2004年
09/01 福岡市博物館が国宝損傷
8月29日に閉幕した特別展「秘められた黄金の世紀」で展示していた奈良県の藤ノ木古墳(6世紀後半)出土の馬具3点を損傷したとのこと。
市博物館によると、8月30日午前から展示品の片付けを始め、「金銅鏡板付轡」を展示台に固定するために使っていたビニールチューブを外したところ、金メッキの一部がチューブに張り付いてはがれたとのこと。はがれたのは2カ所で、幅1mm、長さ5mmと幅1mm、長さ1.5mmの傷が残った。他の展示品を調べたところ、傷ついた轡と同じケースで展示していた「鉄地金銅張杏葉」と「金銅杏葉」の裏側のさびた部分に計3カ所、展示台表面布の赤い繊維が張り付いているのが見つかった。
共同通信。
09/02 金沢21世紀美術館を公開
建物は地上2階、地下2階建て。外周約350mは総ガラス張り。直径は約120m。気軽に来られる公園のような美術館を目指しており、出入り口は4カ所。妹島和世さんと西沢立衛さんが共同設計した。
水中から水面上の人に会うような体験ができる作品など、建物の一部と一体化した作品が8カ所。内部に入ることが可能な作品もあり。
共同通信。観光関係者らへの公開。開館は10月9日。
09/03 黒田清輝の「湖畔」 芦ノ湖で場所特定
描かれた場所と見られるのは、現在は箱根ホテルが立つあたり。観光船の乗り場や箱根駅伝のスタート地点のすぐ近くとのこと。
朝日新聞。廃業し、現在のどの地点に当たるかわからなくなっていた、黒田の宿泊先「石内旅館」。その所在地を探し、観光の中心地と特定。対岸の山の尾根筋などが「湖畔」の光景と一致する地点を見つけたそうです。黒田清輝記念館では、描かれた地点から芦ノ湖の風景をとらえた巨大写真と「湖畔」の原寸写真を展示しているとのこと。11月7日まで。
09/03 「白虎」は胴体と前脚分断へ キトラ古墳壁画
顔と胴体部分は7日にはぎ取り、前脚部分の作業日程は未定とのこと。文化庁は「前脚と胴体の境目にはすでに亀裂があり、離れている状態。修復作業で合体できる」としている。
朝日新聞。頭から胴体にかけて、下塗りされたしっくいが壁面から最大で約3cm浮き上がっているそうです。 関連記事:スクラップ2004年8月4日8月11日
続報:「白虎胴体も石室外に」  7日はぎ取り、石室外へ運び出したとのこと。壁に固着している前脚部分は乾燥して状態が悪く、胴体部分だけはがしたが損傷はなし。
国内の古墳壁画で初めて行われたはぎ取り作業は、予定した白虎と青竜、十二支図の戌をはがし一段落。また、作業過程で石室の壁画が急速に乾燥、四神図の玄武や天井の天文図なども処置を急ぐ必要があることが判明したとのこと。(9月7日付共同通信)
09/07 「叫び」強奪事件のムンク美術館、警備強化へ
2週間前に起きた「叫び」の強奪事件を受けて。同美術館は3週間休館し、警報装置を設置するとのこと。
6日付ロイター通信。事件当時、付近の警察署への通報装置は機能したものの、美術館内では警報が鳴らず、犯人グループは正面玄関から外に出て、待機していた車で逃走。
09/07 ダビデ像公開500周年、記念行事開催へ
ミケランジェロの「ダビデ像」が8日、公開500周年を迎えるとのこと。地元フィレンツェ市は1年間にわたり、コンサートや花火大会、シンポジウム、美術展などの記念行事を開催する予定。公式Tシャツも発売。
6日付ロイター通信。
09/07 国宝の左楽房が倒壊 厳島神社で被害相次ぐ
台風18号通過による強風の影響で、7日午後、左楽房1棟が倒壊したほか、本社祓殿の屋根にふかれた檜皮の一部が飛び、潮位が上がって本殿回廊の床板が外れるなど国宝8棟が被害を受けたとのこと。また、能舞台の瓦の一部がなくなるなど、重要文化財3棟にも被害。
共同通信。
09/08 襖絵を高精細画像保存 平安神宮、ネットで公開へ
デジタル保存されるのは、所蔵し非公開としている襖絵の堂本印象作24枚と望月玉渓作22枚。約1年かけ、同神宮の祭りや庭園などもデジタル化するとのこと。保存した画像は順次、京都国際文化交流財団で公開。
共同通信。京都府神社庁と同財団が2004年度から3年計画で始めた共同プロジェクトの一環。本年度は、下鴨神社や石清水八幡宮など18神社を対象に作業を進めるそう。
09/09 CT装置で年輪幅を測定
奈良文化財研究所は、仏像など小型木造文化財の内部の年輪幅をエックス線CT装置で読み取り、年代を測定する新しい技術の実用化に世界で初めて成功したと発表。
木材の表面に凹凸や劣化があったり、金箔など彩色で表面が見えなくても断層画像から年輪幅を計測可能。損傷の恐れもなく仏像や漆器、小型建築部材などへ応用が期待されるとのこと。
共同通信。ヒノキかスギ製で直径30cm、高さ50cm以内の木製品なら測定可能とのこと。現時点では、範囲限られてます。
09/09 今度は男子群像に白いカビ 高松塚古墳、青竜の周囲も
極彩色壁画(国宝)の男子群像の上や四神図の青竜の周囲に白や暗緑色のカビが見つかり、文化庁が9日発表。既にエタノールで滅菌、薫蒸したが、青竜の周囲は暗緑色のしみが残ったとのこと。
共同通信。カビの原因は不明だそう。 関連記事:スクラップ2004年6月4日6月12日6月20日6月25日8月10日
09/10 妹島・西沢氏に金獅子賞
ベネチアビエンナーレ第9回国際建築展で、妹島和世さんと西沢立衛さんが「金沢21世紀美術館」などの作品で、展示部門最優秀の金獅子賞を受賞したとのこと。「公共空間と個的空間との関係」が高く評価された。また、遠藤秀平さんの「スプリングテクチャーびわ」(滋賀県びわ町)が「外観(SURFACE)部門」を受賞したとのこと。
共同通信。ベネチア建築展の金獅子賞は、1996年に日本館展示が、2002年に伊東豊雄さんが受賞。
09/13 マティス油彩画も出品
東京で18日開かれる毎日オークションにて。マティスの油彩画は、日本のオークション史上初めて出品されるとのこと。作品は「バラの花束」「ソファの上の裸婦」の2点。落札価格はいずれも1億円を超えると予測されているそうです。
毎日新聞。グループ内での記事という感じですが。史上初めてとのことなので掲載。毎日アートオークション 続報:「マティスの油彩画2点いずれも1億円以上で落札」とのこと。9月18日付毎日新聞より。
09/14 重文売却めぐり対立
京都国立博物館で常設展示されている平安時代の金銅毘沙門天立像(重要文化財)などを所有する左京区の福田寺が、これらの重文を売却すると檀家らに通告したことが分かったそうです。京都府によると、宗教法人の解散などを伴わずに重文の売却を計画するのは異例。檀家や住民は反発しているとのこと。
売却が計画されているのは、仁平3(1153)年の銘がある銅経筒や金銅毘沙門天立像など33点で構成された「山城国花背別所経塚群出土品」。大正から昭和初期に同町内の山林で出土し、土地所有者が寺に寄進。昭和13(1938)年、重文に指定された。
京都新聞。
09/14 朱雀、玄武もはぎ取りへ キトラ古墳壁画
保存活用を検討する文化庁の調査研究委員会は14日、四神図の朱雀や玄武、天井の天文図など壁画をすべてはぎ取り石室の外で修復する方針を了承したとのこと。作業は数年かかるとみられるが、はがした壁画を石室に戻すのは技術的に難しく、明日香村などで公開する考えも示した。
共同通信。玄武図は乾燥して亀裂が拡大、朱雀も剥離が進んでいるそうです。
09/15 ダビデは腰痛持ち?
ミケランジェロのダビデ像は「理想体形には程遠い」と、英国のエクササイズ専門家が主張しているとのこと。「尻の右側が歪み、腰に痛みがあるはず」とか。
読売新聞(ロイター通信)。和み?ネタということで。「運動を続ければ体形改善は可能」だそうです。
09/15 ルノワール絵画盗まれる
大阪市のマンションで4月、最上階の部屋の玄関ドアがこじ開けられ、ルノワールの油彩画「風景の中の裸婦」がなくなっていたことが15日、分かったとのこと。所有者は「盗まれた絵は時価1億円」と話しているという。
共同通信。室内には、別の美術品や絵画の鑑定書などが多数あったが、盗まれたのは「風景の中の裸婦」だけだったそう。
09/18 横山大観「霊峰不二」2億円で落札
1936年に描いた120号の大作とのこと。その他、加山又造の「狼」(1956年)も予想価格を大きく上回る1億1500万円で落札。落札者はいずれも個人のコレクター。
毎日新聞。シンワアートオークションにて。
09/19 藤田喬平氏死去
ガラス工芸家で文化勲章受章者の藤田喬平氏が18日、死去した。83歳。
日本では新しいジャンルのガラス芸術で独自の作風を確立。代表作に花器「虹彩」、飾り箱「菖蒲」「春に舞う」など。
共同通信。
09/24 阿弥陀像、全身金色だった 宇治・平等院
鳳凰堂の本尊「阿弥陀如来坐像」の光背を固定するつり金具に、金箔が施されていたことが分かったとのこと。坐像と光背に金箔が張られていたことは既に判明しており、平等院は「光背の金具を含め、平安時代の制作時は全体が黄金色に輝く荘厳な姿だったことが確認できた」としている。
共同通信。坐像は境内の特設工房で約50年ぶりの修復作業中で、金具の金箔はその過程の調査で判明したそうです。平等院では、阿弥陀如来坐像の「光背二重円相部」の特別公開を始めているとのこと(9月24日付産経新聞)。半世紀ぶりの公開。12月5日まで。
09/25 高松塚古墳、本格発掘へ
10月、墳丘の発掘が始まるとのこと。本格的な発掘は、極彩色壁画(国宝)を確認した1972年の調査以来32年ぶり。石室に雨水が浸入、壁画にカビが発生した原因を探るのが主眼。
共同通信。墳丘は、「直径約18メートルある円形の基底部の上に、数センチごとに土を突き固める工法『版築』を用い、一回り小さい盛り土をした2段築成と推定される程度」とのこと。
09/25 34年ぶり太陽の塔点灯
「太陽の塔」の両目が25日、万博記念公園で点灯されたとのこと。来年3月に始まる愛知万博の開幕半年前イベントの一つ。
共同通信。日本万国博覧会記念機構によりますと、当時の照明は老朽化し、目の脇に照明器具を仮設。午後6時半から約1時間半、当時の姿を再現したそうです。
09/28 15億円のダイヤ盗まれる ルーブル美術館から
ルーブル美術館の骨董品特別展示場から27日午後、計約1150万ユーロ(約15億7000万円)相当のダイヤモンド2個が盗まれたとのこと。
共同通信。大勢の見学者がいた中、音も立てずに数秒間でガラスケースをこじ開け、盗んだそうです。目撃者はなし。警報装置や監視カメラの設置もなし。






topback