2014年
08/13  関東大震災を記録「幻の画」見つかる 徳永柳洲の3点

関東大震災(1923年9月1日)後の街の様子を描いた画家の徳永柳洲が、震災直後に描き、長く所在不明だった3点の油彩画が見つかった。「幻の震災画」とも言われ、当時の様子を伝える貴重な作品だという。
「花屋敷」(縦1・83メートル×横1・77メートル)は、おりの中のトラやクマに銃口を向ける人々を描いた。震災後、多くの被災者が浅草の遊園地・花屋敷に避難した。人を襲わないように猛獣は射殺されたという。「伝書鳩」(縦1・47メートル×横1・54メートル)には、被災状況を伝えるために放された臨時鳩隊と、見送る軍人の姿。伝書鳩は、宮城や大阪などに惨状を伝えた。「酒匂(さかわ)川上空飛行機」(縦1・47メートル×横1・55メートル)には、神奈川県上空から被災地の様子を撮影する飛行機が描かれた。
徳永の震災画を管理する東京都慰霊協会によると、震災画は全部で24枚と伝えられる。すでに21枚が確認されている。徳永の震災画はこれまで全25枚とされてきたが、1枚は別人の作品だったと今月になって判明したという。

朝日新聞より。

08/13  美術展の写真に「わいせつ」指摘…一部隠す措置

愛知県美術館(名古屋市東区)で開催中の企画展「これからの写真」で展示されている写真家・鷹野隆大氏の作品について、愛知県警が対処を求めたことがわかった。同美術館は13日、展示作品の一部を隠す措置を取った。
同美術館によると、指摘があったのは、男性の陰部などが写った作品計12点。県警からは11日、わいせつ物の陳列に当たると指摘があり、「このまま展示すれば証拠品として押収する可能性もある」と撤去を求められたという。美術館と鷹野氏は協議の上、大型作品1点は胸から下を紙で隠し、はがき大の作品11点には全体に紙をかぶせることで展示を続けることを決めた。
同美術館では、指摘を受けた作品は当初から、カーテンの設置や監視員の配置などで、中学生以下や見たくない来館者の目には触れないように工夫していたという。

読売新聞より。

08/14  加山又造絵画:「冬山」詐取容疑で美術商ら逮捕 大阪府警

文化勲章受章者の日本画家、加山又造(1927〜2004)の絵画「冬山」をだまし取ったとして、大阪府警天満署は14日、美術商らを詐欺容疑で逮捕した。「冬山」は所在不明になっているという。
逮捕容疑は昨年3月、大阪市の画廊経営者から「冬山」の販売を委託された際、代金を支払うつもりがないのに「売れたら2800万円を支払う」と言ってだまし取ったとされる。両容疑者は容疑を否認しているという。
天満署によると、両容疑者は「冬山」を3月中に質入れし、翌4月に引き出したが、その後、転売した。
加山又造の絵画を多数所蔵するセキ美術館(松山市)によると、「冬山」は少なくとも約3000万円の価値があるという。

毎日新聞より。

08/19  伊能忠敬の蝦夷地図、間宮林蔵のデータで描く?

江戸時代後期、伊能忠敬(1745〜1818年)が作製した日本全国測量地図の蝦夷地(北海道)全体が、忠敬の弟子で探検家の間宮林蔵(1780?〜1844年)の測量データに基づいて描かれたと考えられると、伊能忠敬研究会が18日、発表した。定説では、忠敬が未測量の北海道北側部分のみを林蔵のデータで補足したとされていた。
同会は、1800年の第1次測量で測った函館付近から厚岸付近まで南側の海岸線について忠敬が作った測量図と、1821年の最終版「大日本沿海輿地全図」のデジタル画像を重ね合わせて比較。その結果、両図で海岸線が最大数キロ離れていることを確認した。
同会によると、忠敬は第1次測量で南側だけを測って以後、蝦夷地を訪れていない。一方、林蔵は蝦夷地を測量したデータを1817年に忠敬に引き継いだとされる。忠敬は、弟子以外のデータを用いない方針だったという。

読売新聞より。

08/23  宮内庁、三の丸尚蔵館の新館検討 展示スペース拡充

昭和天皇から天皇陛下らが相続した後、国に寄贈されるなどした皇室ゆかりの美術、工芸品を所蔵、公開している皇居・東御苑の「三の丸尚蔵館」の展示スペースを拡充するため、宮内庁が新館建設を検討していることが23日、分かった。
1993年に開館した三の丸尚蔵館は、国宝、重要文化財級の作品を含め、約1万3千点の美術品や工芸品を収蔵している。

共同通信より。

08/23  彫刻家の宮脇愛子さんが死去 うつろひシリーズ

彫刻家の宮脇愛子さんが20日、死去した。84歳。
日本女子大卒業後、斎藤義重さんらに絵画を学び、1960年代半ばに立体作品の制作に転じた。80年ごろから、ステンレスワイヤを使用した「うつろひ」シリーズを制作。空中に弧を描く細い線から生じる軽やかさと緊張感が国際的に注目された。

共同通信より。

08/27  いわさきちひろの最も古い原画か 戦地の兵士慰問郵便用に

絵本画家いわさきちひろ(1918〜74年)が太平洋戦争中、兵士たちを慰問する郵便物のために描いたとみられる原画7点が東京都新宿区の日本青年館で見つかり、安曇野ちひろ美術館(長野県松川村)が27日、報道陣に一部を公開した。終戦前の作品は空襲でほとんどなくなっているとのこと。
同美術館や日本青年館によると、原画は戦地の兵隊に送るため、便箋と封筒が一体になった郵便書簡に印刷するためのものだという。

共同通信より。

08/30  日本画巨匠、栖鳳の幻の作品発見 唯一の油絵113年ぶり公に

竹内栖鳳(1864〜1942年)が描いた唯一の本格的な油絵で、長く行方が分からなくなっていた幻の作品「スエズ景色」が見つかったことが29日、分かった。広島県廿日市市の「海の見える杜美術館」が2011年に京都市の画商から購入し調べていたが、今秋の展覧会で公開することが決まった。公になるのは113年ぶり。

共同通信より。作品「スエズ景色」は「生誕150年記念 竹内栖鳳」展で一般公開されるとのこと。海の見える杜美術館で2014年11月1日(土)〜12月14日(日)
発見された竹内栖鳳:スクラップ2002年5月4日「竹内栖鳳の屏風「羅馬之図」、100年ぶりに発見」、2011年2月24日「巨匠、竹内栖鳳の幻の大作を確認 足立美術館が初公開へ