「CD発売記念コンサート」と銘打った記念コンサート。 今期はツアーが行われないので、ある意味、唯一のコンサートであり、直前に出演されていた各種メディアでは『皆さん、渋谷に集結して下さい!』と呼び掛けていた。 そんな、思い出多き渋公でのコンサートは、NSPの歴史にも大きな1ページを刻んだライブとなった。
あるラジオで天野さんは、『今回のコンサートは少し時間が長くなるかも知れません。』とお話していたが、このレポも今回は長くなりそうです〜(笑)
今回の座席も幸運ながら、1列目の天野さんのほぼ真ん前。
譜面台でギターの手元は見えないが、そんな文句は贅沢だ(笑)。
天野さんの周りにはギターが3台並ぶ。 メインは先日会報にも載っていたギブソンのサザン・ジャンボ。 Martin
HD-28、YAMAHA LL-55Dの姿も。
中村さんはYAMAHA LL-36ともう一台は LL-26か?
平賀さんのベースはいつものB.C.Richで、サブとして白いFenderのプレシジョン・ベースが置かれていた。
HD-28とLL-26(未確認)には2フレットにカポが付いている。 1曲目はカポ2の曲かな〜?
そして、開演!
メンバーは何とステージ右袖から登場! これは意表をついた。 しかし、何故だろう。 いつもと感じ違うので、こちらが戸惑ってしまう。
1曲目は「如月の詩」! いきなり、復活後、初演奏の曲だ。 あの名フレーズとも言える、ピアノのイントロが始まった時には、一瞬ビックリした。
そして、続いて2曲目は「水のせいだったんです」。
なるほど、これでギターのカラクリ?が理解出来た。 「水のせいだったんです」は1音下げたチューニングなので、そのギターで「如月の詩」をオリジナルキーで演奏するとなると『カポ2』となる訳だ。 「如月の詩」のキーが1音上がった!と思っていたが、実はギターのチューニングの関係だったのだ〜
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TV「僕らの音楽」で、天野さんが手に
していた喫茶店『時間割』のカード。
地下に移転する前は、このような建物
だった。 |
ここで、お二人はギターを持ち替える。 天野さんはギブソンのサザン・ジャンボ、中村さんはYAMAHAのLL-36になった。 ギブソンは、天野さんがかなり前からお持ちで、その昔からピックアップの取り付け等いろいろな改造を重ねたが、どうしてもいい音にならず、ステージでは余り使用されなかったギターだ(シンコー・ミュージック
「日本のフォークソング特集号3」より)。 今回はピックアップとして、FISHMAN
の Rare Earth が取り付けられていた。 多分、これで納得がいくサウンドが得られた、ということなのだろう。
4曲目、中村さんのギターのアルペジオから始まる曲...「粉雪のささやき」だった! これも復活後、初演奏の曲だ。
渋谷公会堂にちなんだ曲として、「白い椅子の陰」も演奏。 喫茶店『時間割』のMCがあり、本日は超満員だったとか。 天野さんは、先日のTV「僕らの音楽」の取材で、移転後初めて訪れたそうだが、マスターは天野さんのことを「先生〜!」と呼ばれていたそうだ。 保存されていた『白い椅子』も見せてもらった話も。 また、中村さんも先日お店へ行ったが、マスターに気付いてもらえなかったとか...
第1部が終了し、メンバーは右袖へ。 天野さんは会場に向かって深くお辞儀をした後、右袖へ向かったが、何方かの「天野さ〜ん」の掛け声で振り向き、被っていた帽子を突然投げた! そして、何とその帽子がKAZUKIのほぼ目の前に落下し、天野さんと同じく?運動神経≒ゼロのKAZUKIがキャッチしたのだ! 自分でも信じられない〜〜 神様からのプレゼント? いえいえ、これは例の「広告看板」のお礼、と勝手に解釈した(笑)。
続いて第2部がスタート。
小柳さんのドラムに加え、今回は久し振りに円山天使さんが参加。 待望のエレキギターが聴ける!
着席したとたん、天野さんから「3人とも、洋服のセンスがめちゃくちゃだなぁ〜」との弁。
1曲目から「Radio days」、「フェアリーテールを探して」、「北風が見ていた」、「どこまでも青く」と、新譜からの曲が続く。
「北風が見ていた」はギターのせいで?仕切り直しがあった。『時間が押しているけど、延々とやってしまおう! いい?』と天野さん。
その後は1980年代の曲が演奏され、2部7曲目は「雪のララバイ」。 これも復活後、初演奏だ。
9曲目、チラッとハーモニカの音が...? そう、以前、札幌公演の時に、次にやるといって約束した曲「17才の詩」が演奏された。 皆さん、懐かしさと感動でジッと聴いていた。
この曲の後でメンバー紹介が行われ、「未来」で盛り上がった次の曲は...
何と「かくれんぼ鬼は誰」だった! これもビックリ。 復活後はおろか、NSPとしても初演奏(多分、きっと!)だ。
第2部最後の曲の前に、天野さんから重大な発表が...
ご自身の体調不良の話をされ、明後日(3月14日)から入院されるとのこと。
そして、今は視力が殆どなく、目の前にある譜面台の歌詞も見えない状態だと。
そんなに酷い状態だったとは... 一瞬、目の前が真っ白になったが、今は天野さんの言葉、『もちろん帰って来ますよ! 入院して病気を治して来ます!』を信ずるしかない。
ラストは「さようなら」。 途中から涙に...そしてリベンジ。
視力が殆どない天野さんから「目をつぶってギターを弾くことは難しい...」と。 この言葉の意味はとても重く、ギターを弾く自分にも身に沁みる。。。
一生懸命にギターを弾き、「さようなら」を唄う天野さんの姿に、どれだけのファンが涙したのだろう。 そんな状態で第2部は終演した。
盛大なアンコールでは、アップテンポの曲が続く。
「あなたこっちを振り向いて」では、「あせ」のようにボーカルを全員で回して唄った。
ラストは「歌は世につれ」。 平賀さんからは『最後までちゃんと唄う、「歌は世につれ」を聴きたい!』とのリクエストがあった。 天野さんは『ちゃんと唄えないのは判り切っているので(笑)、会場の皆な全員で唄おう!』の提案が。 やはり3番からアマノってしまい、会場全員での合唱となる。 しかし、天野さんは涙声で一生懸命に唄い続け、エンディングは立ってギターをかき鳴らしていた。
感動的にコンサートは終了し、黒木マネージャーや他のスタッフに抱えらけるようにして退場した天野さん。
その直前に中村さんが天野さんへそっと近付き、労わるように肩から腰付近に手を添えた。 『天野、よく頑張ったな!』と言っているような感じで。。。
時間的には開演から約3時間と、NSPとしては長時間のコンサートとなったが、こんな長時間のハードなライブをこなしたリーダー天野さんの体調からは、様々なことが想像された。
譜面台の歌詞を見ながらでも詩を唄えない程、視力が低下した状態でコンサートを続けた天野さん。 ギターのリードプレイのミスも「ギターのせい!」と言っていたが、これもポジションが全く見えなかったのだろう。
ステージの右袖から登場したのも、天野さんの歩行距離を短くするためだった?
ギターを抱える時も、黒木マネージャーの助けを借りていたが、これは腰のせい?
また、2部では「ブッツケ本番なので...」のジョークっぽいMCがあったが、これは中止になった『NSPスペシャルマニアックデイズ』からの曲を急遽演奏した...からではないか?(完全な想像ですが。) そう想わせる位の選曲でもあったし、入院を直前に控えた天野さんが、今回のコンサートに全力を懸けた気合の表れのような気がしてならない。
視力のことを聴いていてからは、悲しく、そして切なくて仕方なかったが、天野さんがそんな体調にも関わらず、こんなにも一生懸命ライブをされている姿を観て、逆に悲しんではいけないと痛感した。
とにかく今は療養に専念され、3人元気な姿で再びステージに立つ日を心待ちにしています。 【
KAZUKI 記 】
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