■ゴンドワナヒッチハイクガイド■

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07. 15種族解説その3 パンダ人

挑戦者は台頭する

 パンダ人は近年急速にその勢力を伸ばしてきた銀河列強種族である。貪欲に数々の星を征服し、力まかせに銀河の大舞台へと土足で登場してきたのだ。そして猫の覇権を打ち倒し、その座を奪おうという野心を隠そうともしていない。自らを傲慢にも「大熊『猫』人」と名乗っていることがその象徴と言えるだろう。

 彼らは猫人と違って地上を領有することに熱心であり、現在地球上には禹王が開いた夏王朝という国家が君臨している。夏王朝は強大な軍事独裁国家であり、より強力な兵器の開発、軍備の充実、軍隊の拡大に余念がない。年に一度行われる、王宮前広場の軍事パレードや式典で、諸種族を驚かせるのがパンダ人のなによりの楽しみなのだ。
 禹王は非常な高齢だが、現在も玉座に健在である。夏王朝の建設や治水に大きな功績を残し、名君の誉れが高いが激烈な性格でも知られている。現在、急成長を遂げている夏王朝だが、禹王が死ぬと、その勢力は一時的にせよ大きく後退することが予想される。パンダ人は支配者が死ぬと、大量の殉葬をする風習があるからだ。
 そのため、禹王が死ぬ前に猫人に対し戦端を開くであろうことはほぼ確実視されている。だがその結果について予測できる者は誰もいない。

 一般的にパンダ人はなんでも大きいものを好む。実際、彼ら自身巨体を誇る種族であり、平均身長は3m前後、さらに大きな者は5mにもなんなんとする。
 また、面子をなによりも重んじる。傲慢不遜な物言いが目立つパンダ人ではあるが、新興種族たる彼らの劣等感の裏返しだという説もある。それさえ理解すれば、パンダ人は決して付き合いにくい種族ではない。むしろ一度よしみを通じれば、その友誼は生涯続くものになるはずだ。
 反対に、付き合い方を間違えれば……君は銀河でもっともたちの悪い相手とチキンレースをする羽目になるだろう。パンダ人は、たとえ彼ら自身が望まなくとも、面子が保てない限りブレーキを踏むことはないのだ。

 ゴンドワナでパンダ人を見かけることは珍しくない。夏王朝軍の密偵もいれば、禹王の逆鱗に触れて追放された者もいる。自らの体面が潰されたと思って国を捨てた者も多いし、正義を求めて遥かな地にやってきた侠客もいるだろう。

 イラストのパンダ人は、典型的な雷砲使い。個人が携行できる火器としては最大級の威力を誇る。おそらく夏王朝軍の退役軍人だと思われる。奥にいるヒト族と比べたら、彼らの巨体ぶりがうかがえるだろう。

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