2003年
12/01 日本芸術院、新会員9人を決定
1日、決定。これで同会員は112人となったとのこと。
津村節子=作家▽岩城宏之=指揮者▽塗師祥一郎=洋画家▽今井政之=工芸家▽馬場あき子=詩歌▽菅野昭正=評論家・翻訳家▽粟谷菊生=邦楽▽芝祐靖=邦楽▽花柳壽楽=舞踊
共同通信。
12/02 西村公朝氏、死去
広隆寺・弥勒菩薩像や三十三間堂・千手観音像などの修復を手がけた仏像彫刻家で、東京芸大名誉教授の西村公朝氏が2日、死去したとのこと。88歳。
共同通信。
12/03 壁画などの国宝を内装に
大林組と印刷業のアーテファクトリーは3日、国宝の襖絵や掛軸などの芸術作品をデジタル技術で再現する「トラディショナル・アート・プロジェクト」を展開すると発表したとのこと。
使用許諾を得た京都市内の寺社仏閣の襖絵など約5000点を特殊なカメラで撮影。オフィスの壁や天井に自由な大きさにトリミングしてプリントするとのこと。壁紙のほか、ガラスやクロスなどにもプリント可能。
共同通信。オフィスや自宅に「国宝」を―というキャッチフレーズと、国宝、大林組という字面の並びが気になり、掲載しました。
12/03 盗まれた名画に保険金
レオナルド・ダ・ヴィンチ作「糸車の聖母」の所有者に保険金が支払われたそうです。この作品には5000万ドル(約55億円)もの価値があるとされていますが、支払額は300万ドル(約3億3000万円)にとどまったとのこと。
時事通信。関連記事:スクラップ2003年8月28日
12/05 有識者委が名称変更提言 神戸ファッション美術館
利用が低迷する神戸市立ファッション美術館の活性化策を探るため、市が設けた有識者委員会が4日、同館を展示中心から収集資料を活用した人材育成施設に転換するよう求めた報告書を発表したとのこと。多目的施設としての意味合いも込めるため、「美術館」の名称変更や、民間企業との連携なども提言しているそうです。
神戸新聞。同館は、今年3月末に展示室の一部を一時閉鎖しているとのこと。しかし、現段階では、全面的な閉鎖は考えていないそうです。
12/07 宮城与徳の風刺画、米国で発見
太平洋戦争直前に摘発された国際スパイ事件「ゾルゲ事件」で逮捕され、獄死した沖縄出身の画家宮城与徳が米国に住んでいた時に描いた風刺画が、カリフォルニア大学バークレー校の図書館で見つかったそうです。与徳の風刺画は日本には現存していないとのこと。
時事通信。風刺画には、年老いた男性が聖火を掲げ、ドル紙幣らしきものを燃やす姿が描かれているそうです。1920〜30年代に米国西海岸で活動した日系人の俳人集団「アゴスト社」が33年9月に発行した句集「炬火」の挿絵で、与徳は句集の装丁も手掛けていたとのこと。
12/08 英ターナー賞、受賞者決まる
受賞者は、女装の陶芸家グレイソン・ペリー。
7日付ロイター通信。
12/10 ムンクの「叫び」、赤い空の原因は火山灰
「叫び」(1893年)に描かれた赤い背景が、ムンク自身の想像の産物ではなく、当時の火山噴火が原因であった可能性が指摘されたとのこと。
9日付ロイター通信。インドネシアのクラカトア火山の大噴火で大量の火山灰が噴出し、欧州各地で日没時に空が赤く輝く現象が続いたそうです。ムンクがこの現象に触発されて作品を描いたのでは?という説を発表したのは、テキサス州立大学の天体物理学者ドナルド・オルソン教授。
12/11 フリーマーケットのゴッホ作品、高値落札の見通し
15年前にパリのフリーマーケットで1500ユーロ(約20万円)で買われたゴッホの作品が、13日に行われるオークションに出品され、落札価格は300万ユーロ(約4億円)に上るとみられているそうです。作品は、曇り空の下で働く農夫を描いた油絵。約100年間、所在不明だったとのこと。
10日付ロイター通信。ゴッホ作品は、11月、ニューヨークで行われたオークションで水彩画が830万ドル(約9億円)で落札されているそうです。
--12/13 ゴッホ作品・その後の話 オークション延期
アムステルダムのゴッホ美術館が真贋を鑑定するそうです。競売は、作品の透明性を維持するために延期したとのこと。
12日付ロイター通信。真贋をめぐって議論があるようです。
12/12 マティス展開催
ポンピドゥーセンターから「大きな赤い室内」「ルーマニアのブラウス」「夢」など油彩画23点と、彫刻の代表作「背中」シリーズ4点、「ジャズ」シリーズの原画全20点などを出品。マティス家、国内外の美術館などからも作品を集め、総出品数は約140点。
読売新聞。来年9月10日から12月12日まで国立西洋美術館で開催。ずいぶん先の話です。
12/12 B29爆撃機「エノラ・ゲイ」復元機、15日から公開
原爆投下、被害に触れない展示方法に、広島・長崎の被爆者団体や米国の反核団体などから反発の声が出ているとのこと。
読売新聞。スミソニアン航空宇宙博物館新館で公開されるそうです。
12/12 遣欧使節団の写真、落札される
1862年の徳川幕府による初の遣欧使節の一行を撮影した写真13枚が10日、パリで競売にかけられ、約4万8000ユーロ(約624万円)で落札されたとのこと。
読売新聞。この写真は、一行がパリを訪れた際、ナダールが撮影したもので、ナダールの写真の落札額としては2番目の高額。ということで、掲載の決め手はナダールでした。
12/13 竹内栖鳳の旧別邸「霞中庵」、売却
同庵と同じ敷地内に立つ竹内栖鳳記念館と、代表作「金獅」など絵画約70点も売却されたそうです。売却先は、京都市内の人形製造会社。霞中庵は修復して保存し、絵画は竹内栖鳳記念館で保管する方針とのこと。
霞中庵、記念館、絵画は、今後非公開となる模様(人形製造会社の「顧客」は見られるらしい)。が、期間限定で一般公開することも検討しているそうです。
京都新聞。差し押さえられたり、競売中止となったり、昨年から色々あったようです。
12/13 美術館の入口改装で景観論争
ウィーン市中心部のアルベルティーナ美術館に11日完成した新しい入口のデザインをめぐり、論争勃発。「斬新」「周囲の歴史的建物と合わない」「ガソリンスタンドのよう」など、様々な意見が出ているとのこと。
読売新聞。デザインは、同市の建築家ハンス・ホライン氏によるもの。写真が載っていましたが、上部がひさし状でした。
12/13 忠臣蔵事件の最古の浮世絵
立命館大学が購入した浮世絵が、忠臣蔵の討ち入りを描いた最古の作品と分かったそうです。これまで討ち入りをテーマにした最古の浮世絵は1749年の作品とされていましたが、今回見つかった浮世絵は1711年に描いた可能性が最も高いとのこと。作者は不明ですが、画風から鳥居派の絵師とみられるそうです。
共同通信。1月16日まで立命館大学アート・リサーチセンターで公開中。入場無料。
12/13 釈迦三尊像、修復終える−日光山輪王寺
約3年かけて修理を行なったそうです。釈迦三尊像は、狩野探幽(1602〜1674年)が描いた仏画。釈迦如来は縦236cm 横180cm、文殊菩薩は縦232cm 横121cm、普賢菩薩は縦234cm 横120cm。
毎日新聞。秘仏のため、今のところ一般公開は考えていないとのこと。
12/13 画家タピエスの作品で飾る
13日付のフランス紙リベラシオンは、タピエスの80歳の誕生日を記念し、タピエスが描いた見開き2ページの抽象画や、記事の活字の上に重ね描きした絵など計11点を一面、最終面など数ページに分けて掲載したとのこと。手書きのAからZまでのアルファベットも一字ずつ各面に載せ、全56ページの各紙面をタピエスの作品で飾ったそうです。
共同通信。
12/14 須弥壇下に瓦敷き遺構−唐招提寺金堂
解体修理中の唐招提寺金堂で、仏像を安置する須弥壇の下から新たに瓦敷きの遺構が見つかり、奈良時代の創建当初に築いた須弥壇だった可能性が高いことが分かったとのこと。現在の須弥壇は金堂を大改修した鎌倉時代頃、造り替えたとみられるそうです。
共同通信。続報:スクラップ2004年5月7日
12/17 「ゴッホ」盗んだ容疑者逮捕
オランダ人の男を逮捕したそうです。作品に関する記載はなく、無事なのかどうなのかさっぱりわかりません。
読売新聞。スクラップ2002年12月8日の続報です。
12/17 銅鐸の絵は「鶏と衣笠」
初期の絵画銅鐸として名高い福井県出土の「井向1号鐸」(弥生時代中期前半、兵庫県・辰馬考古資料館蔵)に描かれている鳥と笠の絵が、権力者の存在を表すとされる鶏と古代の日傘「衣笠」であることが確認されたとのこと。古墳時代以降はたびたび登場する絵柄だが、弥生時代では極めて異例で、銅鐸で確認されたのは初めて。
共同通信。
12/17 重文の観音立像 お引越し−守山市・安楽寺
本堂を取り壊してマンションを建設するため、本尊の木造千手観音立像を栗東歴史民俗博物館に運んだとのこと。立像は平安時代の作で、高さ1.6mの寄木造り。
観音立像は、マンション完成まで同博物館に保管。来年6月、同博物館で同寺の室町期以前の仏像15体とともに公開される予定。
京都新聞。
12/18 3万年前の彫刻発見 最古級
マンモスの象牙に彫った彫刻3点を発掘したとドイツ・チュービンゲン大研究グループが18日付の英科学誌ネイチャーに発表したとのこと。彫刻は、ドイツ南部の都市ウルムから南西約20kmにある谷の地層から1999-2002年にかけて出土。長さ約5cmの鳥の彫刻が見つかったとのこと。半人半獣に見える高さ約2.5cmの彫像と、約3cm大の動物の頭の部分も出土。
共同通信。半人半獣や鳥の彫刻としては最古のものになる、としているそうです。
12/18 プレイボーイ創刊50周年記念オークション
17日に行われ、同誌に登場した作家やアーティストの作品など約300点が落札、落札総額は270万ドルを超えたとのこと。
米ポップアートの巨匠トム・ウェッセルマンの「Study for the Great American Nude, #87」(1966年)と、米人気画家リロイ・ニーマンの「Le Mans, 1969」は、ともに10万7550ドル(約1150万円)で落札。ピンナップ、オリジナル原稿なども出品された。
17日付ロイター通信。ウェッセルマンの名前が入っていましたので掲載。
12/18 2つの重文、1つだった
京都国立博物館所蔵の後深草天皇直筆の手紙「後深草天皇宸翰消息一巻」(鎌倉時代、重文)と子の伏見天皇が僧に書写させた「法華経八巻」(同)が、元は後深草天皇の菩提を弔うために作られた「消息経」の表裏で、後世にはがされたものであることが18日、同館の調査で分かったとのこと。経典に染み出ていた墨の筆跡が手紙と一致したため。
京都新聞。同館の特別陳列「宸翰−天皇の書」に出品されるそうです。12月.23日(火)から2月1日(日)まで。
12/18 オキーフの絵画、盗まれる
初期の作品「Special No.21 'Palo Duro Canyon」がサンタフェ美術館から盗まれたとのこと。作品は1916〜17年にかけて制作され、テキサスの風景を描いた重要な作品の一つだという。美術館には1993年に寄贈された。
17日付ロイター通信。
12/22 文化財の海外流出阻止 文化庁支援へ
海外に流出したり、国内で盗難被害に遭ったりした重要文化財が対象。買い戻し交渉を支援、訴訟の相談にも応じるとのこと。近年、流出した文化財が見つかる例が増えてきたため、支援に取り組むことを決めたそうです。
読売新聞。「今年になり、1927年に旧国宝に指定された刀剣『銘相州住秋広 明徳三』(鹿児島神宮所蔵)が米国内のオークションに出品されたことが判明。落札した日本の刀剣商から同神宮が買い取り、ほぼ60年ぶりに日本に戻った」という事例が紹介されていました。
12/22 大般若経600巻を寄託 ご神体盗まれた奈良の神社
奈良市の夜支布山口神社が22日までに、盗難防止のため京都大総合博物館に寄託したとのこと。同神社が所有するのは鎌倉時代から南北朝時代のものが中心で、平均で1巻約30万円、計1億8000万円の値が付くという。
共同通信。「ご神体盗まれた」というのは、1999年頃と今年6月に起こった事件のこと。
12/22 イスラエルのマサダの遺跡、盗難が横行
古代ローマ時代の要塞を飾っていたフレスコ画が盗難の被害に遭っているとのこと。フレスコ画は多額の資金をかけて修復を終えたばかりだったそうです。
21日付ロイター通信。マサダは紀元前70年、ユダヤ王ヘロデが建立した宮殿の跡。周囲は自然の要害となっている。古代ローマ人がエルサレムを征服した当時、ユダヤ人が立てこもった場所として知られる。1960年代、イスラエルの考古学者グループが修復。現在は人気のある観光地の一つ。
12/25 2003年度メディア芸術祭賞決まる
大賞: 【マンガ部門】「カジムヌガタイ−風が語る沖縄戦」(比嘉慂) 【アート部門】「デジタル・ガジェット 6,8,9」(クワクボリョウタ) 【エンターテインメント部門】「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」(河津秋敏) 【アニメーション部門】「連句アニメーション『冬の日』」(川本喜八郎)
功労賞:山口勝弘
読売新聞。
12/26 壬生寺に歴史資料室完成
新選組ゆかりの品や寺宝など計30点を展示。展示品は、平安時代の歯薬師如来像や、江戸時代に孝明天皇から授かった厨子のとばり、春と秋に同寺で興行される壬生狂言の面(複製)など。1866年、境内に馬で乗り入れないなど寺と交わした約束を新選組が守らないと御所に訴えた古文書(複製)も公開されるとのこと。
共同通信。1月5日から一般公開されるそうです。壬生寺(京都市中京区)は、新選組が幕末、馬術や砲術の訓練場として使用していました。
12/26 竹久夢二の羽子板見つかる
竹久夢二(1884-1934年)が制作したとみられる羽子板が見つかったとのこと。羽子板は、竹久夢二美術館が今年8月、都内の美術商から135万円で購入。1917年12月に京都市で開かれた展示会で販売したうちの1つとみられるとのこと。長さ約37cm、最大部分幅約11cmで、表面に女性の半身が描かれ、裏面には実際に羽根を突いて遊んだ跡が残っているそうです。
共同通信。1月3日から3月28日まで竹久夢二美術館にて公開されるそうです。
12/29 円山応挙の障壁画、焼失逃れていた
焼失したと考えられていた南禅寺の塔頭・帰雲院(京都市左京区)の障壁画が、東京国立博物館に保存されていたことがわかったそうです。確認されたのは、応挙が1787年(天明7)に描いた襖絵32面、掛幅5幅、二曲屏風3隻。
朝日新聞。障壁画の一部は南禅寺展(1月20日〜2月29日・東京国立博物館、4月6日〜5月16日・京都国立博物館)で公開されるそうです。朝日新聞社主催ですか…大英博物館展のように込むのかなー。
12/30 鎌倉時代の仏師・院春の作品確認
三重県亀山市の遍照寺で確認されたそうです。修理したところ、木を前後に張りあわせた胴体部分に「建長四年十一月十□日 法眼院春」などと書かれていたとのこと。 院春の作品と確認できたのは全国で初めて。
朝日新聞。作品は同寺の「勢至菩薩立像」で、高さ約46cm。本尊脇の2体の脇侍のひとつ。






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