この事業は、昭和40年頃から起こった旧同潤会鶯谷アパートの老朽化に伴う建て替え問題が発端であります。その後、何度もこの計画は浮沈を繰り返してまいりましたが、平成2年にアパートの世話人の方々により、当組合の母体となった「東日暮里五丁目地区市街地再開発協議会」が結成されました。老朽化したアパートを建て替えようという切実な願いが、事業の新たな出発点に導いたのだと思います。それが荒川区の「まちづくり構想」と結びつくことで鶯谷アパートだけの建て替えにとどまらず、近接地権者の方々の協力を得て、東日暮里五丁目地区全体の市街地再開発事業に発展し、平成4年「東日暮里五丁目地区市街地再開発準備組合」が発足いたしました。そして今、本事業はこの地に「リーデンスタワー」という立派な幹として結実いたしましたが、ここまでの道程は波瀾万丈の連続の9年間でありました。
困難な問題にも解決への努力を惜しむことのなかった組合員の皆様はもちろんのこと、東京都及び荒川区のご援助並びに参加組合員になられた(財)首都圏不燃建築公社のご協力に、心からの感謝を申し上げます。また、コンサルタントの(株)佐藤総合計画からは適切なアドバイスをいただき、建設に際しましては三井・長谷工特定建設共同企業体の超高層ビルに関するノウハウを十二分に活かしていただきました。そして平成13年、21世紀の幕開けの年に無事、竣工することができました。
事業の完成にあたりその概要と経過をご報告し、多くの関係者の皆様のご尽力を記録するとともに、これから新しく再開発事業に携わられる方々のご参考になればと本誌を刊行いたしました。「リーデンスタワー」が荒川区の、そして21世紀のステイタスシンボルとしていつまでも輝き続けることを祈りつつ、ご挨拶とさせていただきます。
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