2003年
10/01 エルトン・ジョンの家財オークション
30日、所蔵するアール・デコ調の家具や絵画コレクションなど約500点を競売にかけ、140万ポンド(約2億6000万円)を売り上げたとのこと。予想落札価格は80万ポンド。大分上回りました。
絵画では、英国人画家マックスウェル・アームフィールド(1881-1972)の「マジソン・スクエア・パーク」が最高値の6万7000ポンド(約1300万円)で落札されたそうです。
読売新聞。古美術品から現代美術まで幅広く収集していたとのこと。競売は、麻薬や酒浸りの日々と決別するため行なったらしいです。
10/02 マルモッタン展の概要発表
「パリ マルモッタン美術館展―モネとモリゾ 日本初公開ルアール・コレクション」
モネの睡蓮の絵画など17点、印象派グループの女性画家ベルト・モリゾの絵画40点を中心に、計80点を紹介するとのこと。
読売新聞。展覧会情報です。来年1月27日から3月28日まで東京都美術館で開催。京都市美術館、宮城県美術館、松坂屋美術館に巡回。
10/02 重文級の絵と書物を確認−東京・神田の古書店で
絵と書物は、「一誠堂書店」が保管していた鎌倉時代後期の駿牛図と、江戸時代初期に刊行されたローマ字によるキリシタンの宗教書。文化庁などの調べで分かったとのこと。
駿牛図は、当初10頭分の牛が描かれていた絵巻物が1頭ずつに分割されたうちの1頭分。これまで東京国立博物館所蔵の重要文化財など8頭分が知られていたそうです。不明だった2頭分のうちの1頭であると専門家は見ているとのこと。大きさは縦約28cm、横約32cm。牛の名を示すとみられる「大黒」と書かれた紙片もあったそうです。
共同通信。
10/03 正倉院で「開封の儀」
3日、年に一度宝庫の扉を開ける恒例の「開封の儀」が行われたとのこと。11月28日の「閉封の儀」までの間、宝物の点検や刀剣の手入れのほか、古文書などが調査されるそうです。
共同通信。「正倉院展」:10月25日-11月10日 奈良国立博物館 聖武天皇の愛用の品「鳥毛篆書屏風」や、初公開のガラスの原料「丹」など65件を展示。
10/03 奈良市美術館オープン
奈良そごう美術館跡のイトーヨーカドー奈良店5階に2日、オープンしたとのこと。
奈良新聞。「第22回市美術家展」開催中。11月16日まで。 奈良市美術館公式サイト
10/03 陶器「露玉」が出土
滋賀県栗東市の新開西古墳群(7世紀)で、陶器の「露玉」と呼ばれる滴形装飾品が見つかったとのこと。陶器製の露玉が見つかったのは全国で初めて。
水滴の形で長さ2cm。うわぐすりで全体を黄緑に着色、濃い緑の斑点模様付き。直径2mmの穴があり、1点しか見つかっていないため、「ひもを通して首飾りにしたのでは」と推測しているとのこと。当時、国内で露玉は作っていなかったとみられ、中国・唐から伝来した可能性が高いそうです。
共同通信。正倉院に、ガラスや水晶製の露玉がありますが、これをさかのぼる国内最古の露玉なのだそうです。
10/04 規則に違反、価格評価せず
東京都現代美術館の収蔵品3821点のうち1411点が、都の規則で義務付けられた価格評価が行われていなかったことが分かったとのこと。未評価の美術品の中には故池田満寿夫氏や故棟方志功氏の作品、評価額が100万円以上とみられる作品もあった。いずれも東京都美術館から移管された美術品だったそうです。
共同通信。現代美術館の美術品は、地方自治法237条に定める都の財産に当たり、都の物品管理規則で「美術工芸品」として価格を付けて管理することを義務付けているそうです。
10/04 ピカソ初期の2作品、マドリードで競売へ
7日、競売にかけられるとのこと。出品されるのは1900年頃制作の「女の顔」、1914年にパリで描かれた静物画の2点で、ともに個人収集家が所有していたそうです。開始価格はそれぞれ9万ユーロ(約120万円)と13万ユーロ。
3日付ロイター通信。スペインでは近年、スケッチ画などを除き、ピカソの絵画が競売にかけられた例はないそうです。オークション結果は不明ですが、どうなったのだろうか。
10/05 「消えゆく文化財」3Dで保存
文部科学省は、後継者不足や老朽化で失われつつある有形無形の文化財を3次元デジタル映像として記録、半永久的に保存することを決めたそうです。保存の対象は、大仏など大型有形文化財、取り壊しが進む歴史的建造物、能や歌舞伎、地域の伝統的な踊りといった継承が難しくなってきた無形文化財。
読売新聞。
10/06 晩年の大作が飾るチャペルに改葬−藤田嗣治の遺体
6日、フレスコ画で飾られた、仏ランスの礼拝堂に移されたとのこと。これまで自宅があったパリ近郊の墓に葬られていましたが、「礼拝堂で眠るつもりだ」と書いた日記を見つけた妻がランス市などに許可を求め、改葬となったそうです。
asahi.com。
10/10 雪舟の代表作は竹紙に描かれていた
「四季山水図巻(山水長巻)」(国宝・縦39.8cm、長さ約15.8m)が、中国・明の「竹紙」に描かれていたことが修復作業により判明したそうです。同作品は、裏側に「肌裏」「増裏」「絵裏」と呼ばれる補強紙が張られており、竹紙の使用はこれらをはがす作業で分かったとのこと。当時、貴重な竹紙を使った山水画は珍しいそう。
毎日新聞。竹紙=若竹の繊維を材料とし、滑りやすく軽いタッチで筆が運び、毛筆用の紙の原料として優れている。安価に輸入されるようになった江戸中期以後、画家や書家が好んで使った。
10/11 彫刻家・若林奮氏死去
10日、死去。67歳。
代表作に連作「振動尺」など。屋外空間や環境にも関心を広げ、庭園も手がけた。1980年、86年、ベネチア・ビエンナーレ日本代表。
読売新聞。
10/11 太陽の塔の内部を公開 万博以来、33年ぶり
1970年に大阪府吹田市で開催された日本万国博覧会のシンボルタワーで、故岡本太郎氏制作の「太陽の塔」の内部が11日、特別公開されたとのこと。
共同通信。塔内部では、生命の進化を表現、枝に恐竜やゴリラの模型が取り付けられた「生命の樹」が高さ約45mまで伸びているそうです。
10/11 神奈川県立近代美術館・葉山館オープン
11日オープンしたとのこと。開館記念として、同美術館コレクションによる「もうひとつの現代展」を開催。2004年1月25日まで。
神奈川新聞。神奈川県立近代美術館公式サイト
10/14 国内最古級の神像が出土−島根県出雲市
青木遺跡で、奈良時代後半から平安時代前半(8-10世紀)の小型の木彫り神像が出土したとのこと。同時代の小型の神像は珍しく国内でも最古級。
像は高さ13.5cmの男性座像。冠を着けていることなどから神像と判断したそうです。ほかに建物跡8棟や地鎮などの祭祀に使ったとみられる、果物を入れたかめなどが出土。
共同通信。同遺跡は、奈良時代とみられる絵馬や墨書土器なども出土しているとのこと。
10/16 六本木ヒルズ最上層に森美術館開館へ
18日オープンするとのこと。開館記念として、「ハピネス展」を開催。2004年1月18日まで。
森美術館(デヴィッド・エリオット館長)は超高層ビルの森タワー最上層に約2900平方メートルの展示室を持ち、現代美術、建築、デザインなどを紹介。キャッチフレーズは「海抜250メートルの空中美術館」だそうです。
読売新聞。金・土・祝前日が10:00〜24:00、日・月・水・木が10:00〜22:00と、開館時間が長いのが良いなと思いました(火曜のみ17:00で閉まります)。だがしかしなのは、公式サイト。使いにくいし。サイズ勝手に変えるし。
10/17 重文指定 文化審議会が14件を答申
栃木県日光市の旧日光田母沢御用邸や金沢市の茶屋建築「志摩」など14件(うち2件は追加指定)。御用邸が重要文化財に指定されるのは初めて。
また、鹿児島県入来町の入来麓伝統的建造物群保存地区を、新たに重要伝統的建造物群保存地区に選定するよう求めたとのこと。
共同通信。これにより、国宝を含む建造物の重要文化財は2250件(3844棟)となり、重要伝統的建造物群保存地区は56市町村62地区となる。
10/17 文化財診断車を導入
奈良市の元興寺文化財研究所が国内で初めて導入、発掘中の遺跡や動かせない仏像の状態を現地に出向いて調べる車とのこと。搭載した3次元デジタル計測装置により、5分で現場を立体再現。他に仏像の内部を投射できるX線検査装置や、元素を計測して材質を分析する機材も装備。
共同通信。スクラップ2003年8月25日の続報と思われます。診断車は20日に香川県丸亀市で弥生時代の環濠集落、中ノ池遺跡の出土品調査などで本格始動する予定。
10/18 金堂を特別公開 千手観音立像も里帰り
滋賀県大津市の三井寺で、重要文化財の千手観音立像や国宝の金堂を18日から特別公開するそうです。千手観音立像は、1949年から大阪市立美術館や奈良国立博物館に保管の委託をしており、54年ぶりの“里帰り”。11月16日まで。
中日新聞。期間中は宝物展も併せて開催されるとのこと。開祖・智証大師の命日である10月29日は、国宝の智証大師坐像が公開され、記念茶会も予定されているそうです。
10/18 三仏寺銅鏡は中国鏡と同形−最澄が持ち帰る?
鳥取県三朝町の三徳山三仏寺が所蔵する銅鏡(重要文化財)が中国浙江省出土の銅鏡と同形で、天台宗を開いた平安時代の僧最澄の唐土産だった可能性が高いことが分かったそうです。三仏寺の銅鏡と紹興市郊外で唐代の墓から出土した鏡を比較。直径約28cmで、裏面にオウム2羽の文様があるなど特徴がほぼ一致したとのこと。
一方で、正倉院宝物にある同じ文様の鏡が756年の献納とされることなどから、それ以前に紹興で製造されたと推定。学問僧として遣唐使に加わり805年、紹興に滞在した最澄が持ち帰って比叡山へ伝え、後に三仏寺にもたらされたと結論したとのこと。
共同通信。
10/20 蔡山の「十六羅漢図」、半世紀ぶりに発見
奈良市の東大寺戒壇院が所蔵し、終戦直後に行方不明になっていましたが、見つかったそうです。なんでも、「東大寺公物」と書かれた箱に収められたものが東海地方にあることがわかり、花園大学が購入、鑑定した結果、蔡山作と判明したとか。
読売新聞。羅漢図は、花園大学歴史博物館で公開中。12月13日まで。
10/20 NYで岐阜県主催の織部展開幕
桃山時代の茶人、古田織部(1544-1615年)の創造精神を海外にも伝えようと、出身地(美濃)に当たる岐阜県主催の展覧会「織部・アメリカ展」が、メトロポリタン美術館で開幕したとのこと。
同県が文化産業の振興を目指して行う行事「オリベ2003・イン・ニューヨーク」の一環で、日本の自治体が同美術館と展覧会を共催するのは珍しいそうです。
共同通信。来年1月11日まで開催。織部様式の陶器や絵画、染織、屏風など日本と米国内から集めた作品約180点を展示。
10/21 吉田秀和賞決まる
優れた芸術評論を発表した個人に贈られる「吉田秀和賞」の第13回受賞者が21日、京都大大学院教授(西洋美術史)の岡田温司氏に決まったとのこと。対象作品は「モランディとその時代」(人文書院)。
朝日新聞。
10/22 精巧な地図、色鮮やか 伊能忠敬の「小図」初公開
「大日本沿海輿地全図」のうち、伊能らが自ら制作した「小図」が公開。小図は昨年夏、東京国立博物館に所蔵されているのが見つかり、修復されていたとのこと。海外も含め小図は計4点あるが、伊能自身が制作したのは、この1点のみ。
共同通信。小図は、北海道、本州東部、本州西部・四国・九州の3枚に分かれ、縦は最大約250cm、横は最大約178cm。伊能らが歩いた道は朱色の線で引かれているそうです。10月31日より「伊能忠敬と日本図(東京国立博物館)」にて一般公開。12月14日まで。
10/23 ヘルムート・ニュートンの写真、ベルリンへ
写真家、ヘルムート・ニュートンが22日、生まれ故郷のベルリン市に写真1000枚を手渡したとのこと。1000枚の写真は、長期貸出として永久的に展示されることになるそうです。
22日付ロイター通信。1920年、同市でユダヤ人の家庭に生まれ、幼少期を過ごしたニュートンは、ナチスの迫害を受けて38年に故郷を後にした。
10/26 140年ぶりファラオ戻る 米博物館からエジプトに
約3300年前のファラオ、ラムセス1世とされるミイラが25日、所有していた米アトランタの大学の博物館からエジプトに返還されたとのこと。
ミイラは墓があばかれ、1860年頃エジプト人からカナダの収集家に売られたとみられる。その後、米国などの博物館を転々としていたそうです。
共同通信。ラムセス1世は古代エジプト新王国時代第19王朝の創始者で、紀元前1295年から約2年間、王位に就いていた。
--10/27 その後の話 さらなる考古物の返還求める
ラムセス1世とされるミイラが、エジプトに返還されたことについて、エジプト考古庁のザヒ・ハワス博士は、国外に流出している他の考古物についても返還すべきとのメッセージだ、と述べたそうです。
同博士はまた、エジプトで行われる予定の展覧会に向けて、海外の博物館が所蔵する5つの「重要考古物」の返還を求める考えを示したとのこと。
これらの考古物は、ベルリンのエジプト博物館所蔵の王妃ネフェルティティの胸像、大英博物館所蔵のロゼッタストーン、ルーブル美術館所蔵のデンデラ神殿の星座図など。ただし、永久返還を求めるものではないとのこと。
26日付ロイター通信。関連記事:スクラップ2003年9月19日
10/27 大理石の女性像を発見−紀元1世紀前半作か
イタリアのベズビオ火山ふもとにある、古代ローマ時代の遺跡で見つかったそうです。像は、ローマ帝政初期の特徴を表した作品。火山の噴火で埋まった作品がほぼ完全な形で見つかるのは非常に珍しいそう。同時代に作られたとみられる、ディオニュソス像の頭部も見つかったとのこと。
朝日新聞。同遺跡は「初代ローマ皇帝のアウグストゥス帝(前63〜後14年)が最期の日々を過ごした別荘」とする説が強いそうです。これまで、ポンペイの遺跡が埋没した79年の同火山の噴火で埋まったとされていましたが、今回の調査で、472年の噴火による土石流で埋まった可能性が高いことが判明したそうです。
10/28 文化勲章、文化功労者決まる
本年度の文化勲章受賞者5人と文化功労者15人が発表されたとのこと。
【文化勲章】加山又造=日本画 【文化功労者】安藤忠雄=建築、田沼武能=写真(敬称略、抜粋)
共同通信。
10/29 太陽の塔内部をアンコール公開へ−大阪・万博公園
11〜12月と来年3月に公開されるそうです。11〜12月は先の特別公開に落選した方対象、3月は新規募集するとのこと。詳細は日本万国博覧会記念機構を御参照ください。
毎日新聞。今月11、12日の特別公開では、1970人の募集に対し、予想を大幅に上回る約2万5000通の応募があったとのこと。そのためアンコール公開が決まったそうです。
10/30 国宝十一面観世音菩薩を開帳−京都・六波羅蜜寺
開祖空也上人(903-972)の生誕1100年を記念して。期間は11月1日から30日まで。同時に特別展を開催し、空也上人ゆかりの宝物を展示するとのこと。1、2、3、16、30日には記念法要が行なわれ、2日午後2時から、中堂寺六斎念仏(重要無形民俗文化財)が奉納される。拝観料は500円。
京都新聞。十一面観世音菩薩は、空也上人自らが刻んだと伝えられているとのこと。通常は、辰年に開帳されているそうです。1日から8日まで同寺のHPでも公開あり。






topback