阪神大震災で全壊した臨済宗・福海寺本堂(神戸市)で奇跡的に残った本尊・釈迦如来坐像(高さ69センチ)が、奈良時代後期(8世紀後半)に制作された可能性の高いことが松浦正昭・元富山大教授(仏教美術史)の調査でわかった。エックス線撮影で、8世紀後半に盛んだった技法「木心乾漆造り」が使われていたことを確認した。
また、漆は少量しか採れず高級品だった。漆をふんだんに使っていることなどから、大橋一章・早稲田大名誉教授(東洋美術史)は、平城京の官営工房で造られた可能性を指摘。「技法と外観の特徴から見て国の工房で造られたのではないか。貴重な木心乾漆像が奈良の都以外で見つかったことは意義深い」と語る。
読売新聞より。
ボストン美術館に、江戸・明治時代の和本約2万冊が埋もれていたことを、九州大の松原孝俊教授らの調査団が確認した。館の倉庫にほぼ手つかずの状態で保管されていた。散逸が進む和本がまとまって見つかるのは珍しいという。
変体仮名や漢字の草書体を記した和紙を和とじした和本は、明治以降大量に海外へ流出した。ボストン美術館での調査は2010年から12年にかけて九州大の中野三敏名誉教授(近世文学)や東京大のロバート・キャンベル教授(同)が中心となり実施した。
アーネスト・フェノロサらが約100年前に寄贈した木箱を調べたところ、葛飾北斎の「富嶽百景」(約50冊)や「北斎漫画」(約80冊)は、題名が同じでも版や刷りが違う「異本」が複数収納されていた。勝川春英・春章作の妖怪図「異摩話武可誌」など貴重な資料も。衣装や建築の文様・寸法を記した雛形本、着物柄の見本「小袖文様集」(約1千点)、生け花の見本「挿花集」(約300点)も見つかった。
朝日新聞より。
旧福岡藩主の黒田家から福岡市美術館に寄贈されながら、傷みが激しいため門外不出となっていた藩祖・黒田如水(官兵衛)の肖像画が、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」放送に合わせて修復され、3月から兵庫、東京、福岡を巡回する特別展で公開されるとのこと。
右ひざを立て左腕を脇息に置くくつろいだ姿。画賛から、慶長9年(1604年)3月の没後まもなく、嫡男の長政(初代福岡藩主)が追善のため描かせたものらしい。面長で広いまぶた、左ほおのほくろなど関係者のみが知る特徴をよく伝えている。作風から京都・長谷川派の絵師の筆とみられる。
如水の肖像画は、いかつい顔の武将姿(福岡市博物館蔵)がよく知られているが、こちらは優雅な文人風。黒田家からの寄贈は1978年で、補修したものの顔料が剥落する恐れがあったため、館外への貸し出しをしてこなかった。今回、特別展「軍師官兵衛」へ出品するため、裏打ちや剥落止めなどの再補修を進めている。
読売新聞より。特別展「軍師官兵衛」
私設美術館「池大雅美術館」(京都市)が閉館し、所蔵する池大雅の作品58点を府立総合資料館(京都市)に寄贈した。
平成7年には、大作を中心に85点を府立総合資料館に寄贈。閉館に伴う散逸を防ごうと、今回は残りの58点を寄贈した。
今回寄贈された58点の中には、ランの花などを模写した巻物「天産奇葩画巻」や、端午の節句や祇園祭など年中行事を楽しむ心情を言葉とともに描いた「和様尺牘文範」などがある。
産経新聞より。
CNN Japanより。スクラップ2012年9月13日「がらくたの中からルノワールの名画」の続報と思われます
佐世保市教委は14日、4月から同市の島瀬美術センターで開催を計画していた「フェルメールとレンブラント展〜17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち〜」を中止すると発表した。
市教委社会教育課によると、同展は米ニューヨークの個人収集家らが所有するフェルメールやレンブラントらの風俗画や静物画などを集め、同センターのほか県外の二つの美術館を巡回する計画だった。
ところが、2館が会期の調整ができなかったり、施設機能が絵画所有者の要望に合わなかったりしたため、開催を断念。同センターのみで開催した場合、約6200万円の追加負担が生じることから中止を決めたという。
読売新聞より。
建築家の妹島和世さんと西沢立衛さんの共同事務所「SANAA」が、フランスの優れた建築に与えられる2013年の「銀の定規賞」を受賞、21日、パリで授賞式が行われた。対象となった作品は、12年12月に開館した仏北部ランスのルーブル美術館分館。
読売新聞より。
2011年に朝日放送(大阪市)が主催した美術展のチケット売上金約4億2千万円が使途不明となっていることが24日、関係者への取材で分かった。朝日放送は売上金の保管をイベント会社に委託しており、大阪地検特捜部が、イベント会社元社長らから事情を聴くなどして捜査している。
美術展は11年6〜10月、京都市美術館で開かれた「フェルメールからのラブレター展」。約40万人が訪れ計約4億2千万円の売り上げがあった。
イベント会社は、美術展終了後に朝日放送に売上金を渡すことになっていたが、支払いは約1億9千万円にとどまった。
共同通信より。
宮内庁正倉院事務所(奈良市)は24日、約100年ぶりの大修理を終えた正倉院について有識者による懇談会を開き、内部構造の補強で軒先が平均2センチ上がり、瓦のふき方の変更で屋根が約3トン軽くなったことを報告した。
また再利用した奈良時代の平瓦は、奈良時代に普及したとみられる「一枚作り」が35%しかない一方で、より古い技法の「桶巻き作り」が65%を占めることも分かり、瓦の技法の変遷を知る貴重な成果を得た。
共同通信より。
京都国立博物館は29日、三角縁神獣鏡の鏡面に太陽光をあてると、その反射光に鏡の背面の文様が投影されることを初めて確認した、と発表した。鏡面の微妙な凹凸によって像が結ばれる「魔鏡」と同じ原理で、3Dプリンターで東之宮古墳(愛知県犬山市)から出土した3世紀の神獣鏡のうち2面のレプリカを作って実験した。古代の鏡は祭器とされながら、具体的な使用法などは分かっておらず、「その役目を考える上で、貴重な材料となる」としている。
三角縁神獣鏡は中国・魏の皇帝が邪馬台国の女王卑弥呼に与えたと魏志倭人伝が記す「銅鏡百枚」とする説があり、国内で500枚以上出土している。
京都新聞より。