2013年
05/02  仏像盗難、日韓にしこり 九博「百済展」開催断念へ
九州国立博物館の三輪嘉六館長は1日、来年春に計画していた特別展「百済展」の開催を断念する方針を示した。長崎県対馬市の寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた仏像の返還問題が影響したという。
同市の観音寺で昨年10月、同県指定有形文化財の観世音菩薩坐像が韓国の窃盗団に盗まれ、韓国の裁判所は今年2月、日本への返還を当面差し止める仮処分を決定している。
百済展は、日韓共催の形で同博物館や韓国で百済関連品を公開する計画だったが、日本側の出品予定者から韓国での展示を懸念する声が出ていたという。
中国の唐製とみられていた正倉院宝物の碁盤「木画紫檀碁局」が、朝鮮半島で作られた可能性があることが、宮内庁正倉院事務所の調査で分かった。
碁盤は1辺約49センチ、高さ約13センチ。表面にはシタンの薄板が張られているが、本体には朝鮮半島で木簡や工芸品の部材として多用された松とみられる木材が使われていた。松であれば正倉院宝物で唯一の使用例となる。
共同通信より。
文化審議会(宮田亮平会長)は17日、室町幕府を開いた足利氏ゆかりの鑁阿寺(ばんなじ)本堂(栃木県足利市)を国宝に、加賀藩主だった前田家の居宅を含む旧前田家本邸(東京都目黒区)など9件を重要文化財に、それぞれ指定するよう下村博文文部科学相に答申したとのこと。また島根県津和野町の旧城下町など2地区を重要伝統的建造物群保存地区にすることや、火事で全焼した重要文化財金山寺本堂(岡山市)の指定解除も求めた。いずれも近く答申通り告示され、建造物分野の重要文化財は計2406件(うち国宝218件)、保存地区は104地区になる。
産経新聞より。
京都市右京区の西寿寺に伝わる江戸時代初期の掛け軸「当麻練供養図」の軸木内部に、「南無阿弥陀仏」と紙に墨書した名号など50枚が納められていたことが、京都国立博物館の調査でわかった。
名号は仏などを文字で表したもので、檀信徒らのお守りとして使われたとみられる。また、軸木をくりぬいた細工は極めて珍しいという。
供養図は、西寿寺を開山した袋中上人(1552〜1639)の檀信徒が奈良の絵師に依頼し、1621年に制作された。
読売新聞より。掛軸「当麻練供養図」は「當麻寺―極楽浄土へのあこがれ―」展で公開中。奈良国立博物館で6月2日まで。
ベトナム中部を支配した安南国から日本に通商を求めた1591年の書簡が京都市内の古書店で見つかり、日本宛ての安南国書簡では最古と判明した。九州国立博物館が19日までに明らかにした。
九博によると、書簡は漢字で書かれ、安南国の「福義候阮」という人物から「日本国国王」に象牙などを贈り、日本からは剣や甲冑が贈られた経緯を記しているとのこと。福義候阮は安南国の支配階級で、日本国国王は豊臣秀吉が想定されるという。
これまでの最古の書簡は、安南国の支配者「阮ホアン」が徳川家康に宛てた1601年のもの。
共同通信より。安南国書簡は「大ベトナム展」で初公開。九州国立博物館で6月9日(日)まで。
AFPBB Newsより。
狩野山楽と山雪が描いた国重要文化財の襖絵8面がデジタル技術で複製され21日、所蔵する京都市の妙心寺塔頭・天球院で報道陣に公開されたとのこと。
NPO法人「京都文化協会」とキヤノンが、伝統工芸と最新鋭のデジタル技術を融合させて高精細の複製品を作るプロジェクトの一環。重文「天球院方丈障壁画」のうち、金箔の上に絵が描かれた全56面を平成28年3月までに複製するとのこと。
今回は「竹に虎図襖」など8面(各縦約190センチ、横約140センチ)の複製品を約半年かけて制作し、天球院に奉納。実物は京都国立博物館に寄託された。
産経新聞より。5月25日から6月9日まで妙心寺天球院で特別公開されるとのこと。詳細
21日午前2時10分ごろ、京都市東山区の知恩院塔頭「良正院」の境内に止まっていた乗用車とバイクに、乗用車が衝突した。衝突された乗用車が約5メートル飛ばされて重要文化財の同院表門にぶつかり、門扉1枚(高さ約2・5メートル、幅約1・5メートル)が割れた。
府教委文化財保護課や良正院の説明では、表門は江戸時代前期の1624〜44年ごろに建てられた。薬医門という形式で、1986年に重文に指定された。
車がぶつかって止まった石碑は、福知山市出身の詩人真下飛泉が作詞した戦前戦中の流行歌「戦友」の歌詞が刻まれていることで知られ、台座が一部壊れた。
京都新聞より。
空海が唐に留学中に入手した文字書体の文献「古今文字讃」の写本が国立国語研究所(東京都立川市)など国内4カ所に残っていることが分かり、高野山大密教文化研究所(和歌山県高野町)の大柴清円受託研究員が22日、発表した。空海の詩などを集めた「性霊集」の中で、814年に空海が嵯峨天皇に献上した書物の一つとして記されている。
ほか3カ所は、四天王寺大(大阪府羽曳野市)、名古屋大、東京大。国語研究所と四天王寺大の写本は室町時代のものとみられる。
共同通信より。
競売大手のクリスティーズは、ニューヨークで15日に開催した戦後現代アートのオークション(イブニングセール)で、美術オークション史上最高となる落札総額約4億9500万ドル(約510億円)を記録したと発表した。
この日最高額を付けたのは米抽象画家、ジャクソン・ポロック(1912〜56年)の「ナンバー19、1948」で約5800万ドル(約60億円)。予想価格(約26億〜36億円)を大幅に上回り、ポロック作品の落札記録を塗り替えた。
他にも、米ポップアートの旗手、ロイ・リキテンスタイン(1923〜97年)の作品が約5600万ドル(約58億円)、米画家のジャン・ミシェル・バスキア(1960〜88年)の作品が4880万ドル(約50億円)で落札されるなど、それぞれのアーティストの落札記録の更新が続出した。
産経新聞より。
岡山大埋蔵文化財調査研究センターは23日、岡山市北区の鹿田遺跡で、奈良時代(8世紀後半)の井戸跡から絵馬が2枚出土したと発表した。猿が馬を引く「猿駒曳」と「牛」の図柄で、どちらも国内最古の例。絵馬は4月中旬、井戸跡から2枚重なった状態で見つかった。
「猿駒曳」は横23センチ、縦12センチの木板に墨で描かれていたらしく、その跡が板の表面に白く残っていた。猿は馬の守り神との信仰を基に、現代まで描かれる「猿駒曳」だが、現存最古の例は鎌倉時代(13世紀末)の戯画で、今回の例は約500年さかのぼる。
もう1枚の「牛」は横21・5センチ、縦12・3センチの木板に描かれ、肉眼でもはっきり墨の線が見える。これまで絵馬に描かれた最古の牛は、静岡県で出土した9世紀の例だった。
絵馬は寺社に生きた馬を奉納する代わりに始まったとされ、奈良・平城京跡出土の8世紀前半例が最古。その後、有力な地方に伝わったとみられる。
山陽新聞より。
長谷川等伯に始まる長谷川派の絵師らが描いたとみられる数千点規模の下絵や絵画の模写が京都市内に現存していることが24日、第2次長谷川等伯ふるさと調査で分かった。長谷川派の画業を明らかにする日本絵画史上の貴重な資料群で、等伯筆の下絵などが含まれる可能性もある。
所蔵しているのは、京都市の日本画家。 等伯から数えて17代の子孫に当たる。長谷川家から嫁いだ亡母から膨大な資料を受け継 いでおり、戦時中は資料を疎開させるなど保存に心を砕いてきた。研究者の間で存在は知られていたが、本格的な調査は未着手だった。
調査団は同日、江戸時代に描かれたとみられる涅槃図の下絵や、桃山時代に描かれた可能性のある鳥の絵などを確認。鳥の絵には、色彩などについての細かい書き込みがあった。
北國新聞より。
吉田初三郎(1884〜1955年)が晩年に描いた「港都石巻市鳥瞰図」の原画が、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の住宅に保管されていたことが分かった。トレース図と印刷物はあるものの、原画はこれまで見つかっておらず、幻の存在とされていた。所有者が、初三郎の特別展を開催中の東北歴史博物館を18日に訪れ、学芸員に伝えた。
原画は4年前、東京・神田の古書店で購入した。津波で自宅1階は水没したが、2階にあったため無事だった。原画には50年代の石巻市の様子が描かれている。
河北新報より。「美しき東北の街並み−鳥のまなざし 吉田初三郎の世界」展で公開。東北歴史博物館で6月16日まで。
ロシアを代表するモスクワのプーシキン美術館とサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館が、印象派やマティス、ピカソの傑作など500点を超す西洋絵画の世界的コレクションをめぐり対立を深めている。
旧ソ連の独裁者スターリンは1948年、コレクションを所蔵していたモスクワの国立新西洋美術館を「ブルジョア的」として閉鎖し、作品は両美術館に分割移管された。以来65年が経過したが、今年4月、プーシキン美術館の館長がプーチン大統領に、コレクションを再びモスクワに結集し新たな美術館を建設する案を提示。反対するエルミタージュ美術館の館長と論争となった。
共同通信より。
日経新聞より。スクラップ2013年1月29日の続報






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