき女の子に両親が可愛らしいチャウチャウの子犬を買ってきた。
少女はその子犬に「コロ」という名前をつけた。
家族みんなが、それはそれはコロを可愛がっていた。
交代交代で犬を散歩させたり、エサをあげたり。
コロの寝床を両親は一階の寝室に作り、家族と犬は眠るときもいつも一緒だった。
数年が経ち、少女が大きくなってくると、彼女は二階の自室で寝ることになった。
その際に、いっしょにコロの寝床も二階の彼女の部屋に移された。実はコロの体臭が強くなってきたのもその理由だった。
だが、かんじんのコロの引越しはうまくいかず、気が付くといつもコロは一階の寝床の方で寝ていた。
初め気に留めなかった両親も、やがてコロを二階で寝かすよう娘にいうようになった。
「コロが寝ていたぞ、また下の寝床で」「ちゃんと上ので寝かさないとダメだぞ」……。
しかし何度いってもダメだった。
やがて諦めた両親は、コロをこう呼ぶようになった。
「コロ、下のに戻ってくる犬」
めでたしめでたし。

 ……めでたい?

 一応、関連リンク

捕獲罠を見破るゴキブリの能力

2008年1月14日

 私は、2007年7月27日(金)の夜にゴキブリホイホイを2つ仕掛けました。土曜の朝に確認すると、 ゴキブリがそれぞれに1匹、4匹かかっていました。日曜にはそれぞれにさらに1匹、2匹がかかっていました。 しかし、月曜には新たにかかっているゴキブリはいませんでした。

 ここで考えられる可能性で現実的なものには、以下のようなものがあるでしょう。

 ここで、1というのは考え難いでしょう。ゴキブリがそんなに簡単に全滅するなら誰も苦労しません。 しかし2の1〜4もなかなか起こり難そうな事態です。
 そこで私は月曜に、さらに6個のゴキブリホイホイを仕掛けました。それらを火曜日に確認すると、 計8個のホイホイには全く(新たには)ゴキブリは掛かっていませんでした。

 この事実からすると、2-1、2-2、2-4は考え難いでしょう。残りは1(全滅説)か2-3(罠見破り説)しかありません。しかし、 ゴキブリがそんなに簡単に全滅するというのも、 ゴキブリが名高いゴキブリ捕獲器を避ける能力を持っているというのも、なかなか信じ難い話です。 しかし私は翌日の水曜に、驚くべきものを目にしました。

 今回仕掛けたホイホイに最初に引っかかったゴキブリは、以下のような姿勢で捕まっていました。
「後ろ足だけが粘着部に引っかかり、体の三分の二ほどはホイホイの外に乗り出している」
 このゴキブリは、水曜に私が確認すると、以下のような姿になっていました。
「羽と足一本が、彼(?)が身を乗り出していた場所に落ちていて、 10センチほど離れた箇所に彼の粉々に砕けた頭部が散乱している」……。無論、 彼の死骸の大半は、どこにもありません。
 そして、今回も新たにホイホイに引っかかったゴキブリはいませんでした。

 このゴキブリの死骸を食べたのは、まず他のゴキブリと考えて間違いないでしょう (※ゴキブリは、ゴキブリの死骸やフンを食べます)。 ここから考えられることは、以下の通りとなります。
「我が家には、一晩でゴキブリの死骸をほぼまるごと食べ尽くすほどのゴキブリがまだいる。 彼らはホイホイから身を乗り出した状態のゴキブリの死骸に取り付き、食べ尽くしながら、 ホイホイには全くかからなかった」……。
 つまり、真実は2-3「ゴキブリにはホイホイを避ける習性・性質がある。そのため、間抜けなゴキブリは引っかかったものの、残りは引っかからずに生き延びている。」だとしか思えないのです。

 私はゴキブリホイホイの有効性を否定する気はありませんせんが、しかし、 ゴキブリを真剣に退治しようとするなら他の手段も併用した方が良いのかもしれません。 ホイホイを仕掛けても、ゴキブリの何割かは全く引っかからないようなのです。
 尚この後、これら計8個のゴキブリホイホイにはそれぞれ最終的にさらに0〜3匹のゴキブリが、 合計では20匹程度のゴキブリが引っかかりました。

 以下は余談です。
 この記事を書くにあたってゴキブリホイホイについて検索してみたのですが、 その際にこのような見解を幾つか目にしました。
「ゴキブリホイホイを家の中に設置するとホイホイの誘引剤が家の外からゴキブリを呼び寄せてしまう。 ホイホイは家の外に置くべきだ」と。害虫駆除業者から実際にそう説明をうけたという人もいました。 しかし、私にはどうもこれは信じられません。

 十年ほど前のことだったでしょうか。私がゴキブリホイホイを組み立て、 誘引剤もセットしたまさにその場に、よちよちと走る赤ちゃんゴキブリが現れたことがありました。 私が彼(?)の前にホイホイを置くと、彼は即座にUターンをし、 一目散にホイホイから逃げていったのです。再度ホイホイを目の前に置いても、 やはり彼は逃げるばかりでした。それでもいろいろ工夫して彼を追い込み、 ようやく彼はホイホイの中に入ってくれたのですが、数秒すると彼はホイホイの別の窓から 出て行きました。どうやら彼は、ホイホイの隅の粘着液のない部分を走っていたようなのです。 明らかに、ホイホイの中心にある誘引剤は最初から最後まで無視されっぱなしでした。
 大体、ホイホイに掛かったゴキブリを見ても誘引剤の方を見ているヤツなんて全然いないわけです。 果たしてホイホイの誘引剤にゴキブリがつられて来る、なんて本当にあるんでしょうか?