2004年9月
▼「黄色の存在−地の力・空の力」「黄色の意味と価値」「黄色の色材」というテーマに沿い、美術工芸品、鉱物、絵具・染織原料などを展示。様々な角度でもって黄色を切り取る趣向。大まかな流れは前回までを踏襲。 ▼「地の力」は、大地、鉱物、植物がキーワード。栗田宏一「Soil library 1000
yellows」は、全国の土の集合体、そして色彩の集合体。村岡三郎、若林奮は、鉄の武骨さに硫黄の黄を効かせた彫刻。 ▼身近であり、根底にある「色」。テーマがシンプルな分イメージが膨らむし、最小限のテーマにより展示品に幅が出る。越境した展示はまさに博物誌風でした。そして、ありそうでなかったテーマと見せ方が、あるとき斬新で、時が経つと少々マンネリで、まあまあそれはお家芸ということで続いてきたシリーズも今年で最終回。何のかんのいっても、全シリーズ面白かったです。完。(09/04) |
▼建築や街並みの模型を「建築のフィギュア」と呼んで紹介(INAX webサイトより)。景観模型、世界遺産ペーパークラフト、フォトモ、無彩色セラミックミニチュア、スノードームを展示。 ▼小さな建物大集合。趣味的な楽しさを持った、フォトモ(糸崎公朗)とセラミックミニチュア(藤沢みのる)が、特に印象に残りました。フォトモは、写真+飛び出す絵本+トマソンという名の薬味少々。日常の街並みが、一歩外した感覚で立ち上がってきます。セラミックミニチュアは、近代の名建築を再現。精巧さの中にぬくもりが垣間見られます。手作り感と、作品に「わが家」が入っている所が魅力的。看板建築があるのも良し。(09/04) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - |
▼会場全体をシアターのように使い、水槽と映像を使った最新作を制作。(INAX webサイトより) ▼光を吸収する泡、透過する泡。増殖と消滅を繰り返す泡、時を止めた泡。形態をひっくるめ、全てが対比の妙。乱暴に形容すると、前者が黒で後者が透明なのですが。黒い方は、生理的部分にちょっかい入れてくる感じ。皮膚の水疱を針で突くとか…ちょっと違うか。とにかく引き止められ、見入ってしまいました。透明な塔?は、見る角度により後方の映像が写りこみます。それがまた、泡泡の粒粒で重複のコラボレーション。意味不明。というより、会場全部ひっくるめて見ろよという。 ▼この作品は、PixCellというシリーズ?の一環なのでしょうか。それとも、独立してる?画素と細胞の合体がPixCellらしいのだけど、あの泡はこちらにあたるもの?と、?マークを過剰に付けつつ終了。(09/04) |
▼海をわたってきた華花と、それらが、あるいはそれらと一緒になってわたってきた文化や物が、日本の生活文化にどのように影響を及ぼし、また、どのように変質を遂げていったのかを考える。(会場内チラシより) ▼まずは、旧石器時代から現代にいたる植物の渡来史。各地の遺跡から出土した種子、平城京出土の多岐にわたる植物遺体や野菜木簡、江戸時代の園芸・奇品ブームの資料など。えらく昔から植物が流入、平城京からはモモ・メロン・ウメ・ヒョウタン他多数の種やら何やらが出過ぎ…多種多様が海を越えてきたのか。という事実が赤裸々に語られておりました。時代が幅広いだけあり、考古学の空気が濃厚。 江戸部門には若冲筆「野菜涅槃図」の立体模型もあり。その様子はこちらで。 ▼次にメロン、ヒョウタン、里芋、桃と梅、朝顔、菊を取り上げ、突っ込んだ話を。現物、美術工芸品、図譜、写真などをまじえつつ、渡来時期、種類、用途等について紹介していました。種類の多様さを確認。雑草メロンは可愛らしい。あと、江戸時代の朝顔押し花に感激。花が今のより小ぶりで、変化具合もきっちり残っていたり。 ▼その他、「謎と幻の華花」「日本の植物、西欧にわたる」など。謎と幻〜部門にて取り上げられたセンノウ。絶滅したと考えられていたそうですが、1995年のTV放送にて存在が確認されたそうです。て、TVネタになる位なのに絶滅ってどういうこと。 ▼展示はよくまとまっていたと思います。展示品を見つつ、説明を読むと理解できる。それと、最も古い記録があるという、ヒョウタンの充実度が印象に残りました。古さに比例したのかのような出品数。すべての時代にまたがり、出没していました。で、縄文の頃から加工跡ありという。切断したり、漆を塗ってみたり。やはり使ってみたくなるのか。時が経ち、「現代のヒョウタン文化」として現れた面々は、みうらじゅんが嬉々としそうな加工になってましたが。ピカチュウひょうたんがあったり。(09/12)
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▼構成は、「一 桃山の洋風画」「ニ 長崎の洋風画」「三 京都の洋風画」「四 江戸の洋風画」。最後の章が最も充実しており、秋田蘭画、司馬江漢、亜欧堂田善がまとまった数見られます。司馬江漢と亜欧堂田善は、周辺画家の作品もあるのですが、妙な感触のやら妙にぶっ飛んでるのやら多種多様。よく集めてます。 ▼桃山時代の連作「西洋風俗図」…羊が何故かチワワサイズとか、陰影のついた達磨図、川原慶賀他による蘭人図、銅版画、眼鏡絵など、他にも色々。作品が面白いし、洋風画の歴史も一巡できる。ここの美術館ならではのノリと企画で楽しめました。3度の展示替の内、1度目を逃してしまったのが残念です。(09/18) |
▼展示替があったので再び訪問。構成や全体の雰囲気は、前と変わらず。 ▼気になった作品を列挙。尾形光琳「松島図屏風」:波の山の連なりと、渦がドラッギーです。元も見たい。俵屋宗達「蓮池水禽図」:蓮の葉がふわふわしています。宗達の作品では、たらしみを堪能。本阿弥光悦筆 俵屋宗達下絵「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」:目線の動きとともに鶴が飛びます。合間に文字が躍る。酒井抱一「月に秋草図屏風」:風流。蔓が描く線が効いてます。菱田春草「落葉」:「落葉はここが素晴らしい」みたいな文章を読むと、一応は納得。でも、作品を前に気持が動くかというとそれは別物。「黒猫」は、ひげ部分の毛穴を確認。小林古径「鶴と七面鳥」:なんで七面鳥?(09/24) |
▼1925〜1937年に焦点を当て、ピカソの「変貌の時代」を紹介。 ▼前半部は、絵画と彫刻の間を行き交う様が見てとれます。シュルレアリスムに傾倒した「アナトミー」にも、彫刻の味わい。 ▼テーマに添いつつ見ると、いけるのではないかと。しかし、作品自体は微妙な感があったり。「闘牛からミノタウロスへ:愛と暴力のかたち」が、個人的に気に入ったのだけど、気に入らない人の方が多い気もするし。やっぱり微妙かも。(09/25) |
▼19世紀中頃から20世紀前半の40人の画家による名品70点余を、6つのテーマに構成。(同展チラシより) ▼植物画好きには嬉しい展覧会。「田園の叙情詩」「花の素顔」「モネ−水辺と緑」「楽園の花と緑」は、全体を包む雰囲気良し。緑あふれる風景を歩き、花々の色彩やモネの睡蓮に漂い、最後は熱帯にワープ。作品単位では、シダネル「離れ屋」の夢と現実の狭間、マルケ「風景」の何でもなさと好みの色の同居具合。この辺りに惹かれました。目当てのルソーも、やはり良かった。 ▼流し気味だったのが「アルカディアの庭」と「街の麗花と緑」。画中の女性他が少々目障り。純粋に花と緑を楽しみたい気分だったもので。作品自体が悪いわけではありません。別の展覧会で見たならば、気になることはなかったかと。(09/25) グッズ売場に花の種がありました。展覧会の特性を生かした商品。 |
▼日本の美術、世界の美術─この50年の歩み 7月15日〜9月26日 ▼現代日本の横顔:柳 幸典《ヒノマル・コンテナー(ヤマトUMULUS TYPE\)》 ▼特集展示:駒井哲郎の銅版画 もれる光と魚と。叙情的な。ちょっとクレー入ってる。タイトルが文学青年。 ▼以下、とりとめなく書き留めてみます。 今井俊満:色使いが何故か癇にさわる。菅井汲:日本へのアプローチ。団扇や家紋を連想させる作風。いたってシンプル。フランク・ステラ「クォスランバ」:1964年作。まだまだ前面に張り出しません。立体化、微塵も無し。この辺りのステラが好きです。三木富雄「EAR」:耳の不思議な造形に目が行く性質。なので、「耳」に魅入られる感覚はわかるような気がします。感覚の種類は異なると思いますが。三木富雄の耳に囲まれたいという、個人的希望あり。どこかで耳展を開催してくれないかと。なんか、以前、松濤美術館でやったことあるみたいなのですが。(09/25) |
▼日本初公開となる「文官俑」「百戯俑」「残俑」や兵馬俑を一堂に展示。また、1級文物を中心に、秦の時代に使用されていた兵器、儀式用の器など合計134点の展示品を紹介。(同展チラシより) ▼最初に、地下坑を再現した展示。土の上に兵馬俑が並んでいます。工夫は認められますが、もっともっと並べ、迫力を強化して欲しかったです。傍らの現地写真と比べると、空しさ倍増。通路の脚元部分には、掘りたてを再現したと思しき展示もありました。バラバラ状態の兵士が、土に埋もれ気味。他の展示は、一番上の記載通り。色彩が微かに残る俑、柄が金製の鉄剣、馬用金製装飾品が印象に残りました。 ▼始皇帝の文化や、全体像を紹介するという意味においては、多分正解。しかし、個人的には拍子抜けな展覧会でした。大兵馬俑展ということで、多量に持って来ているのではと期待していたのに。中に格下げ。(09/26) 期待の仕方がおかしいのかも。 |
▼平成館企画展示室 特集陳列「中国宋時代の彫漆」 9月7日〜10月3日 ▼本館は9月1日にリニューアルオープン。ゆとりの空間と椅子増殖が、展示数の低下に直結。してませんか?展示室が妙に広々してるような。 ▼本館2階:日本美術の流れ ▼2階:企画展示 特集陳列「肖像画」 9月1日〜10月11日 ▼本館1階:ジャンル別展示 歴史資料 特集陳列「田中幸穂氏寄贈」 田中房種博物図譜資料 9月1日〜10月11日 ▼東洋館と法隆寺宝物館は、時間切れでまわれず。端折ったつもりなのに、だらだら文になるのは何故。(09/26) |