2003年
11/01 円鍔勝三氏死去
文化勲章受章者で彫刻家の円鍔勝三氏が10月31日、死去したとのこと。97歳。
1966年、「旅情」で日本芸術院賞、平和モニュメント制作にもあたった。
共同通信。
11/02 生地マラガにピカソ美術館開館
10月27日に開館式典が行われたとのこと。ピカソ専門の美術館はバルセロナ、アンティーブ、パリに次いで4番目。
共同通信。ピカソは1954年、マラガ市に作品の寄贈を申し入れましたが、スペイン内戦で反ファシズム陣営に回り、「ゲルニカ」を制作するなどしたため、当時のフランコ独裁政権から拒否されたのだそうです。今回の美術館開館で、ピカソがマラガを去ってからほぼ100年ぶりに作品が帰ったとのことです。
11/04 ダ・ヴィンチの「リッタの聖母」が里帰り
3日、エルミタージュ美術館からローマのイタリア大統領宮殿に一時里帰りしたとのこと。
ローマ3日付共同通信。「リッタの聖母」は1490年頃の作。19世紀半ばにミラノのリッタ家からロシア皇帝アレクサンドル二世が購入、同美術館が所蔵していたそうです。
11/06 第25回サントリー学芸賞、決まる
芸術・文学部門=飯島洋一「現代建築・アウシュヴィッツ以後」(青土社)、宮崎法子「花鳥・山水画を読み解く」(角川書店)
共同通信。芸術・文学部門のみ抜粋しました。全部門の受賞者は9氏。
11/06 ミケランジェロのモーゼ像、修復作業終わる
1998年から続けられてきた修復作業が終わり、約500年前の制作当時に近い状態に甦ったとのこと。公開式典は来年1月の予定
5日付ロイター通信。
11/07 略奪の古代美術品2点戻る バグダッドで発見
2点は、紀元前2300年頃につくられたアッカド人が着座している銅像と紀元前850年頃のアッシリアの火鉢。イラク国立博物館から盗まれた収蔵品とのこと。どちらも状態は良好。
共同通信。アッカド人の銅像は、博物館の略奪品の中では、最も貴重な作品の一つとされていたそうです。関連記事:スクラップ2003年9月18日
11/07 MoMA、改装で所蔵作品を巡回展示
改装のため休館中のニューヨーク近代美術館が所蔵するピカソやダリなどモダンアートの巨匠の作品205点が、ヒューストン美術館で展示中。「20世紀モダンアート展」。来年1月4日まで開催。来年2月には欧州でも出展。
ベルリンの新国立美術館でも後期印象派からキュビスム、シュルレアリスム、ポップアートなどの傑作が展示されるとのこと。
6日付ロイター通信。
11/07 文化財守る−武力攻撃想定時
政府は7日、有事の際の国民保護法制に、国宝や重要文化財といった有形文化財を保護する規定を盛り込む方針を固めたとのこと。保護策は、1)武力攻撃の対象となる可能性がある地域から文化財を搬出する「移転」 2)文化財の周囲に防壁を設置する「施設」 3)寺社などの建造物を隠す「偽装」の3点。
読売新聞。国指定の有形文化財は、国宝が1064件、重要文化財が1万2358件(11月1日現在)。このうち、どこまでを保護の対象とするかは今後検討するとのこと。
11/10 ピカソとマティスの未公開作品展示
リトグラフやエッチングなど、未公開作品約230点がニューヨークとヒューストンのギャラリーで展示されたとのこと。
作品の制作年は殆ど不明だが、最も古いものは100年前後経っているとみられ、最新のものは1960年代の制作と推測されている。
9日付ロイター通信。ヒューストンではメレディス・ロング・アンド・カンパニー・ギャラリーに展示。20日まで公開。ニューヨークではアデルソン・ギャラリーに展示されていたが、公開は8日に終了。
11/10 彫刻家 マリオ・メルツ氏死去
9日、イタリアのトリノで死去。78歳。
60年代に「アルテ・ポーベラ」を代表する作家として注目を集めた。今年10月に世界文化賞を受賞。
読売新聞。関連記事:スクラップ2003年7月3日
11/12 2種類の青使い分け−赤外線解析で判明
葛飾北斎の「富嶽三十六景」の多くに、「インディゴブルー」(本藍)と「プルシャンブルー」(ベロ藍)の両方が使用されていることがわかったとのこと。1枚の作品に2種類の青色が使い分けられたりしているそうです。
読売新聞。吉備国際大学の下山進教授らの研究による。
11/13 村上隆氏の絵画、55万ドルで落札
「迷子、自力でUターン」(99年)が11日、クリスティーズがニューヨークで開いたオークションで55万ドル(約6000万円、手数料除く)で落札され、村上作品の高値記録を更新したとのこと。 奈良美智氏の5体一組の立体像も、11万ドル(約1200万円、同)で落札されたそうです。
朝日新聞。関連記事:スクラップ2003年5月15日
11/14 バーミヤンの仏像再現 3D技術応用、10分の1に
旧タリバン政権に破壊されたバーミヤンの大仏立像が10分の1の大きさに再現され、カブール博物館に寄贈されることになったそうです。スイス連邦工科大のグループが再現計画を進めているとのこと。
共同通信。再現されるのは破壊された大小2体の立像のうち、高さ約53mの大きな方。来年春にはカブール博物館で展示できる見通しとのこと。
11/18 伊能地図が仏から里帰り 傷み激しく京都で修復
修復のため里帰りしたのは、1995年にフランスで発見された伊能忠敬(1745-1818)作成の地図。地図は「伊能中図」と呼ばれる副本8枚組で、1枚の大きさは縦約1.7-2.8m、横約1.6m。8枚をつなぐと、北海道から九州(沖縄を除く)まで縮尺21万6000分の1の日本列島になるとのこと。
共同通信。
11/19 キトラ古墳を常時監視へ
墳丘や石室内の温度や湿度など、状態を常時観測するシステムの設置工事が本格的に始まったとのこと。発掘、調査に伴うカビ発生を未然に防ぐのが目的。
共同通信。
11/19 財政難、民間委託へ−芦屋市立美術博物館
同市は18日までに2006年度から運営を民間に委託する方針を固めたとのこと。売却や休館も検討。
神戸新聞ニュース。この方針に対し、地元市民が「美術博物館を守る会」を結成、海外からはインターネットなどで館の存続を求める署名を募り、兵庫県内の文化関係者も神戸市内で集会を開き、懸念を表明したとのこと。(11/22 神戸新聞ニュースより)
11/20 同時テロ追悼のメモリアル、最終選考発表
世界貿易センタービルの崩落現場、グラウンド・ゼロに建てられるメモリアルの国際設計コンペを主催するロワーマンハッタン再開発公社は19日、最終選考に残った8案を発表したとのこと。
読売新聞。詳細:World Trade Center Site Memorial Competition 続報:スクラップ2004年1月7日
11/20 36億円分まとめて美術館に寄贈
愛知県美術館(名古屋市東区)に、同市内の収集家の遺族から絵画や彫刻など2895点の寄贈があったとのこと。生前の寄付と合わせると、寄贈品は計3239点で同美術館の所蔵品数の約半数を占め、評価額は計54億400万円にのぼるそうです。
朝日新聞。寄贈品は、与謝蕪村の「富嶽列松図(重要文化財)」、浦上玉堂の「山紅於染図(重要文化財)」、熊谷守一の作品216点など。3月6〜28日に寄贈作品の特別公開展を開くとのこと。愛知県美術館
11/21 小津安二郎作品、デジタルで修復
東京国立近代美術館フィルムセンターが、松竹株式会社とともに進めていた「和製喧嘩友達」(1929年)のデジタル修復が完成に近づき、19日、オランダの修復会社から送り返されたサンプル版の試写で鮮明に甦った画像が確認されたとのこと。
朝日新聞。作品は、同センターで公開されるとのこと。東京国立近代美術館フィルムセンター
11/22 世界文学の遺産を展示した博物館がスイスに誕生
ジュネーブ郊外に21日、開館したとのこと。博物館は赤十字国際委員会の幹部だったマーティン・ボドマー氏の蔵書約16万冊を収めたもので、マーティン・ボドマー博物館と名づけられたそうです。
展示品は、エジプトの「死者の書」、カール・マルクスの「共産党宣言」初版本、5000年前のメソポタミア文明時代の書き板、1378年発行のダンテの新曲、マルティン・ルターが1517年、ヴィッテンベルク教会の扉にピンでとめた「論題」など。キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教の書、日本や中国の中世文学もあるとのこと。
21日付ロイター通信。
11/25 コメディー・テロリスト、英美術家へのいやがらせで有罪
28日間の実刑判決が言い渡されたそうです。
被告は5月にオックスフォード市内のギャラリーに乱入、チャップマン兄弟の1人、ジェイク・チャップマン氏や、展示されていた作品などに赤いペンキをかけ、起訴されたとのこと。裁判では、自身の絵画にチャップマン氏の作品を「取り入れた」アートを制作したなどと主張し、起訴事実を否認していたそうです。
24日付ロイター通信。チャップマン絡みということで掲載しました。6月にも、ウサマ・ビンラディンの仮装でウィリアム英王子の誕生パーティーに乱入したり、色々お騒がせなことをしているようです。「コメディー・テロリスト」というのは自称らしい。
11/26 有名画家の贋作、盗まれる−74点
ゴッホなどの贋作で有名なハンガリー人画家エルミア・ド・ホーリィの作品74点が今年9月、大阪市内の繊維業者所有のビルから盗まれていたことが26日、分かったとのこと。
74点はゴッホの「自画像」「ひまわり」やピカソの「ジプシーの女」など有名画家の贋作。これらは大阪府の不動産業者がバブル期に約2億円で購入。その後、借金の担保として繊維業者に預けられ、同市内のビルに保管されていたそうです。
時事通信。その他の話。不動産業者が「絵の買い手がついた」と言ってビルを訪れ、管理人が絵画のある部屋の鍵を開けていた。白昼トラックが止められ、荷物を積み込んでいた。不動産業者は事件直後から行方不明。色々な意味で怪しい匂いがします。 続報:差し入れ担保の贋作盗む=元不動産業者を逮捕−大阪府警(2004年2月26日付時事通信)
11/29 ファミコンソフトの著作権不明
ファミコン用ゲームソフト約1200本のうち、53本が不明とのこと。来月から開かれるテレビゲームの展覧会に向けて、展示品の使用許可を取るため、著作権者を捜しているそうです。
読売新聞。展覧会は、「ファミコン生誕20周年 テレビゲームの展覧会 レベルX」。東京都写真美術館で開催されます。






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