「無断リンク禁止/直リンク禁止」命令に関する想定問答集

―不本意なリンクをされて困らないために―

目次

初めに

 多くのウェブサイトを見ていると、「無断リンク禁止/直リンク禁止」(※1)を謳い、 そのような行為に対して過激な攻撃(罵倒や相手サイトのキャプチャ晒しなど)(※2) を行っているサイトがしばしば見受けられます。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
 これは「管理人には、当然に相手のリンクの仕方を自由に指示する権利がある」といった考え方によるもの であるように思います。はっきり言いましょう。そのような考え方は間違っています。このページは、 そのような考えの管理人の方々への提言です。

 さて、ここで考えてみましょう。何故、多くの人々は管理人の「無断リンク禁止/直リンク禁止」といった命令を無視し、 そのようなリンクを行うのでしょうか?
 理由は簡単です。WWWは自由なリンクによって効率的に情報を共有することを目的として作られた道具であり、 そこで公開しておきながら「リンクするな」と言われても多くの人は「何言ってるの?」「え、何で?」 程度にしか思わないのです。
 無論、無断リンクや直リンクをしないで欲しい理由が妥当と思ったのなら、相手はリンクしないでしょう。 ここで重要なのは、「自分のサイトに無断リンクや直リンクをしないで欲しい管理人には、 何故しないで欲しいのかを相手に説明し、納得してもらう必要がある」ということです。
 もしも意に添わないリンクをされてしまったのなら、それは基本的にはリンクされた側が相手を説得することに失敗した だけであり、リンクする側の問題ではありません。当然リンクした側をそれで非難することはできませんし、 ましてや「分かってくれなかった、何てひどい人だ!」などというのは問題外です。

 私は別に、何も考えずにどんどんリンクすべきだ、他人のリンクの仕方に注文をつけるなんて許されないことだ、 等と言う気はありません。リンクの仕方について要望を述べるのは無論自由ですし、その要望に従うことが妥当と思える場合もあります。
 ただ、無断リンクや直リンクを嫌がる管理人は、そういったリンクの仕方が否定できないものであることを認識し、 それでもそういったリンクが嫌ならそのことを相手に理解してもらうよう努力する必要があるのではないでしょうか。 相手に理解してもらう努力もCGIなどでアクセスを制限する努力もせずに威圧的な命令をする姿勢には、 問題があると言わざるを得ません。

 以下は、いずれもカビの生えた「無断リンク禁止/直リンク禁止」の根拠と、 それらに対する私なりの回答の例文集です。私は、以下のような根拠からの「やめろ!」という命令と、 それに対する「何言ってるの?」というやり取りを何度も見てきました。
 はっきり言って、これらのような根拠で「無断リンク禁止/直リンク禁止」を主張しても 相手に従わせることは難しいのではないでしょうか。本当にそのようなリンクをされたくないのであれば、 以下のような主張はなさらない方が良いかと思います。
 無断リンクや直リンクを嫌がる方に参考にして頂ければ幸いです。

想定問答集

Q1.無断でリンクするなんて、著作権の侵害だ
A1.違います。「社団法人著作権情報センター」の 「無断でリンクを張ることは 著作権侵害となるでしょうか。」をご覧下さい。
 また、時々「無断リンクは法で規制されてはいないが、言わば法をかいくぐるような行為であり、好ましくない」 といった主張をなさる方もいますが、これも間違いです。著作権法は『文化の発展に寄与する ことを目的とする(著作権法第一条より)』……つまり、著作者と著作物の利用者双方の適正な権利を定めた法律であり、 著作者の主張を無条件に認める法律ではありません。 ウェブページが公開された著作物である(『著作物は、 第二十三条第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者によって送信可能化された場合には、公表されたものとみなす(著作権法第四条二項より)』)以上、 自由な言及・紹介・参照の対象であることは著作権法からも当然であり、無断リンクは法律上なんのやましさもなく行える行為です。
 むしろ、相手の正当な権利を否定することにこそ、法律上問題があると言えるのではないでしょうか。(関連:Q2
Q2.自由にリンクをしたいという人もいるが、それを嫌がる人もいる。それらの気持ちは等価であり、 どちらが正しいかなど決められるものではない
A2.その考え方は半分正しく、半分間違っています。
 憲法で定められた中でも特に重要とされている権利に「内心の自由」と「表現の自由」があります。その一つ、 内心の自由という観点から考えた時には「自由にリンクをしたい」という気持ちと「リンクされたくない」 という気持ちは等価であり、いずれも否定することはできません。そういう意味では上の主張は確かに正しいでしょう。 しかし、その気持ちを実現しようとなると話は別です。何故なら、「リンクされたくない」という気持ちを 命令などによって実現することは、他人の表現の自由を否定することになるからです。 そういう意味では、上の主張は完全に間違っています。
 内心の自由からすれば「人を殺したい」という気持ちも「殺されたくない」という気持ちも確かに等価でしょう。 しかし、他人の権利を否定する気持ちを力ずくで実現することは許されないのです。 どうしても他人に権利を行使して欲しくないのなら、その希望は説得によって実現されるべきではないでしょうか。
Q3.他人のサイトを誹謗中傷してもよいと言うのか
A3.自由なリンクを認めることはリンクに付記されるどんなコメントも認めることだ、と考え、 無断リンク禁止を主張する人は時々います。しかしそれもまた、間違った考えです。
 いくらリンクが自由であろうと、リンクに添えるコメントが違法であってよいことにはなりません。 誹謗中傷は違法ですから、文句を言う・訴える等、然るべき措置を取ることができますし、 無論誹謗中傷以外の問題あるコメントについてもそれは同じです。 それはリンクのコメントの問題であって、リンクの問題ではありません。 (ですからその場合、「リンクに添えられた誹謗中傷を削除しろ」とは言えますが、「リンクを削除しろ」と言うことは できませんし、言っても意味がありません。リンクはされていなくても、誹謗中傷をされたままでは問題の解決にならないのですから。)
 また実際問題として、無断リンク禁止をいくら主張したところで、誹謗中傷をするような人間が それに従ってくれる可能性はまずないでしょう。そのような問題あるコメントをされることをどうしても 防ぎたいのであれば、アクセス解析を行ってリンク元を把握する方がはるかに現実的ではないでしょうか。
 思うに、問題あるコメントをされないために無断リンク禁止を主張するというのは、 「本には間違いや嘘、時には誹謗中傷が書かれることがある。だから言及される相手に無断で本を出版してはいけない」 というようなものではないでしょうか。
 著作物を公表する者には良識が求められるべきであり、そして、良識のない者でも自由に発言をしうるウェブという場は 確かにそういう意味で危険ではあります。しかし、そういう危険を恐れる余りに他者の発言の自由を否定するというのは さらに危険な考え方であると思います。
Q4.法律的に問題なくても、社会は法律だけで動いているわけではありません。 画面の向こうには生きた人間がいるのであり、相手がリンクしないで欲しいと言うのならしないのが社会常識であり、 マナーでしょう
A4.作品を公開する際には読者などの受け手にあれこれ命令をしないのが社会常識であり、マナーであると思います。
 例えば、買った本に「この本を作者の許可なく他人に紹介してはいけません」と書いてあったら、 それに従わないと非常識なのでしょうか? むしろ、そのような命令をする作者こそが非常識なのではないでしょうか?  (関連:Q5
Q5.リンクは自由と言う人は、 権利があるなら人の嫌がることをしても良いと思っているのですか?
A5.「無断リンク禁止/直リンク禁止」といった命令自体が、 既に相手を嫌がらせていることを理解された方がよいのではないでしょうか。
 恐らく、公開された著作物(例えば本や映画など)に「この作品を作者の許可なく他人に薦めることを禁じる」とあったら、 少なからぬ人が嫌だと感じるのではないでしょうか。少なくとも私は嫌です。そして、あなたの主張はそれと変わりません。
 「人の嫌がることを決してしてはいけない」と仰るのなら、 金輪際「無断リンク禁止/直リンク禁止」などという命令は止めて頂きたいと思います。
Q6.私は知らないところからリンクされたくないんです。 それなのに、リンクしてくる人がいるんです。これってひどい嫌がらせだと思います
A6.例えるなら――私は青い服が嫌いなんです。それなのに、街を歩くと青い服を着た人がいるんです。 これってひどい嫌がらせだと思います――そんな感じでしょうか。
 つまり、家を出た時点であなたは「どんな色の服を見ても大丈夫な人だ」と見なされてしまうのです。 自らの意思で街に出ておいて通行人に「青い服を脱げ」と命令するのは無茶なことです。 青い服が嫌いな人は、我慢しましょう。どうしても青い服を見るのが耐えられないのなら、 家を出ない(ウェブサイトを作らない)ことです。
 尚、「青い服を脱いで頂けませんか?」と相手にお願いをするのは全く問題ありません。 しかし、相手がそのお願いに従わなかったからといって非難することはできません。
Q7.権利を振りかざす人間には問題があると思います
A7.「無断リンク禁止/直リンク禁止」といった命令はありもしない権利を振りかざしているのですが、 それは問題ではないのでしょうか。
Q8.コンテンツへの直リンクはサイトをないがしろにしており、失礼だ。 リンクはトップページにするべきだ
A8.確かに、ないがしろにされたと捉えることは可能でしょう。 ただ、公開された作品が自由な参照・評価の対象になるのは当然であり、それが失礼であるとは言えません。 本のある箇所が特に面白い/参考になると思ったのなら、その部分を他人に薦めるのはごく普通の行為でしょう。 それが作者の意図に反していたとしても、決して非難されるべき行為ではありません。
 ちなみにこの問いの理屈で言うなら、コンテンツへの直リンクではなく トップページにリンクして「○○→◇◇とクリックしたところにある△△が面白いです/参考になります」等と紹介されたところで、 やはりそれはサイトをないがしろにしていることになるように思うのですが。(関連:Q9
Q9.作者に敬意を示すべきだ
A9.私は、作者が受け手に要求できる敬意というのは「正当な対価を支払って作品を入手すること」と 「他の受け手の邪魔をしないこと」だけであると考えます。社会通念上にない命令を聞くのが作者への敬意だとは思えません。
 例えば、もしも買った本に「この本を作者の許可なく他人に紹介してはいけません」と書いてあったら、 それに従わないと作者への敬意がないことにされてしまうのでしょうか? (関連:Q4
 尚、私にはむしろ、根拠も示さずに無断リンク禁止/直リンク禁止を命令する管理人というのは、閲覧者に敬意を持っていない のではないかと思えます。本当に敬意を持っていたら、何の説明もなく他者の権利を否定することなどできないのではないでしょうか。
Q10.コンテンツに直リンクされた場合、 アクセスカウンターが回らない。そんなリンクは問題だ
A10.閲覧者は管理人のためにウェブサイトを見ているわけではなく、カウンターを回す義務などはありません。 また、カウンターを回すことをサイト閲覧の対価のようにお考えなのかも知れませんが、 やはり閲覧者にはそのような対価の支払い義務などはありません。
 そもそも「トップページのカウンター=そのサイトの累計閲覧者数」という考え方には無理があります。 掲示板や日記を直接ブックマークに加える人は珍しくありませんし、逆にトップページを少し見ただけで閲覧を止めた人もいたでしょう。 自分のサイトがどれだけ見られているのかを正確に知りたいのなら 各ページにカウンターを取り付けるべきなのではないでしょうか。 むしろ特定のコンテンツを見ることだけが目的の閲覧者がトップページのカウンターを回すことが不自然なのです。
 尚、直リンクされたコンテンツが面白いものであるなら閲覧者はトップページを含む他のページも見るでしょうし、 そのサイトをブックマークに加えることもあるでしょう。直リンクに怒るよりも、 閲覧者にそう思わせるコンテンツを作るように努力する方が前向きかと思います。
 ただ、「私はカウンターが回ればやる気が出ます。だからカウンターを回して下さい」 とサイトに書くのは管理人・閲覧者双方に利益のある(かも知れない)提案であり、結構なことかと思います。 無論、そこまでして管理人を励ましたいと思わない人にもそのサイトを参照する自由はあるのですが。
Q11.コンテンツに直リンクされると、 注意書きを読まないで閲覧者が入ってくることになる
A11.そういうリンクの仕方をした人は、注意書きを真っ先に読む必要はないと判断したのでしょう。 それはリンクする側の裁量の範囲内であり、否定することはできません。前書きを飛ばして本を読むよう薦めようが、 いきなり本を第2巻から読ませようが、それは薦める側の自由でしょう。(関連:Q22
 確かに閲覧者が読むべき注意書きなら、それをまず読めるような形でリンクすることは多くの場合親切な、 推奨されるべき行為でしょう。 しかし、最初に読むべき注意書きかどうかを判断するのは結局はリンクする側です。 検索エンジンでやって来る人も予想される以上、管理人は「最初に読まれるべき」と考える注意書きは どこから閲覧者が来ても目に付く場所に書いておくか、あるいは各ページからリンクしておいた方がいいのではないでしょうか。 (但し、アダルトコンテンツに注意書きなくリンクすることは別の意味で問題になるかも知れません)
 尚、上のように書くと「管理人にそこまでの負担を強いるのか」と言う方がおられそうですが、 私は管理人がそこまでするべきだと言う気は全くありません。 そもそも注意書きというのは基本的に閲覧者の正当な利益や権利を守るためのものなのですから、 それを飛ばすようなリンクで閲覧者の利益や権利が損なわれてもそれはリンクした側の責任であって、 リンクされた側がそこまで気にする必要はないのです。 ただ、それでもあなたがそういうリンクで権利を損ねられるかも知れない閲覧者のことまで守りたいなら、 あなたがそういう構成のサイトを作ればよいのではないですか、と私は言いたいのです。
 但し、注意書きを飛ばすようなリンクを行う側は、リンク先について閲覧者が誤解しないような紹介を心がけるべきとは言えるでしょう。 リンク先のサイトのためではなく、自分のサイトの閲覧者のために。ひいては自分自身のために。 ただ、それらはリンクのコメントの問題であって、リンクの問題ではありません。(関連:Q3
Q12.自分のサイトで何を主張しようと自由だと思います
A12.その通りです。管理人は自分のサイト内で(法律・マナーなどの範囲内で)自由な主張を行うことができ、 例え「自分は無断リンク/直リンクはして欲しくない」と主張しても問題はありません。 しかし、他のサイトの管理人もまた自分のサイトの中で自由に主張を行うことができ、 その自由な主張の中にはリンクも含まれるのです。
 但し、自分のサイトの中で「自分は無断リンク/直リンクはして欲しくない」と主張することは問題ありませんが、 「無断リンク/直リンクは良くないことだ」といった主張をすることには問題があります。 それは例えるなら、「青い服を着て街中を歩くのはマナー違反です。何故なら、人間は青い服が嫌いなものだからです」 と広めるようなものではないでしょうか。 その嘘を信じてしまった人は、そのまま街中に出て青い服を見て傷つくことになるかも知れません。 それはその嘘を信じてしまった側にとっても、青い服を着ていた側にとっても、不幸なことであると思います。
 (尚、細かい話をすると、「無断リンク禁止/直リンク禁止」とサイトに書くこともまた「自由な主張」の範囲内であり、 してはいけないとは思いません。しかし、何の説明もなく他者に命令をするような 姿勢が好ましいものとは思えませんし(関連:Q4)、また、 そのような但し書きが「無断リンク/直リンクは悪いことであり、禁止してよい」という誤解を招く可能性も あることから(関連:Q19)、そのような表現は問題があると私は考えます。 参考:「「ベンチマーク禁止はダメ」の判決」)
Q13.個人サイトは、その管理人の国です。管理人の法律には従いましょう
A13.他の管理人のサイトに適用されるのは他の管理人の法律であって、 あなたの法律ではありません。(関連:Q12
Q14.○○系のサイトは、○○系をよく知らない人間からすればキモイんです。○○系でないサイトから○○系のサイトにリンクするなんて、 その管理人は自分のサイトのお客さんにキモイものを見せているんです」 (○○には「同人」「芸能」といった言葉が入るようです)
A14.キモイかどうかは、各閲覧者が決めるものです。あなたが決めるものではありません。 例え本当にキモイと感じた場合でも、それは閲覧者自身が自らの意思で自らが傷つくことを選んだだけです。 別にあなたがそんな心配をする必要はありません。
 あなががもしも本当に閲覧者のためを思うなら、黙って閲覧者の判断に任せましょう。
Q15.トップページ以外はアドレスが変わることがあるから、 直リンクをしてはいけない
A15.直リンクをする側は、アドレスが変わる可能性があること位は分かっています。 将来アドレスが変わるかも知れないというリスクよりも当面はそのページがすぐに見られるメリットの方が大きいか、 もしくはリンク切れをチェックできると判断したのでしょう。 別にあなたがそんな心配をする必要はありません。
 あなががもしも本当にリンクする側のためを思うなら、トップページ以外のアドレスもなるべく変えないようにしましょう。
Q16.企業のサイトには確かに責任があり、無断リンクしても問題ない。 しかし、個人のサイトにそんな責任はない
A16.個人のサイトでも内容によっては社会に影響を与えることもありますし、逆に批判されることも、 法的な処罰を受けることすらあります。個人のサイトが負う責任は、企業のサイトとなんら変わりはありません。
 尤も、責任「感」のない個人サイト管理人は確かにいるでしょう。しかし「個人サイトの管理人=責任感がない」 などという見方は個人サイトの管理人を下に見た失礼なものであると思いますし、 そもそも責任の有無と責任感の有無は無関係でしょう。
 (無論、サイトを見た上で「ここの管理人には責任感がない」と判断するのは閲覧者の自由ですし、 「だからここにリンクするのは止めておこう」というのもそれはそれで一つの考え方でしょう。 が、そういう判断抜きで一律に「個人サイトの管理人には責任感がないから自由にリンクするべきではない」というのは、 差別的とすら言える考え方であると思います。)
Q17.無断リンク・直リンクが嫌ならhtaccessやCGIを使えと言うが、 無料のサーバーでは使えないことがあるし、知識も必要だ。 金と知識のある人間以外はウェブサイトを作るべきではないと言うのか
A17.より多くのことをしようとするなら、より多くの対価が求められるのは当然です。 「私はお金を払うのも努力をするのも嫌だ。それを補うために、他の人は私の命令を聞くべきだ」とはおかしな話です。(※3
 尚、無料でもhtaccessやCGIが使えるレンタルサーバーは幾つかあります (参考:「無料ホームページ・無料サーバー CGI可-Kooss」、 「タダでつくるホームページ」)。
Q18.○○系は危険を伴うジャンルであり、リンクされただけで閉鎖してしまうこともある。 そういうデリケートなサイトにリンクする際には、管理人の指示に従うのが当然だ」 (○○にあてはまるのは主に「芸能」で、時たま「同人」もこれに該当するようです。)
A18.あなたのサイトがデリケートなのはあなたの問題です。自分に問題があるから他人に命令できる、 とはおかしな話です。
 まずはあなたがリンクされても閉鎖しなくてすむようなサイトを作るのが先決であり、どうしてもそれが不可能なら、 サイト上で「どうかリンクしないで下さい」と(命令ではなくて)お願いをするべきでしょう。 実際にリンクされただけで閉鎖するようなサイトがウェブ上で活動を続けるのは困難であると思いますが、 困難な道を選んだのはあなたなのですから、あなたが努力するべきです。他人に責任を押し付けてはいけません。
Q19.同人系のサイトでは無断リンク禁止/直リンク禁止を掲げるサイトが多く、 それがそのジャンルのルールとなっている
A19.本当に多いのかは知りませんが、そうだとしたら 「同人系の無断リンク禁止/直リンク禁止のサイトを参考にして別の人がサイトを作り、またそのサイトを参考に別の人が……」 という純粋培養が行われたのではないかと思えます。それを「ルール」と主張しても、他者は納得しないでしょう。 不勉強な人が集まって自分達に都合のよいルールを主張しているようにしか見えません。
 尚、上のような主張は本当に多いのですが、私にはそういうサイトが多数派だとはどうも信じられません(※5)。 同人系のサイトの掲示板などで「リンクは自由かどうか」が議論になっているのを何度か見ましたが、私が見る限りではリンクは自由、 という主張が常に多数派でした。確かに少数の人間が別名で何度も書き込んでいる可能性も否定はできませんが、 例えば「グランドラインの歩き方」 の掲示板でそういう議論が行われた時には、無断リンク/直リンクに否定的だった管理人氏に対して5日に渡って10人ほど(?)が リンクの自由を説き、その間に管理人氏を擁護する(そういったリンクを否定する)書き込みは全くありませんでした。
 同サイトは多数の同人系のサイトから「ネチケットサイト」としてリンクされ、 その時点でアクセスも累計10万ヒットを優に超えていた、言わば「人気サイト」です。 そういう、少なからぬ同人系の人々の目に入っていたであろう議論での結果がそうだったというのは 大変興味深い現象なのではないでしょうか。(多数派だから正しい、というのは危険な考え方だとは思いますが。)
 無論、「同人系のサイトにそういったリンクをすべきではない正当な理由」があるのなら、 それを示せば殆どの人は従うでしょう。が、実際には「無断リンク禁止/直リンク禁止」を謳う殆どの同人系サイトは その理由を全く説明してはくれず、それで相手に命令をしようというのはあまりにも無謀であると言わざるを得ません。
 (ちなみに、同人系のネットマナーサイトでも 「同人ネットマナー」、 「やおらヤオラー研究」、 「未成年同人娘のためのネットマナー講座」、 「手塚部長のネチケ講座。(閉鎖)」、 「マンキンキャラが教えるネットマナー(消滅)」のように、 リンクが自由だと説明しているサイトは幾つもあるのですが……。関連:Q20
Q20.確かに、以前はリンクは自由でも良かったのかも知れません。 しかし、今はそれを嫌う人も増えてきています。時代によってルールが変わっていくのは当然ではないでしょうか
A20.私には「初心者や不勉強な人も時にはいるが、その多くはじきにリンクは自由なものであることを学んでいる」ように思えます。
 例として挙げさせて頂くなら、ネチケットについて述べた「やおらヤオラー研究」や 「未成年同人娘のためのネットマナー講座」、 「手塚部長のネチケ講座。(閉鎖)」、 「マンキンキャラが教えるネットマナー(消滅)」は、 途中から内容をリンクが自由であるというものに変えています。また、Q19で触れた 「グランドラインの歩き方」の管理人氏も、 掲示板でのやりとりの結果考えを変え、これから修正コンテンツを公開されるとのことです。 (参考:「今後の運営方針。(ページ消滅)」)
 そして、私の知る限りでは、逆にリンクは自由だと説明していたサイトが方針を変えた例はありません。 これは、「無断リンク禁止/直リンク禁止という主張が誤解や不勉強によるものであり、 学習によって修正される」ことの証明であるように思うのですが、如何でしょうか。(関連:Q19
Q21.ウェブサイトは家です。 トップページ以外のページにリンクするなんて他人の家に裏口から入るようなもので、犯罪と変わりません
A21.ここは、「どの家のどの部屋にも自由に出入りできる町があったらさぞ便利だろう」 という考えから作られた町なのですから、あなたの主張は全くの見当違いです (参考:「ティム・バーナズリー氏のインタビュー」)。 家に自由に出入りされるのが嫌なら、こんな町に家を建てるのは止めることをお勧めします。 他にもメディアは沢山あるのですから、そちらで家を建てればよいのではないでしょうか。
 とは言え、勝手に出入りされたくない家を建てるのは無論自由です。しかしそういう人は、 他人が作ったシステムを本来とは違う用法で、他人の協力の上で利用させてもらっていることを自覚し、 もっと謙虚に振舞うべきではないでしょうか。私には、上の主張は 「私は、道路に自由に寝転がりたいんです。 他の人は私を轢かないよう注意して運転すべきです。」 と言っているのと変わらないように思えるのですが。
Q22.直リンクを本の途中を人に薦めることに例えていたが、 推理小説の謎解き部分から読むよう友人に薦めたりしないだろう
A22.別に、読者には作者の意図どおりに本を読む義務はありません。
 もしもある読者が「この推理小説は謎解き部分から読んだ方が面白い」または 「謎解き部分のみに読む価値がある」と思ったのなら、そのように人に薦めても何ら問題はありません。 それに対して作者が「そのような薦め方は禁止だ」などと言うのは、傲慢というものでしょう。 (関連:Q8
 但し、直リンクを行う際には、ウェブという媒体の性質はある程度考慮されてもいいように思います。 例えばこの例の場合なら、推理小説を謎解き部分から読むように薦められた側がその薦めを無視して その本を初めから読みたいと考えることはあるでしょうし、実際にそうすることは容易です。 が、ウェブで謎解き部分に直リンクされて作品を薦められた閲覧者は、 それが推理小説の謎解き部分であることを知らず、「初めから読もう」と考えることができないかも知れませんし、 最初から読もうと考えても最初のページがどこか分からない可能性もあります (これはリンクされた側のナビゲーション次第でしょうが)。 そして、結果として最初から読めなかったことが閲覧者にとって不利益となる場合もあるでしょう。 直リンクする側はこのような可能性も考え、場合によってはリンク先がどのようなページであるかを詳しく述べる・ トップページへのリンクも併記するなどした方が閲覧者に対してより親切かと思います。(関連:Q11

最後に

 冒頭でも述べたとおり、私は、あらゆる「無断リンク禁止/直リンク禁止」という主張が間違っていると思っているわけではありません。 TPOによってはそれが適切な場合もあるでしょうし、それを前提としたサイトを作ることだって否定する気は別にありません。 ただ、そういうサイトを作ることをあまりにも安易に考えている管理人がいる、それが私には理解できないのです。

 ウェブで公開する以上、まず、多くの人の目に触れることを覚悟しましょう (参考:「よいウェブページを書こうとする人のためのヒント」)。 どうしてもある種のリンクをされたくないのであれば、htaccessやCGI等を使い、自衛しましょう (関連:参考リンクの「アクセス制限など」)。 それが無理なら、納得のいく「リンクされたくない理由」を示し、相手を説得しましょう。 それも無理なら、せめて「威圧的な命令」ではなく「お願い」をしましょう。
 本当にされたくないのなら注意書きにただ単に「無断リンク禁止/直リンク禁止」と書くだけなんて、 そんなのは下策です。いざそういうリンクをされたらいきなり切れて罵倒したり、 相手サイトをキャプチャして晒したり(※4)、そんなのは下の下です。

 達成すべき目標があるなら、最善を尽くすべきです。そして、そのための最善の手段は恐らく
 CGIなどによるアクセス制限>納得いく理由による説得>お願い>それ以外の手段
であると私は思います。少なくとも断じて
 命令>罵倒、キャプチャ晒し>それ以外の手段
ではありません。

 本稿をお読みになった方の中には、上記の回答に納得の行かない方もおられるかも知れません。 が、「リンクが自由だなんて間違っている」と信じて上記の問いのような主張を繰り返されたところで、 相手は相手で勝手にリンクするだけでしょう。それは結局、「無断リンク禁止/直リンク禁止」の敗北なのではないでしょうか。

 繰り返しますが、私はリンクする側がなんでもかんでも好き勝手にリンクするべきだと思っているわけではありません。 実際問題として相手サイトの管理人の機嫌を損ねないことが重要な場合もあるでしょうし、そういう場合でなくても、 自分のサイトの閲覧者を不愉快にするようなリンクをすればそれは結局は自分の首を締めることになるでしょう。

 ただ、最終的には「どのようにリンクするべきか、或いはリンクをするべきではないのか」はリンクする側が 決めることであって、される側が決めることはできません。 本当に無断リンク/直リンクをされたくないのであれば、根拠を示さずに命令をするよりも良い手段が他にあるのではないでしょうか。

注釈

※1……

 本稿でいう「直リンク」は、「トップページ以外のページへの直接のリンク」という意味で用いています。 同「ディープリンク」。
 尚、同じ言葉が複数の意味を持っているため誤解されている方もいるようですが、「リンク」と言われるものの一部は、 WWWに於いて自由とされる「リンク」とは異なるものです。

「リンク」とはHTML文書中で<a>要素(ないし<link>要素や <area>要素)にhref属性を用いてURLを指定している場合のことです。 <img>要素等にsrc属性によってURLを指定している場合はリンクではありません。

(「ウェブページのリンクおよびその他の利用について」より)

 確かに、他のサーバーにアップロードされた画像を<img>要素によって表示させる (例1:他のサーバーにアップロードされた画像とお考え下さい)ことも、 同じく他のサーバーにアップロードされた画像ファイルを<a>要素で表示させる(例2)ことも、 他のサイトのトップページ以外のページにリンクする(例3)ことも、 全て「直リンク」と呼ばれます。が、これらは全く別のものです。
 リンクの自由は、例1のような表示方法を保証するものではありません。(→初めにに戻る)

※2……

 ちなみに、私自身は今までリンクの仕方について何か言われたことはなく、 罵倒やキャプチャ晒しなどを私が喰らったわけではありません。それらはいずれも、 私がこれまでに傍観者として見た騒ぎでの出来事です。
 更に言うなら、私自身はこれまでそういった議論に参加したことはありません。Q19で触れた掲示板の議論について、「どうせあなたもその一人なんだろう」と思われそうなので、一応。 (→初めにに戻る)

※3……

 余談ですが、レンタルサーバーには隠しページ(トップページからリンクをどう辿っても行けないページ) や成人向けのコンテンツの作成を禁じているものがありますが、「無断リンク禁止/直リンク禁止」を主張される方が その規約を破っているのを私は何度か目にしています。自分はウェブのルールどころかレンタルサーバーのルールも守れないのに、 他人は自分のルールを守らねばならない、というのはどういう理屈なのでしょうか。(→Q17に戻る)

※4……

 ※2に同じ。(→最後にに戻る)

※5(03年7月18日追記)……

 この件に関して、興味深い文章があることを知りました。
 「日刊なりむちゃんねる」の 「03月06日 個人サイトのローカル色(ログ消滅)」 によれば、『「ネットマナー トップページ ブックマーク」で検索してみると…なんとヒットしたサイトの9割以上が、 いわゆる「同人系サイト」でした!!!』など、同人系サイトのマナー・ルールに独特な傾向があることは事実のようです。
 しかし、では同人系サイトでは特殊なマナー・ルールが一般化しているのかと言うとそういうわけでもなく、

だからといっていわゆる「同人系」の全ての方が採用しているルールかというと、そうではないようです。 ためしになりむのとあるおともだちサイトの中の「同人系」のリンクをたどっていくと、ミナサマ 「リンクフリー」なんですよ(゜o゜) なので、正確に言うと「同人系サイトの中の一部のローカルルール」 ということになるのでしょうか。

……と、同人系サイトが一般的にリンクに関して厳しいとは言い難い、という調査結果が出ています。

 この調査が必ずしも同人系サイトの状況を示しているとは言えないかも知れません。 ただ、これは同人系サイトを見ていての私の実感とも一致しますし、かなり妥当な認識なのではないか、というのが 私の感想です。

 尚、同じく上で挙げたページの 「03月02日(ログ消滅)」 「03月04日(ログ消滅)」 の文章にもこの件に関する興味深い考察があります。
 特に、『トップページに 異常に固執する管理人さん』に関する『「トップページから必ず入る」ことによる見る側のストレスについて、 管理人はあまり考慮していないんでしょうね。』という発言には、その通りと思います。(→Q19に戻る)


尚、拙稿リンクとマナー、続編続・「無断リンク禁止/直リンク禁止」命令に関する想定問答集および誤解の理解-何故リンクが自由なのかも併せてお読み頂ければ幸いです。

公開:2003年1月17日 最終更新:2013年2月4日

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