2006年
04/05 ナチス没収のクリムト絵画が米在住女性に返還、一般公開へ
グスタフ・クリムトの代表作「アデーレ・ブロッホバウアーの肖像」を含む5作品が、オーストリア政府から絵のモデルの親族に返還され、4日ロサンゼルス郡美術館で一般公開されたとのこと。
絵画は第2次世界大戦以降、オーストリアの美術館で展示・所蔵されていたが、親族はナチス・ドイツが1938年にオーストリアを併合した際に所有者であったおじから没収されたものと訴えていた。7年におよぶ法廷闘争の末、今年1月ウィーンの裁判所がオーストリア政府に5作品の返還を命じる決定を下した。 
4日付ロイター通信。スクラップ2006年1月17日の続報です。作品は3カ月間、同美術館での公開が続くが、その後については未定で、数点が競売に出される可能性もある。そうです。
04/07 ターナーの絵42億で落札 NY、英画家で過去最高額
ターナー(1775-1851年)が描いた油絵が6日、クリスティーズでオークションにかけられ、3580万ドル(約42億円、手数料含む)で落札されたとのこと。英画家の作品としては過去最高の落札価格。
ゴンドラなどベネチアの風景を描いた1841年の作品。所有していたニューヨークの非営利団体が売りに出し、匿名の個人収集家が購入した。
6日付共同通信。
04/08 壁裏に本物、美術館に複製 ロックウェルの人気画
ノーマン・ロックウェル(1894-1978)の人気作「息子の旅立ち」の所有者が、絵を自宅の壁の裏側に隠し、複製画が本物として一時美術館に展示されていたことが分かった。
ノーマン・ロックウェル美術館の6日の発表によると、ロックウェルの友人で昨年死亡したイラストレーターが壁に仕掛けをつくり、すき間に本物を隠していた。73年に離婚する際、財産分与で本物を失うのを避けるため、複製を描いて本物を隠したとみられる。本物は54年に雑誌向けに描かれ、ニューヨーク・タイムズ紙によると時価500万ドル(約5億9000万円)は下らないという。
7日付共同通信。
04/11 近づくだけで作品ガイド 国立西洋美術館が最先端技術で
最先端のユビキタス技術を使い、観客が展示品に近づくだけで携帯式端末に解説映像が現れたり、作品画像を持ち帰ったりできる試みを今月末から始めるとのこと。
東大の坂村健、池内克史両教授がシステム開発に協力。同館所蔵の作品に識別用の電子タグ「Uコード」を張り付け、館のホストコンピューターに蓄積した文字や映像のデータとリンクさせる。専用端末を持つ観客が作品のそばに行くと、最新の研究を反映した映像ガイドが受像器に現れ、好みのものを視聴できるとのこと。絵はがきやポスターとして高画質で印刷したり、館内で見た画像を自宅のパソコンで見られる仕組みもつくるという。
共同通信。
04/12 高松塚の極彩色壁画を損傷 文化庁がカビの除去中
2002年、石室で作業した文化庁の修復担当者が、壁画(国宝)を傷つけていたことが12日、分かった。文化庁は関係者だけで修復、これまで事実関係を公表していなかったとのこと。
文化庁によると、壁画の損傷は02年1月28日。石室でカビの除去作業をしていた担当者が誤って室内灯を倒し、西側の壁に当たって男子群像の衣服の一部、約1センチ四方がはがれ落ちた。同時に空気清浄機も倒れ、西壁の絵がない部分に長さ8センチの傷をつけたとのこと。
共同通信。続報1:「防護服なしで墳丘工事 翌月にカビ」(4月13日付Yahoo!ニュース-共同通信) 2001年2月のこと。同年3月に石室入り口でカビが大量に発生。その後、国宝壁画がある石室の中まで広がった原因になった可能性があるそう。防護服着用を怠ったマニュアル違反は、同古墳の保存対策検討会にも報告せず。 続報2:「高松塚の検討会座長が辞意 壁画損傷の未公表で引責」(4月16日付Yahoo!ニュース-共同通信)
04/12 富永直樹氏が死去 彫刻家、文化勲章受賞者
11日、死去したとのこと。92歳。
東京美術学校では北村西望氏に師事。主に写実的な男性像を制作。70年代後半から80年代に日展理事長を務め、84年に文化功労者、89年に文化勲章を受章。
共同通信。
04/13 月が美しい美術館オープン 奥田元宋氏夫妻の作品収蔵
日本画家・故奥田元宋氏と、妻で日本を代表する人形作家小由女さんの作品を集めた「奥田元宋・小由女美術館」が15日、元宋氏の出身地、広島県三次市にオープンするとのこと。
元宋氏がしばしば作品のモチーフとした「月」をテーマに、満月の夜には開館時間を通常より4時間延長し午後10時閉館とする「15夜時間」を設定。また、3階ロビーからは山の背後から上る月を鑑賞することができ、同氏の作品「待月」の世界を再現するなど「日本で一番月が美しく見える美術館」をうたっている。
三次市が約30億円をかけて建設。2001年に奥田夫妻から寄贈を受けた絵画と人形計56点などを展示。年間約10万人の入場者を見込んでいる
共同通信。
04/14 応挙作か 住職の肖像画発見 金剛寺 少年期の思い出描く?
円山応挙(1733-95)が少年期を過ごしたとされる京都府亀岡市の金剛寺で、応挙か、応挙の作品を基に弟子が描いたとみられる同寺の4代目住職の肖像画が見つかったとのこと。4代目住職は応挙が10代前半で亡くなっており、調査した京都国立博物館は「少年期の資料が少ない中、若き応挙の行跡がうかがえる貴重な資料」と注目している。
水墨画(幅53センチ、縦109センチ)で、裏に「応挙が(4代目住職)玉堂和尚を描いた」と応挙のひ孫・応立の名で記され応立の刻印もあるとのこと。裏書きは筆跡などから応立のもので間違いないという。同博物館の佐々木丞平館長は「勢いのある線の質から、(複写の基になったものでも)応挙が30代に描いた作品だろう。その20年ほど前に亡くなった玉堂を描いたのは、よほど思い入れがあったためで、京都行きを勧め画家への道を拓いたのは玉堂だと推測できる」と話す。
京都新聞。同寺の伝承では、6代目住職・盤山が10歳余りの応挙の絵の才能を見い出し、京都行きを勧めたとされる。しかし、応挙が14歳の時に亡くなったのは4代目・玉堂で、年代から、関わりが深いのは玉堂ではないかとの疑問も出ていた。とのことです。
04/19 国宝の東大門に落書き 災難続きの奈良・法隆寺
19日午前11時45分ごろ、東大門(国宝)の柱が石のようなもので「みんな大スき」などと落書きされているのを県教委文化財保存事務所法隆寺出張所の作業員が発見、寺に知らせたとのこと。県警西和署が文化財保護法違反と器物損壊の疑いで捜査している。調べでは、落書きはヒノキ柱(外周1.25メートル)の高さ99-42センチの位置で、一つの文字は約8-10センチ角。硬い物をこすり付けるようにして柱を傷つけて書いたらしい。
共同通信。「災難続き」というのはこちらの事件を指してのもの。
04/20 故野村守夫氏の反戦画発見 中国・瀋陽、一般公開へ
故野村守夫氏(1904-79)が日中戦争当時の1939年に描いた油絵作品「ハルビン太陽島」(横1.7メートル、縦1.4メートル)が中国遼寧省瀋陽市内の骨董店で見つかったとのこと。新華社電などが20日までに伝えた。
野村氏は広島県出身で、明治−昭和初期を代表する洋画家、藤島武二に師事。欧州の都市風景画を多く描いた。代表作に「丘にある街」など。
共同通信。
04/20 飯田善国氏が死去 彫刻、詩に幅広い活躍
19日、死去したとのこと。82歳。
慶応大文学部を卒業後、東京芸大で梅原竜三郎らに師事。1950年代の欧州留学で彫刻を学んだ。10年以上の滞在中に「HITO」シリーズなどを発表した。帰国後は金属面の反射を生かしたモニュメントや野外彫刻を多く手掛けた。作品に「風の舞い」「大地からの閃光」や、多面体シリーズなどがある。
共同通信。
04/24 村上隆氏とナルミヤが和解 イラスト著作権めぐる訴訟
大手子供服メーカー「ナルミヤ・インターナショナル」のキャラクター「マウスくん」が自分の著作物「DOB君」に酷似し、著作権を侵害されているとして、村上隆さんが同社に損害賠償などを求めた訴訟は、ナルミヤが和解金を支払うことなどを条件に24日、東京地裁で和解したとのこと。両者の関係者によると、ほかの和解条項は、ナルミヤが遺憾の意を表すことや、知的財産権を尊重し社内のコンプライアンス体制を確立することなど。
4種類のイラストが著作権侵害かどうか争われ、裁判所はうち3種類について「DOB君」との類似性を認める判断を示した上で、和解を勧告していたという。
共同通信。
04/28 NYで春のアート・オークション、ゴッホやピカソも登場
サザビーズとクリスティーズが、5月2日から開催するとのこと。
サザビーズが開催する印象派絵画とモダンアートのオークションの目玉となるのが、ピカソの「ドラ・マールの肖像」(1941年)。この油絵はピカソの当時の愛人と猫を描いたもので、落札価格は5000万ドル(約57億円)を超えると見られているとのこと。
クリスティーズのオークションのハイライトはゴッホの「アルルの女(ジヌー夫人の肖像)」(1890年)。この作品はゴーギャンへ捧げたといわれている。ゴッホの絵画にも5000万ドルを超える落札予想がつけられているとのこと。
サザビーズ、クリスティーズともに今回のアート・オークションの総売上は1億4200万〜1億9700万ドルに上ると見ている。
27日付ロイター通信。関連記事:スクラップ2006年2月2日2006年2月17日 絵画のオークション史上、1点につけられた最高落札金額:スクラップ2004年5月6日
04/28 仏富豪の現代アートコレクション、ベネチアで公開へ
クリスティーズやグッチ・グループなどを傘下に持つ仏企業グループオーナーのフランソワ・ピノー氏が、自らが所有する現代アートのコレクションをベネチアのパラッツィオ・グラッシで30日から一般公開するとのこと。
ピノー氏は当初、パリのセーヌ川に浮かぶスガン島に安藤忠雄氏設計による美術館を建設する予定だったが、当局の対応の遅さにしびれを切らし、建設を断念。ベネチアにある元貴族の館パラッツィオ・グラッシを買い取ってコレクションを展示することとなった。
ピノー氏のコレクションはミロやピカソに加え、ジェフ・クーンズやダミエン・ハーストといった現代アートの寵児と言われるアーティストの作品がそろう。
27日付ロイター通信。関連記事:スクラップ2005年5月12日
04/29 キトラ古墳に新たなカビ 天文図の尾宿、直径7センチ
文化庁は28日、天井の天文図に黒色のカビのようなものが見つかったことを明らかにしたとのこと。カビのようなものは、直径約7センチにわたり、天文図の東側にある星座の「尾宿(びしゅく)」にかかるように発生していた。同日午後、同庁関係者が定期点検のため石室内に入ったところ、確認した。
同庁はカビなどの発生に対処するため1週間に2度程度、定期点検をしており、25日にも点検に入ったばかりだった。
共同通信。






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