注意!
アメリカに悪気はないんですが、悪い感じになっています。
イギリスは日本に夢見すぎ(私が日本に夢見すぎてるから)
ロシアさんがありえないぐらいの片想いっぷり<可哀想…
えー…ごめんなさい。上がダメな方はご遠慮ください(汗)
ありえない露日で未来予想図の続きですが、以下の文章はただの蛇足です。
日本総モテむしろ姫化?でもある意味ひどいひとです…。
…また終わりませんでしたー!!orz(敗北)
ご め ん な さ い…!!!
■非武装中立シミュレーション・前 中国がロシアに引きずられて去り、全身の被害状況を確認した後、杖をついて仕事に行こうとした日本はよってたかって自宅に押し込まれた。ワーカホリックもいい加減にしろというのが周囲の言い分だが、日本に言わせればこれぐらい大したことはない。100年前もっと酷い状態のときも仕事はこなしていたのだ。こんなときぐらい休んでくださいと懇願されて、ヤレヤレと肩をすくめた。 不本意な静養ではあったが慣れてみるとはっきりいって楽だ。ギックリやってしまった腰は中国仕込みの整体術を持つ台湾が看てくれる。家事も台湾が通ってやってくれるし、仕事はネットでできることだけやる。引きこもり体質にはあまりに甘美な環境ですね…これでミニスカナースでもいれば…いやいや!そんなことになったら社会復帰できなくなります!(台湾はリクエストすればやってくれるかもしれないが)いつまでも台湾の好意に甘えていてはいけないと苦笑する。 でも今だけは、引きこもれるのはありがたかった。消えてしまってもかまわないなんて一瞬でも思ったのは、殺伐とした国際社会の付き合いにすっかり疲れていたせいだろう。なんてバカなことを…と反省した。 引きこもりとはいっても客はひきもきらず訪れる。台湾は毎日やってくるし見舞いの客も来る。私って意外と友達多かったんですね…と日本は感激していた。 ■ ■ ■ 中国が攻めてきたときに来ていた近所の国々を除いて、次に顔を出したのは、意外なことにスイスだった。 「この馬鹿者がッ!!」 スイスは肩を怒らせてやってきて、開口一番雷を落とした。日本は反射的に身を竦めた。 「こうなることは分かっていたであろう!何故何の備えもせんのだ!これで分かったであろう、軍事力なくして国体を維持するなど、夢物語に過ぎん!」 永世中立の平和的なイメージとは裏腹に世界に轟く軍事力を持つスイスが怒ると本当に迫力がある。 (でも引きこもりでいらっしゃるのに、わざわざ極東まで駆けつけてくださったんですよね…) こうして眉を吊り上げて怒鳴るのも、日本のことを心配してくれているからだ。その優しさに頬が緩む。 「何をニヤニヤしているのだッ!!」 「すみませんっ」 すかさず怒鳴られて首を縮めた。 ひとしきり日本を説教するとスイスは席を立った。そういえば世界会議の皆さんも来ないうちから、何しに来たんでしょう…と見れば、スイスは面白くなさそうな口調で大荷物を叩いて見せた。 「我輩は中立である。赤十字の精神に従い救援に来たのである。というわけでお前の背中側にしばらく滞在する。さらばだ!」 韓国は中国と日本を挟撃するために背後から上陸してきた。日本は抵抗しなかったので怪我は少なかったが、飛び蹴りされた腰をはじめ数ヶ所が荒らされていた。スイスはそこに向かうと告げ、嵐のように去っていった。 「すごい国ですね…」 客が来ているので奥に引っ込んでいた台湾がやってきて感想を述べる。スイスの言うことはもっともだと台湾も思ったが、怪我人にも容赦ないのには驚いていた。 「ヨーロッパ勢ではいの一番にいらっしゃって…、親切な方ですよね」 日本は怒鳴られても嫌そうではなく、ニコニコと答えた。 ■ ■ ■ しばらくするとアメリカとイギリスがやってきた。 「やあ!元気かい!?」 なぜかやたらとテンションの高いアメリカに日本は引き気味だが、当然アメリカは日本の反応などお構いなしで、どさどさと見舞いの品を積み上げて、どっかと布団の横に座り込んだ。 「何か困ったことがあったら言っておくれよ!」 「ええ、ありがとうございます」 絶交していたはずだがアメリカは気にしていないようだ。アメリカは非常事態の名の下にしばしば己の発言を翻す。寄せ書きなどを渡してくるから、今日は世界会議を代表してきたのだろう。 イギリスはアメリカの後ろで居心地悪そうにもじもじしていたが、会話が途切れたところで(会話というか、ほとんどアメリカがしゃべっていた)アメリカに向かって皮肉っぽく言った。 「お前、よく平気で日本の前に顔を出せるよな…」 「何でだい?」 アメリカは何を言われているのか分からなくて、きょとんとイギリスを見返した。その態度が気に障ったようでイギリスの語調が荒くなる。 「同盟を解消したら、こうなることは分かってただろ!?」 「だって日本も了承したんじゃないか、それに助けを求められたら俺はいつでも駆けつけるつもりだったよ?」 ヒーローだからね!と悪気のカケラもなくアメリカは笑う。イギリスは突っ込みようもなく絶句した。 「お前なあ…」 「ええ。アメリカさんはもう私の同盟国ではありませんから、気になさる必要はありませんよ」 にーっこり。 これ以上ないほどの完璧な笑顔で日本が言った。 「…うん、そうだね」 応えるアメリカの笑顔は完璧だったが、声は顔ほど輝いてはいなかった。 一方、何故かアメリカよりもイギリスが傷ついた顔をした。べそをかきそうなへの字口を見て日本が呆れたように言う。 「…何でイギリスさんがそんな顔をするんですか」 「別に」 何か思うところがあったらしい。 ところでさ、と空気を読めないアメリカが突然話題を変えた。 「いつ世界会議に復帰できるかな?中国の制裁動議を提出したいんだけど」 「え…?」 アメリカはてっきり中国の行動にお墨付きを与えていたのだと思っていたのだが。どうやらそうではなかったようで、日本に攻め込むなんて中国は酷いよね!と憤慨している。 「そんなことしなくていいです!」 「えっどうしてだい?「どうして!お前、侵攻されたんだぞ!何か理由があるんでしょうなんて言ってかばうつもりじゃないだろうな!」 明るく聞き返すアメリカの横で鬱々としていたイギリスがかぶせるように噛み付いた。 「私はそんな善人ではありません。ただ、もう戦争はごめんなんですよ」 目を閉じて、100年以上前のことを思い返す。 「だって私が中国さんに侵攻して国際連盟を脱退したときとそっくりじゃないですか…」 イギリスはぐっと詰まった。日英同盟を解消し、どんどん戦争に向かって走っていった…その頃のことを引き合いに出されると、イギリスは何も言えなくなってしまう。確かにあのときイギリスは(そのつもりはなくても)日本を切り捨てアメリカと共に日本を包囲し追い詰めたのだった。(その俺がアメリカを責めることは許さないか…)日本は誰のことも責めたりしないが、恥を知る身なれば、日本の真摯な黒い瞳の前では恥じ入らざるを得ない。 「制裁を行って国際的に孤立させれば、戦争に追い込まれていくしかなくなるんです」 経験から出た言葉には説得力があった。アメリカは世界中から村八分にされた経験がないから理解できないのだろうが、村八分にされれば、ますます外に牙を剥き、自国内で結束して己を守るしかなくなる。もちろん悪は正されなければならないだろうが、強硬な手段は避けられるはずの争いを生む。日本式のあいまいさは批判されることも多いが、争いを避けるには有効だ。その気になれば戦争は避けられるものだ。日本は自分に累が及ばなくても戦争なんてごめんだった。 ■ アメリカは中国が日本を滅ぼすつもりとまでは思っていなかったが、日本が攻められてもかまわないとは思っていた。ちょっと怖い目に遭って日本が泣きついてきて、もう一度有利な条件で同盟を結ぶというシナリオを描いていたのだが、そうはならなかった。それが大いに不満で、日本の家を出ると「日本は強情だね!」と口を尖らせて帰っていった。お前それは日本を舐めすぎだ…とイギリスは心の中でため息をつく。ああ見えて日本のプライドは高い。日米同盟は武器を取り上げられた混乱状態で、半ば無理やり結ばれたものだった。国防のことさえなければデメリットばかりの不平等な同盟を、日本から頭を下げて結びなおすことなどないだろう。 とはいえ丸腰の日本の国防は瀬戸際に立たされていることもまた確かで。それなのに日本は中国を責めようとしない。制裁動議を提出しても常任理事の中国に拒否されることは分かりきっているが、中国に対する非難を示す意味はあった。それすらしようとしない日本はそんなに敵を作りたくないのか。自国に侵攻してきたのだから敵に決まっているのに!侵攻してきた相手に対して日本は寛容すぎる。頑固な日本はあくまで非武装を貫き、それなのに弱者のように敵を威嚇して己を守ろうともしない。足元はギリギリでも涼しい顔をして美しい姿勢を守っていた。かつて好んだ日本の姿勢そのままに、正しいと思うことを誰にも強制せずに一人で黙々と、不利益をこうむっても文句も言わずに、しかもその美徳を呼吸するように自然に行っていた。かなわないな、と思う。 かつてのように―――また二人で歩けないだろうか?ふと夢想する。世界に誇る権力を持つ(今はアメリカには負けるかもしれないがとりあえず世界会議の常任理事だ!)俺の横には日本が立っていて、楚々とした佇まいで素直になれない俺をフォローしてくれる。誰もが腹に一物を抱える国際社会の中で、誠実で正直な国は信頼に値する。 …に、日本を心配してるわけじゃないぞ!俺のためだ!と誰が聞いているわけでもないのに心の中で言い訳しながら呟いた。 「しょうがない奴だな、俺がもっかい同盟を結んでやってもい…」 「日本君は誰とも同盟を結ばないってさ」 イギリスはビクリと肩を揺らした。振り返ると、そこにはロシアが立っていた。 ロシアに対しては色々問い正さなければならないことがあるが、咄嗟に浮かんだ疑問は、ロシアも同盟を持ちかけて断られたのか、というものだった。それは置いておいて当座の疑問に戻る。 「じゃあ再軍備か?それもいいけど、平和憲法を反故にするなんて残念だな…」 「ううん、彼は一度決めたことは絶対に守り通す国だよ」 なっ…とイギリスは眉根を寄せた。そんなこと、ロシアに言われるまでもなくよく知ってる。だけどそれじゃ…。 「…何考えてんだ!再軍備はしない、軍事同盟は結ばない、じゃあまた今度みたいなことが起こり放題じゃないか!」 「理解不可能だよね」 ロシアはほのぼのと笑った。 「余生だから、いつ死んでもいいんだってさ」 「…んのバカ!」 イギリスは踵を返して日本の家に引き返そうとした。その腕をロシアがつかんだ。心なしか力が強すぎるような…掴まれた箇所が万力で締め上げられたように痛い。 「ちょっと待って。何を言うつもりなの」 「知らねーよ!一発殴ってやる!」 「彼は今すぐ死ぬって言ってるわけじゃないよ。それに―――」 ロシアの周囲の温度が急に下がった気がした。 「一度裏切ったくせに、日本君が危ないってときに何もしてやれない君が今更何を言えるっていうのさ」 イギリスはロシアの手を振り払った。責める口調には反発したくなる。何もしてやれないというが、イギリスは日本の家に来るまでにできる限りの手は打った。世界会議は中国が拒否権をちらつかせるから決裁を下すこともそれに基づいて軍を出すこともできなかった。世界会議の中で手を回して、中国に圧力をかけつつ経過を観察するしか他国にできることはなかった―――はずだ。ロシアは日本を助けたのは自分だと暗に言うが、それが通る道理はなかった。 「…ロシアこそ、何であの場にいた?」 「僕が一番近かったからね」 「さすがロシアだな、普通できねえよ同盟国でもないのに主権を持つ他国の首都に軍隊を送り込むなんてな」 イギリスは厭味たっぷりにほめてみせた。しかしロシアも負けていない。 「僕はやりたいように行動するよ。君らみたいに、同盟国でもない国が軍を乗り入れるのは…なんて理屈を並べて手をこまねいて、手遅れになって後悔したりしない」 「てめ…―――中国を追い出す見返りに、何を要求したんだ?」 比較的仲がよいはずの中国の日本侵攻に介入し軍を引かせたロシアが、日本の混乱に乗じて北方領土の二島返還で決着した平和条約を結んだという経過はそれなりに納得のいくものだったが、それだけか―――?とイギリスは疑念を持っていた。侵略者の代名詞ともいえるロシアが、首都に軍を乗り入れておいて何もせずに帰るなど、到底信じられることではない。 「僕は日本君と仲良くなりたいんだ。それ以外に理由はないよ」 痛くもない腹を探られるのはあまり気分のよいものではなかった。今回のことではロシアも思い通りにコトを進められた訳ではない。こんなところでイギリスと腹の探り合いをするのは鬱陶しい。さっさとどいてくれないかな、もう日本君の同盟国でもないのに大きな面晒すなこのウザまゆげ…、 「おい…ケンカ売ってんのか…」 イケナイイケナイ、外に漏れていたらしい。極悪面で睨んでくる。それじゃもう帰ってもらおうかな。とロシアはイギリスの精神に打撃を与えるカードを切った。 「日本君が嫌になっちゃったのって、君達のせいじゃないか。同盟国をやめたのは君達のほうでしょ。日本君は友達になったら心を捧げ尽くすから、裏切られるたびにものすごく傷つくんだよね…なのにまた同盟を組めなんて言うつもり?」 イギリスは真っ赤になって押し黙った。先ほどアメリカに告げた台詞に復讐されたようだ。 アメリカにきっぱりと「もう関係ない」と告げていた(アレはそういうことだろう)日本に、日英同盟を解消したときのことを思い出して自分が切り捨てられたような気分に陥った。日本はどんな苦境も平気な顔で受け止める。表面上は何の感情も見せないまま。昔々イギリスとの同盟を解消したときも、ついこの間アメリカとの同盟を解消されたときも「そうですか」の一言で受け入れた。それほどのショックを受けているとは思わなかった。イギリスに切り捨てられて世界を敵に回して勝ち目のない戦いに身を投じるほどショックを受けていたなんて。そしてまた、アメリカに切り捨てられて消えてしまいたいと思ったなんて…それなのにこちらが切り捨てられたように感じるとは…俺は一体いつまで日本に甘え続けるつもりだ!と自分を殴りたくなってくる。 ■ とぼとぼと日本の家を後にするイギリスを見送ってロシアは日本宅の甍を見上げた。見舞いに来たのだけど、何故かその場から動けない。こんな風に足が竦むのは初めてのことだった。後ろ手に持っていた花束ががさりと音を立てた。日本には昔から数え切れないほどちょっかいをかけてきたけれど、日本が本当は何を好きなのかロシアは知らなかった。何をしたら喜んでくれるのか分からない。一所懸命考えて、思い出したのが、彼の元同盟国がよく贈っていた代物だった。ふわりと笑って受け取っていた顔を思い出して用意したけど、そんな昔のことなんて思い出したくもない過去なのかもしれない。日本は何を贈っても嫌な顔はしないから、本当に彼に気に入ってもらおうとするととても難しい。 イギリスが推測したとおり、ロシアは日本に同盟を持ちかけて断られていた。絶体絶命の状況を救った優しくて力強いヒーロー(こんな言い方、某眼鏡みたいで気持ち悪いな)に同盟を組まないかと誘われたら、日本に断る理由はなかったはずだ。それなのに、日本は困ったように目を逸らした。 『同盟を組んでいただいても、私は何も差し上げるものがないのです。見てのとおりの非武装ですから、いざというときにあなたを助けることはできませんので…、フェアじゃないでしょう?』 そんなこと、ロシアは気にしない。あの坊やと違ってすぐ近くにいて、一番に駆けつけられるのに。けれど日本は対等じゃない同盟などもう嫌なのだ。助けてもらうことで相手に申し訳ないという無意識の罪悪感を抱き、必要以上に相手に譲歩してしまう。アメリカとの関係はそうだった。日本は二度と同じ轍を踏むつもりはなかった。 『だったらもう一度刀を取ればいいじゃない。君と守り守られるなら、そのほうが僕は嬉しい』 『日本は武装いたしません』 ロシアはしつこい。けれど日本はそれ以上に頑固だった。 『このたび助けていただいたことは感謝しています。ですがそのお願いを聞くことはできません…好意で助けてくださったというのなら、同盟という形に拘らなくてもいいじゃありませんか。私はあなたと仲良くさせていただいていて、あなたが私が消えるのが嫌だと思うのでしたら、私を助ければいいのです』 約束に縛られることなく、純粋に好意だけで。と日本はこてんと首をかしげて背後に覆いかぶさるロシアを見上げた。 その言い方はずるいよ…、呟くと日本は困ったように笑った。僕が君のこと好きだって知ってるくせに。黙って滅びていくのを見てることなんてできるわけがない。君がいなくなるなんて嫌だ、だから守ってあげようと思って同盟を持ちかけたのに、僕の精一杯のサービスを袖にして、ひどいよ…。 平行線を辿った会話を思い出して、ロシアは途方に暮れて赤い薔薇の花束に大きな鼻を突っ込んだ。日本は助けてもらった礼をその場で譲歩した平和条約を結ぶことで果たした。約束に縛られないと言った日本はきっといつ消えてしまってもいいように約束を結ばないのだ。返礼が欲しいわけじゃなかった(では何が欲しいのかと問われても分からないが)。思い通りの答えがもらえなくて力づくで言うことを聞かせようとしても、命を惜しまない相手にはどうしようもない。思い通りにならないものは跡形もなく壊してしまうのがロシアのやり方だった。でもそんなことできない…!ロシアは日本がいなくなったらと思うといてもたってもいられなくて、こうして確かめにきてしまうほどなのに。なんて不公平だろう。 「あんなトーヘンボク、好きじゃなかったらこんなに苦しくないのに」 思わず呟いた声が目の前の家の家主に聞こえるかもしれないと思って、ロシアはあわてて心の中で打ち消した。 うそだよ、好きだよ。だからいなくならないで…。 ■ アメリカとイギリスが帰った家の中では、台湾が出したお茶を片付けていた。いつもすみませんね、と微笑む日本に当然のことです!と凄むと日本は不思議そうな顔をした。ロシアみたいに単独で中国に対抗できる軍事力を持たない台湾はこれぐらいしかできない、だから精一杯日本の世話をしたい。だってジジイが日本を攻めた大きな理由の一つは台湾にあるのだから。 アメリカとの同盟を解消した日本は、己の良心に従って、初めて台湾の独立を支持してくれたのだ。台湾は感激のあまり少し泣いてしまった。日本はあまり自己主張をしないけれど、日本が賛成するなら…と同調する国は結構いる。世界会議での発言力はないけれど影響力は大きいのだ。何度動議を提出しても取り上げられることすらなく却下されていた書類は、初めて協議され(結局否決されたけれど)世界会議の議事録に台湾が独立を求めているという証拠が記録として残った。中国や中国とうまくやっていきたいアメリカはいい顔をしていなかったけれど。 嬉しいけれど、私のことで危険な目にあうのは嫌だ、けれど日本は「言いたいことが言えるのは気持ちいいですね」とすがすがしい笑顔を浮かべていた。アメリカの陰に立ち、優しげな笑顔を浮かべていてもいつも眉間の辺りに憂愁が漂っていた日本はいなくなり、元の日本が戻ってきたようだ。台湾はアメリカと同盟国だから、アメリカを嫌うことはできないけれど、これは素直に嬉しかった。 「そういえば、台湾さんはアメリカさんに無理難題を押し付けられていませんか…?」 日本が不意に心配そうに尋ねてきた。相変わらずのアメリカクオリティを目の当たりにして気になったらしい。大丈夫です、と安心させるように微笑む。台湾は独自に軍事力を持ち同盟国アメリカとは対等のつもりだ。日本ほどサービスがよくないからアメリカはかなり不満なようなのだが、いち独立国としては当然のことだ(日米同盟を解消するまで、極東でのアメリカの無理難題は全て日本が引き受けてくれていたのだなあと、最近つくづく実感する)。そんなわけでアメリカは日本と再同盟したがっていた。中国の無法に対してアメリカが最初のうち何も言わなかったのは、すぐに日本が泣きついてくると思っていたからだろう。アメリカは大事な同盟国だけれど(日本さんなめんな)と心の中で舌を出してやった。100年ほど前、日本さんを侮って痛い目に遭ったくせに、また同じことを繰り返すなんて。 >>非武装中立シミュレーション・後 |