2008年
10/01 竹久夢二の重要作、初公開
竹久夢二の対幅の日本画「紙治(かみじ)之図」が2日から東京・根津の竹久夢二美術館で初めて一般公開される。夢二初期の重要作品だが、同館が所蔵していること自体知られていなかったとのこと。
題材は、近松門左衛門の「心中天網島」の一場面。主人公の紙屋治兵衛と、恋仲にある遊女の小春の沈うつな表情が描かれている。同館では、描線やサインの形状、同じ図柄の版画の存在などから1915年前後の作と推定したとのこと。
99年、調布市の男性の同館への鑑定依頼で存在が判明。真物と鑑定した同館が買い取った。
日経新聞。10月1日付毎日新聞によりますと、劇作家の菊田一夫が、鑑定依頼者の母親に贈ったものとのことです。展示は12月23日までの予定。 発見される夢二:スクラップ2008年8月22日
ゴッホ最晩年の代表作「ドービニーの庭」(1890年)に絵の具で塗り隠された猫が存在することが分かった。所蔵先のひろしま美術館が3日、調査結果を発表したとのこと。
調査は吉備国際大学が協力して今夏に実施。X線を使い、絵の具を元素単位に分けて画像解析する検査を導入。青黒い猫が庭先を歩く姿を特定したとのこと。
「ドービニーの庭」は、ゴッホ死後の1901年、知人の画家シュフネッケルが修復の際に「デッサンが良くない」という理由で猫を塗りつぶしたといわれてきた。
日経新聞。スクラップ2008年6月16日の続報です。作品と猫を再現したCG画は、4日からひろしま美術館で公開されるとのこと。
田中一村(1908〜77年)の作品10点が、千葉市内の親戚宅などから新たに見つかったとのこと。調査を担当した奈良県立万葉文化館によると、初期の作品が中心で、奄美作品へと発展する一村の基礎部分を知るうえで貴重という。
同館では9月、特別展の開催に伴い千葉市内で調査した結果、複数の家から一村が米邨と名乗っていた10〜20歳代ごろの作品が中心に見つかったとのこと。ハスやキク、ヒョウタン、滝などを描いた南画の優品をはじめ、竹やナンテンなどを写実的にとらえた作品もあり、南画と決別するころの過渡期の表現もうかがえるという。
産経新聞。「奈良県立万葉文化館では18日から11月24日まで、一村の生誕100年を記念した特別展を開催、初公開となる31点などとともに展示する」とのことです。
足利将軍家の菩提寺として知られる等持院で、境内の霊光殿に安置された足利尊氏像と足利義晴像の手首部分が盗まれていたことが4日、分かった。
調べでは、尊氏像は9月3日、義晴像は同9日、いずれも左手部分が取れてなくなっているのが見つかり、等持院が北署に被害届を提出したとのこと。木像はいずれも文化財の指定を受けていない。
木像が古いため、手首部分は盗まれる前から外れかかっていたという。参拝者は自由に出入りでき、仏像が安置されている台にも柵などはないという。〔共同〕
日経新聞。なんだかギョッとする見出しです。
日本画家で東京芸大副学長の田渕俊夫さんが制作したふすま絵60面が完成し7日、智積院の講堂に奉納されたとのこと。
ふすま絵は、田渕さんが画業40年の集大成に5年掛けて制作した。テーマは春夏秋冬。5つの大広間に入れられ、講堂の中で智積院の四季の移ろいを感じ取ることができるという。〔共同〕
日経新聞。
クリスティーズによると、約1000前に製作された彫刻を施した水晶の水差しが、7日に開催したオークションで、320万ポンド(約5億7000万円)で落札されたとのこと。同じものは世界に7つだけ現存するという。
同様の水差しは、ことし1月にも英国のオークションに登場。当時のカタログでは、19世紀に製作された価値100-200ポンドの水差しとして紹介されたが、専門家は現在、この水差しが10-12世紀に北アフリカと中東を治めたファーティマ朝の非常に貴重な品だと考えている。
7日付ロイター通信。
極彩色壁画の保存作業を進めているキトラ古墳(7世紀末―8世紀初め)で、石室の壁を覆う泥の下に12支像が残存している可能性がある部分について文化庁は8日、泥ごとしっくいをはぎ取る方針を固めたとのこと。作業は来年秋ごろの見通し。
残っている可能性がある12支像は西壁の「申(さる)」と東壁の「辰(たつ)」、南壁の「巳(み)」。申は赤い顔料が一部見えているとのこと。石室外に搬出した後、エックス線撮影などで壁画の有無や残存状態を確認し、保存方法を検討する。
日経新聞。
棟方志功(1903〜75)が群馬県桐生市のレストランの壁に残しながら店主の考えで塗り込められ、長く「幻の作品」となっていた壁画が8日、半世紀ぶりに全体像を現したとのこと。幅3メートル、高さ1.8メートルで、中心に描かれた赤い天馬の周りを6人の天女が舞っている構図。隅に「1953・5・11」という制作日付もあった。
店の関係者によると、戦後しばらくたったころ、志功と親交があった知人の陶芸家を通じて店主が壁画の制作を依頼。来店した志功は半日で壁画を描き上げたが、店主は「この店には合わない」と考え、翌日、砂しっくいで塗り込めたのだという。
今夏、2代目店主は、絵を覆っていた壁をはがすことを決めた。店主の遺志を尊重してきたが、「できるだけ多くの人に見てもらうべきだ」という周囲の強い勧めがあった。
朝日新聞。非常にアレな感じですが、ポーの黒猫が頭に浮かびました。
ジャン・ミシェル・バスキアの作品が来月、競売に掛けられるとのこと。出品者は美術品の収集家とされる「メタリカ」のドラマー、ラーズ・ウルリッヒ氏。同氏は1999年に、1982年のバスキアの絵画「Untitled (Boxer)」を購入。最高1200万ドル(約12億円)での落札が期待されているとのこと。
同作品はクリスティーズがロンドンで10日から1週間展示を行い、11月12日にニューヨークで競売に掛けられる。
10日付ロイター通信。メタリカのドラマーはコレクターなのか、曲は聴いたことあるけど知らなかった。てことで掲載。
来年6月から開催されるベネチア・ビエンナーレで、国際交流基金は16日、美術家のやなぎみわさんを日本館の出品作家に選んだと発表したとのこと。コミッショナーは女子美術大教授の南嶌(みなみしま)宏氏。「Strolling Party―老少女劇団(仮題)」をテーマに、人間の生を肯定するような写真やビデオ作品を展示するという。
同基金は候補4組から展示案を募り、有識者の協議でやなぎさんの展示案を採用したとのこと。
読売新聞。
共同通信より。
文化審議会(石沢良昭会長)は17日、8件の建造物を重要文化財に指定するよう、塩谷文部科学相に答申した。
【新規】石岡第一発電所施設取水堰堤(えんてい)(茨城県)▽石山寺御影堂(滋賀県)▽大江橋及び淀屋橋(大阪府)▽金家(こんけ)住宅(秋田県北秋田市)▽小玉家住宅(同県潟上市)▽旧揖斐川橋梁(きょうりょう)(岐阜県大垣市)▽旧吉松家住宅(宮崎県串間市)【追加】石清水八幡宮(京都府八幡市)
朝日新聞。
高松塚古墳の国宝壁画保存問題で文化庁は20日、石室の環境を一定に保つ機能を持っていた旧保存施設の冷却システムの能力不足が石室内の気温上昇の一因となり、カビの大量発生を招いた可能性があると発表した。
旧保存施設は石室の入り口部分に1976年に建設されたとのこと。天井や壁、床に銅パイプを巡らせ、冷却器で墳丘の地中温度と同じ温度にした水を循環させて、内部の気温を調整していた。担当者が石室に出入りする際に気温の変動を防ぎ、石室内の環境を間接的に制御する仕組みだった。
日経新聞。
歌川広重の肉筆掛け軸一対が発見されたとのこと。1850年前後に広重が天童藩(現・山形県天童市)のために描いた「天童広重」と呼ばれる肉筆画のひとつとみられる。馬頭広重美術館の市川信也学芸員が、静岡県の収集家に鑑定を依頼され、昨年夏に真筆であることを確認したとのこと。
発見された掛け軸は幅約30センチ、長さ約90センチ。霞のかかった箱根二子山の春の風景と箱根権現社の秋の風景が描かれているとのこと。
「天童広重」は天童藩の藩医、田野文仲の仲介によっておよそ200幅が制作されたが、海外流出および関東大震災と東京大空襲による焼失によって、現在確認できるのは八十数点という。
産経新聞。「作品は川崎・砂子の里資料館で来月7日から公開される」とのことです。
共同通信より。
サルバドール・ダリが沖縄をテーマに制作し、沖縄国際海洋博覧会(75、76年)に出品された彫刻が三十数年ぶりにスペインから「里帰り」し、那覇市の県立博物館・美術館で10月末まで展示されている。スペインのコレクターから作品を借りた実行委は買い取るための寄付を呼びかけているとのこと。
作品名は「SUN GOD RISING IN OKINAWA」(沖縄の海より出ずる太陽の神)。戦場となった沖縄に思いをはせ、世界平和を願って作ったとされる。
朝日新聞。関連:スクラップ2008年4月17日
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は24日まで2日間、世界遺産候補である国立西洋美術館本館の現地調査を行ったとのこと。オーストラリア人の専門家1人が2日間視察し、保存管理状況などについて聞き取りを行った。
本館はフランスを中心に活躍した建築家ル・コルビュジエの設計。日仏独など6カ国が2月、各国にある同氏の建築物を世界文化遺産候補として共同でユネスコに推薦した。
時事通信。
岐阜県瑞浪市の「田中泥薬師」で25日、参拝者が塗った泥に覆われて400年もの間、誰も姿を見たことがないとされる本尊の泥を落とす供養祭があった。泥が払われていくと、薬師如来の石仏が姿を現したとのこと。
本尊は花崗岩(高さ95センチ、幅43センチ)に彫り込まれ、左手に薬師如来の特徴の一つである薬つぼを抱えているように見えるとのこと。作られた年号などは見あたらなかった。
言い伝えでは、戦国時代末期、織田信長の命による神社仏閣の焼き打ちから薬師如来像を守るため、村人が地中に穴を掘って隠したのが信仰の始まり。以後、「泥を塗ったところの病気が治る」と拝まれ続け、本尊は泥をまとったままに。「たたり」を恐れて泥を落とさなかったため、本尊の姿形や寸法もわかっていなかった。
朝日新聞。読んでみたら面白かったので。
大津市の西福寺所蔵の木造地蔵菩薩坐像(高さ約20センチ)が南北朝時代の作と判明し、大津市歴史博物館で保管することが決定したとのこと。
地蔵菩薩坐像は、同博物館が昨年10月に調査。作風などから、平安から室町時代に活躍した「院派」の仏師の作品で、その中でも1350〜60年代に彫られたものと判明したとのこと。院派の仏像は同市の三井寺や延暦寺からも見つかっているが、西福寺のある旧志賀町の地域で見つかるのは珍しいという。
産経新聞。
京都市伏見区で、豊臣秀吉が建てた最初の伏見城の堀の遺構が見つかったとのこと。調査を委託された西近畿文化財調査研究所(兵庫県加東市)が27日発表した。堀の底から金箔を張ったきせる、高麗青磁の茶托の破片も出土したとのこと。
発掘された堀は長さ11メートル、幅16メートル、深さ2.2メートル。南北方向に掘られ、西側護岸には4段の石垣が積まれていたとのこと。きせるは金箔が張られた銅製で、火皿と雁首(計6センチ)、吸い口(7センチ)の部分が見つかった。高麗青磁は、秀吉の朝鮮出兵をきっかけに多く流入したとされる。
朝日新聞。「堀に隣接して江戸末期の伏見奉行所跡も見つかった」そうです。「幕末の鳥羽伏見の戦いで新撰組など幕府軍が陣取り、薩摩軍の砲撃で全焼した史実通りに、焼けた瓦や土壁、崩れた石垣などが出土した」とのこと。
政府は28日、2008年度の文化勲章受章者8人と文化功労者16人を発表した。
文化勲章受章者 数学の伊藤清(93)、指揮の小澤征爾(73)、ともに素粒子物理学の小林誠(64)、益川敏英(68)、海洋生物学の下村脩(80)、小説の田辺聖子(80)、日本文学のドナルド・キーン(86)、スポーツの古橋広之進(80)。
文化功労者 発生生物学の浅島誠(64)、生物有機化学・応用分子細胞生物学の磯貝彰(66)、作曲の一柳慧(75)、工芸の奥田小由女(71)、俳句の金子兜太(89)、電子工学の榊裕之(64)、応用物理学・学術振興の霜田光一(88)、彫刻の澄川喜一(77)、経済社会学・社会変動論の富永健一(77)、情報工学・学術振興の長尾真(72)、言語学の西田龍雄(79)、狂言の野村萬(78)、バレエの牧阿佐美(74)、作曲の船村徹(76)、歌舞伎の中村富十郎(79)の各氏。
読売新聞。
シカ、太陽、建物、トリが一緒に描かれている弥生時代中期末(約2千年前)の木製の琴が福岡市西区の元岡・桑原遺跡群で出土したとのこと。福岡市教委が29日、発表した。弥生時代の琴は100例ほど出土しているが、絵があるのは数例しかなく、4種類も絵があるものはこれまで発見されていない。
出土した木製品は、長さ89センチ、幅19センチ、厚さ1センチのスギ材の板で、琴の側板とみられるとのこと。音を共鳴させるために開けられた円形の穴をはさんで、左側に2頭のシカ、1頭のシカの脚が彫り込まれている。穴の右側に大小二つの高床式の建物、さらにその右に1羽のトリがあるとのこと。
同遺跡は、「魏志倭人伝」にある「伊都国」の一角とされる。祭祀用とされる丹塗りの土器などが大量に出土しており、琴も祭祀の儀式に使われたとみられる。
朝日新聞より。
甲南女子大は29日、同大学図書館所蔵の源氏物語「梅枝の巻」が鎌倉時代中期の写本とみられると発表した。藤原定家が書写・校訂した鎌倉初期の「定家本(青表紙本)」に次ぐ古い時代の写本という。写本には、勝海舟の蔵書印が見つかったとのこと。
鎌倉時代に源光行・親行父子が校訂した「河内本」の写本とされていたが、今年、展示用に再調査したところ定家本とも河内本とも異なる点が多いことが判明。関西大の田中登教授(平安文学・古筆学)が、紙質と書風から1240―80年ごろに書写された「別本」と判断したとのこと。
日経新聞。
江戸前期の百鬼夜行絵巻が残されていたことを、国際日本文化研究センターの小松和彦教授(民俗学)らが確認したとのこと。筆致などから、京都・大徳寺真珠庵が所蔵する現存最古の「百鬼夜行図」(室町期、重文)よりも以前に描かれた絵巻を模した可能性が高く、妖怪絵巻のルーツを探る貴重な資料になるとしている。
「百鬼ノ図」と呼ばれる絵巻は長さ7.19メートル、幅32.6センチ。「付喪神」など、室町期に表現された妖怪が登場する一方、真珠庵の絵巻にもない黒雲が妖怪をのみ込もうとする図柄が描かれているとのこと。日文研が京都市内の古書店から購入、若杉準治・京都国立博物館列品管理室長らが鑑定した。
読売新聞。
キトラ古墳の極彩色壁画の保存問題で文化庁は31日、「朱雀」像の右端が、壁の表面を覆う泥に転写して残っていたと発表した。
朱雀像は2007年に石室の南壁からはがされ、10年の一般公開を目指して、保存作業をしている。不織布で補強するため壁画を裏返したところ、右側縁辺のしっくいが失われた部分を覆う泥に顔料が幅約1センチにわたり転写。墨で描かれた輪郭の内側に朱色の顔料が塗ってあり、左の翼の風切り羽根の先端とみられるとのこと。
日経新聞。
気鋭の日本画家を表彰する第4回東山魁夷記念日経日本画大賞の授賞式が31日開かれ、東北芸術工科大教授の岡村桂三郎さんが大賞を受賞したとのこと。受賞作は横7メートルの画面に2頭の猛獣を描いた「獅子08―1」。
日経新聞。






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