2006年
01/01 ミロのビーナス、お引っ越し 展示室改修へ
ルーブル美術館は、「ミロのビーナス」のための新展示室をつくる計画を進めているとのこと。オープンは2007年初めの予定。
新展示室は、かつては歴代国王の母親の居室だった「パルテノンの部屋」を全面改修するとのこと。広さは現在の2倍で、中央にビーナス像を置く以外は同じ作者の作品とされる「アレキサンダー大王」像などを配するにとどめ、ビーナス鑑賞を最優先するそう。改修費は約170万ユーロ(約2億3500万円)。
2006年6月以降は工事のため、現在置かれている場所も含め閉鎖される。
12月31日付時事通信。像は引き続き鑑賞できるよう、一時的に別の階に移動させるそうです。
01/04 喜多川歌麿の肉筆美人画2点、日仏で相次ぎ見つかる
1点はフランス南部の資産家の倉庫から発見された「芸者」図(縦99.4センチ×横33.6センチ)。もう1点は、香雪美術館(神戸市東灘区)所蔵の「月見の母と娘」図(縦91.4センチ×横32.1センチ)。肉筆画で歌麿作とされるのは、30点ほどしか確認されておらず、新たに見つかるのは大変珍しい。後者は「國華」の2月発売号で紹介されるとのこと。
「芸者」図は04年、カンヌの資産家が自邸倉庫に眠っていたのを見つけ、大英博物館へ持ち込んだところ歌麿の真筆と判明したとのこと。保存状態もよく、05年夏、東京の古美術商が購入し、日本に戻ってきたという。「月見の母と娘」図は、香雪美術館コレクションの基礎を作った故村山龍平が明治から大正期に購入したとみられるとのこと。専門の研究者にも知られておらず、館外展示や公式の図版紹介もされていなかったが、「國華」の編集に携わる美術史家らが03年に確認した。わざと月を描かず、秋の植物で、中秋の名月を楽しむ風情を連想させた絵と見られる。 ともに歌麿の最晩年の1801〜06年ごろの作と見られるとのこと。
朝日新聞。
01/05 閻魔王座像にミカン投げられる
5日午後3時20分ごろ、京都府大山崎町、宝積寺の閻魔堂で、重要文化財の閻魔王座像にミカンが投げつけられているのを職員が見つけ、住職が向日町署へ届け出たとのこと。堂内に安置している他の重文の仏像4体にも果汁がかかる被害があり、同署が文化財保護法違反(器物損壊)容疑で調べている。
堂内には重文の仏像5体が安置され、堂内にあったミカン4個が閻魔王座像などにぶつけられていたとのこと。像の肩から腹部が、つぶれたミカンの果肉や果汁で濡れ、他の四体にも果汁が飛び散り、表面に染みができているという。
京都新聞。閻魔王座像は眷属4体を従えた群像で、鎌倉時代の作。寄木造で表面には彩色が施されている。京都国立博物館に寄託されていたが、同寺に閻魔堂が新設され2002年10月、里帰りしたとのこと。
01/10 ルーブル美術館で入場記録 730万人、小説後押し?
ルーブル美術館は9日、2005年の入場者数が前年に比べて60万人増加し、過去最高の730万人に達したとする推定値を発表した。美術館側は、金曜日の夜に26歳未満の入場を無料にしたことや中国人観光客の増加、展示企画の充実が主因だと分析しているとのこと。入場者の確定値は2月に発表の予定。
共同通信。
01/12 円教寺本殿から鎌倉前期の仏像
姫路市の書写山円教寺の摩尼殿(本殿)から、鎌倉前期に作られた「如意輪観音坐像」が見つかり、本尊の可能性が高いことが11日、兵庫県立歴史博物館などの調査で分かったとのこと。
観音坐像は、高さ約20センチの一木造で、材質は桜の木とみられるとのこと。摩尼殿に安置している本尊の裏側にある小部屋の厨子の中に入っていた。円教寺によると、厨子は1921年、摩尼殿が焼けた際に運び出され、33年の再建後、開帳されたことはなかったという。現在の本尊は摩尼殿の再建時に新たに作られた。
観音坐像の裏には「延応元年(1239年)」「書写山の僧侶が父母の供養のため制作を依頼した」などの銘文が残り、鎌倉前期の作と判明。台座や光背、厨子は江戸期のものとみられる。
円教寺の古文書などによると、初代本尊は摩尼殿が建立された970年ごろ、開祖の性空上人が弟子の安鎮に命じて作らせたが、室町末期の1492年の火災で焼失したとされる。
神戸新聞。仏像は一般公開されるとのこと。期間は三月十八日から六月三十日まで。
01/12 2月にも石室解体実験 高松塚古墳の壁画保存で
国宝壁画を修復・保存するための石室解体について、文化庁の同古墳保存対策検討会は12日、来年1、2月ごろの石室解体に向け、今年2月にも解体実験をし、秋に墳丘を発掘するなど大まかな作業日程を固めたとのこと。2月にも検討会を開き正式に決める。
解体実験では、高松塚古墳と同規模の墳丘や石室を造り、機材を使って石室を解体する実験を繰り返し、壁画に影響を与えずに石壁を取り出す方法を探る。
共同通信。
01/13 商標「ピカロ」をめぐる裁判、ピカソ遺族側が敗訴
ピカソの遺続らがダイムラークライスラーの登録商標「ピカロ」の使用中止を求めていた裁判で12日、遺族側の敗訴が確定したとのこと。遺族側は「ピカロ」の語感が「ピカソ」に非常に似ているとし、両者が混同されるおそれがあると主張していた。ピカソ財団は、1998年にピカソの名を車用に商標登録しており、仏PSAプジョー・シトロエンにライセンスを譲渡している。
12日付ロイター通信。
01/13 投入堂は朱塗りだった? 岡倉天心の調査日記に記述
鳥取県は13日、岡倉天心らが国宝調査のため1903(明治36)年に鳥取、島根、山口の3県を旅した際の日記を分析した結果、国宝の三徳山三仏寺の投入堂が当時、朱色に塗られていた可能性があることが分かったと発表した。
投入堂は修験道の開祖役行者が706年に開いたとされている。1913-14(大正2-3)年に修復した現在の投入堂は白木造りで、修復前から同様の姿だったと考えられていたが、通説が覆る可能性もあるという。
共同通信。
01/16 絵画150億“持ち腐れ” 大阪市で美術館建設が頓挫
大阪市が計画している市立近代美術館(仮称)の建設が頓挫し、約150億円をかけて購入した絵画など約3000点の大半がお蔵入りしたまま“持ち腐れ”状態になっているとのこと。
予定地で土壌汚染が発覚したことや財政の悪化などが重なり、構想から約20年たっても着工の見通しが立たない状況。
市などによると、85年から絵画などの収集を開始。モディリアニの「髪をほどいた横たわる裸婦」(約19億3000万円)やダリの「幽霊と幻影」(約6億7800万円)などを購入したが、美術館建設は宙に浮いたまま。市は年に数回、展覧会を開いて一部の展示を続けている。
共同通信。関連記事:スクラップ2004年4月14日
01/17 政府に返還命じる ナチス接収のクリムト絵画
グスタフ・クリムトが描いた肖像画「アデーレ・ブロッホ・バウアー1」など絵画5点の所有権をめぐり、オーストリア政府と絵のモデルとなった最初の所有者の親族女性の間で争われた訴訟で、ウィーンの裁判所は16日までに、親族の所有権を認め、政府に絵画の返還を命じる決定を下したとのこと。
絵画5点は第2次大戦中、ナチス・ドイツに接収され、これまで国所管のオーストリア・ギャラリー(ウィーン)が展示、収蔵していた。計1億5000万ユーロ(約210億円)以上の価値があるともいわれる。
共同通信。
01/17 寅のはぎ取りを断念 奈良・キトラ古墳で文化庁
極彩色壁画のはぎ取り作業が進むキトラ古墳で、文化庁は17日、石室の東壁に描かれた十二支図「寅」のはぎ取りを断念したと発表した。絵の下地となっているしっくいが全面的に石壁と固着し、現状の道具ではがすと壁画を傷めてしまうと判断したとのこと。
壁画はぎ取り作業は一時中断。今後は、傷みが激しい天文図(天井)の取り外し方法を探る実験を3月末まで繰り返す。
しっくいが予想以上に薄い四神図「朱雀」(南壁)もはがす方法が見当たらない状況で、文化庁の調査研究委員会は、石室の部分解体も含め、今後の対応を検討するとのこと。
共同通信。
01/18 愛知万博の「地球の部屋」、国立科学博物館に移設へ
昨年9月に閉幕した愛知万博の長久手日本館で人気を呼んだ全天球型映像システム「地球の部屋」が、国立科学博物館上野本館地下1階に移設されることが決まり、経済産業省が18日発表したとのこと。「地球の部屋」は直径12.8メートルの球体の内側をすべてスクリーンにした世界初の映像システム。万博会期中は大自然や宇宙空間の3パターンの映像を公開し、約300万人が上映を楽しんだ。
日経新聞。今秋をめどに一般公開されるとのこと。万博と同じ映像を再上映するほか、オリジナル映像の制作も検討しているという。
01/20 県庁倉庫から“お宝”鳥瞰図
神奈川県庁の地下倉庫から、吉田初三郎氏(1884〜1955年)が描いた「神奈川県観光図絵」が見つかったとのこと。縦98センチ、横432センチで、保存状態も良好。鑑定の結果、500万〜600万円相当であることが分かったそう。
一昨年8月、倉庫を整理していた職員が木箱を発見。中を開けると、巻物が出てきた。県立歴史博物館に鑑定を依頼したところ、吉田氏が1932年に県観光連合会の依頼で制作した、観光客誘致のための宣伝パンフレットの原画と判明したとのこと。
毎日新聞。原寸大複製が20日から3月10日まで新庁舎1階にて展示されるそう。原画は4月下旬に横浜都市発展記念館で公開される予定。
01/21 クリムト絵画で脅迫騒ぎ ウィーン、展示中止
ウィーンの裁判所が今月、米在住の女性への返還を命じたクリムトの絵画5点を展示しているオーストリア・ギャラリーで20日、「返還阻止のため(展示絵画を)破壊する」などと脅迫する電子メールが届き、展示を中止する騒ぎがあったとのこと。酒に酔った男のいたずらと同日中に判明し、展示は早ければ24日にも再開される見通し。
共同通信。関連記事:スクラップ2006年1月17日「政府に返還命じる ナチス接収のクリムト絵画」
01/22 金細工「サリエラ」回収 男を逮捕、供述から発見
2003年にウィーン美術史美術館から盗まれた16世紀のイタリアの彫刻家ベンベヌート・チェリーニの金細工「サリエラ」が21日、無事回収されたとのこと。オーストリア警察当局が同日発表した。警察当局は同日までに、昨年10月に保険会社に1000万ユーロ(約14億円)を要求する手紙を送りつけたとみられる男を逮捕。供述通り、ニーダーエスタライヒ州の森の中からサリエラが発見されたという。
サリエラは高さ約26センチの豪華な彫刻が施された塩入れで「彫刻のモナリザ」とも称される傑作。時価は5000万ユーロ以上とされる。
21日付共同通信。関連記事:「サリエラの一部とみられる3つまたのほこがウィーン市内で発見された。オーストリア警察当局が20日発表した。見つかったのは金細工のうち、取り外しが可能なほこの部分で、警察当局は「本物にほぼ間違いない」としている」(1月21日付共同通信) 初めに「ほこ」が見つかり、その後すべて回収されたってことでしょうか。以上、スクラップ2003年5月12日の続報です。
01/23 葛城に遣唐留学生の一族? 8世紀土器に「井刀」墨書
奈良県葛城市の竹内遺跡で出土した8世紀前半の土器に「井刀」と墨書があるのが確認され、同市歴史博物館が23日、発表したとのこと。「刀」は「部」のつくりの略とみられ、文献に登場したことがない「井部」か「井」という一族の存在をうかがわせる。同博物館は「中国の西安市で墓誌が見つかった遣唐留学生、井真成の出身地を検討する新たな資料」としている。
土器は1989年に出土。墨書があるのは分かっていたが、同博物館の再調査で直径約17センチの1点に「井刀」、別の1点も「井」の字の一部があると判明したとのこと。
共同通信。昨年、井真成の墓誌を見たことを思い出し。
01/24 トロントの博物館から宝石付き室内履き盗まれる
トロントのバータ靴博物館から22日、ダイヤモンドやルビー、エメラルドで装飾され、金糸の刺繍が施された18世紀のインドの室内履きが盗まれたとのこと。約16万カナダドル(1600万円)の価値があり、かつて王族が使用していたとされている。
盗難は博物館の開館中に発生、警報は鳴らなかった。これまでの捜査では手がかりはつかめていないとのこと。
23日付ロイター通信。博物館とありましたので。宝石は未カットで研磨もされていないため、一般にはあまり価値がないそうです。
01/25 英で大型彫刻の盗難多発 スクラップにして売却か
ロンドン警視庁は24日、ロンドン周辺でこの6カ月の間に、野外に展示された彫刻約20点が盗難に遭っていることを明らかにした。大型の彫刻は目立つ上、転売が困難なことから警視庁は「溶かしてスクラップにした上で売却される可能性がある」としている。
ロンドン南西部のローハンプトン大学では、構内に置かれた時価60万ポンド(約1億2000万円)の大型ブロンズ彫刻が盗まれたとのこと。同大学の彫刻は、英国の彫刻家リン・チャドウィックの「ザ・ウオッチャーズ(監視人)」(高さ約2メートル)。犯行時刻は今月10日夜から11日朝の間で、動かすには大人8人以上が必要という。
24日付共同通信。1月26日付時事通信によりますと「約1億3000万円の価値が彫刻が、溶かしてしまったら約42万円」。1億2958万円…いや、そういう問題ではなくて。 関連記事と思われます:スクラップ2005年12月18日
01/26 8世紀前半の塑像片に群青 前橋で出土、東日本最古
前橋市の寺院跡「山王廃寺」から出土した8世紀前半の塑像片に、青色の顔料「群青」が塗られていたことが、同市教育委員会などの調査で分かった。群青の使用は7世紀末の法隆寺金堂壁画が国内最古とされ、東日本でほぼ同時代のものが確認されたのは初めてという。
「胡人像上半身」と呼ばれる全長約10センチの薄茶色の塑像片で、焦げ茶色に変色した着物の襟部分に青色粒子があった。東京文化財研究所の協力で行ったエックス線分析の結果、群青の原料の「藍銅鉱(らんどうこう)」と確認したとのこと。
共同通信。山王廃寺は7世紀後半の白鳳期に建てられた初期の寺院で、11世紀前半まで「放光寺(ほうこうじ)」の名称で栄えたとされる。これまでの市教委の発掘調査で、約2200点の塑像片が見つかっているとのこと。
01/26 米自然史博物館でワニの祖先の化石見つかる
25日発行の英科学誌に掲載されたリポートによると、米自然史博物館の地下室で、ワニの祖先とみられる動物の化石が発見されたとのこと。2本足で直立歩行していたとみられ、歯の代わりにくちばしがあるという。
古生物学者らによると、およそ2億1000万年前とみられるその化石は約60年間同博物館の地下室にあったものでこのほど偶然に発見され、ダチョウ型恐竜に酷似している点が興味深いという。
25日付ロイター通信。
01/27 国内最古?の押し花 江戸中期、豊岡藩文書から
250年以上前の江戸時代中期に作られたとみられる「押し花」や「押し葉」の植物標本約70点が、兵庫県豊岡市で見つかったとのこと。現存する押し花としては、国立国会図書館が所蔵する1800年前後のものをさかのぼって国内最古とみられるとのこと。
標本は昨年10月、市史料整理室の研究者が、市内の寺で見つかった旧豊岡藩の古文書を分類中に発見。歌集などが収められた木箱の中に、サクラやツツジの花、カエデの葉などが和紙でできた冊子に挟まれ保管されていたとのこと。保存状態は極めて良好という。
時事通信。
01/30 ナムジュン・パイク氏が死去
ナムジュン・パイク(本名・白南準)氏が29日、死去したとのこと。73歳。
1932年ソウル生まれ。東京大で美術を学び、西ドイツ(当時)に留学。ビデオアートの先駆けとして世界的な評価を受け、ニューヨークなどを拠点に活躍した。96年に脳梗塞で倒れ半身不随になった後も創作を続け、98年には第14回「京都賞」も受賞した。
共同通信。
01/31 英国の美術館で貴重なつぼが粉々に、観覧者の転倒で
ケンブリッジにあるフィッツウィリアム美術館で、歴史的価値の高いつぼが割れたとのこと。先週、同美術館を訪れた男性が自分の靴紐につまづいて階段を転げ落ち、窓枠に沿って陳列してあった中国清王朝の花瓶を粉々に割ってしまったそう。壊れたつぼは、17-18世紀初期のものと推定されており、1948年に同美術館に寄贈されたとのこと。館員らの手により、修復する予定だという。
30日付ロイター通信。
01/31 国の重文・観音像、5年半ぶり三宅帰島へ
2月上旬にも、所蔵先へ戻される見通しとのこと。観音像は高さ約30センチの銅製の立像で、白鳳時代に作られたとされる。持ち込まれた経緯は定かではないとのこと。
像は正月と盆の法要の2回、島の住民に開帳されてきたとのこと。しかし、2000年8月の大噴火直後、文化庁職員の手によって島を離れ、以来、東京・上野にある同庁の収蔵庫に保管されてきた。昨年2月の避難指示解除後、像の返却を求めたが、火山ガスで腐食が早まる恐れがあり、帰島の許可はなかなか下りなかった。
その後、文化庁と東京都は東京文化財研究所に調査を依頼。火山ガスが金属に与える影響の度合いを測り、ガス吸収用のシートで梱包することなどを条件に「帰島可能」と判断した。
読売新聞。






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