2004年
04/01 「幻の銅鐸」大英博物館展で確認
「大英博物館の至宝展」(神戸市立博物館他で開催)に出品された銅鐸の一つが、江戸時代末期に上富田町朝来岩崎で出土し、その後120年にわたり所在不明だった「朝来銅鐸」であることが分かったそうです。
紀伊民報。町内住民が「銅鐸が至宝展の目録に載っている」と情報提供、会場で史料と突き合わせ、確認という流れだったようです。ちなみに銅鐸は、1872年から89年に御雇外国人として日本に滞在した人物のコレクションを、大英博物館のオーガスタス・ウオラストン・フランクスが個人的に買い取り、死後、博物館に遺贈というルートを辿った模様。
04/02 大阪・萬野美術館が閉館
1日明らかになったとのこと。国宝などを含む主な収蔵品は、相国寺承天閣美術館(京都市上京区)へ寄付されたそうです。
朝日新聞。萬野美術館は萬野汽船創業者の収集品をもとに88年開館。財政難などを理由に、重要美術品を含む所蔵品の一部を海外で競売にかけたことも。
04/07 江戸の浮世絵、実は甲府が舞台?
歌川国貞(3代豊国、1786〜1864)が描いた「王子稲荷初午祭ノ図」が江戸でなく、甲府の甲斐善光寺境内を描いたもので、タイトルの版木を入れ替えた可能性が高いことが分かったそうです。甲府市の歴史研究家、石川博氏の研究によるもの。
朝日新聞。
04/07 ピエール・コーニッグ氏死去
4日、死去。78歳。サンフランシスコ生まれ。第2次大戦後、米西海岸を中心にミッドセンチュリースタイルを確立した。鉄鋼とガラスを融合させた建築物は世界的に有名。作品は、50年代、60年代に映画のセットに多用された。
6日付ロイター通信。
04/08 11月に新館オープン−ニューヨーク近代美術館
増改築工事を近く終え、11月20日にマンハッタンで再オープンするとのこと。設計は谷口吉生氏。総工費約8億5800万ドル(約905億円)で、ガラスやアルミ材を使った6階建て。自然光をふんだんにとり入れたデザインになっているとのこと。近代美術館の展示面積は以前の1.5倍の1万1600平方メートルに広がる。
7日付共同通信。
04/08 加山又造氏死去
日本画家で文化勲章受章者の加山又造氏が6日、死去した。76歳。代表作に「夜桜」「黄山煙雨」など。
共同通信。
04/09 ローマ時代最古の教会、12世紀ぶりに公開へ
サンタマリア・アンティカが、24年の修復期間をかけて一般公開されることになったそうです。期間は4月10日から5月末まで。
8日付ロイター通信。847年の地震で被害に遭って以来、公開されなかった(出来なかった?)ようです。1900年にフレスコ画、1980年に教会内部の修復が始まった模様。地震被害から修復まで、かなり空白があるような。
04/14 大阪市の美術館用地、転用へ
市制施行100周年(1989年)を記念して計画した近代美術館の予定地として160億円で購入した大阪大医学部跡地(北区中之島)が、駐車場と広場に転用されるそうです。不況による財政難のため計画は頓挫、このたびの転用で着工は凍結に追い込まれた格好。
読売新聞。総額153億円の収蔵品は、旧出光美術館(中央区)を借り上げて10月から展示予定とのこと。モディリアーニなどあるそうです。
04/14 子の顔、寅の武器くっきり−キトラ古墳
石室の壁画を赤外線撮影したところ、ネズミの頭がある獣頭人身像の輪郭や虎の顔をした像が持つ武器などが判明、いずれも十二支像と確認できたとのこと。四神図と十二支像が上下に並んでいたことも確定。
共同通信。
04/15 止まぬ文化財の流出
北京税関の定例検査で一体の仏像が発見されたとのこと。鑑定によると、南北朝時代の石仏で、国家3級保護文物にあたり、国外持ち出しが禁止されている文化財だったとのこと。
サーチナ・中国情報局。持ち出し禁止文化財の密輸事件が多数起きているそうです。
04/16 重文指定−文化審議会が10件を答申
新潟市の信濃川に架かる万代橋や、本殿が国宝に指定されている島根県大社町の出雲大社にある多数の社殿や銅鳥居など計10件を答申したとのこと。答申通り5月下旬に指定される予定。これにより、国宝を含む建造物の重要文化財は2260件(3887棟)となるそうです。
共同通信。
04/16 差し押さえ品をネット公売−東京都
都税の滞納者から差し押さえた絵画や古美術品などを、インターネットのオークションで売却する方法を7月から試行するとのこと。インターネットを活用した公売は全国初。
共同通信。7月に予定している1回目には、山下清のリトグラフ(見積額10万円)や掛け軸、小判、指輪など17点程度の出品を予定しているそうです。読売新聞には、富岡鉄斎の掛軸も出ると書かれていました。
続報:落札結果です。山下清のリトグラフ(最低入札価格6万4000円)が210万1000円、天保小判(同8万8000円)が63万6000円、富岡鉄斎の掛け軸(同24万円)が255万3000円など。競りにかけられた20点の落札価格の合計は約1660万円。2966人の参加申し込みがあったとのこと。(8月12日付読売新聞より)
続報2:「落札したのに代金払わず」 代金が納付されなかったのは、山下清のリトグラフ、スタインウェイ社のグランドピアノ、富岡鉄斎の掛け軸。3点は秋の次回公売に再出品するそうです。(8月27日付共同通信より)
04/22 備前焼盗難−美術館に夜間侵入・島根
町立加納美術館で、桃山時代の古備前の水差し(約3700万円相当)など5点、合計約4400万円相当の展示品がなくなっていたとのこと。盗まれたのは古備前の水差しと茶碗、とっくりの他、人間国宝の故藤原雄氏の作品である備前焼の壺と鉢。
時事通信。
続報:盗まれた展示品はすべて見つかり、容疑者も逮捕されたそうです-4月25日付時事通信より。
04/23 外務省機密費で日本画購入−計3890万円
内訳は、日本画28点、額縁18点、屏風1点。最も高価な作品は、狩野安信作の屏風「龍図」の315万円とのこと。在外公館に飾るため、「日本文化の啓発と理解を深めるため」だそうです。
読売新聞。2000年3月の外交機密費の支出関連文書の一部より。2002年度以降、絵画購入は機密費ではなく、一般調度品と同じ「庁費」から支出しているとのこと。どちらにしろ、たくさん購入できていいですねえ。
04/26 キトラ古墳記念切手大量在庫
昨秋、全国発売されましたが、大量に売れ残ったまま販売終了。約30年前、同じ極彩色壁画でブームとなった高松塚古墳の記念切手に比べ、売れ行きは20分の1だったそうです。
読売新聞。各地の売れ残りは廃棄処分、地元・明日香村では7万枚を買い取り、1万数千枚の在庫を抱えているとのこと。村では、販売しているそうです。
記事とは無関係ですが、切手つながりで:「切手になった日本画―裸婦・筍・花菖蒲・腑分・醍醐―」展 4月29日(木・祝)〜6月27日(日) 山種美術館にて開催。
04/26 モナリザの保存状態調査へ−ルーブル美術館
美術館は「絵が描かれた薄いポプラの板が、以前に認められた以上に変形していることが分かった」と指摘。「来年、モナリザの保管部屋の再改修を始めるが、絵の保存状態に心配な点があるので科学的、技術的に掘り下げた調査を行う」そうです。
共同通信。調査は一般公開を続けながら行うとのこと。
04/27 「文化遺産オンライン」試行版を公開−文化庁
全国の美術館や博物館が収蔵する国宝などの情報が閲覧できるように。試行版で検索できるデータは、東京国立博物館、神戸市立博物館、福島県立美術館など19館が提供する約3000件。本年度中にさらに16施設が参加予定で、データ数は約6000-7000件となる見通しとのこと。
京都新聞。2006年度までに1000施設の参加を目指すそうです。URL:http://bunka.nii.ac.jp/
04/27 泉涌寺の宝物館完成−京都市東山区
延べ約473平方メートルで、展示室や収蔵庫、研修室を備えるとのこと。
京都新聞。28日から「泉涌寺の創建と皇室」をテーマに、絵画や古文書など約70点展示。書跡「造泉涌寺勧進疏」(国宝)などが出展されるそうです。開館時間は午前9時から午後4時半。毎月第4月曜日休館。
04/27 ピカソの「パイプを持つ少年」、競売へ
5月5日にニューヨークで開かれるサザビーズのオークションに出品されるとのこと。作品は米ホイットニー家の財産で、現在は同家とつながりを持つグリーンツリー財団が所有。予想落札価格は7000万ドル以上。
26日付ロイター通信。続報:スクラップ2004年5月6日
04/28 ダヴィンチの自動車を製作、公開
フィレンツェ科学史博物館が、レオナルド・ダヴィンチのデッサンに描かれていた現在の自動車の原型にあたる車を製作したそうです。4月中旬から6月5日まで一般公開。
原画によると、車輪は3つで鉄のばねで動き、時計と似たメカニズム。カシやブナの堅い材質を使用、5カ月かけて完成、路上実験で数メートル動いたとのこと。
共同通信。
04/28 ベッカムの映像、ギャラリーで公開
サッカー選手・デビッド・ベッカムの寝姿をとらえたビデオフィルム「David」が、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーで27日から公開されているとのこと。サム・テイラー・ウッドが制作したもので、長さは67分間。
27日付ロイター通信。「見る者はまるで、ベッカムのすぐ横にいるような感覚に襲われる」とのこと。そんなこと言われても。
04/28 秘仏を初公開−日光山輪王寺
徳川将軍家の守護仏とされる仏像「鎮将夜叉」が29日から一般公開されるそうです。11月29日まで。江戸初期から約400年にわたり秘蔵されていたとのこと。
朝日新聞。
04/29 下地に鉛入りの白色顔料−高松塚古墳壁画
東京文化財研究所がエックス線調査した結果、多量の鉛を含む顔料を壁画の下地として塗っていたことが分かったそうです。彩色を施す絵の部分には下地を重ね塗りした痕跡も判明。
共同通信。
04/30 高松塚壁画にラピスラズリ
壁画のうち、「飛鳥美人」と称される人物群像のスカートなど青い部分の彩色に、アフガニスタン産のラピスラズリを使った可能性が高いことが、調査で分かったとのこと。
共同通信。連日の高松塚古墳です。






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