第1話 転倒した天道虫
あるところに、働き者の、てんとう虫がいました。
28歳で独身の彼は、現在、(有)クワガタ運送で働いています。30歳になるまでには家庭を持とうと思い、2年3ヶ月つきあっている紋黄蝶の彼女との結婚を、考え始めています。
紋黄蝶の彼女は、箱入り娘なので、ジミ婚というわけにはいきません。
てんとう虫は、結婚資金を稼ぐために、昼の仕事だけでなく、夜勤もこなすようになりました。
ある夜勤明けの朝、眠い目をこすりながらハンドルを握っていると、ふいに横道からハサミ虫が飛び出してきました。それをさけようとして、てんとう虫は急ハンドルを切り、そのまま横転してしまいました。
「バッカヤロー、どこ見て運転してやがるんだ〜」と、捨て台詞を残して、ハサミ虫は行ってしまいました。
救急車で運ばれたてんとう虫は、思いのほか重症で、即座に入院することとなってしまいました。全治3ヶ月です。
日給月給制なので、入院している間は、給料が出ません。結婚資金どころか、来月のアパート代が払えるかどうか心配になってきました。
そんなとき、お見舞いにきてくれた赤トンボが、「仕事中の事故なら、労災保険が使えるよ」と教えてくれました。
そこで、てんとう虫は病院から社長に電話をかけてみたのです。
ところが驚いたことに、「うちみたいな零細企業は、労災保険には加入していないよ」と、言われてしまいました。
火災保険に加入していなければ火事になっても保険金は出ませんし、生命保険に加入していなければ死んでも保険金は出ません。労災保険も「保険」である以上、加入していなければ、保険金が支払われないに違いありません。
てんとう虫は、途方にくれてしまいました。
仕事中の事故なので、健康保険も使えません。このままでは、入院費用や治療費は、全額自己負担になってしまいます。
てんとう虫は、ひとり泣きつづけていました。
涙をふいて、ふと空を見上げると、一匹の見たことのない虫が、こちらに向かって飛んできます。
「こんにちは。ぼくは、しゃかいほけんろう虫っていうんだ。君の悩みを解決してあげるよ」
その虫は言いました。
そういえば、村のはずれに配達に行ったときに、そのような伝説の虫がいる、と誰かが噂をしていました。
すぐに、しゃかいほけんろう虫は、なにやら、あやしげな呪文を唱え始めました。
「セイビホー、ダイジューハチジョー、ギョームーサイガーイニカンスールホーケンキューフノトークーレーイー、とりゃーっ!」」
すると、たちまち、診察代も、入院費用も無料となってしまいました。しかも、休んでいる間も、お給料の80%程度が、どこからともなく、てんとう虫に支払われたのです。
「これでもう、大丈夫だね。それじゃ、またどこかで会おう」
そう言い残すと、しゃかいほけんろう虫は、都道府県会で定められている報酬を受け取り、大空に向かって飛び立ちました。
「ありがとう、しゃかいほけんろう虫〜!名前が長くて覚えづらいよ〜」てんとう虫は、去っていくその姿に叫びました。
「平成15年4月からは〜、報酬が自由化されるから〜、見積もりを取ることを忘れずにね〜」消え行くその姿から、力強い声が聞こえてきました。
めでたし、めでたし。
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