2011年
10/01 文化庁、被災博物館など再建支援 収蔵品修復や展覧会に補助
文化庁は1日までに、東日本大震災で被災した博物館や美術館の復旧を後押しするため、収蔵品の修復や展覧会開催などの取り組みに対して財政支援する方針を決定。来年度概算要求に13億円を盛り込んだ。
震災による揺れや津波で建物や収蔵品に被害が出た博物館、美術館は200館を超える。美術品が海水をかぶるなど深刻な被害に遭い再開のめどが立たない施設もあるという。
共同通信より。
金沢21世紀美術館は1日、スイス在住の芸術家ピピロッティ・リストの展示作品「あなたは自分を再生する」の一部が盗まれたと発表した。
盗まれたのは、男子トイレに約25センチ四方の祭壇をイメージしたインスタレーション(空間芸術)の一部で、アクリル樹脂製の半円盤(直径約25センチ、厚さ約2センチ)。光を当て飲食物が体内で循環するうちに血や涙に変化する映像が投影される仕組みで、固定されておらず、来館者も触れることができた。
美術館によると、9月30日午後8時すぎ、閉館後に学芸員が紛失に気付いた。
共同通信より。
パリ市立近代美術館から昨年5月、ピカソやマチスなどの絵画5点総額1億3千万ドル(約100億円)相当が盗まれた事件で、3人が逮捕されていたことが1日、明らかになった。ロイター通信などが伝えた。作品はまだ発見されていないとのこと。
3人のうち1人は窃盗に関与し、残る2人は盗まれた作品の処分に関わったとされる。3人は9月16日に逮捕されていた。
事件で被害にあったのは、ピカソの「鳩と小さなえんどう豆」、マチスの「田園風景」のほか、ブラック、レジェ、モディリアニの絵画各1点。
産経新聞より。スクラップ2010年5月20日の続報
東大寺(奈良市)は3日、境内の総合文化センター内に完成した展示施設「東大寺ミュージアム」が10日に開館するのを前に、報道陣に公開した。天平時代の宝物を中心に、東大寺の歴史を物語る仏像や絵画を見ることができる。
五つの展示室に分かれた館内は、約600平方メートルで全体に免震装置を施した。法華堂の本尊「不空羂索観音菩薩像」と「日光・月光両菩薩像」(いずれも国宝)をメーンに、本年度は国宝12件、重要文化財24件など計60件の宝物を公開する。
中原淳一さん(1913〜83年)が描いた雑誌「ひまわり」の表紙の原画2点が、刊行から六十数年ぶりに見つかったと、東京都文京区の弥生美術館が3日、発表した。
「ひまわり」は中原さんが47年に創刊した月刊少女雑誌。52年の最終巻まで全67号の表紙を中原さんが描いた。同美術館によると、原画は7点しか確認されていなかったが、東京都の収集家の男性が2点保存していることが分かり、同美術館が購入したという。
原画はいずれも約15センチ四方。初期と終刊近くのもので、花や枯れ葉を背景にした少女の顔を描いている。
共同通信より。原画は弥生美術館で12月25日まで展示されるそうです。
松本竣介の生誕100年を記念し、全国5美術館が来年度に企画していた巡回展の開催が危ぶまれているとのこと。東日本大震災の影響で、岩手県立美術館の企画展事業予算が来年度も引き続き凍結される恐れがあるため。巡回展は各美術館が費用を分担して開催するため、1館でも抜けると実現が難しい。
河北新報より。
東大寺大仏殿で、明治時代に鎮壇具(8世紀、国宝)と一緒に出土した人の歯を奈良国立博物館が調査したところ、中年男性のものとみられることが分かった。鎮壇具には、正倉院から持ち出された聖武天皇の遺愛品「陰寶劔」「陽寶劔」が含まれていたことが昨年判明しており、50歳代半ばで亡くなった聖武天皇の歯である可能性も指摘されているとのこと。
歯は1907〜08年、大仏殿修理に伴い、大仏を安置する須弥壇を掘った際、敷地を清めるために地下に埋めた仏具である鎮壇具とともに発見された。
読売新聞より。
画家の元永定正さんが3日、死去した。88歳。
1955年、吉原治良さんらの前衛美術グループ「具体美術協会」に参加。絵の具のたらし込みなどによる躍動的な絵画で脚光を浴び、国内外で活躍した。その後、単純な形態による詩的な抽象表現に転じ、おかしみのある題名とともに人気を集めた。
共同通信より。
平等院(京都府宇治市)は7日、鳳凰堂の本尊・阿弥陀如来坐像(国宝)の台座から、金箔などを貼り付けて文様を表す「截金」という特殊技法が施された平安時代後期のガラス片が見つかったと発表した。
截金は中国など東アジアで広く見られ、日本でも飛鳥時代以降、仏像や絵画装飾に使われたが、平等院は「これまでガラスへの截金技法は世界で確認されておらず、極めて貴重」としている。
共同通信より。
1893年のシカゴ万国博覧会で、日本が出展した「鳳凰殿」内の4枚の欄間が、シカゴ美術館に常設展示されたとのこと。
同美術館学芸員によると、常設展示された欄間は同博覧会に彫刻「老猿」を出品した高村光雲の作品。宇治の平等院鳳凰堂を模して造られた鳳凰殿は万博後にシカゴ市に寄贈されたが、1940年代半ばに火事で焼失、欄間が鳳凰殿で唯一現存する品という。
時事通信より。
天台宗宗祖・最澄(伝教大師)が中国天台宗の開祖・天台大師や最澄の弟子・円仁(慈覚大師)とともに描かれた14世紀前半(鎌倉後期〜南北朝時代)の掛軸「絹本著色 天台大師・伝教大師・慈覚大師像」(縦約1.5メートル、横約0.8メートル)が、大津市歴史博物館で半世紀ぶりに見つかったとのこと。最澄が描かれた掛軸では、11世紀に描かれた一乗寺所蔵の「聖徳太子及び天台高僧像」(国宝)に次ぐ最古級。
掛軸は文化財保護委員会(現・文化庁)の1963年の調査で、比叡山延暦寺の山内寺院に所蔵されていたのが確認されたが、その後、所在不明になっていた。93年、この掛軸の存在を把握していたものの別の掛軸と思い込んで同館に寄託。今年4月、同館が収蔵品を点検し、所在不明の掛軸とわかった。
読売新聞より。「12日から大津市歴史博物館の特別展示で初公開される」とのこと。
大分県立歴史博物館(宇佐市)は14日、天福寺奥の院(同市)の木彫り仏像群(約70体)のうち、40体の制作年代がこれまで推定されていた平安時代後期(11〜12世紀)ではなく、奈良時代中期から平安時代初期(8〜9世紀)と判明したと発表した。従来の通説から約300年も古かったことになる。同博物館によると、現存する奈良時代(8世紀)の木彫り仏像は全国的にも少なく、1カ所に伝わる仏像群としては唐招提寺(奈良県)の16体、法隆寺(同)の12体を大きく上回り、国内最多規模という。
538年に仏教が伝来して以降、木彫りの仏像が本格的に制作されるのは奈良時代の半ばから。同博物館によると国内に残っている木彫り仏像群としては最も古い時期に属するという。
大分合同新聞より。
東日本大震災や福島第1原発事故と「イメージが重なり、冷静に見られない」との理由で、今春の開催が見送られた目黒区美術館の原爆美術展が、今度は、区の財政難を理由に来年度の開催も危ぶまれていることが13日、分かった。
同展は「原爆を視(み)る1945―1970」と題し、原爆に関する絵画や写真、漫画、紙芝居など約600点の出展を計画。4月9日〜5月29日の会期だったが、震災を受け、見送った。
中国新聞より。
1890年7月29日、パリ郊外オーヴェル・シュル・オワーズで拳銃自殺したとされるオランダの画家、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(享年37歳)の死因について、不慮の事故による“他殺説”が浮上しているとのこと。
新説に言及しているのは英で17日に発売されたゴッホの伝記「ヴァン・ゴッホ:その人生」。著者は、イラン生まれの米美術史家スティーブン・ネイファー氏と、米作家グレゴリー・ホワイト・スミス氏の2人。欧米メディアが17日までに伝えたところによると、新たに入手した膨大な数のゴッホの手紙を20人以上の翻訳者や研究者の助けを借り、10年間にわたって分析したという。
その結果導き出した新説によると、ゴッホは10代の少年2人とカウボーイごっこをしていたが、その際、少年のひとりが持っていた整備不良の銃が暴発。ゴッホは銃弾を腹部に受けて重傷を負ったが、2人をかばうため自殺説をあえて否定せず、2日後にそのまま命を落とした。3人は大酒を飲んで酔っぱらっていたという。
この新説に対し、ゴッホ美術館のレオ・ヤンセン学芸員は17日「ドラマチックで興味をそそるが、自殺説を捨て去るのは時期尚早」などとする声明を発表した。
産経新聞より。
文化審議会(西原鈴子会長)は21日、6件の建造物を重要文化財に指定することを中川正春文部科学相に答申した。近く指定などが行われ、建造物分野の重要文化財は2387件、保存地区は93地区となる見通し。
【重要文化財の指定】旧朴舘(ほおのきだて)家住宅主屋など2棟(岩手県一戸町)▽八幡宮本殿など3棟(島根県津和野町)▽旧毛利家本邸本館など12棟(山口県防府市)▽萬翠(ばんすい)荘本館など2棟(松山市)▽出津(しつ)教会堂1棟(長崎市)▽旧佐世保無線電信所施設の無線塔3基と電信室など2棟(長崎県佐世保市)  【重要伝統的建造物群保存地区の選定】金沢市卯辰(うたつ)山麓伝統的建造物群保存地区(金沢市)▽加賀市加賀東谷伝統的建造物群保存地区(石川県加賀市)  【重要文化財の指定の一部解除】蘆花浅水荘(大津市)
産経新聞より。
和歌山県・高野山にある金剛峯寺が所蔵する仏像「執金剛神立像」(高さ149センチ)の内部に、鎌倉時代を代表する仏師、快慶の作であることを示す墨書銘が残っていることが分かった。山内の文化財を調査・展示している高野山霊宝館が21日発表した。
館内に展示していた木造の像が9月、台座とつながっている左足首の部分で折れ、倒れて破損したのが調査のきっかけ。内部の空洞にファイバースコープを入れたところ、首のあたりに「アン」と読む梵字1文字と、漢字の「阿弥陀佛」4文字が続けて墨で書かれているのが見つかった。快慶は初期の作品に同じ墨書銘を入れており、筆跡も似ているため、快慶作と判断したとのこと。
鎌倉時代の書物に、金剛峯寺が所蔵する快慶作の「四天王立像」(重要文化財)と一緒に、「執金剛神」と「深蛇大王」の像が高野山に安置された、との記述があり、以前から快慶作の可能性が指摘されていた。霊宝館は、一対の像として展示している「深沙大将立像」(高さ142センチ)も快慶作の可能性が高まったとしている。
朝日新聞より。
藤田嗣治の一風変わった作品群が、相模原市緑区(旧神奈川県藤野町)の船宿で保管されているとのこと。
藤田が旧藤野町に疎開した際、食料などを支援してもらったお礼に贈った水彩画やスケッチなど約30点。色紙やはがき、掛け軸などに描かれていた。
今回、相模原市が地元の画家の作品も含めて展示。知人の画家に宛てたはがきに、人物などを描いたスケッチが初公開されるとのこと。
東京新聞より。30点のうち約10点が、相模原市の藤野総合事務所四階会議室で展示されるとのこと。12月2日〜11日。入場無料。
芸術文化の振興に貢献した企業などに贈られる「メセナ アワード2011」(企業メセナ協議会主催)が決まった。
メセナ大賞には、千島土地(大阪市)が選ばれた。大阪市住之江区の北加賀屋地区にある造船所跡地を、芸術を軸に地域活性化を図るアートスペース「クリエイティブセンター大阪」として再生させる取り組みなどが評価された。
文化庁長官賞には六花亭製菓(北海道帯広市)が選ばれた。50年にわたって月刊児童詩誌「サイロ」を発行。十勝地方の小中学生の詩約1万2千編を紹介してきた。
その他の受賞企業・団体と活動内容 朝日酒造(新潟県長岡市)=酒蔵を核とする自然保護・文化活動▽大阪ガス(大阪市)=OMS戯曲賞による関西の演劇文化支援▽トヨタテクノミュージアム産業技術記念館(名古屋市)=産業遺産の保存とモノづくり文化の伝承▽東日本鉄道文化財団(東京都渋谷区)=東日本における地域文化支援▽油機エンジニアリング(福岡県太宰府市)=古民家の修復保存と活用
朝日新聞より。
長崎への原爆投下で消失した浦上天主堂の宗教画「馬利亜十五玄義図(マリアじゅうごげんぎず)」のモノクロ写真乾板を、大阪芸術大非常勤講師の松本夏樹さんが保管していることが分かった。写真家の入江泰吉(1905〜92)が撮影に関わったもので、02年に大阪市内の古美術品店で購入したという。
馬利亜十五玄義図は日本画の材料を用い、キリストや聖母マリアの生涯が15コマに分割して描かれた縦64センチ、横54センチの絵画。江戸時代に隠れキリシタンの家に伝わったとされ、明治時代以降、浦上天主堂が保管していた。
その写真は美術史家の西村貞が1945年1月に出版した専門書「日本初期洋画の研究」に挿絵として掲載。しかし、大阪の出版社が同年3月の大空襲に遭い、乾板は行方不明になっていた。
松本さんは大阪・梅田近くの古美術店で、紙箱に収められた乾板100枚を購入。このうち9枚が、玄義図の15コマのうち9コマを1枚ずつ写したものだった。他の6コマは見つかっていない。
毎日新聞より。
政府は25日、今年度の文化勲章を青色発光ダイオード(LED)の実用化に貢献した半導体電子工学の赤崎勇名城大教授(82)や細胞分裂時の染色体分配機構の研究で世界的な業績を上げた分子遺伝学・分子生理学の柳田充弘京都大名誉教授(70)ら5人に贈ると発表した。文化功労者には政府の東日本大震災復興構想会議議長で、日本政治外交史の五百旗頭真防衛大学校長(67)や俳優の大滝秀治さん(86)ら15人を選んだ。
これで、文化勲章受章者は363人(故人含む)、文化功労者は761人(同)となる。半導体電子工学、分子遺伝学など9分野では初めて。
文化勲章はほかに、陶芸の大樋年朗=本名奈良年郎=(83)、小説の丸谷=本名根村=才一(86)、日本政治外交史の三谷太一郎(75)の各氏。
文化功労者はほかに、陶芸の今井政之(80)、応用微生物学の遠藤章(77)、日本古典文学の片桐洋一(80)、細胞生物学の黒岩常祥(69)、小説の加賀乙彦=本名小木貞孝=(82)、雅楽の芝祐靖(76)、固体電子工学・学術振興の菅野卓雄(80)、有機金属化学の玉尾皓平(68)、彫刻の橋本堅太郎(81)、書の日比野光鳳=本名尚=(82)、政治学の毛里和子(71)、文化人類学・学術振興の山口昌男(80)、能楽研究の横道萬里雄(95)の各氏。
時事通信より。
AFPBB Newsより。
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の県立美術館を支援しようと、パリのルーブル美術館が来春、所蔵品を無償で貸し出し、各館で展示してもらう計画を進めていることが27日、分かった。
関係者によると、貸し出す所蔵品は古代彫刻など約20点で、来年4月ごろから3館を巡回させる。岩手県立美術館を皮切りに、宮城県美術館、福島県立美術館の順を予定している。貸し出しは無償で、輸送費もルーブル側が負担するという。
河北新報より。
奈良・東大寺の戒壇堂にある天平彫刻の傑作、四天王像(8世紀、塑像)など7体の国宝仏が、同寺最古の仏堂、法華堂(三月堂、国宝)の八角須弥壇に置かれていた可能性が高いことが、台座の痕跡からわかった。同寺の森本公誠長老が30日、東大寺ミュージアムの開館記念講演会で明らかにした。
木造の須弥壇は、八角形の下段(幅6メートル)に同形の上段(同4.5メートル)が載る。2010年に修理が始まるまで、上段にいずれも8世紀の国宝で、本尊の不空羂索観音像(脱活乾漆造)と日光・月光両菩薩像(塑像)、下段に厨子入りの執金剛神像(同)の計4体が安置されていた。
森本長老によると、1996年以降の調査で、下段に7体分の台座跡を確認。いずれも幅83センチ前後の八角形で、戒壇堂の四天王像(持国天、増長天、広目天、多聞天)や日光・月光両菩薩像、執金剛神像の台座と一致した。各像がどの台座跡に対応するかは、仏像の配置の決まりも考慮しながら調べる。執金剛神像は当初、厨子なしで安置されていたとみられる。
朝日新聞より。






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