2003年
07/02 アボリジニーの壁画発見−豪シドニー
シドニー近郊の洞穴内で、古代のオーストラリア原住民アボリジニーが描いた壁画が200以上も見つかったそうです。画は12層に描かれ、古いものはエジプトのピラミッド時代と同じ4千年前、最も新しいものは19世紀に描かれたとのこと。
壁画は鳥やトカゲ、有袋類が描かれており、人間の手や腕、ブーメランなどの道具の型をとった模様もあるそうです。アボリジニーの岩絵にはまれなウォンバットも描かれているといいます。
asahi.com。2日、オーストラリア博物館が明らかにした。
07/03 第15回世界文化賞受賞者決まる
音楽=クラウディオ・アバド(伊)▽絵画=ブリジッド・ライリー(英)▽彫刻=マリオ・メルツ(伊)▽建築=レム・コールハース(オランダ)▽演劇・映像=ケン・ローチ(英)
読売新聞。
07/04 イラク国立博物館開館
3日、戦後初めて開館し、同国の至宝とされるアッシリア王国時代の「ニムルドの財宝」が公開されたそうです。連合国暫定当局(CPA)が「遺物の多くが無事だったことを世界に示す」ため公開に踏み切ったとのこと。
読売新聞。「ニムルドの財宝」は重さ約1kgの王冠や首飾り、腕輪、アンクレット、水差しなどいずれも黄金製。
3日付ロイターによりますと、公開はわずか数時間。ニムルドの財宝が一般の目に触れるのはここ3000年で2度目とされるそうです。同博物館の公開は早ければ今年11月にも再開されますが、ニムルドの財宝の展示については未定。
07/04 古代ローマ遺跡コロシアム、美術展の会場に
大理石製の円盤投げ選手やブロンズ製の短距離走者、レスリング選手のモザイクが置かれ、古代ローマ時代のスポーツ競技の雰囲気が甦ったとのこと。
今回展示されたのは、古いもので紀元前6世紀にさかのぼる彫像や胸像、モザイクや陶芸品。
3日付ロイター。「Nike: The Game and The Victory」展 2004年1月7日まで開催。
07/04 氷河期の洞くつ壁画発見、英国初
英国中部ノッティンガムシャー州クレスウェル・クラッグスの洞くつで、1万2000年前にさかのぼる壁画が発見されたとのこと。氷河期の洞くつ壁画としては最北端の発見。様式は、フランスのラスコーやスペインのアルタミラの洞くつ壁画と類似。
3日付ロイター。ノヤギ2匹、バイソン1頭、馬の一部や鳥、幾何学模様が描かれているそうです。
07/06 上村父子の金銀一対装飾品 京都・祇園祭で新調
山鉾のひとつ霰天神山の装飾品が新調されたとのこと。
新調されたのは、山の側面につるす胴懸「銀鶏・紅白梅図」で、日本画家上村淳之氏が原画を担当。同氏の父で日本画家・故上村松篁氏原画の胴懸「金鶏・白梅図」(1986年完成)と共に、父子共同制作の装飾品が山鉾巡行で披露される。
共同通信。金銀の胴懸を依頼されていた松篁氏は、「銀鶏」の構想メモを残しており、淳之氏がメモを基に描いたとのこと。
07/08 古代エジプトではペットもミイラに
古代エジプトのファラオらと共に埋葬された、動物のミイラに関する展覧会が開催されるそうです。展示されるのは、紀元前1600年から紀元後200年に埋葬されたミイラで、体の形と同じ石灰石の棺に入れられたガゼルのミイラなども見られるとのこと。
7日付ロイター。カイロにあるエジプト博物館の展示情報です。
07/10 レンブラント自画像、13億円で落札
10日にロンドンで行われたオークションで、690万ポンド(約13億2700万円)で落札されたそうです。レンブラントの自画像としては史上最高の落札価格。
作品は、300年間その存在を知られず欧州を転々としていましたが、オランダ国立美術館が1999年、エックス線や赤外線検査を行って現代に甦らせていました。
ロイター。スクラップ2003年3月11日の続報です。
競り落としたのは、米国のカジノ王スティーブ・ウィン氏。5月にも28億円でルノワール20億円でセザンヌの自画像を競り落としています。作品は、ラスベガスのウィン・リゾート・コレクションで展示されることになるそうです。
07/11 イラク国立博物館からの略奪品を押収
米中央軍は10日、バグダッドのイラク国立博物館から略奪されたとみられる彫像など12点を、イラク駐留米軍がバグダッド市内の民家から押収したと発表したとのこと。
押収されたのは小型の彫像や粘土の器など。紀元前3200-3000年頃のものとされる品もあったそうです。
共同通信。
07/12 竜門で新たな石窟と仏像発見−中国
中国3大石窟の1つ、河南省洛陽郊外の竜門石窟で、唐代(618-907年)の則天武后時代(7世紀末-8世紀初め)のものとみられる石窟と、岩肌に彫り込まれた仏像30体が12日までに新たに見つかったとのこと。約10万体あるといわれる竜門石窟の仏像の中でも、これだけ細部にこだわって彫られ、生き生きとした表情を見せるものは少ないそうです。
発見場所は、同石窟の東山地域にある看経寺の近く。30体の中で目立つのは、高さ約2mの仏像6体が並んだもの。同じ形をしているが、表情や着衣が微妙に異なっているそうです。
共同通信。
07/16 法隆寺の再建説、確定的に
法隆寺(奈良県斑鳩町)の五重塔に、624-663年に伐採した木材が使われていたことが、15日までの奈良文化財研究所による年輪年代測定で分かったそうです。
当初からあった部材とみられ、明らかになった伐採年のうち最も新しい663年以降に塔が建立されたことは確定的。法隆寺が670年に焼失した後の再建説で決着へ進みそうとのこと。
共同通信。現存する法隆寺西院の建物は再建とする見方が主流でしたが、塔の心柱が一昨年、年輪年代測定で594年の伐採と判明。再建にしては古過ぎると議論を呼んでいたそうです。心柱の年代が遡っていることについては、焼失後に伐採年代の違う木材をかき集めたとみられているとのこと。関連記事:スクラップ2001年2月21日
07/17 名古屋ボストン美術館閉館か?
財政難から2009年に閉館する可能性が高くなったとのこと。米ボストン美術館への寄付金、低金利による基金の運用難、入場者の低迷が収支悪化に拍車を掛けたそうです。といっても、あくまでも可能性ですので、今後どうなるかは定かではありません。
中日新聞。採算見通しは当初から厳しかった、米側に圧倒的に有利な契約内容など、色々事情がある模様。
--続報・名古屋ボストン美術館からのコメント
「報道は当館からの発表ではなく、全く事実無根」とのこと。詳細は、公式サイト > 美術館からのお知らせを御参照下さい。
中日新聞の記事はどこから?という話になるわけですが。ソースがあったからこそ、報道したのですよねえ。
07/19 「触る美術館」開館へ−バチカン美術館
目の不自由な人のために美術品の一部を「触る美術館」として近く公開することを決定したそうです。盲導犬も同行できるとのこと。
バチカン美術館は、13の美術館のほか一つの絵画館と碑文を中心に集めた4つの美術館から成る。各館長は触ることのできる、古代ギリシャ、ローマ時代の彫刻やレリーフ、石棺などを選び出し、展示するとのこと。数点の絵画も対象になるそうです。
18日付共同通信。来館には予約が必要で、近くFAXで受け付けるとのこと。
07/25 旧東独ブームのドイツ、史上初の大規模回顧展開幕
ベルリンで24日、旧東ドイツの美術品を集めた史上初の大規模回顧展が開幕。展覧会は「GDR(ドイツ民主共和国)の芸術」と題し、145人の作品400点を新国立美術館で展示しているとのこと。
東ドイツでは多くの芸術家が国家の意を受けて共産主義を賛美する作品を手掛けていたため、一般公開される作品の選択をめぐっては、1990年の東西ドイツ統一以来、激しい議論が展開されていたそうです。
24日付ロイター。ドイツでは現在「オスタルジー」と呼ばれる旧東ドイツへの郷愁ブームが起きており、旧東ドイツを回顧した映画が大ヒットしたり、旧東ドイツの名所旧跡に観光客が殺到したりしているそうです。
07/25 人間裸像の芸術作品、ドイツ人の想いは様々
裸でうずくまるプラスチック製の人間像を重ねたインスタレーションの巡回展が、不況や波乱の歴史を想起させるなど、ドイツ国内でさまざまな解釈を呼んでいるそうです。
これは、デュッセルドルフ在住のアーティスト、クラウディア・ロゲさんが制作した等身大の人間像66体の作品。側面がガラス張りのトラックに乗せ、ベルリン周辺を回っているとのこと。
24日付ロイター。上の記事に続きドイツです。年配の世代の間では、第二次世界大戦中に150万人近いユダヤ人がガス室で虐殺されたナチス・ドイツの強制収容所、アウシュビッツの記憶を呼び起しているといいます。作品は今夏、欧州各地を巡回予定。
07/25 王羲之の拓本が「帰国」−上海、米から5億円で
中国の書聖、王羲之(推定307-365年)の自筆の拓本170点を収録した宋代の「淳化秘閣法帖(淳化閣帖)」の原本4巻を、上海博物館が米国の収集家から450万ドル(約5億4000万円)で買い戻したとのこと。王羲之の書道の原作は現存しておらず、自筆の拓本もほかは世界各地に約20点あるのみ。
「淳化秘閣法帖」は宋代の淳化3年(992年)に宮廷収蔵の歴代皇帝、書道家らの書から作成。全10巻で、103人の作品420点を収録。同博物館が購入したのは、第4、6、7、8巻の計4巻。
共同通信。
07/26 富士山だけの美術館オープン
横山大観や棟方志功ら著名画家が描いた富士山だけを展示した美術館「フジヤマミュージアム」が26日、山梨県富士吉田市にオープンしたそうです。展示するのは常時約50点で、東山魁夷の「朝爽」や奥村土牛の「富士」、梅原龍三郎の「富士山三津波」など。
美術館は2階建て。スロープ状の回廊をめぐって絵画を楽しむ仕組みで、額縁を付けた小窓から、本物の富士山を望むことができるとのこと。
共同通信。外も中も富士山尽くしなのですね。フジヤマミュージアム(富士急ハイランド内)
開館ネタをもうひとつ。7月12日、新潟県立万代島美術館がオープンしました。
07/30 アボリジニーの絵画、最高4千万円で落札
オーストラリア先住民アボリジニーの絵画などを集めたオークションが28、29日シドニーで開かれ、落札総額は約750万豪ドル(約5億9000万円)となったそうです。アボリジニー・アートのオークションとしては最高額とのこと。
約560点の出品作のうち最高値で落札されたのは、エミリー・クンワレイエの作品「無題」(91年制作)。1点で50万9300豪ドル(約4000万円)の値がついたそうです。
asahi.com。アボリジニー・アートの海外人気が高まるなか、豪政府は作品の国外流出を防ぐため、制作後20年が過ぎたものは「原則的に持ち出し禁止」の措置をとっているそうです。
07/30 イラク国立博物館の修復を−文化財保護の勧告案判明
「ユネスコ・イラク文化財保護国際会議」が、8月1日に開く3回目の会合で採択する勧告案が30日、固まったそうです。修復の他には、収蔵品の保存計画の策定や警備強化を求めているとのこと。勧告案は、国立博物館、歴史的建造物や考古学遺跡、イラク文化遺産全般の3つの分野で構成。遺産全般の分野では、博物館職員に対して文化財保存や修復技術の指導を進め、遺跡の警備関係者への研修計画の策定も盛り込まれる見通し。
共同通信。
07/31 長谷川利行作品14点まとめて寄贈−東京都現代美術館に
まとまった形で美術館に収蔵される例は珍しいそうです。作品は、「隅田川」(水彩)、「少女」(油彩)、「江東地区(荒川風景)」(墨)など、いずれも1930年代以降に描かれた作品とみられるとのこと。
読売新聞。作品は9月7日まで展示される。






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