2004年
08/01 8カ国で2200点押収 イラク流出の文化財
イラク戦争などの混乱で海外に流出した、メソポタミア文明時代などの文化財回収作業より。内訳は隣国ヨルダンの1054点が最多で、米国の600点、イタリアの300点、シリアの200点がこれに続くとのこと。
共同通信。
08/04 十二支壁画の戌はぎ取る キトラ古墳
獣頭人身の十二支図のうち西壁にある戌を、約2時間掛けてはがしたとのこと。損傷なし。
共同通信。8月5日付毎日新聞によりますと、予定していた亥の取り外しは見送るそうです。崩落の危険性がないことが分かったためとのこと。今後、11日に青竜、9月7日に白虎を取り外す予定。
08/05 アンリ・カルティエ=ブレッソン氏死去
ロバート・キャパらと「マグナム」を設立し、写真集「決定的瞬間」で知られるフランスの写真家アンリ・カルティエブレッソン氏が3日、死去した。95歳。
共同通信。
08/07 踊るサテュロス東京へ
来年3月初めから約3週間、東京国立博物館で一般公開されることになったそうです。
読売新聞。同像は、愛知万博にも出展されます。万博には名古屋城の金鯱も出るとか。関連記事:スクラップ2004年5月30日
08/09 現存例で最古 黒漆宝珠箱
京都府八幡市の石清水八幡宮に、雨ごいの加持祈祷で使われた八角形の宝珠容器が残っていることが、京都国立博物館の調査でわかったとのこと。金、銀泥で竜王や四天王などが描かれ、平安期−鎌倉期前半(12-13世紀)の作とみられる。
容器は直径9.2cm、高さ9.7cmの八角形で、漆塗りのふたと身に分かれている。中に銀箔で装飾されていたとみられる宝珠(直径4.7cm)が入っていたとのこと。石清水八幡宮によると、1991年に神像と一緒に見つかったが、詳しい調査をしていなかったとのこと。
京都新聞。京都国立博物館の「神々の美の世界」展で公開されるそうです。8月10日から9月20日まで。
08/09 高句麗紛争が飛び火 韓国、日本に是正要請
東京国立博物館が、高句麗の広開土王碑の拓本などを中国のものかのように展示していると、在東京の韓国文化院が文化庁に是正を要請したとのこと。
共同通信。高句麗をめぐっては、中国が古代中国の地方政権と位置付けようとしているとして韓国が反発していることから、「韓中間の歴史認識紛争が日本にも飛び火した形」になったとのこと。「広開土王碑」見ましたけど、これまでと変わらない場所や方法で展示されていたような。
08/10 壁画はぎ取り含め再検討 高松塚古墳
壁画の劣化が進んでいる問題で、保存修復の対策を話し合う文化庁の検討会は、壁画のはぎ取りも含めあらゆる保存方針の可能性を検討することを決めたそうです。検討会は今後、現在キトラ古墳で実施しているような壁画のはぎ取りのほか、温湿度を管理した上での現地保存などあらゆる方策について実現の可能性やリスクを検討するとのこと。
共同通信。
「高松塚古墳の壁画劣化は広範囲、女子群像の一部など5か所で剥落も」:10日、文化庁が初めて公表した調査結果より。また、西壁の白虎については、24年前にはすでに劣化が進んでいたことが明らかになったそうです。(8月10日付読売新聞より)
08/11 青竜もはぎ取り成功 キトラ古墳
東壁にある四神図の青竜、青竜の下に描かれたと推定される獣頭人身の十二支図の一つ卯部分も含め縦85cm、横45cmをはぎ取ったとのこと。中央に亀裂があり、2枚に分けて外したが、損傷はないという。4日にはがした十二支図の戌に続き2カ所目。いったん冷蔵保存し、17日に奈良文化財研究所へ運び、本格的に修復するとのこと。
共同通信。青竜は赤い舌など一部しか判明しておらず、卯は赤外線撮影などでも描画が確認できていないそうです。
続報:「青竜、戌を運び出し」 文化庁などは17日、はぎ取った青竜図、十二支図の戌と、十二支図の卯を描いたと推定される部分を、同古墳の保護施設から、修復に当たる奈良文化財研究所へ運んだとのこと。当面は同研究所の大型冷蔵庫で保管。(8月17日付共同通信より)
08/13 旧土佐藩主山内家遺品3万6千点寄贈 高知県に
保管に当たる土佐山内家宝物資料館が発表したとのこと。博物館などで展示されている旧大名家の遺品類は、子孫が所有したまま保管を委託しているケースが多く、一括寄贈は極めてまれ。寄贈されたのは、武具や書跡などの工芸品約4000点、古文書などの歴史資料約3万2000点。
共同通信。8月14日付毎日新聞によりますと、同じく山内家所蔵の「古今和歌集第廿(高野切本・国宝)」は、7億円を上限に県が購入予定とのこと。寄贈とはいかなかったか。 続報:県が依頼した専門家による鑑定の結果、「古今和歌集第廿」は9億6800万円相当と評価されたとのこと(9月28日付毎日新聞より)。購入価格の変更はなし。
08/18 顔と盾だけの埴輪が出土
京都府亀岡市の時塚古墳(5世紀後半)で、持っている盾と顔だけの人形埴輪片が見つかり、同府埋蔵文化財調査研究センターが発表したとのこと。
同センターによると、盾を持つ埴輪は武人を表し、円筒形の胴体部分前面に盾を張りつけ、頭部が乗っているのが一般的だが、破片から復元できる埴輪は胴体や手がなく盾と顔が一体化。お面のように平面的だったとのこと。一方で、左右の耳の上に角とみられる突起を表現。
共同通信。埴輪は高さ60cm、幅33cm。地域を支配した有力者の墓とみられる方墳を囲んだ幅6mの溝で見つかったとのこと。
08/22 ムンクの「叫び」、白昼強奪される
強奪されたのは、ムンクの「叫び」(1893年)と「マドンナ」の2作品。22日午前、オスロ市内のムンク美術館に武装した覆面姿の数人が押し入り、鑑賞客の目の前で、壁から額ごと2作品を外して車で逃走したとのこと。1人は拳銃で職員を脅し、職員は動けなかったという。
読売新聞。オスロ国立美術館には、別バージョンの「叫び」が所蔵されており、こちらは1994年2月12日に同美術館から盗まれました。同年5月、オスロ南西のオースゴールストラーンのホテルで無傷のまま発見され、ノルウェー人3人が逮捕されたとのこと。
08/26 カラスつつき彫刻欠ける 大阪の重文指定神社
国の重要文化財に指定されている大阪府豊中市の原田神社本殿にある彫刻が欠損しているのが見つかったとのこと。豊中市教育委員会によると、欠損したのは「蟇股」と呼ばれる縦約30cm、横約60cmの木製の透かし彫りの彫刻。軒下などに計19個あり、そのうち花や天女などを描いた3個がカラスにつつかれたとみられ、輪郭がほとんど残っていなかったとのこと。
共同通信。つついたカラスの気持は何処。巣作りの一環なのでしょうか、喰ってるのでしょうか。昨年は、本殿の檜皮ぶきの屋根300カ所以上がつつかれ、檜皮がはがされたりしたそうです。
08/27 作品の一部だったごみ袋を投げ捨てる 英美術館
ロンドンのテート・ブリテン現代美術ギャラリーの掃除夫が、捨ててしまったとのこと。掃除夫は、単なるごみだと思ったという。
その透明なごみ袋は、ドイツ出身の芸術家の作品の一部だったそうです。袋には新聞紙やボール紙、他の様々な紙が詰め込まれており、酸をまき散らしたナイロンシートの作品と、机の上に置かれた金属彫刻の作品の隣に展示されていたとのこと。
今回の事件は6月末に展覧会が始まる直前に発生。ごみ袋は後で見つけられたものの、損傷を受けており、作者は新しい袋と換えなければならなかったそうです。
ロイター通信。夜はカバーが掛けられることになったそうです。ごみ袋じゃないぞと念押し。ごみといえば、展覧会にごみ箱が出品されていたのを見たことがありましたが。あれは気を抜くと、紙くずとか捨ててしまうかも。
08/27 鑑定ミスで捜索受ける 火縄銃購入でとばっちり
「古美術品」として購入した火縄銃が実弾を撃てるよう改造されていたため、警視庁が購入者宅を家宅捜索、鑑定した岡山県教育委員会がミスを認め購入者に慰謝料などを支払っていたことが分かったそうです。
共同通信。
08/27 六本木の国立新美術館
開催運営方針が決まったとのこと。公募展などへの貸し会場機能を重視し、全国規模で活動する美術団体の公募展を受け入れるそうです。
新美術館を運営する国立美術館は3年前に独立行政法人化、自ら絵画を所蔵することはせず、公募展に施設を貸し出すほか、他の美術館と共同開催する企画展を収入の道とする計画。
京都新聞。既存の美術館をでかくして綺麗にしたと思えばよろしいのでしょうか。国立版都美ですね。関連記事:スクラップ2003年6月20日






topback