イラストレーターについての誤解二つ

2019年10月16日

 ウェブでよく以下のような考え方を見かけます。この二つの考え方は一見無関係なようで実は密接な関わりがある、誤った考え方である……というのが私の認識です。 これらの間違いについて述べます。

 まず(1)について。ライトノベル(ラノベ)についてのウェブでの話を見ていると、イラストレーターの重要性を高く評価している人々が多い印象を受けます。 「○○(作品名)がヒットしたのはイラストレーターのお陰だ」「こんなイラストレーターでは売れっこない」等々。 そういう人々は、ラノベ作家が上手いイラストレーターを引き当てる重要性を「絵師ガチャ」と表現したりします。

 しかし私には、これはイラストレーターの重要性を過大評価した認識であるように思えます。

『このライトノベルがすごい!』という本が毎年発行され、様々な角度からラノベ関連の人気投票をしています。この投票結果を見ると、 2014〜16年に作品部門で連続一位を取ったのが『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』で、そのイラストレーターのぽんかんG様はイラストレーター部門で2015・16年に一位を取っています。 また、2017・18年に作品部門で連続一位を取ったのは『りゅうおうのおしごと!』で、そのイラストレーターのしらび様はイラストレーター部門で2019年に一位を取っています。

 ……こう書くと、「やはりイラストレーターの人気は作品のヒットに直結するのではないか」と思う方もおられるかも知れませんが、それは早計です。 ぽんかんG様としらび様は、他にも何作品かのラノベのイラストを担当されていますが、他の作品は殆どがヒットしていないのです。
 他にも、多数のラノベのイラストを担当されている人気イラストレーターを何人か調べてみても、やはりヒット作と言えるのはまず1〜2作品しかありません。 これでは到底、ラノベのヒットがイラストレーターで決まるとは言えないでしょう。

 逆に、複数のヒット作を持つラノベ作家は秋山瑞人様、川原礫様等何人もおられることを考えると、ラノベの売上にイラストレーターが重要だという認識は間違いと言わざるを得ません。

 この話題で私が思い出すのがとあるイラストレーター(Sとします)のケースです。S様は何度も漫画誌の表紙を描かれ、過去の同人誌はいずれも中古市場で高額で取引され、 ある時同人誌を書店委託すると即完売、増刷、再委託を何度も繰り返し結局5,000部発行したという実力のあるイラストレーターです。
 そのS様がある時初めてラノベのイラストを担当されました。書店もかなり力を入れて売っており、内容も続巻が出ることを想定した内容でしたが、一年経っても続巻が出ることはありませんでした。 私が同人誌即売会でS様にそのラノベへのサインをお願いしたところ、「それですか、全然売れなかったですね」とのことでした。

 閑話休題。では、『このライトノベルがすごい!』の人気投票で人気作品のイラストを人気イラストレーターが描かれていたのは偶然かと言えば、無論そうではありません。 何故なら、読者は面白い小説のイラストを描いたイラストレーターを好きになりやいからです。 つまり端的に言ってしまえば「人気イラストレーターがイラストを担当したからラノベが売れた」のではなく、「面白いラノベのイラストを担当したから人気イラストレーターになった」という方が適切なのです。
 実際にぽんかんG様もしらび様も、上記ラノベがヒットすることで人気が劇的に上昇しました。

 ラノベと同様に文章(シナリオ)とイラストで構成され、ある程度市場が確立した娯楽に「成人向けパソコンゲーム(エロゲ)」があります。 エロゲについてもシナリオとイラストのどちらが大切かという論争を見たことがありますが、こちらは結論は明白です。 エロゲには「イラストの評価が高くなくてもシナリオが良くヒットした作品」は多数ありますが、逆はほぼないからです。
 エロゲ業界には、イラストは上手いがシナリオ等に恵まれずヒット作に携われないイラストレーターを指す「不遇絵師」という言葉はあっても、 「不遇ライター」という言葉はありません。明らかに、シナリオこそが重要なのです。
 これは、ラノベでも同じ構造です。

 次に(2)も絡めた説明をします。

 以前私は拙稿「客観的な?「エロゲ原画家ランキング」」で、匿名掲示板で喧伝されるエロゲのイラストレーターランキングと、 実際のイラストレーターの人気が乖離しているという話をしました。
 私が示した人気のあるイラストレーターには大半に「上手いライターと組んでエロゲを作ったことがある」という特徴があります。 多くのエロゲユーザーは、「絵が上手いからそのイラストレーターのファンになる」のではなく「面白いシナリオのイラストを担当したからそのイラストレーターのファンになる」のです。
 上記記事でも触れたように、「絵が上手いイラストレーターの直筆イラストには高い価値がある」と思っている人は少なくないようですが、それは正しくありません。 価値があるのは人気のあるイラストレーターの直筆イラストであり、絵の上手さは二の次です。

 私は以前、拙稿「贋作率100%? ヤフオクでの武内崇様直筆イラスト」を書くために某古書店にスケブの買取査定をお願いしたことがあります。 その時に強く感じたのが、「人気のある漫画家・イラストレーターのスケブは高額で査定されるが、無名だと上手くても値段が付かない」ということです。
 査定をお願いした中で断トツで高額だったのが武内崇様のスケブで、10万円でした。それに続くのはある程度有名なプロの漫画家さん二人のスケブで、それぞれ1万円、8,000円でした。 そして、有名ではないが上手いある同人作家さんのスケブについては「このイラストは大変上手く、丁寧に描かれていますが、どういう方か分からず値段が付きませんでした」とのことでした。

 無論、武内様は上手いイラストレーターですが、私が査定をお願いした中で断トツで上手いわけではありませんでした。 武内様のスケブに高値が付いたのは氏の人気によるものであり、有名でない同人作家の上手いスケブに値段が付かなかったのは知名度の無さによるものと考えるのが妥当でしょう。

 これはサブカル分野だけではなく、美術絵画の世界でも同じです。お宝鑑定番組を見ていると、「この絵画はとても上手く、名のある画家によるものと思われますが、作者が分からず低額評価となります」というケースがあります。 また、そういう番組ではよく鑑定士さんは「この作家の本物の絵なら、このサイズなら○○万円」という話もしています。絵画の価値を決めるのは上手さではなく、画家の人気なのです。

 まとめるなら、冒頭で挙げた二つの誤解を訂正するなら以下のようになるでしょう。

 以前あるイラストレーター(Nとします)がブログに「ソシャゲのイラストの仕事が好き、幾つかラノベのイラストの仕事の依頼が来ているが全て断っている」という趣旨のことを書かれていました。 N様は以前別の記事で「イラストレーターとして成功したい」という趣旨のことも書かれていたので、ソシャゲのイラストを続けていれば、イラストレーターとして成功し得るという認識だったのだと思います(N様は、同人誌も作っておられませんでした。PIXIVにはたまに投稿され、何度かデイリーランキング1位を取っておられましたが)。 しかし私はそれだけで成功するのは難しいと思っていたので、「個人的にはラノベの仕事もして欲しいです」という趣旨のコメントをしました。
 N様は結局ラノベ三作品のイラストを描かれましたがヒットはせず、数年後にイラストレーターを廃業し、普通の会社勤めをする宣言をされました。 しかし私は、イラストレーターが成功するには、ラノベのイラストの仕事をするのは有効だと今でも思っています。

 多くの読者は本文に引き摺られてイラストを評価し、そういう機会がないと上手いイラストレーターでも人気がそれほど出ない場合が多い。 このため、イラストレーターが画力だけで大成するのは難しい。そう私は考えています。

最終更新:2019年10月17日

仕掛けた罠に決してかからなかったネズミ

2019年10月16日

 先日、自宅にネズミが棲み着きました。餅、パスタ、そば、そうめん、スナック菓子等様々な食物が食い荒らされ、1.8リットルのお酒が入った紙パックに穴が開けられて床が酒浸しになったりしました。 貴重な本もかじられ、穴だらけになってしまいました。

 私たちはネズミが通りそうな食物の近くや廊下や天井裏に粘着シートの罠を仕掛け、ネズミを駆除しようとしました。実はこの20年以上前にも一度自宅にはネズミが一匹棲み付いたことがあり、その時はこれですぐに捕獲できたのです。

 しかし、今回は上手くいきませんでした。一週間経ってもネズミは罠にかからず、私たちは困惑していました。

 そんなある日、私は天井近くの壁に穴を見つけました。以前エアコンの配管のため開けた穴です。ネズミは夜にはよく天井裏で足音をさせており、ネズミが頻繁に室内と天井裏を行き来しているのは間違いなかったのですが、 それまでどのようなルートでそれらを行き来しているのか分からなかったのです。しかし、この穴とその周囲の日曜大工で作った棚を通って移動していることが明らかになりました。この穴の脇には幾つものネズミの糞も落ちていましたし、考えてみるとこの穴の辺りで夜にはよく物音がしていました。

 私は早速新たに粘着シートの罠を購入し、その穴の真下に仕掛けました。これなら逃れようのない確実なネズミの通り道であり、穴をから飛び出したところを確実に捕らえられるはずだと私は考えていました。

 しかし、一週間経ってもネズミは罠にかかりませんでした。明らかに罠は見破られていました。

 私たちは毒餌を買ってきて、あちこちに仕掛けました。しかしネズミは毒餌を食べる気配もなく、これも見破られているとしか思えませんでした。ネズミ駆除は、手詰まりとなった感がありました。

 しかし家族がある朝気付きました。「棚の奥の毒餌が食べられてる……」。見てみると確かに、使い切れず棚の奥に仕舞っていた袋に入れたままの毒餌が食い荒らされていました。 その日からネズミが家を荒らすことはなくなり、天井裏からネズミの足音が聞こえることもありませんでした。ネズミは駆除されたのです。

 そのネズミは、決して人間の仕掛けた罠には引っかかりませんでした。しかし人間の仕掛けなかった罠には引っかかったのです。

 私は今回のことで、「狼王ロボ」を連想しました。動物の知性は侮れません。

最終更新:2019年10月17日

レジの間違いは結構多い

2019年10月16日

 2ヵ月ほど前の8月13日、私は新宿のA書店に行きました。大量の本と、100円のクーポン券をレジに出します。店員さんは大量の本のバーコードを読み取り、袋に詰め言いました。「9,400円です」
 しかし私には、この店員さんがクーポンの値引き操作をしていないように見えました。お金を払い、その場でレシートを見るとやはり値引きがされていません。
 即座に私が「100円が引かれていないのですけど」と言うと、店員さんは謝罪し慌てて会計をやり直してくれましたが、バーコードを全て読み直すところから始まり、結構時間がかかってしまいました。

 同日、私は続けて新宿のB書店に行きました。ここで数冊の本と、予約していた小説の引換券をレジに出します。予約の小説自体は入荷していたもののその特典の入荷が遅れているとのことで、 「新しい引換券をお渡しします」とのことです。会計し3枚のレシート的な紙を渡されました。しかしレジを離れてすぐにそれらのレシート等を見ると、新たな引換券はありません。しかも明細を見ると、未着の特典の代金はここでの会計に含まれています。
 私は慌ててレジに並び直します。20分ほどかけてようやくレジに着き、事情を説明すると、店員さんは先ほどのレシートの裏に「8/13○○未渡し」と手書きし、印を捺してくれました。
 もしも気付かずにそのまま帰っていたらどうなったのか考えると、恐ろしいです。

 このB書店での、さらにその三か月程前の5月17日のことです。ある小説を購入したのですが、特典のクリアファイルがレジ袋に入っていませんでした。私は店を出る前にレジ袋を開けてそのことに気付き、 慌ててレジに並び直し店員さんに言うとレジ袋に入れてくれました。これもそのまま帰っていたら残念なことになっていたでしょう。

 また、3か月ほど前の7月26日に郵便局で小為替を買った時のことです。レジで小為替を注文し、代金を払います。そして数分後にレジから呼ばれ小為替とお釣りを受け取ったのですが、お釣りが100円足りません。
「お釣りが100円足りないのですけど」と言うと、釣銭の箱の中に100円玉が残っていたと謝罪されました。その郵便局は購入額をレジに打ち込み払われた現金を投入すると自動的にお釣りが釣銭の箱に出てくるシステムで、 普通は釣銭の間違いは起きないのですが、この時は釣銭の箱の中の100円玉を見逃してしまったようです。

 この時はたて続けにレジの間違いが起こり驚きましたが、こういった間違いは時たま起こります。皆さんも、レジの間違いにはご注意下さい。