2011年
06/01 木製カプセル入り胎内仏発見 名古屋市博物館で公開へ
名古屋市博物館は1日、愛知県あま市の甚目寺に保管されていた愛知県指定文化財の「愛染明王坐像」(高さ105センチ)の内部から、カプセル状の木製の容器に入った胎内仏(高さ6.6センチ)が見つかったと発表した。博物館によると、容器に納められた胎内仏は、全国で初めてという。
愛染明王坐像は1284年(鎌倉時代)以前の製作。1996年のファイバースコープでの調査で、胎内に球状の物体があることが分かっていた。昨年12月、修理のため解体し、胎内仏が確認されたとのこと。容器は球体で直径9.8センチ。市博物館によると、胎内仏の多くは仏像内部の空洞を利用して納められるが、今回は胎内仏を入れるための空間をわざわざ作ったのが特徴という。
朝日新聞より。「仁王像修復記念 甚目寺観音展」にて公開されるようです。名古屋市博物館で7月16日(土)〜8月28日(日)
奈良・東大寺の二月堂に伝わり、火災に遭いながらも銀白の文字が鮮やかな経本「紺紙銀字華厳経(二月堂焼経)」(奈良時代)について、銀粉をにかわなどで溶いた銀泥で書かれていたことを、京都国立博物館が科学調査で初めて確認した。
通常は酸化などで黒ずむ銀の色が残った理由は、火災による塩素ガスと反応したためという。同博物館は、奈良市で4日に始まる文化財保存修復学会で発表するとのこと。
読売新聞より。
共同通信より。
「第54回ベネチア・ビエンナーレ」の開会式と授賞式が4日、イタリア・ベネチアで開かれ、最高賞の金獅子賞は、国別参加部門がクリストフ・シュリンゲンジーフ(故人)の展覧会を開いたドイツに、企画展の出品作家を対象とした個人部門が米国のクリスチャン・マークレーさんに決まったとのこと。同氏は、8月に始まる横浜トリエンナーレへの出品が予定されている。
今回は過去最多の89カ国が参加。日本館は、束芋さんの個展「てれこスープ」を開いている。11月27日まで。
朝日新聞より。
京都・大徳寺所蔵の「織田信長像」は、当初の絵を大幅に描き直したものだったことが、京都国立博物館の調査でわかった。狩野永徳の筆と伝わる作品。絵の裏側に残る最初の絵は、衣装はより華やかで脇に差す刀も1本多かったとのこと。
同像は縦115センチ、横52センチで絹本著色の作品。絹本著色の絵は、裏にも表と同じ色づけをするのが特徴。2008年からの修復で、表裏を比べたところ、両腕とも薄藍色の小袖を着た表面に対し、裏面は右腕が萌葱色、左腕が薄茶色と派手な色遣いだったとのこと。小袖の桐紋も裏面の方がより大きく描かれていた。
読売新聞より。
平等院は6日、本尊・阿弥陀如来坐像(国宝)の胎内から約60年前に見つかった鳳凰の尾羽片が、平安時代の平等院創建時(1053年)に製作されたものだった可能性が高いと発表した。
平等院の鳳凰(1対)は、鳳凰堂の棟飾りとして1053年に製作された。だが、細長い羽を根元で固定する尾羽は、その重さで破損しやすく、大部分が後世の補作。今回調査した尾羽片は1954年の昭和修理の際、本尊の胎内から発見されたとのこと。
尾羽片は10センチ前後の細長い銅板3枚を錨留めしたもの。鳳凰2体のうち、南側の鳳凰の尾羽にはこの尾羽片と同様の根元があり、北側の鳳凰には根元がないことから北側の鳳凰の尾羽片と特定したとのこと。
朝日新聞より。
読売新聞より。
京都新聞より。
共同通信より。
共同通信より。
青木繁(1882〜1911年)の描いたデッサンが新たに見つかったとのこと。死の前年の素描とみられ、西洋の騎士像が描かれている。生活に困窮した青木の晩年は、神話や聖書を主題にした絵がほとんどなくなるが、京都国立近代美術館の山野英嗣学芸課長は「最後まで聖書や神話の主題を追い続けたことが分かる貴重な資料」としている。
新発見のデッサンは「没後100年 青木繁展」開催中の同美術館に、京都の画商を通じて持ち込まれたとのこと。スケッチブックの用紙の表に鎧を着た騎士と馬が描かれ、額裏には「西洋鎧武者」の題名があった。絵にサインはないが、裏面に描かれた勲章の図案が青木の作品「木下秀康大尉像」(1910年)の胸の勲章と共通しているほか、紙の左下にあるパトロンの印、通し番号、筆跡などから青木の作と分かった。ただ、この騎士像を元にした完成作が存在するかどうかは不明という。
京都新聞より。デッサンは「没後100年 青木繁展」で21日から最終日の7月10日まで展示されるとのこと。
東日本大震災の津波で流失した「六角堂」の再建に向け茨城大は14日、海底調査を行い瓦や屋根の一部を回収したとのこと。柱などの本体部分は発見できなかったが、回収した屋根の一部は岡倉天心による創建時からあった可能性があるという。同大は調査の結果、全体の回収は難しいとみて、今後は昨年秋に作成した設計図を基に六角堂を複製する方針。
海底調査は、六角堂の沖合400メートル以内の海底を捜索。沖合では何も発見できなかったが、六角堂付近の岩場で鬼瓦1枚を含む瓦約20枚とともに、創建当初のものとみられる屋根飾りの「擬宝珠」の一部が見つかったとのこと。 同大によると、6日の事前調査でも岩場付近から鬼瓦1枚を含む瓦約30枚と横板とみられる木片が見つかった。六角堂は1957年に改築した記録が残り、瓦はそれ以降のものが大半とみられる。
茨城新聞より。スクラップ2011年4月20日の続報
国宝を含む美術品、建造物の修復に使われた合成樹脂が劣化し、かえって絵画などが見えづらくなるなどしている問題で、東京文化財研究所と大阪市立工業研究所は合成樹脂を分解する「特効薬」を開発した。近く実用化されるとのこと。
問題の合成樹脂は接着剤などに使われる「ポリビニルアルコール」(PVA)。顔料がはがれるのを防ぐ効果があるため、1940年代以降、多くの国宝や重要文化財の美術品、建造物などの修復で使われた。しかし、時間とともに劣化し、樹脂の表面に細かいひび割れが入ることで白く曇ったり、樹脂が硬くなって顔料ごとめくれ上がったりしていた。
朝日新聞より。
奈良文化財研究所は16日、奈良市の平城宮跡で、正倉院宝物の香炉「火舎」の脚に似た銅製品2点が出土したと発表した。動物の足の形をしており、炉部分を支えた「獣脚」とみられるとのこと。
2点はともに幅、奥行き、高さ各4センチで、東院地区と呼ばれる宮跡東側の溝跡から出土したとのこと。須恵器の獣脚(高さ13センチ)も見つかり、付け根部分には獣の顔があしらわれていた。正倉院には、獅子をかたどった銅製の脚を持つ「金銅火舎」など火舎4点が伝わる。
読売新聞より。
共同通信より。
アムステルダムのファン・ゴッホ美術館が所蔵し、ゴッホの自画像とされていた肖像画のうちの1枚が、弟テオの肖像だったことが同美術館の学芸員の調査で分かった。ゴッホはテオの肖像画を描かなかったとされてきた。同美術館が発表した。
この肖像画は1887年の作品。ゴッホが描いた他の多くの自画像と比べ、あごひげに赤みがなく黄みがかっており、耳も丸みを帯びているといった違いがあった。こうした特徴が現存する同時期のテオの写真と一致したという。
朝日新聞より。
香南市から熊本市現代美術館に貸し出し中、同館の薫蒸ミスで変色した幕末の絵師、金蔵(絵金)の芝居絵屏風5点を調べていた東京文化財研究所は24日までに、化学反応による変色の進行が止まっていることを確認した。今後、国宝を修復するのと同等の最高水準の技術で修復することになるという。
高知新聞より。
共同通信より。
九州国立博物館が、長崎市の黄檗宗寺院・聖福寺の仏像「釈迦如来坐像」を、コンピューター断層撮影(CT)装置で撮影しデータ解析した結果、内部に内臓に見立てた「金属製五臓」があることが分かった。金属製五臓は、これまで仏像修理などの際、国内外で4例が確認されている珍しい内臓模型で、九州国博は「仏像を解体したりせずに金属製五臓を確認したのは恐らく世界で初めて」としている。
調査は今年5月に行い、高さ148.5センチの仏像の腹付近に金属製五臓を確認した。五臓は長さ約15センチで肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、咽喉に見立てた板状の小片(各2センチ四方)が鎖でつながれていたとのこと。材質は鉛などで、鋳造とみられるという。当初はのど付近に固定していたが落下したのではないかとみている。
また、五臓のそばには骨(仏舎利)、のど仏、歯に見立てたガラス製、あるいは水晶製の物体もあり、これらと五臓は綿と布に包まれ、ひもで香木(長さ35センチ)に結ばれていたとのこと。さらに仏像内部には米や豆とみられる穀物も詰め込まれていた。
釈迦如来坐像は、17世紀に中国・清で作られた寄せ木造りの像で、1698年に長崎に運ばれ、聖福寺の本尊となった。
西日本新聞より。
九州歴史資料館(福岡県小郡市)は29日、同県久山町の個人宅にあった木製の仏像(如来形坐像)が、平安時代前期の9世紀に作られた九州最古級の仏像だったと発表した。表面には後世の塗料が塗られ、一見、近代以降に作られた仏像とみられていたが、資料館が像の内部を撮影したところ、平安前期の特徴を持つ構造や彫り方だったという。
資料館によると、仏像は高さ25.7センチ。久山町の個人宅に代々伝わり、30年ほど前に塗装したという。2009年、所有者が久山町教委に写真を持ち込み、昨年から同資料館が仏像の調査に乗り出していた。
CTスキャナーによる調査では、内部をくりぬいていない「一木造」で、顔の両方の眉がつながる「連眉」など平安時代前期の仏像の特徴を備えていることが判明。木材は針葉樹で、手先や底部などを数回にわたって修復していたことも分かった。
西日本新聞より。
パリで開催中のユネスコ世界遺産委員会は28日、フランスや日本など6カ国が共同推薦したフランスの建築家ル・コルビュジエの建築作品群について、世界遺産への登録の見送りを決めたとのこと。4段階で下から2番目の「登録延期」とした。
推薦された19作品には、東京・上野の国立西洋美術館本館が含まれている。世界遺産委員会の諮問機関・国際記念物遺跡会議(イコモス)は、登録に不可欠な「顕著で普遍的な価値」が一部の作品にしか認められないとして、4段階で一番下の「不登録」を勧告していた。世界遺産委員会が「不登録」と決議すれば再挑戦できないが、その事態は回避された。フランスと関係国は推薦書の改定や再提出など今後の対応を協議する見通し。
朝日新聞より。






topback