猫人は銀河の覇者であり、銀河列強種族のなかでもおしもおされぬ筆頭種族である。神秘に包まれた魔法文明を打ち立て、数億隻ものロケット艦隊は他種族にとって脅威以外のなにものでもない。
例えばかつて地球上には竜人による超文明が栄えていたのだが、突如猫人が襲来し、熾烈な星間戦争に敗れた結果、その末裔は密林に隠遁することを余儀なくされたのである。
猫人は月面に大規模な都市を建設しており、おおいに繁栄していると伝えられる。しかしながら、彼らは地上にはほとんど興味を持っておらず、ゴンドワナでもその姿を見ることは希である。
実際、他の大半の種族と違って地上には一切出先の機関や足がかりを持っていない。ゴンドワナを歩き回るようなもの好きな猫人は、尊敬や畏れといったものとはほど遠い、珍奇の目で見られることになるだろう。
猫人が地上にいることがそもそもあまりないので、彼らがやってきた理由もこれといって定まったものはない。太古の呪文を得んとする魔術師、政争に破れた貴族、単なる物見遊山……。一部の大金持ちの間では破産した猫人を買い求め、愛人として囲うことなどがステータスになっていたりもする。
一般的な猫人は気まぐれで、躁鬱気質の者が多い。官能と芸術を愛し、享楽的で残酷。狗人などに言わせると、猫はまったく倫理というものを持ってないということになる。
そのような性格はもともと猫人に備わったものではあるが、最近はその度合いがますます強まっているのではないか、という指摘もある。パンダ人の台頭著しい現在、「猫の平和(パクス・フェリシア)」がいまだ磐石なのか、それとも見せかけのものに過ぎないのか、確かめるすべはない。
が、ほとんどの猫人はそのようなことは気にもかけず、気ままな生活を送っているように見える。もっともなかには帝国のありように危機感をおぼえ、その庇護を当てにせず自らの運命を切り開こうとする者もいて、彼らは「野良猫」と呼ばれている。
イラストの足元にいる猫は、猫人が変身した姿。血統の良い猫人には変身能力を持つ者も多い。21世紀の現代、我々が見ている猫は、そんな彼らの末裔なのだ。
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