絆の街
悠々たる時の流れは決して途切れることはありません。同じ街に生きる人々のあたたかな心模様も、街の記憶とともに受け継がれていきます。新しい街の風情も、どこか私たちに懐かしい。私たちの誰もが願った想いが、こうして実を結びました。
目次 第一章 街の表情 第2章 日暮里物語  第3章 事業の軌跡 第4章 街の構成  第5章 資料編
     
       
   
     
   
 この事業は、昭和40年頃から起こった旧同潤会鶯谷アパートの老朽化に伴う建て替え問題が発端であります。その後、何度もこの計画は浮沈を繰り返してまいりましたが、平成2年にアパートの世話人の方々により、当組合の母体となった「東日暮里五丁目地区市街地再開発協議会」が結成されました。老朽化したアパートを建て替えようという切実な願いが、事業の新たな出発点に導いたのだと思います。それが荒川区の「まちづくり構想」と結びつくことで鶯谷アパートだけの建て替えにとどまらず、近接地権者の方々の協力を得て、東日暮里五丁目地区全体の市街地再開発事業に発展し、平成4年「東日暮里五丁目地区市街地再開発準備組合」が発足いたしました。そして今、本事業はこの地に「リーデンスタワー」という立派な幹として結実いたしましたが、ここまでの道程は波瀾万丈の連続の9年間でありました。
 困難な問題にも解決への努力を惜しむことのなかった組合員の皆様はもちろんのこと、東京都及び荒川区のご援助並びに参加組合員になられた(財)首都圏不燃建築公社のご協力に、心からの感謝を申し上げます。また、コンサルタントの(株)佐藤総合計画からは適切なアドバイスをいただき、建設に際しましては三井・長谷工特定建設共同企業体の超高層ビルに関するノウハウを十二分に活かしていただきました。そして平成13年、21世紀の幕開けの年に無事、竣工することができました。
 事業の完成にあたりその概要と経過をご報告し、多くの関係者の皆様のご尽力を記録するとともに、これから新しく再開発事業に携わられる方々のご参考になればと本誌を刊行いたしました。「リーデンスタワー」が荒川区の、そして21世紀のステイタスシンボルとしていつまでも輝き続けることを祈りつつ、ご挨拶とさせていただきます。
 
       
       
       
   
 このたび、旧同潤会鶯谷アパート及び隣接する住宅、商業、業務施設が建ち並ぶ街区で、「都市再開発法」に基づき組合施行によって「東日暮里五丁目地区第一種市街地再開事業」が完了を迎えました。旧同潤会鶯谷アパートは、昭和4年に建築され、当時の近代的な集合住宅として、日本のマンションの先駆けとなりました。このような、歴史的資産がありました当地が、商業・業務施設も併せ持つ21世紀にふさわしい都市型住宅に生まれ変わりましたことに対し、誠に喜ばしく、心からお祝い申し上げます。
 市街地再開発組合の皆様は、自分たちのまちづくりは自分たちで考えていこうという機運の盛り上がりのもと、昭和62年に勉強会を発足されて以来、居住者等権利者の合意形成など幾多の課題を見事に克服し、本事業を完了に導かれました。本事業が無事完了されたことは、ひとえに理事長をはじめとする役員はもとより、組合員並びに事務局各位の並々ならぬご尽力によって達成されたものであり、長年にわたる熱意とご苦労に対しまして、心より敬意と謝意を表します。
 現在、荒川区では、将来にわたり夢のもてるまちを地元の皆様方と一緒に考えていこうと、各地区で市街地再開発事業等に鋭意取り組んでおります。そのような折、組合の皆様方のご努力と当地区での成功が、他地区のよきお手本になるものと確信しております。
 ここに完成された良好な居住環境とコミュニティーが、区民の皆様方の快適な暮らしづくりと地域の活性化に役立ち、区が目標とし掲げている「7つの安心社会」実現のための大きな原動力となることを期待しております。
 
       
         
     
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