2014年
05/01  竹久夢二:「青い小径」挿絵原画見つかる 新潟・新発田

竹久夢二(1884〜1934年)の詩画集「青い小径」の挿絵原画全23点が、夢二とゆかりの深い、新潟県新発田市出身の挿絵画家、蕗谷虹児(1898〜1979年)の作品を展示している「蕗谷虹児記念館」で見つかったとのこと。同館によると、夢二の挿絵原画がひとそろえで出てきたのは珍しいという。
青い小径は、1921年に初版が出された詩画集で、今回見つかったのは改版され、25年に出版されたものの原画。全23点の原画の大きさはさまざまあるが、一番大きいもので縦約28センチ、横約20センチ。いずれも白色や茶色の洋紙にペンで女性たちが描かれているとのこと。

毎日新聞より。原画は「竹久夢二×蕗谷虹児 詩と挿絵の世界」で展示されているとのこと。蕗谷虹児記念館で2014年9月28日(日)まで。

05/01  唐招提寺の回廊は東西78m 石材発見、16世紀には全壊

唐の高僧鑑真(688〜763年)が建立した奈良市の唐招提寺で、平安時代以降に金堂を取り巻いていた回廊の石材が見つかり、県立橿原考古学研究所が1日、発表した。過去の調査で北側回廊の幅は9メートルと分かっていたことから、今回の調査結果と合わせると、東西にもそれぞれ回廊があり、回廊が囲む範囲は東西約78メートルに及ぶことが判明した。
文献によると、回廊は810年ごろに建てられたが、何度か地震に見舞われ16世紀には全て倒壊した。今回見つかったのは、西側の回廊を構成する基壇の一部。

共同通信より。

05/06  宙に浮くクリミア秘宝 ロシアとウクライナが所有権主張

ロシアによるウクライナ東部クリミア半島の併合の余波で、オランダ・アムステルダムの博物館が展覧会用に借り受けたクリミアの秘宝の返却先が、宙に浮いている。ロシアとウクライナ双方が「我が国のもの」と主張しているため。
アムステルダム大学併設のアラードピアソン考古学博物館は2月初め、展覧会「クリミア 黒海の黄金と秘宝」を始めた。紀元前7世紀から紀元後4世紀のクリミアの装飾品や武具計数百点を、五つの博物館から借り受けて展示している。

朝日新聞より。

05/07  ダビデ像に倒壊の危機か、美術館は否定 伊フィレンツェ

イタリア学術研究会議(CNR)は先週、ミケランジェロの作品「ダビデ像」の「両脚の低い位置に複数の小さな亀裂」があり、「その安定性を脅かしている」と警告する報告書を発表した。
報告書によると、亀裂は1504年に像が完成し、シニョリーア広場に設置されてから、保存のために美術館に移された1873年までの間に生じたものとみられる。また報告書によると、ダビデ像の台座は5度ほど傾いているため、これが像に負荷をかけているという。
指摘を受けた美術館は6日、ダビデ像倒壊の危険性はないとの考えを明らかにしこれを否定、今後も像の監視を続けるとのこと。美術館では、ダビデ像の振動を監視しており、展示室に一度に入れる来場者の数を制限するなど対策を講じている。現在、像への振動は減少したとされる。

時事通信より。以前にも倒壊の危機:スクラップ2011年3月4日「ダビデ像が倒壊の危機? 伊専門家警告、鉄道工事で

05/08  大量のナチス略奪画 所有者死去でベルン美術館に遺贈

swissinfo.chより。

05/09  徳川吉宗の日本地図原図発見、1725年作成か

広島県立歴史博物館は9日、徳川吉宗が命じて作らせた日本地図「享保日本図」のもととなる測量原図(縦152センチ、横336センチ)が見つかったと発表した。これまで原図の存在は未確認。
同博物館が寄託を受けた個人コレクションの整理中に見つかったとのこと。北海道南部から種子島までが記載され、1725年頃の作製とみられる。江戸幕府は6回、日本地図を作っており、享保日本図は5回目のもので、伊能忠敬が全国測量して作製した地図に先立つ。
当時の日本地図は各藩に提出させた地図をつなぎ合わせており、海を隔てた四国や島の位置などが不正確だった。享保日本図は、富士山など基準点を定め、複数の地点から距離を測る「望視交会法(ぼうしこうかいほう)」を用い、結果に基づいて各地の地図をつないだため、より正確になっている。余白には、原図を入手した平戸藩主・松浦静山のものとみられる「徳川吉宗が命じて作らせた貴重な地図」という内容の書き込みもある。

読売新聞より。

05/10  俳人夢二 直筆 最後の句 初公開へ

竹久夢二(1884〜1934年)が死期を悟って詠んだ最後の俳句の直筆が、群馬県の竹久夢二伊香保記念館に保管されていることが分かった。
死に隣(とな)る眠薬(ねむりぐすり)や蛙なく
亡くなる4カ月前、5月17日の日記帳に書かれた。筆致は乱れているが、五七五で行替えされている。
俳句は、夢二研究家の長田幹雄さん(1905〜97年)が収集、整理した資料を、長田さんに師事していた木暮館長がまとめ、94年に『夢二句集』として発刊。夢二が「平民新聞」の挿絵画家だった1905年から、結核のため滞在していた長野県内の療養所で34年9月に死ぬまでの間の、この最後の句を含む1256句を収録した。
長田さんの死後、資料は同館に寄贈されたが、一万数千点と膨大なため「この日記帳は見たことがなかった」(木暮館長)。今年が夢二の生誕百三十周年に当たることから書庫を調べていたところ、直筆を見つけた。

東京新聞より。最後の句は、竹久夢二伊香保記念館で六月に公開予定。

05/10  狩野山楽の息子作か 京都・良正院のふすま絵

京都市の良正院に残る江戸時代のふすま絵を、京狩野の祖・山楽の息子が描いたと推定する論文を兵庫県立歴史博物館学芸員の五十嵐公一さんが発表した。寺の記録に残る謎の絵師「三益」を、山楽の息子「伊織」と見立てている。
狩野山楽は狩野永徳の弟子で、江戸狩野とは別に京狩野として京都にとどまり、名だたる作品を残した。長男の光教は早世したため、長女の竹をめとった山雪が婿養子として京狩野の2代目となった。だが、ほかに伊織という実子がいたことが知られている。
ふすま絵の作者について良正院には京狩野の「三益」が手がけたとする記録が残る。だが、誰を指すかは分かっていなかった。
五十嵐さんは同じく京狩野が手がけた「當麻寺縁起絵巻(熨斗家本)」の制作で、山楽の下に「光孝」という絵師が名を連ねていることに着目。京狩野で当時、弟子として年代的にあてはまる人物が他には見当たらないことから、「光孝」は「三益」であり、ともに伊織の号であると推定した。「三益」は「山益」の誤記ともみている。当時、複数の号を名乗ることは珍しくないという。
當麻寺縁起絵巻が描かれた年には、竹の没年から推定すると伊織は26歳以下で、山楽の下で描いても年代的に道理が合うという。
良正院は、右京区の天球院とともに1631年、池田家の出資で建てられた。天球院にも山楽と山雪によって描かれた、良正院のものと同時期のふすま絵がある。このため、五十嵐さんは山楽が山雪に天球院、伊織(三益)に良正院と、仕事を割り振ったと考える。

京都新聞より。

05/11  茶畑から出土の梵鐘、国の重要文化財級だった

静岡県袋井市の郷土資料館に展示されている梵鐘が、平安時代末期に製作された国の重要文化財級の貴重な鐘であることが、公益財団法人・元興寺文化財研究所(奈良市)の調査で分かった。
梵鐘は青銅製で高さ92・4センチ、口径53センチ。1983年に市内の茶畑で茶の植え替え作業中、発見されたとのこと。市内には文化財の展示施設がなかったため、市は文化財指定の申請は行わず、市役所ロビーに設置して市民に公開するだけにとどめていた。
袋井市と旧浅羽町との合併を機に郷土資料館などの施設が整備され、他の史料と合わせた体系的な展示が可能となったことから、袋井市教育委員会は昨年夏、調査を依頼。同研究所は梵鐘を持ち帰って専門的な調査を実施し、今年3月に調査報告書をまとめた。
それによると、梵鐘表面に「平治2年(1160年)に鋳造され、三河国(愛知県)の●里岡寺(きりおかでら)に懸けられていた」との銘文が刻まれていた。銘文がある梵鐘としては、妙心寺(京都市)や興福寺(奈良市)などに次いで12番目に古いという。さらに、二条天皇の中宮の高松院から下賜された小型の梵鐘を材料にしたと、鐘のいわれも記してある。●里岡寺は愛知県豊橋市にある普門寺の前身で、奈良時代の僧行基の創建と伝わる。(●は「糸」へんに「乞」)

読売新聞より。

05/12  「低座イス」の家具デザイナー、長大作さん死去

長大作さんが1日、死去した。92歳。
1947年に坂倉準三建築研究所に入社。57年の「藤山愛一郎邸」、58年の「松本幸四郎邸」では建築の設計から家具のデザインまでのすべてを手がけて、注目を集めた。両邸宅に携わった経験から、次第に家具デザインに魅了され、和と洋を融合した多くの秀逸な作品を制作した。代表作は「低座イス」など。

読売新聞より。

05/13  故小倉遊亀さん少女画発見 滋賀近美で87年ぶり公開へ

大津市出身の日本画家、故小倉遊亀さん(1895〜2000年)の1927(昭和2)年の院展入選作で、所在不明だった「挿花小女之図」が見つかり、今秋に大津市の滋賀県立近代美術館で開かれる展覧会に出品されることが12日までに決まった。87年ぶりの一般公開となる。
「挿花小女之図」は27年の再興第14回院展に「溝上遊亀」名で出品され、一般入選した。縦113センチ、横158センチで、2人の少女が縁側で菊の花を生ける姿を描いている。「日本美術院百年史」に白黒の図版が掲載されているが、院展後の所在が分からなくなっていた。
同館の調査で、近年、京都市内の個人蔵となったことが判明した。

京都新聞より。作品は滋賀県立近代美術館で開催される「遊亀と靫彦─師からのたまもの・受け継がれた美─」にて展示されるとのこと。会期は2014年10月11日〜11月24日。 関連記事:スクラップ2014年3月26日「小倉遊亀さん初期静物画、京大人文研で発見

05/14  所在不明のダリ作品2点、米大学などで発見

AFPBB Newsより。

05/14  「エイリアン」のデザイナー、ギーガーさん死去

CNN Japanより。

05/16  本願寺の御影堂・阿弥陀堂が国宝へ 文化審が答申

文化審議会は16日、一般に西本願寺と呼ばれる本願寺の御影堂と阿弥陀堂(いずれも京都市)の2件を新たに国宝に指定するよう文部科学相に答申した。最高裁長官の公邸となっている旧馬場家牛込邸(東京都新宿区)など7件の建造物を重要文化財に新規指定することも答申した。
本願寺は浄土真宗本願寺派本山。境内中央に、親鸞像を安置する御影堂と、阿弥陀堂が並んで建てられている。共に江戸時代の建築で、当時の高度な技法が使われている。真宗本山の象徴として文化史的に大きな意義があると評価された。
また文化審議会は、宮城県村田町村田、静岡県焼津市花沢の2地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定することも答申した。
他の重文の新規指定
旧真宗信徒生命保険株式会社本館(京都市下京区)▽富田林興正寺別院(大阪府富田林市)▽神戸女学院(兵庫県西宮市)▽浜口家住宅(和歌山県広川町)▽聖福寺(長崎市)▽旧成清家日出別邸(大分県日出町)

朝日新聞より。