2008年
09/04 弥生期の盾に「緑土」顔料 鳥取、東アジアで最古
鳥取市の青谷上寺地遺跡で出土した弥生時代後期(1―3世紀)の盾に塗られた緑色顔料の「緑土」が、東アジアでは最古の使用例だったことが分かり、鳥取県埋蔵文化財センターが3日発表した。
緑土が塗られていたのは1998年に出土した盾2枚の一部。1枚は長さ約88センチ、幅8.5センチで、もう1枚は長さ40センチ、幅約10センチ。厚みはいずれも約1センチと薄く、祭祀用とみられるとのこと。短い破片は赤と緑、長い破片は緑一色だった。〔共同〕
日経新聞。
文化庁はアニメやマンガ、ゲーム、映画などの「メディア芸術」について、一元的な情報発信拠点の整備に乗り出すことを決めた。これまでマンガの博物館など各分野ごとの拠点はあったが、メディア芸術を総合的に紹介する拠点がなく、海外からもこうした施設を求める声が上がっていたとのこと。
日経新聞。
キトラ古墳(奈良県明日香村)の壁画保存問題で、文化庁は10日、昨年はぎ取った四神図の「朱雀」像を報道陣に公開したとのこと。担当者は「絵は劣化しておらず、下地のしっくい層はしっかりしている」と説明している。
表面を覆うゲル状物質(カビや細菌の混合物)も乾燥し、数百カ所で斑点状になっている。しっくいのひび割れを防ぐため、部分的に紙を張って表面を保護したとのこと。
朱雀は現在、同村にある高松塚古墳壁画の修理施設で保管中。同庁は2010年春の一般公開を目指し、ゲルの除去作業などを始める。ただ、泥は顔料より粒子が細かく、除去は難しいという。
日経新聞。
仙台市の十八夜観世音堂の「菩薩立像」が、8世紀後期ごろの奈良時代に造られた仏像の可能性が高いことが9日、東北大と市博物館の調査で分かった。大和朝廷があった近畿で発祥した針葉樹の一木造りで、東北に現存する最古の木彫り像とみられるとのこと。奈良時代の一木造りの仏像は千葉、栃木などに残っているが、東北では確認されていなかった。
菩薩立像は高さ138.5センチ。1本の針葉樹から彫りだした一木造りで、細身で腰が高い位置にあるといった特徴が分かった。一木造りや細身の造形は、奈良時代の近畿地方で760-770年ごろに造られ始めた仏像に特有の特徴とされ、8世紀後期ごろの制作と推測する根拠になった。
河北新報。「菩薩立像は、11月14日に仙台市博物館で始まる展覧会に出品予定」とのこと。
共同通信より。
寺田典城知事は11日、建築家の安藤忠雄氏と面会し、秋田市の千秋公園から同市中通の日赤跡地に移転する県立美術館の設計を依頼。県によると、安藤氏はこれを了承したとのこと。日赤・婦人会館跡地等再開発準備組合は8月、県立美術館の設計を安藤氏に依頼する提案書を県に提出。これを受けて上京中の寺田知事が安藤氏に要請した。
毎日新聞。
鈴鹿市が保管している雲心院(同市)の仏像が江戸時代の僧、円空の作だったことが専門家の調査で分かった。鈴鹿市で円空仏が確認されたのは初めて。
市文化課によると、この円空仏は台座を含む高さ35.1センチの宇賀弁才天坐像。赤外線撮影では頭部と胸の部分に梵字などが書かれていることが分かり、1679(延宝7)年以降の作と推定されるという。
毎日新聞。宇賀弁才天坐像は、鈴鹿市考古博物館で開かれる「未来へつなぐ宝物―第1回郷土資料室・新収蔵品展」で展示されるとのこと。会期は来年1月17日〜3月1日
ニューヨーク市の今夏の観光の目玉として登場したパブリック・アートの人工の滝に、住民から「周辺の植物に害を及ぼしている」と苦情があり、市当局が今月8日から滝の“展示”時間を大幅に短縮していたことが分かった。
作品は、ブルックリン橋やガバナーズ島など市内の4カ所に約40メートルから27メートルの高低差のある人工滝を設置し、クルーズ・ツアーなどで、その景観や“迫力”を楽しんでもらうという趣旨。しかし、滝が設置されたイーストリバーの水質は大西洋に近接しているため塩分が強く、滝によるしぶきが周囲の灌木や植物にかかり、枯れ始めるように。このため、ブルックリンの住民らが市当局に10月中旬まで予定されている滝の設置を9月はじめで終了させるよう訴えていたとのこと。
市当局は展示時間を週101時間から約50時間に半減させた。期間は当初どおり10月中旬までとするとのこと。
滝は、都会の空間の中に自然現象を再現するアート作品で知られるデンマーク出身の芸術家、オラファー・エリアソン氏が手がけた。
産経新聞。
【13日共同】アフガニスタン中部の世界遺産バーミヤン遺跡で13日までに、「西遊記」の三蔵法師として知られる玄奘三蔵が、著書「大唐西域記」に記述した「先王(先代の王)の建てた伽藍(寺院)」とみられる仏教寺院跡が出土したとのこと。アフガン考古学保護協会のゼマリアライ・タルジ氏(仏マルク・ブロック大教授)が率いるチームが発掘した。旧政権タリバンが破壊した東大仏跡と西大仏跡のほぼ中間で見つかり、近くの石窟の年代などから5―6世紀ごろの伽藍と推定される。伽藍の規模は推定東西300メートル、南北200メートル。
大唐西域記に記載された建立物のうち、先王伽藍、大きさ約300メートルとされる涅槃仏、王城の3つが未確認だった。
日経新聞。
共同通信より。関連の展覧会:「高松宮殿下記念世界文化賞20周年 Art of our time」 上野の森美術館にて2008年9月27日(土)〜11月9日(日)開催
朝日新聞より。スクラップ2008年8月29日の続報です。
戦死した画学生の遺作を展示する慰霊美術館「無言館」が長野県上田市にオープンして今年で12年目。開館後は全国各地から同様な遺作の寄贈が相次ぎ、収蔵作品は現在、約100人約600点と、開館当初の7倍以上にまでふくらんだだため、今月20日に新たな展示スペースとして「第2展示館」がオープンした。
第2展示館は、床面積約165平方メートル。「傷ついた画布のドーム」と名付けられ、開館後寄せられた画学生の作品が少なくとも1点は鑑賞できるようになっているとのこと。
画集や戦争資料、絵本など約2万5000冊を収蔵する「オリーヴの読書館」も併設。中庭には、パレスチナから運んだオリーブ100本が植えられ、第2次世界大戦末期の沖縄戦で激戦地となった「摩文仁の丘」から採掘した石約200トンが置かれる。
産経新聞。
大阪市のサントリーミュージアム〔天保山〕は、25日から開催する「青春のロシア・アヴァンギャルド」展に出品予定だったジャン・プーニとカンディンスキーの油彩画4点について、著作権者らから真筆かどうか疑義が寄せられたため、展示を取りやめると発表した。また、共催予定だった朝日新聞社は主催に加わることを見合わせた。
今月中旬、フランスの著作権管理団体を通じて疑義が伝えられたとのこと。作品を所蔵するモスクワ市近代美術館が学術調査の結果を示し、同団体と真筆かどうか検討する。同ミュージアムは、「真正の作品だと確認されれば、改めて展示を考えたい」としている。
読売新聞。シャガール(スクラップ2008年9月10日)に続きジャン・プーニとカンディンスキーも。こんなに物言いがつく展覧会ってあまり見かけないような。
スミソニアン博物館が所蔵する駕籠が、天璋院篤姫が婚礼時に使用したものであることが、江戸東京博物館の斎藤慎一学芸員の調査で確認された。駕籠の本体部分は幅95.7センチ、長さ134.4センチ、高さ136.5センチ。黒漆の地に金の蒔絵で二葉葵をあしらった唐草文様が描かれ、随所に徳川家の家紋「三葉葵紋」と近衛家の「牡丹紋」が配されているとのこと。
斎藤学芸員は、篤姫の婚礼道具について書きとめた「篤姫御方御待請并御婚礼御用留」(国立公文書館所蔵)に、同一の二葉葵唐草文様の図案があったことや、この文書中の調度品検品リスト(安政3年〈1856年〉9月29日付)に「黒漆二葉葵唐草両御紋付 御輿 一挺」の記載があったことなどから、篤姫婚礼時に幕府側で制作した駕籠と断定したとのこと。また、江戸東京博物館が所蔵する家定の生母本寿院(篤姫の義母)所用の駕籠「黒塗梅唐草丸に三階菱紋散蒔絵女乗物」と、内装の図案や外装の金具の付け方などが酷似していることも、この判断を裏付けた。
この駕籠は、スミソニアン博物館のアーサー・M・サックラー・ギャラリーが1984年にロンドンのオークションで落札したが、来歴は不明という。
読売新聞。大河ドラマ放送とか篤姫展開催とかその辺関係してるのでしょうか。
解体修理をほぼ終えた奈良市の唐招提寺金堂(国宝)に25日、薬師如来立像(同)が戻されたとのこと。千手観音立像と本尊の盧舎那仏坐像(いずれも国宝)は運び入れられており、修理開始以来、8年ぶりに金堂に三尊がそろった。
読売新聞。落慶法要は2009年11月1〜3日とのこと。
パリの中心部を流れるセーヌ川の岸壁に浮世絵などを照明で映し出すイベントが25日夜、開催されたとのこと。日仏交流150周年の記念行事。
映像は円山応挙が描いた虎やさまざまな浮世絵、茶わんや着物などの工芸品など。遊覧船がライトアップされたセーヌ川を東西に往復、25の橋も照明が当てられた。中州の木立を赤や黄色に照らして紅葉をイメージさせる演出もあった。照明デザインは石井幹子氏。
日経新聞。同行事は27日まで。
文化審議会(石澤良昭会長)は26日、建造物110件を登録有形文化財に登録するよう、塩谷立文部科学相に答申したとのこと。
答申された主な建造物 日本福音ルーテル市川教会会堂(千葉県市川市)▽旧山川家住宅主屋(福井県小浜市)▽名古屋陶磁器会館(名古屋市)▽近江鉄道愛知川橋梁(きょうりょう)(滋賀県東近江市・愛荘町)▽旧日下医院本館(山口県周南市)▽中俣家住宅主屋(鹿児島県指宿市)など。
毎日新聞。
奈良・正倉院の宝物「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」の「頸(くび)」の周辺の螺鈿細工の一部に、こすれて模様が薄くなっている跡があることが、宮内庁などの調査でわかった。
この琵琶は底部がすり減り、鑑賞用ではなく、実際に弾かれていたとされている。今回、摩擦痕が見つかったのは演奏の際に手のひらが触れる位置に当たり、同庁は近く、琵琶内部の反響を分析するなどして、楽器としての機能を本格的に調査するとのこと。
琵琶は長さ108センチ、幅31センチ。紫檀に、貝殻に文様を刻んだ螺鈿の技法が用いられている。弦が5本ある琵琶はインドで発祥、中央アジアに広がったとされるが、世界で現存しているのは正倉院宝物のみ。
読売新聞。
ANSA通信は26日、イタリア警察当局が、1975年に同国北部ミラノで盗まれたと見られるルノワールの裸婦画を回収、保有していた北東部リッチョーネの画廊オーナーら3人を窃盗などの疑いで逮捕したと伝えた。
裸婦画はルノワール晩年の作品とされ、約50万ユーロ(約7700万円)の市場価値があると見られるが、公式作品集には含まれていないという。個人所蔵していたミラノの資産家が修復に出したところ消失し、何者かによって盗まれたと見られていたとのこと。
しかし、最近になって画廊オーナーから鑑定を依頼された美術評論家が盗品と気づいて警察に通報し、盗難から33年ぶりに回収された。
読売新聞。
6月に71歳で死去したフランスのファッションデザイナー、故イブ・サンローラン氏の美術コレクションが競売に出品されるとのこと。落札総額は最大3億ユーロ(約465億円)に上ると予想されている。収集品の内容は、中国の名作からピカソやマチス、ドガなどの絵画や古代ローマの彫刻まで。
26日付ロイター通信。「競売はパリで来年2月23日から25日に開催予定」とのこと。
高松塚古墳壁画の劣化問題で、文化庁は30日、1978―80年に壁画を補修した際に接着剤として使ったアクリル樹脂が、カビ発生の要因になった可能性があると公表した。作業記録を分析したところ、しっくいのはく落を防ぐためアクリル樹脂を注入した部分に1、2カ月後、カビが発生していたことが判明。カビは石室を薫蒸すると収まったという。
日経新聞。






topback