2006年
09/01 平家物語 第一巻写本譲渡を
大津市の西教寺は、かつて全巻を所蔵していた「平家物語」の代表的写本のうち、戦後の混乱期に人手に渡り、現在は五島美術館が所有する第1巻について、美術館側に譲渡してもらうよう働き掛けることを31日までに決めた。第1巻が戻れば、半世紀ぶりに全12巻が揃う。9月中に美術館を訪問し、直接理解を求めるとのこと。
西教寺が所蔵しているのは、鎌倉末期から南北朝時代の琵琶法師、覚一が筆録させたとされる「覚一本」の一つで、語り物系の代表的な伝本という。寺の古文書に「正保4(1647)年に上田休卜の母なる人から全巻が寄進された」との記述がある。
京都新聞。覚一本は原本がなく、写本は西教寺のほか、東京大国語研究室、龍谷大図書館などに6種類が現存する。そうです。
09/01 盗まれたムンクの「叫び」、2年ぶりに発見
2004年にオスロのムンク美術館から奪われた代表作「叫び」と「マドンナ」が31日、およそ2年ぶりに警察によって回収されたとのこと。両作品は現在、当局が保管しており、損傷度は予想以上に小さいという。警察は、回収方法については明らかにしなかったが、「きょうの時点で」金銭の支払いは行われていない、と述べた。
2004年8月、武装した覆面姿の2人がムンク美術館を襲撃し、白昼に堂々と鑑賞者らの前でこの2点を盗んで行った。今年5月に容疑者3人が最大8年の禁固刑、うち2名が損害賠償1億2200万ドルの支払い命令を受けた。
8日付ロイター通信。
09/04 「国史跡の出土品」、ネットオークションに出品 鹿児島
朝日新聞より。
09/05 曽我物語図屏風:渡辺美術館所蔵、土佐派絵師・光吉の作
財団法人「渡辺美術館」(鳥取市覚寺)が所蔵する日本三大敵討ちの一つ「曽我物語」を描いた屏風(縦約1.6メートル、横約3.6メートル、六曲一双)が、江戸時代初期の絵師・土佐光吉(?〜1613)の手掛けた作品だったことが分かった。調査した大阪大総合学術博物館の泉万里教授(中近世日本美術史)によると、研究者の間で長い間所在不明だったという。
曽我物語の屏風は静岡県立博物館など約10点が現存するが、17世紀半ばの町絵師による絵が大半で、土佐派と判明したのは今回の1点だけという。光吉の晩年に弟子と共同制作したとみられる。戦後になって所在不明になっていたが、同館が昭和40〜50年代に鳥取市内の骨とう市で購入したとのこと。
毎日新聞。一般公開は10月7日〜11月26日とのこと。渡辺美術館
09/08 草間弥生さんら5人に決定 第18回世界文化賞
日本美術協会は7日、第18回高松宮殿下記念世界文化賞に、草間弥生さんら5人を選んだ。受賞者は次の通り。
▽絵画部門 草間弥生さん(77)  ▽彫刻部門 クリスチャン・ボルタンスキーさん(62)  ▽建築部門 フライ・オットーさん(81)  ▽音楽部門 スティーブ・ライヒさん(69)  ▽演劇・映像部門 マイヤ・プリセツカヤさん(80)
日経新聞。
09/13 狩野永徳の屏風絵か 京都で発見、来秋に公開
朝日新聞より。永徳展示お父さんといっしょ:聚光院(平成18年 第42回京都非公開文化財特別拝観 11/10〜11/19) 関連記事:スクラップ2006年8月26日
09/15 汚れ、薄れた青竜、白虎 高松塚石室内を報道公開
来年3月解体が予定されている高松塚古墳の石室内を、文化庁は15日までに報道機関に公開したとのこと。
発見後間もないころの写真と比べると、壁画が描かれた白いはずのしっくいが全体的に黒ずんでいる印象。四神のうち東壁の青竜や西壁の白虎も汚れたり薄れたりして痛々しかった。報道各社への公開は1976年の保存施設完成後初めて。
時事通信。「印象」や「痛々しかった」という感想ですが。9月14日付日経新聞によりますと、東壁の女子群像とその周囲で7カ所、カビとみられる黒いシミを確認したとのこと。アルコールで殺菌処理したが、「除去できるかどうかは不明」。らしいです。シミは女子像の顔や肩、腰などで確認され、大きさは数ミリ〜2、3センチ。それって結構大きいのでは。
09/17 ツタンカーメン、輝きの秘密は薄化粧 X線分析で判明
朝日新聞より。
09/18 ドイツ人美術学生、西安の兵馬俑に扮するも御用
中国の杭州でパフォーマンスアートを学んでいたドイツ人の美術学生が、世界遺産に登録されている西安の兵馬俑のある場所に侵入し、兵士の1人に扮したものの、すぐに警察に捕まったとのこと。この男性は16日午後、約2000体の兵馬俑が保管されているくぼみに侵入。自作の軍服を着用し、持参した台の上に立った。中国の新華社によると、警察に見つかるまでの数分間、まばたきもせず、そのままじっと立っていたという。男性は、軍服を没収され、杭州に送還されたとのこと。
17日付ロイター通信。
09/19 屏風絵 与謝蕪村の真作 茨城県立歴史館が断定
茨城県立歴史館に寄贈された屏風絵が、与謝蕪村(1716〜83)の真作と判明したとのこと。屏風絵は「羅浮仙図」「何遜堂図」の一対で、共に高さ1メートル67センチ、幅3メートル68センチ。絹布の一種「ぬめ」に梅の木や仙人を描いているとのこと。蕪村50歳ごろの作品とみられる。約60年前の美術雑誌「南画鑑賞」で「世に埋もれた名作」と絶賛されたが、その後所在不明になっていたとのこと。
蕪村は茨城県内に滞在していたことがあり、同館が97年に蕪村の作品展を開いた際、静岡県浜松市の個人が屏風絵を所有していることを突き止め、鑑定を続けていた。屏風絵をデジタルカメラで数百枚撮影し、パソコンで画像処理して真作と比較。従来の蕪村作では確認されていない印が押されていたが、髪の毛やひげの描写方法が真作と同じで、肉眼では確認しづらい色遣いの手法も一致したため「本物」と断定された。
毎日新聞。蕪村つながり:「「蕪村べんとう」好評です」(9月20日付京都新聞)
09/19 奈良時代の伎楽面を発見 東大寺法要で使用か、図録と一致
奈良時代を中心に大寺院の法要などで催された仮面劇「伎楽」に使われた面が、所蔵品の中から見つかったと、天理大付属天理参考館が19日発表したとのこと。奈良時代の東大寺で使われ、酒に酔った西域の人物を表した「酔胡従」の面とみられる。
時事通信。
09/20 掬粹巧藝館:陶磁器7点が返還 「白薩摩茶碗」など93年に盗難
「掬粹巧藝館」(山形)から盗まれた陶磁器32点のうち7点が、偽造有印公文書行使の疑いで福島県警会津若松署に逮捕、起訴された男の自宅で見つかり、19日までに同館に返還されたとのこと。返還されたのは、県指定文化財の「白薩摩茶碗」(室町時代)や「鼠志野竹文額皿」(桃山時代)など(総額時価1億円相当)。
毎日新聞。スクラップ2006年8月17日の続報です。
09/21 盗難から14年ぶり、本間美術館に「大井戸茶碗」戻る
福島県警会津若松署に偽造有印公文書行使容疑で逮捕された男の自宅から大量の美術品が押収された事件で、押収品の中に1992年12月に酒田市の本間美術館から盗まれた「大井戸茶碗」が含まれており、14年ぶりに返還されていたことが20日、分かった。山形県内では鶴岡市の湯殿山総本寺大網大日坊、川西町の美術館「掬粋巧芸館」に続く3例目となった。
返還された茶碗は李朝時代の物で、戦前に国の重要美術品に指定されており、盗まれた当時は国内に35点ほどしかない貴重な茶碗だったという。同館の収蔵品約2000点の中でもトップクラスの古美術品とのこと。
山形新聞。28日から一般公開する予定とのこと。上の記事同様、スクラップ2006年8月17日の続報です。
09/22 エルミタージュ美術館の分館設置問題「設置は困難」
藤田雄山広島県知事は21日、県議会でエルミタージュ美術館の分館設置問題について「多額の経費が必要なため、事業を継続的に運営するのは難しい」と述べたとのこと。県は2002年3月に「国際的芸術文化拠点整備構想」を打ち立て、今年度末までに構想の中心になる分館設置の是非を最終決定する予定。
毎日新聞。
09/22 著作権保護、死後70年に延長を 文芸家協会などが要望書
作家や音楽家らで構成する16団体は22日、著作権法で音楽や小説などの著作者に認めている権利保護期間を、現在の死後50年(映画を除く)から死後70年に延長するよう求める要望書を文化庁に提出したとのこと。各団体は期間を延ばすことで芸術家らの創作意欲が高まると指摘。さらに、先進国では70年が主流となっており、日本も世界標準に合わせる必要があると訴えた。
時事通信。
09/23 キトラ古墳の天文図、カビで危機的状況に 調査委報告
キトラ古墳の天井に描かれた、現存する世界最古の天文図が、カビによって徐々に消失するなど危機的な状況に陥っていることが22日、わかった。
この日開かれた同古墳の文化庁の保存活用調査研究委員会で報告されたとのこと。カビを含む細菌のため、漆喰が内側から溶けている状態という。天文図は発見当初から漆喰が粉状化してはぎ取りが困難とされており、同庁は現在開発中の「ダイヤモンドワイヤソー」など新技術の確立を最優先し、はぎ取りを急ぐ方針を確認した。
読売新聞。
09/26 時代超え装飾品5千点展示 パリ
10年にわたる改装工事を終えた装飾美術館が、パリのリボリ通りにオープンしたとのこと。15万点の所蔵品の中から5000点が、6000平方メートルのスペースに展示されている。中世のゴシック様式からロココ、近代のアールデコに至る宝飾品や家具に加え、各様式でまとめられたショールームも。
朝日新聞。
09/26 モナ・リザの「謎」、3D技術で解明へ
レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」の謎をめぐる、3Dスキャンを利用した大規模な調査結果が近く発表されることが明らかになった。
2004年に開始された同調査では、カナダのナショナル・リサーチ・カウンシル(NRC)の科学者が開発した特別な3D技術を採用。「モナ・リザ」の表裏両面をスキャンし、解像度の高い画像データを取得することで作品の状態のほか、ダ・ヴィンチの描写技法についての解明も期待できるという。
25日付ロイター通信。
09/27 仏美術専門家、「モナ・リザ」は出産したばかりだったと発表
26日、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」のモデルとなった女性は、次男を出産したばかりだったと発表したとのこと。カナダの科学者チームが特殊な赤外線と3D技術を利用し、これまで解析できなかった絵の具の層を解析し、発見した。
French Museum's Center for Research and Restorationのブルーノ・モッティン氏によると、細かい調査の結果、モナ・リザのドレスが薄い透明のガーゼ布によって覆われていることが判明した模様。同氏は記者会見で「16世紀前半、イタリアでは妊婦や出産したばかりの女性がこのようなガーゼのドレスを着ていた。この絵画は暗く、調査が困難と判断されていたため、これは今まで分からなかった。この結果、この絵画はモナ・リザの次男の出産を記念して描かれたものであると言えるため、この絵画が描かれたのは1503年頃だと推定できる」と述べたとのこと。
「モナ・リザ」のモデルとなった若い女性はフィレンツェの商人、フランチェスコ・デ・ジョコンドの妻、リサ・ゲラルディーニさんであるとされている。彼女は子供を5人出産した。
26日付ロイター通信。
「モナリザは髪を束ねていた」:「モナリザ」を初めて3次元イメージングを使って調べた結果、モナリザには当初、産婦服のような衣服が描かれ、髪は後ろで束ねられていたことが判明した。16世紀のイタリアでは、髪を束ねず長く垂らしているのは貞節のない女性であり、実際のモナリザのモデルは社会的地位の高い女性であったことから、髪型をめぐる論争が古くからあった。また、モナリザのまとっている衣類のひとつの、当時の産婦が身に着けるファッションに似た服が、ワニスの上塗りの下で消えており、肉眼では見えなくなっていることが赤外線スキャンによって明らかになったとのこと。さらに、現在のモナリザは、いすの背に少しもたれかかるようにして座っているふうに見えるが、もともとの肖像画では、背を真っ直ぐに伸ばしてきちっと座っている姿で描かれていた。(9月26日付時事通信) 所々上の記事とだぶっていますが。
09/28 前田青邨の下絵を発見
前田青邨(1885−1977)の1933年の作品「鵜飼」の下絵が、岐阜市の鵜匠宅で見つかったとのこと。青邨は31年に宮内省(現宮内庁)の依頼で長良川をスケッチに訪れている。この時に描いたとみられる下絵が確認されたのは初めて。下絵は11枚あり、全長10メートル余の絵巻1巻に表装されている。漁に出る鵜匠や見物人の様子などが墨と金泥で描かれているとのこと。
中日新聞。下絵は28日から「生誕120年 前田青邨展」(岐阜県美術館にて開催中)で公開されるとのこと。






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