2006年
06/01 伊オークションで史上最高の落札額
サザビーによるとミラノで行われたオークションで、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロのものを含む絵画5点が30日、510万ユーロ(約7億4000万円)で落札されたとのこと。イタリアの美術オークションとしては史上最高額。手数料などを含めた落札者の支払いは最終的に600万ユーロになるが、予想額にははるかに及ばないという。
31日付ロイター通信。
06/02 千利休「幻の茶室」復元
安土桃山時代に大坂城周辺にあったとされる、千利休(1522-91年)の「幻の茶室」が、利休が生まれた堺市に約420年ぶりに復元され、報道陣に2日、公開されたとのこと。
監修した中村昌生京都工芸繊維大名誉教授(日本建築史)によると、茶室は利休の邸宅「大坂屋敷」にあったが、利休が切腹後に取り壊されたとみられる。利休の弟子が書き残した間取りを基に、中村さんが時代考証を加えて再現した。
茶室は、床の間と3畳の客座、亭主が座る1畳に満たない台目畳の点前座からなる「深三畳台目」と呼ばれる構え。
共同通信。
06/02 朱雀にカビ見つかり除去 キトラ古墳
文化庁は2日、石室南壁に描かれている四神図「朱雀」の表面など3カ所に白い綿状のカビのようなものが見つかり、薬品を使って除去したと発表したとのこと。
同庁によると、カビ状の物質は長さ最大約5センチの縦長の輪のような形で発生し、朱雀の尾羽にかかっていた。また絵のない部分で、同じ南壁の盗掘坑付近に直径約8センチ、北壁に長さ約13センチのものが見つかったとのこと。
共同通信。
06/04 名画の行き場どこに 福島の私設美術館閉館へ
日本を代表する洋画家の作品を集めた福島市の「百点美術館」が24日、閉館するとのこと。赤字が膨らみ維持できなくなった。所有者である河野さんは作品を東北の公共美術館に引き受けてもらいたいと願うが、財政事情はどこも厳しく、名画の行き先は決まっていない。
収蔵作品は、岸田劉生が描いた日本画「白狗図」や、長谷川利行の「中華料理店」など200点。青木繁、松本竣介、須田国太郎ら大家の作品が並ぶ。コレクションの評価は高い。東京都府中市は河野さんからコレクションの一部約150点を購入し、2000年に市美術館を開館。05年度には16万人を集める人気の美術館になった。
河北新報。記事は美術館の財政事情へつづきます。福島県立美術館は1984年の開館当時、約60億円の美術品取得基金を保有していたが、05年度末の残金は約1100万円。宮城県美術館は約3億2000万円の基金を残しているが、「購入できるのは3年から5年に1度」。財団法人が運営する山形美術館は年間取得費が100万円程度。とのことです。
06/05 和田氏の芸術選奨取り消し 文科省「盗作」判断
今春の芸術選奨文部科学大臣賞に選ばれた和田義彦氏の作品がイタリア人画家アルベルト・スギ氏の絵画に酷似していた問題で、文部科学省は5日、文化庁の芸術選奨美術部門・臨時選考審査会の「和田氏の作品は盗作と認めざるを得ない」という判断を受け、授賞取り消しを決めたとのこと。芸術選奨が創設されて以来初めて。
共同通信。
関連記事の一部:「昨年12月にすでに投書 酷似問題の和田氏個展で」(2006年6月2日付共同通信):「和田氏の作品は盗用」とする匿名の投書が、個展開催中の茨城県つくば美術館に寄せられていたとのこと。同館は「スギ氏へのオマージュとしての作品」とする和田氏の説明を受け、その旨を作品説明に付けるなどの対応をし、展覧会の中止は検討しなかった。
「芸術選奨選考の改善指示 「誠に遺憾」と文科相」(2006年6月5日付共同通信)
「告訴はせずとスギ氏 「素早い決定に敬意」」(同上)
「和田氏の東郷賞を取り消し」(2006年6月7日付共同通信):損保ジャパン美術財団は、和田氏に贈った2002年の「安田火災(現損保ジャパン)東郷青児美術館大賞」の取り消しを決めたとのこと。受賞作が、アルベルト・スギ氏の作品と酷似していることが分かったため。
06/05 飛鳥美人のまゆに染み 高松塚古墳
文化庁は5日、「飛鳥美人」と称される西壁の女子群像の右まゆ上にカビとみられる黒い染みが見つかったと発表した。
染みは直径約2ミリ。4人の女子群像のうち、右から2番目の像で確認したとのこと。この像では今年2月と5月にも顔などの主要な個所で黒いカビが見つかっていた。
文化庁は5日、5月に女子像の胸付近に発生したカビの一部を除去、西壁の四神図「白虎」周辺の黒いカビも除去したことを明らかにした。
共同通信。
06/06 「明日の神話」修復終了 巨大壁画、愛媛で公開
原爆さく裂の瞬間をテーマに故岡本太郎さんが制作した「明日の神話」の修復作業が終わり、愛媛県東温市の作業場で6日、報道陣に公開されたとのこと。
傷みがひどく、昨年7月から絵画修復家の吉村絵美留さんらが東温市で修復作業を続けていた。
共同通信。
06/06 足立美術館が4年連続1位 日本の庭園ランキング
米国の日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」は6日までに、日本庭園のランキング1位に4年連続で島根県の足立美術館を選んだとのこと。2位は桂離宮(京都市)、3位は山本亭(東京都葛飾区)。
同誌は2003年から日本国内の庭園を調査。建物との調和や維持管理、接客態度などを総合評価しているとのこと。今回は731カ所から上位30カ所を選び、5.6月の最新号で発表した。同誌は1999年に創刊。英語圏を中心に37カ国で購読されている。
日経新聞。関連記事:スクラップ2003年8月19日 3位に変動あり。
06/07 新美術館の開館は来年1月 六本木に最大級の展示面積
建設を進めていた「国立新美術館」が7日までにほぼ完成、14日に竣工式典を開くとのこと。同美術館は黒川紀章氏らが設計し、2002年9月に着工した。
共同通信。「年間約300万人の集客を目指す」そうです。関連記事:スクラップ2003年6月20日、「六本木に新たな美術拠点 国立新美術館が完成」(2006年6月14日付共同通信)、「国立新美術館長に林田氏 前宮内庁東宮大夫」(2006年6月23日付共同通信)
06/11 ダビンチの素描画と判明 年老いた女性の横顔
ANSA通信は10日、ベネチアの実業家が所蔵していた素描画を鑑定した結果、これまで知られていなかったレオナルド・ダビンチの作品と分かったと伝えた。
いかつい風貌の年老いた女性の横顔を描いた作品で、1970年代に実業家リガブエ氏が古美術商から「ダビンチの弟子が描いた可能性がある」と言われて購入。このほど研究者が赤外線カメラで調べたところ、銀を使って描いた下絵が現れ、ダビンチ作と断定されたとのこと。18世紀の画家が手を加えていたことも分かった。
共同通信。
06/13 30年以上偽物に気付かず 伊博物館の日本刀
武具コレクションで有名なフィレンツェのスティッベルト博物館所蔵の日本刀30点が、偽物にすり替えられ、誰も気付かないままだったことが、同館の調査で分かった。ANSA通信が12日、報じたとのこと。
所蔵品は主に安土桃山−江戸時代のものだが、30点は後世の価値のない刀と判明した。同館は約30年前、別の盗難事件をきっかけに警備を厳重化しており、それ以前にすり替えられたとしか考えられないという。
共同通信。
06/17 エトルリア最古の壁画公開 ローマ近郊の遺跡で
イタリア文化省は16日、ローマ近郊のエトルリア文明遺跡から発見された紀元前700年ごろの彩色壁画を報道陣に公開したとのこと。これまで見つかった同文明の壁画では最古。
発見場所はローマの北17キロにあるベイオの丘陵地帯。5月末、斜面から数メートル掘り進んだところに幅5メートル、奥行き3メートル、高さ1.8メートルの墓室が見つかったとのこと。壁には、ほえるライオン4頭や水鳥などが黒や赤などの顔料で描かれていた。
共同通信。
06/19 クリムト作品に155億円 絵画史上最高値で購入
19日付のニューヨーク・タイムズは、米国の富豪ロナルド・ローダーさんがグスタフ・クリムトの代表作の1つである肖像画「アデーレ・ブロッホ・バウアーI」を1億3500万ドル(約155億円)で購入したと報じたとのこと。これまで1枚の絵画に支払われた金額としては、ピカソの「パイプを持つ少年」が2004年にサザビーズで落札された際の約1億410万ドルが史上最高額とされていたが、今回のクリムト作品はこれを上回ったという。
ローダーさんは、自らが創設者の1人である美術館「ノイエ・ギャラリー」(ニューヨーク市)のために、この作品を購入した。
共同通信。関連記事:スクラップ2006年4月5日 1枚売ったんですね。「化粧品事業で財をなした富豪」てことはエスティ ローダーの方?
06/19 「モナリザ」の模写か、習作か なぞの絵画公開
米ポートランド美術館が、所蔵の油絵「ラ・ジョコンダ」の展示を始めているとのこと。レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」と構図がそっくりで、1510年以前の作品とされる。1503〜07年作とされるモナリザの完成後間もない模写か、ダ・ヴィンチ自身による習作ではないかと言われるが、作者はわかっていない。
作品は縦64センチ、横54センチ。モナリザに比べて幅が1センチ長く、縦は13センチ短い。モナリザはポプラ材だが、こちらはキャンバスに描かれている。
ダ・ヴィンチは左利きだったとされるが、背景の川の描き方からジョコンダも左利きによる作品の特徴があるという。作品は1983年に美術館に寄贈されたとのこと。50年代までスイス人が所有していたことがわかっているという。
朝日新聞。9月5日まで展示されているそうです。
06/20 仏「ケ・ブランリ美術館」が完成 欧州以外の文明に光
国立ケ・ブランリ美術館がパリのエッフェル塔近くに完成、20日、記念式典があったとのこと。一般公開は23日から。
美術館の構想は95年、東洋古美術に詳しいシラク大統領が打ち出し、2期の大統領任期中に建設を進めた。約2万5000平方メートルの敷地にはアフリカ、オセアニア、南北アメリカ、アジアの美術・工芸品、祭具、生活雑貨などが並ぶとのこと。約30万点の収蔵品の多くは仏国立人類博物館から引き継いだ。常設展示は3500点で、残りは年10回ほどのテーマ展で順次披露するとのこと。
朝日新聞。
06/21 25億円で落札 シーレの「ひまわり」
エゴン・シーレがゴッホの作品に敬意を表して描いたとされる「ひまわり」が20日、ロンドンの競売会社クリスティーズで競売にかけられ、1176万8000ポンド(約24億9000万円)で落札されたとのこと。AP通信によると、第2次世界大戦中に当時の収集家からナチス・ドイツが没収。その後、長年行方が分からなかったが、今年2月に収集家の相続人の元に戻った。
共同通信。
06/21 短期間で壁画の状況悪化 文化庁、カビに苦慮
はぎ取りによる極彩色壁画の修復作業が進むキトラ古墳で、2005年夏にカビや除去の難しい微生物の被害を受けるなど短期間で急激に壁画の状況が悪化したことが21日、文化庁の内部文書で分かった。文書には、同庁が原因究明のため急きょ専門家に分析を依頼したり、カビを除去する消毒用薬剤を変更するなど対策に苦慮した様子も克明に記されているとのこと。
共同通信。「共同通信社の情報公開請求に対し、同庁が03年8月-06年3月の作業内容などを記録した日誌を公開した」そうです。
06/23 A・ウォーホルの銀髪かつら、約125万円で落札
クリスティーズは22日、ニューヨークで映画スターなど有名人にまつわる収集品のオークションを開催。アンディ・ウォーホルの銀髪のかつらの1つが1万800ドル(約125万円)で競り落とされたとのこと。このほかにも、絵の具がついたフェラガモの靴は7800ドル(約90万円)、絵筆は3840ドル(約45万円)の値が付いた。
これらの品は、ウォーホルさんが1960年代後半から亡くなる1987年までの間に、訪ねてきたおいたちにプレゼントしたものの一部だという。また、ウォーホルさんが1977年に撮影した、モハメド・アリさんのインスタント写真(アリさんのサイン入り)も出品され、予想価格の2倍以上の1万9200ドル(約220万円)で落札された。
22日付ロイター通信。
06/23 宗左近氏が死去 詩人、縄文シリーズ
23日までに死去していたことが分かった。87歳。
縄文土器を通じて戦死者たちの世界とつながろうとする「縄文」シリーズなど、連作詩集を精力的に発表した。詩集に「藤の花」(詩歌文学館賞)、「縄文」「螺旋上昇」など。縄文美術の評論も多く、著作に「私の縄文美術鑑賞」「日本美縄文の系譜」など。また、ロラン・バルト「表徴の帝国」などの訳書がある。
共同通信。
06/27 法隆寺・若草伽藍で壁画片 7世紀初め
聖徳太子が607年に創建した当初の若草伽藍跡から、樹木などを描いた7世紀初めの焼け焦げた壁画片や壁土、瓦などが大量に見つかり、斑鳩町教育委員会が27日発表したとのこと。若草伽藍の金堂か塔を飾っていた可能性が高いという。
現場近くでは2004年に、同時期の焼けた壁画片が出土。670年に法隆寺が焼失したとの日本書紀の記述を裏付け、現在の伽藍が再建されたことを証明する資料と考えられている。
共同通信。
06/28 専門家集め文化財カビ対策 高松塚教訓に文科省
高松塚古墳石室でカビが大量発生した問題を受け、文化財や美術品などのカビ対策全般を検討する文部科学省の専門家会合が28日、同省内で初会合を開いたとのこと。
会合では、委員の細矢剛国立科学博物館主任研究員らがカビの生態や、研究施設でのカビ防止策などについて現状を説明。今後、美術館や図書館の担当者からカビ対策の課題などを聞き取り調査し、カビ発生のメカニズム解明や効果的な対応策について、来年3月までに報告書をまとめるとのこと。
共同通信。カビ生え放題の時期に会合を開くのは、敢えてでしょうか偶然でしょうか。
06/29 高松塚壁画を一般公開へ 公開求める世論に配慮
文化庁は28日、石室解体後、壁画を修理する作業室にガラス窓を設け、一般の人が壁画を見学できるようにすることを決めた。実現すれば、壁画の公開は1972年の発見以来初めて。
同庁によると、古墳がある国営飛鳥歴史公園内に壁画修理施設を建設する計画で、8月に着工し、来年3月完成する予定。
共同通信。公開は期間限定になる見通し。「修理中の国宝絵画を公開する異例の試み」とのこと。






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