HONDAワークショップリポート(後編)
最強V12エンジンの開発とF1撤退 |
92年飛躍型エンジンコンセプト ・高回転:75度バンク ・超軽量化:半割りブロック片割りスカベン ・高出力:前年比約20phアップ ・エアロダイナミックスタイプエンジン ・全高ダウン ・フライバイワイヤーシステム投入 ・可変吸気管長の継続投入 ・FEUL開発 *自動制御トランスミッション *アクティヴサスペンション |
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左図出力、右図はエンジン重量の推移 左からそれぞれ89’90’91’92’ |
75度バンク
イグゾーストマニホールドを上げると重心が上がる。 |
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可変吸気管長 燃焼は一定ではない(グラフ)ので 吸気(空気)の吸気管の空気の自励振動の周波数とエンジンの回転数をが合わないと中で乱流が発生して吸気が上手くいかなくなるので、回転数と振動を合わせて多くの空気を吸入できるようトロンボーンで長さを変えるのと同じように吸気管の長さを変えて共振させ、エンジン回転に対して適正な振動をコントロールし、回転数に適した振動が起きるよう(グラフで波がフラットになるよう左下図)制御するシステム。 ![]() 可変吸気管長システム断面図 |
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エアバルブの採用 これまでの金属バルブでは回転が15000を越えるというような数値を越えるとバネが重たくて自分の振動で 壊れてしまうので、空気バルブで制御してみようと新しい発想をした。 ベース10気圧(5,60kg)加圧→ 圧縮された体積1/3になると圧力は3倍となって ベースの圧力を上げても、その加重でバルブが慣性で飛ぶのを押さえられ、また、重量を増やさないで幾らでも回転数を上げられる。 この為には空気の機密性を保つためにオイルシールの開発も行った。 |
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スロットル自動コントロール(Drive By Wire) ・自動MT ・トラクションコントロール ・ドライバビリティー (ドライバーによってセッティングを変更) ![]() 変速時のスロットルを戻すクラッチ操作が勿体無いのでアクセルと連動させ、 電気信号でスロットル開度を自動的に決めてコントロールするシステム。 これでドライバーはアクセルを踏みっぱなしで走れる。 トラクションコントロール 雨が降って来て急にタイヤが回転しアクセルを戻す動作でロスを失くすためタイヤのスピンを計測し、スロットルを閉じて適当な開度を調整する。 |
Drive By Wire概念図![]() |
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サーキットシミュレーション サーキットで実際にドライバーが乗ってマシンをテストする代わりにシミュレーションによって、一番速いライン取りを表示出来る。(一番横Gの少ないライン取りをPCで算出する) 新しいコースの場合、ドライバーはこのラインに近づけるように走ればいい。 |
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←(スパフランコルシャン部分)の実際のデータとシミュレーションデータとの比較図 *(見えにくいですが破線とほぼ重なっていることが解ります) タイヤのグリップにエンジンの出力線図を入れ 走行抵抗から速度計算ができる。 基本的なギアレシオが決まり、 エンジンのラップタイムが算出出来るので そのサーキットで使えるかどうかの判断が出来る。 ←図上から ・スロットル開度 ・回転数 ・車速 ・シフトポジション |
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最近のシミュレーションは3次元的なバーチャルが可能になっていて、→図のようにサーキットによって重量、出力のどの部分がタイムに一番影響しているかが解る。 | ![]() |
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究極のV12 鈴鹿スペシャルエンジン用追加仕様 ・低フリクション化 ピストンリンク3→2本<予選用> クランクシャフト細軸 ハチマキマガタマ ・SUR−71(特殊燃料) RA122/B スペック 形式 75度V型12気筒 ボア 88,0mm ストローク 47,9mm 出力 77ph・14,400rpm |
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F1撤退の理由 V10の技術でV12を作るのは無理がある重量、重心が車体に合っていないのではないか 勝ち続けなくてはいけない苦しさの中に次の目標が出なかった。 |
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最後の鈴鹿では、ポールは逃したものの、レース前に好調で優勝を誓ってくれたセナが何と3周目に思わぬバルブのトラブルでリタイア。 バルブが、万が一も起こり得ない筈の微細な亀裂が入った事が原因で破損。 この場面でのこのトラブルはメカニックにとって生涯悔いが残るもので 今思い出しても痛恨極まりない。 。 |
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![]() また、アデレードの最終戦でセナが接触でリタイアしたもののベルガーが優勝を飾り通産71勝目を飾って 「ありがとう」 の言葉を残しF1から撤退した。 |
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photo,report&edited by S.Yasuda
この画像は撮影許可の出た HONDA WorkShop 講演中のスライドショウから抜粋して借用^^;掲載させて戴きました。
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