2012年
03/01 「ヒマラヤ」などの山脈風景 日本画家の福王寺法林さん死去
福王寺法林さんが2月21日に死去したことが1日、分かった。91歳。
山形県米沢市出身。昭和11年に画家を志して上京。24年には「山村風景」が院展に初入選した。50年ごろからヒマラヤを題材に描き始め、52年に「ヒマラヤ連峰」で芸術選奨文部大臣賞、59年には「ヒマラヤの花」で日本芸術院賞を受賞した。平成6年に日本芸術院会員、10年に文化功労者、16年には文化勲章を受章した。
産経新聞より。
雪の重みで崩壊した夕張市美術館を所有する夕張市教委と、施設を管理運営する夕張リゾートは1日、地下に保管している収蔵品の搬出を始めたとのこと。収蔵品は夕張市内の公共施設に当面保管する。
美術館は鉄骨造りの地上部分が崩壊したが、鉄筋コンクリート造りの地下部分には達しておらず、収蔵品も異常はなかった。同美術館はユネスコの「記憶遺産」に登録された炭鉱画で知られる福岡県出身の画家山本作兵衛の作品など計529点を収蔵している。
北海道新聞より。
東日本大震災で津波の被害を受けて解体が決まった宮城県石巻市の民家の土蔵で、江戸時代の洋風画家司馬江漢(1747〜1818年)が描いた油彩風景画2点が見つかり、仙台市博物館に寄贈されることになった。絵は衝立の表裏にはめ込まれており、博物館によると、こうした形式の江漢の絵が確認されたのは初めてという。海水に漬かったが、状態は比較的良いとのこと。
2点はいずれも縦約110センチ、横約80センチ。絹のキャンバスに、江の島の稚児ケ淵(神奈川県藤沢市)と能見堂(横浜市)が油絵の具で描かれ、それぞれ「江之嶋児渕眺望」「金澤能見堂眺望」と題されている。仙台市博物館の内山淳一学芸室長によると、「Si Kookan」のサインが朱色で記され、鮮やかな青の配色や的確な立体表現などの特徴から、江漢の作品と見てほぼ間違いないという。
絵は今年1月、古文書などの保存活動に取り組むNPO法人宮城歴史資料保全ネットワークが発見した。空き家となっていた民家の所有者側から連絡を受け、解体前に実施した調査で、ついたてが木箱に入れられ、土蔵の壁面に立て掛けられているのを見つけたという。木箱には明治24(1891)年に絵を取得したと記されていた。
河北新報より。「仙台市博物館は今秋の特別展での公開を予定」とのこと。
昨年、本尊の「釈迦如来坐像」内部から金属製の「五臓」(内臓)が見つかった長崎市の黄檗派寺院、聖福(しょうふく)寺で2日、新たに3体の仏像から金属製五臓が確認されたとのこと。九州国立博物館と長崎歴史文化博物館が2月29日から3日間、聖福寺で実施した文化財調査で判明した。これまでに金属製五臓は世界で5例しか見つかっておらず、九州国博の楠井隆志・主任研究員は「同じ寺で4体から確認されたのは例がない」と話している。
調査では、本尊の両脇に立つ迦葉尊者像と阿難尊者像のほか、白衣観音像の計3体をエックス線で透過撮影。いずれも五臓を内蔵していると分かった。五臓はいずれも長さ約30センチ程度。心臓や肺などに見立てた金属の小片を鎖でつないでいる。「三尊像」と呼ばれる本尊、迦葉尊者像、阿難尊者像は同じ形だったが、白衣観音像だけ形状が異なっているという。
聖福寺は1677年建立。三尊像は中国で作られ、98年に長崎へ運ばれて同寺に安置されたとのこと。五臓は中国製仏像にみられる特徴で、白衣観音像も中国伝来とみられる。
長崎新聞より。スクラップ2011年6月27日の続報
ロイターより。
木津川市の海住山寺が所蔵する鎌倉時代の掛け軸が、軸木の墨書から、興聖寺(京都市上京区)にある重要文化財「兜率天曼荼羅(とそつてんまんだら)」と一対のものとして製作された可能性が高いと、奈良国立博物館(奈良市)が6日、発表した。
調査したのは海住山寺の「阿弥陀浄土図」。寺から寄託された博物館が修理中、軸木表面と内部に過去3度修理が行われたことを示す墨書を確認した。  内部にあった1299(永仁7)年の墨書から、掛け軸が「安養知足」2幅1対の一つと分かった。「安養」は阿弥陀浄土、「知足」は弥勒の兜率天を指す言葉で、海住山寺で晩年を過ごし、再興に尽力した鎌倉初期の僧解脱上人貞慶(1155〜1213)の著作で用いられている。
兜率天曼荼羅は修理時の銘に貞慶ゆかりの品と記載がある。二つの掛け軸を再比較した結果、大きさはともに縦約1・8メートル、横約2メートル前後で、人物描写の細かさなども似ており、「知足」に当たる可能性が高いと分かった。
京都新聞より。掛軸は「解脱上人貞慶−鎌倉仏教の本流」展に出品されるとのこと。奈良国立博物館で4月7日〜5月27日
島根県古代文化センターは8日、石屋古墳(松江市)から出土した力士、武人、椅子に座った人物などをかたどった人物埴輪が、5世紀半ば制作の国内最古級であると発表した。国内最古とされる大山古墳(堺市、5世紀半ば)から出土した埴輪と、ほぼ同時期の制作という。また、配列が分かる形での出土は国内最古という。
力士形埴輪は2体で、1体は復元した下半身が高さ83センチ。相撲史最古の資料となる可能性がある。倚座(いざ)人物埴輪は、椅子だけを推定復元し高さ29センチ、幅79センチ、奥行き36センチ。座る部分に剥がされた痕がある。武人形埴輪は2体。草摺(くさずり)、大刀などの破片が確認されたという。
中国新聞より。「復元・推定復元した埴輪は、10日から八雲立つ風土記の丘で一般公開する」とのこと。
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いた幻の巨大壁画「アンギアーリの戦い」が、フィレンツェのベッキオ宮殿にある別の壁画の裏側に隠されている可能性を示す痕跡が12日、見つかった。ANSA通信が伝えた。
壁画発見の手掛かりを見つけたのは、同国の美術研究家セラチーニ博士らのチーム。宮殿大広間の東側に飾られているヴァザーリの壁画裏にもう一枚の壁があるとみられ、そこから採取された黒色顔料が「モナリザ」で使われた絵の具と同じ成分であることが分かった。
アンギアーリの戦いはダ・ヴィンチが1504年ごろに制作を始めたが、表面が剥がれるなどして未完成に終わった。宮殿の改装で壁画が失われたとされてきたが、セラチーニ博士がヴァザーリの壁画を詳しく調べたところ、描かれた小さな旗に「求めよ、さらば与えられん」との聖書の言葉が書かれているのが見つかるなど、失われた壁画の手掛かりを示す発見もあったという。
時事通信より。
文化庁は、第62回芸術選奨の受賞者30人を発表した。文部科学大臣賞に19人、新人賞には11人が選ばれた。
受賞者と主な業績(敬称略)  ◇文部科学大臣賞  【演劇】演出家栗山民也(59)=「ピアフ」▽歌舞伎俳優中村又五郎(55)=「菅原伝授手習鑑」  【映画】プロデューサー新藤次郎(63)=「一枚のハガキ」▽監督成島出(いずる、50)=「八日目の蝉」  【音楽】箏曲演奏家亀山香能(こうの、65)=「箏曲リサイタル」▽ギター演奏家福田進一(56)=「ギターリサイタル」  【舞踊】ダンサー首藤康之(40)=「Shakespeare THE SONNETS」▽日本舞踊家花柳寿楽(45)=「夢殿」  【文学】作家小池真理子(59)=「無花果の森」▽詩人藤井貞和(69)=「春楡の木」  【美術】写真家畠山直哉(54)=「Natural Stories」▽建築家坂茂(ばん・しげる、54)=東日本大震災被災地などで活用された「紙の建築」  【放送】プロデューサー阿武野勝彦(53)=「死刑弁護人」  【大衆芸能】落語家柳家権太楼(65)=「独演会」▽歌手由紀さおり(65)=アルバム「1969」  【芸術振興】音楽家・プロデューサー大友良英(52)=「プロジェクトFUKUSHIMA!」  【評論等】美術史学者鈴木杜幾子(ときこ、66)=「フランス革命の身体表象 ジェンダーからみた200年の遺産」▽演劇研究家中村哲郎(69)=「花とフォルムと 転換する時代の歌舞伎評論」  【メディア芸術】東京芸術大教授佐藤雅彦(57)=「0655」「2355」  ◇文部科学大臣新人賞  【演劇】俳優今井朋彦(44)=「破産した男」  【映画】監督砂田麻美(33)=「エンディングノート」  【音楽】ピアノ演奏家河村尚子(30)=「東京オペラシティリサイタルシリーズ B→C 131」  【舞踊】バレエダンサー湯川麻美子(37)=「パゴダの王子」の女王エピーヌ  【文学】歌人梅内(うめない)美華子(41)=「エクウス」  【美術】美術家・彫刻家小谷元彦(40)=「幽体の知覚」  【放送】脚本家坂元裕二(44)=「それでも、生きてゆく」  【大衆芸能】のこぎり演奏家・作曲家サキタハヂメ(40)=「SAW much in LOVE」  【芸術振興】せんだいメディアテーク主幹兼企画・活動支援室長甲斐賢治(48)=「3がつ11にちをわすれないためにセンター」  【評論等】視覚文化研究者佐藤守弘(45)=「トポグラフィの日本近代 江戸泥絵・横浜写真・芸術写真」  【メディア芸術】アニメーション監督長井龍雪(36)=「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」
朝日新聞より。
香南市の恵日寺が所蔵している、国の重要文化財で平安時代後期の作とされる「木造大日如来坐像・金剛界」を含む仏像4体が盗まれていることが13日、分かった。重要文化財の盗難は高知県内で初めて。
香南署や県教委によると、大日如来坐像は金剛界(像高53・8センチ)と胎蔵界(同53・3センチ)があり、ともにヒノキの一木造り。2体が1911(明治44)年に重要文化財指定を受けた。金剛界の他に盗まれたのは「木造雨宝童子立像」「木造毘沙門天立像」「木造行基菩薩坐像」の3体で、いずれも文化財指定はない。
同日午前10時半ごろ、安芸市の自宅から寺に到着した住職が、本堂東側面の通用口に設置していた二つの錠が壊されているのを発見。中を確認したところ、祭壇奥にある格子戸が開き、その奥に並ぶ厨子の中に保管していた仏像がなくなっていたとのこと。
高知新聞より。
奈良県明日香村の高松塚古墳(7世紀末〜8世紀初め)で極彩色壁画が見つかって21日で40年。国宝壁画は、文化庁の管理の不備もあり、カビなどで劣化、古代の美しさを失った。
14日に壁画の修復施設を報道陣に公開した同庁によると、修復の進捗率は現在25%。湿度ほぼ100%の古墳内でカビの発生は抑えられないとして、壁画が描かれた石室の解体という「最終手段」がとられたのが2007年。バラバラになった壁画は今、古墳近くの修復施設で保管されている。
共同通信より。
ウッドワン美術館(廿日市市)が進めていたゴッホ「農婦」(1884〜85年制作)の科学調査で、現在の絵の下にゴッホ直筆の筆致や色彩の痕跡が見つかったとのこと。直筆画は力強い輪郭とみずみずしい色彩の女性像だったとみられるが、後世の修復家による加筆や変色によって暗い印象に変わっていたことが分かった。
同作品は31歳ごろ描かれた初期作。ゴッホ美術館(オランダ)の調査によって、1950年ごろ2回、顔の部分を中心に修復されたことが分かっていた。特に鼻から顎にかけての輪郭は大幅に描き換えられており、現在の絵の下に直筆が残っていない懸念があった。
昨夏、吉備国際大文化財総合研究センターでエックス線などを用いた非破壊検査を実施。データを分析した結果、ゴッホが描いた輪郭の一部が残っており、色彩を突き止めた。背景と服は現在より明るい青みがかった色で、帽子は鮮やかな白だったという。
中国新聞より。
ブリジット・バルドーさんの元夫の故ギュンター・ザックス氏のバルドーさん関連を含む美術コレクションが、5月22、23日にロンドンのサザビーズでオークションに掛けられることが明らかになった。
目玉は、アンディ・ウォーホルが描いたバルドーさんの肖像画で、400万ポンド(約5億2500万円)もの高値を呼ぶものと予想されている。この絵は、2人が離婚した5年後の1974年にザックス氏が制作を依頼したもの。
オークションには、同氏と仲が良かったウォーホルの作品が多く出品される。
時事通信より。ウォーホルその1
ロイター通信より。ウォーホルその2
2011年度の日本芸術院賞に8人が選ばれた。このうち、評論家の三浦雅士さん(65)と洋画家の池口史子さん(69)、尺八奏者の山本邦山(本名山本泰正)さん(74)の3人は、特に優れた人に贈られる恩賜賞にも選ばれた。
受賞者と業績(敬称略)  【恩賜賞・日本芸術院賞】洋画家池口史子=「深まる秋」▽評論・批評家三浦雅士=「青春の終焉」などの批評▽尺八奏者山本邦山=尺八の魅力を世間に示した功績  【日本芸術院賞】彫刻家吉野毅(68)=「夏の終り’11」▽工芸家・東京芸術大学長宮田亮平(66)=シュプリンゲン「翔」▽書家星弘道(こうどう)〈67〉=「李●詩 贈張旭(りきしちょうきょくにおくる)」(●は、へんが斤、つくりが頁)▽文楽三味線方鶴沢藤蔵(とうぞう)〈本名尾崎一良、47〉=近松物の復曲演奏や義太夫の実演解説などの功績▽雅楽奏者笠置侃一(かんいち)〈84〉=長年演奏に従事し、文化的価値と芸術性を追求した功績
朝日新聞より。
佐久市にある奈良時代の「周防畑(すぼうばた)遺跡群」で昨年6月、獣の脚の形をした土台(獣脚)が付いた硯の破片が見つかり、17日から展示公開が始まった。「獣脚風字硯(ふうじけん)」と名付けられ、専門家によると、国内だけでなく中国でも出土例がない。当時の佐久地方の人々が独自に施した工夫がうかがえる貴重な出土品としている。
中部横断道建設に伴う県埋蔵文化財センター(長野市)の発掘調査で見つかった。破片は奥行き11センチ、幅7センチ、高さ3・9センチ。同センターによると、形状などから、手前が方形で奥が円形の「風字硯」と呼ばれる種類の硯の一部とみられ、全体では両手の平ほどの大きさになると推定している。8世紀後半の製造と推定。風字硯は国内でこのころから11世紀ごろまで盛んに製造されたといい、初期の製造品とみている。
信濃毎日新聞より。硯は17日から5月13日まで長野県立歴史館で展示されるとのこと。
これまで無名画家の作品と思われてきた油絵が、エックス線検査の結果、ファン・ゴッホ(1853―1890)の作品だったことが判明した。花を描いた静物画の下から見つかった別の作品が決め手になったとのこと。
花の静物画はオランダ東部オッテルロにある美術館に1974年から展示されていたが、署名の位置や構図などからゴッホの作品ではないと判断され、2003年、正式にゴッホの作品一覧から抹消された。しかしエックス線を使って調べたところ、花の絵の下に、2人のレスラーが戦う様子を描いた別の作品があることが判明。ゴッホがレスラーを描いていたことは以前から知られており、カンバスを再利用して1つの作品を塗りつぶしながら別の作品を仕上げている手法などを見ても、ゴッホの作品に間違いないと判断されたとのこと。
アムステルダムにあるファン・ゴッホ美術館の研究員によれば、エックス線による調査は過去にも行われていたが、当時は鮮明な画像が得られなかったとのこと。今回は新技術を使って鮮明な画像を映し出すことに成功、顔料や絵の具の層などについても詳しいことが分かったという。
ゴッホはベルギー・アントワープの美術学校に通っていた当時、「今週は2人の裸の胴体――2人のレスラーを描いた」と1886年1月の手紙に記していた。研究員によれば、花の静物画はその後半年もたたないうちに、同じカンバスに描いたとみられる。
CNNより。
51年ぶりに見つかった岸田劉生(1891〜1929年)の油彩画「黒き土の上に立てる女」が24日、都内で開かれたシンワアートオークション主催の競売に掛けられ、3600万円で落札された。予想落札価格(700万〜1千万円)を大きく上回った。
作品は1914年の制作で、縦62センチ、横46・8センチ。妻をモデルにしたとみられる女性像で、61年に雑誌に掲載するために撮影された後は、所在が分からなくなっていた。出品者、落札者はともに非公表。
共同通信より。
ポール・セザンヌが描いた「カード遊びをする人々」(全5点)の習作が、最後の公開から約60年ぶりに所在が確認され、5月1日にニューヨーク市内で競売に掛けられるとのこと。クリスティーズが27日、発表した。同社は最高落札価格を約2千万ドル(約16億6千万円)と予測している。
この作品は紙に描いた水彩画で、テーブルの前に座ったコートと帽子姿の男性が手元に見入る構図だが、カードそのものは描かれていない。
クリスティーズによると、昨年9月に死去したテキサス州の収集家で著名な小児科医が所持していた。最後に公開されたのは1953年で、それ以降は「所在不明」とされ、モノクロ写真が残っていただけだった。
産経新聞より。






topback