2006年
05/01 大エジプト博物館新設へ ギザ、日本も資金協力
エジプトの首都カイロ郊外ギザにあるクフ王のピラミッドやスフィンクスの近くに「大エジプト博物館」を建設する計画が進んでいるとのこと。総工費は約700億円で日本が348億3800万円の借款を供与。
新博物館は2011年6月のオープンを目指し、08年に着工予定。展示スペースは3万5000平方メートル。ツタンカーメン王の黄金のマスクなど、カイロにある考古学博物館の主要な収蔵品は新博物館に移されるとのこと。
共同通信。
05/02 ルノワール 女性画に現代メークの色遣い 青と赤で透明感
ルノワールの描いた女性の肌を分析すると、青と赤を巧みに組み合わせ透明感を高める現代のメークに近い色遣いをしていることが、ポーラ化粧品本舗の研究で分かったそう。
同社はルノワールの「水のなかの裸婦」(1888年作、ポーラ美術館収蔵)や、透明感が高く美しい肌を持つ日本人女性の素肌、白人女性の写真の肌、人形の肌などを分光反射器で分析。肌から反射される光を青、緑、赤などに分解し反射率を比べた。その結果、本物の「美しい素肌」に最も近かったのが「水のなかの裸婦」の頬の部分で、青から赤へと光の波長が長くなるに従い反射率は上昇するが、中間の緑の部分がへこんだ、よく似た形のグラフになったとのこと。さらに、絵の肌の部分を顕微鏡で観察すると、白と朱色を混ぜた下塗りの後、透明感の高い赤と青を薄く重ね、発色効果を高めていた。現代のメークでも、透明感の高い美しい肌に見せるため、ファンデーションの上から、青や赤のパウダーを重ねるテクニックがよく使われている。緑の反射率が高いと、肌がくすんだ印象になるという。
毎日新聞。ポーラ化粧品の特性が如実に出ていると思われます。
05/02 天文図の黒カビほぼ除去 キトラ古墳、星の輝き戻る
文化庁は2日、石室天井の天文図に発生した黒カビのようなものは、エタノールを使ってほとんど除去できたと発表したとのこと。同庁が公開した作業後の写真では、金箔を張り付けた星の輝きがよみがえった。5日に行う定期点検で、再発生がないか確認するとのこと。
カビ状の物質は天文図東側の星座「尾宿(びしゅく)」にかかるように広がっていたが、担当者によると「目に見える部分は全部取れた」という。当初、直径約7センチの範囲に広がっているとみられていたが、実際は約4センチだった。
共同通信。スクラップ2006年4月29日の続報です。
05/03 「アルルの女」に45億円 ゴッホ作、NYで落札
晩年の作品「アルルの女(ジヌー夫人の肖像)」が2日、ニューヨークのクリスティーズで競売にかけられ、4033万6000ドル(約45億7400万円)で落札されたとのこと。事前の落札予想額は4000万-5000万ドルだった。同社によると、ゴッホの作品の落札額としては4番目の高さ。購入者の名前などは明らかにされていない。
共同通信。スクラップ2006年4月28日の続報です。
05/04 ピカソの絵に108億円 史上2番目の高額落札
愛人を描いた「ドラ・マールの肖像」が3日、ニューヨークのサザビーズで競売にかけられ、9521万6000ドル(約108億円)で落札されたとのこと。
ピカソの絵では、「パイプを持つ少年」が2004年5月に1億ドル余りで落札され、絵画の落札額としては史上最高額を記録。サザビーズによると、今回はこれに続く史上2番目の落札額。落札した人物の名前などは明らかにされていないとのこと。
共同通信。スクラップ2006年4月28日の続報です。
05/04 仏オランジュリー美術館、改装終え6年半ぶり開館
クロード・モネの「睡蓮」で有名なパリのオランジュリー美術館が約6年半に及ぶ改装工事を終えたとのこと。
「睡蓮の部屋」はガラス天井にし、天然の光が穏やかに入る明るい空間に生まれ変わった。美術館はもともとモネ自身の希望に従い、天然光が入る構造だったが、1960年の改装で上下2階に区切り、睡蓮の作品は光が当たらない下の部屋に配置されていた。
建物の西側部分には地下階を新設、画商ポール・ギヨームらのコレクションを集めたとのこと。ルノワール、ユトリロ、モジリアニなどの144点がある。
日経新聞。今月17日に開館とのこと。
05/06 尚家遺産など一堂に 那覇市歴史博物館、7月8日開館
3月に国宝指定された「琉球国王尚家関係資料」など、市所有の歴史資料が公開されるとのこと。市には、尚家第22代当主尚裕氏から寄贈された尚家継承遺産の文書や美術工芸品、明治から大正時代にかけ県庁吏員として勤務した横内扶氏が収集した近代沖縄の資料、冊封使や宮廷画師の書画など美術工芸品、旧那覇士族の染織品や工芸品「グシ宮城家資料」など、約7万点が保管されている。これらの一般公開が市の長年の課題となっていた。
展示基本テーマは「王朝文化と都市(まち)の歴史」。(1)中核となる資料は国宝「琉球国王尚家関係資料」(2)市内、近郊の県立博物館や壺屋焼物博物館、対馬丸記念館、浦添市美術館などと連携・協力し、各館が特色ある展示を行う(3)王都、県都としての那覇の歴史を紹介する―を展示の基本方針としているとのこと。
琉球新報。オープンからの1カ月は全体的に国宝を前面に出した展示を行い、8月以降、常設展示を行う予定とのことです。
05/06 文人画偽造セット発見 蕪村らニセ落款ゾロゾロ
ニセ落款が京都市内で開かれた骨董市で見つかったとのこと。落款はすべて木製で、与謝蕪村、浦上春琴、駒井源●ら17人。江戸時代に活躍した有名文人画家たちが中心とのこと。専門家は「使い込んだ精巧なニセ印がこれだけ見つかるのは極めて珍しい。おそらく大正時代の贋作グループが残したものではないだろうか」と話している。
蕪村のニセ落款は、蕪村が四十代のころに使用していた雅号「朝滄(ちょうそう)」と刻印。当時の蕪村は、丹後宮津に滞在して画業に専念していた充実期にあたる。また春琴のニセ落款「睡庵」は、晩年に用いた雅号で、山水、花鳥画は評価が高い。 ●=王ヘンに奇
産経新聞。
05/08 並河萬里氏が死去 シルクロードなど遺跡写真
写真家の並河萬里氏が7日死去した。74歳。
文化財撮影を生涯のテーマに据え、中近東やアジア、中南米などで活躍、多くの写真集を出版した。
共同通信。
05/10 ハリウッド、「20世紀最大の芸術詐欺師」の伝記映画に意欲
モネやピカソの贋作を制作し、世界中のコレクターに売りつけたとして逮捕されたジョン・マイアット氏の生涯を描いた映画の製作が計画されているとのこと。ハリウッドのプロデューサーらがマイアット氏から伝記映画の制作権を取得した。マイアット氏は全面的に協力する構え。
9日付ロイター通信。マイアット氏は釈放後、有名画家の「本物の贋作」と称して自身の作品を売り生計を立て、英国の捜査官に対し芸術作品の贋作についての指導も行っている。そうです。
05/10 縄文土器盗みネット競売 千葉県の文化財主事を免職
千葉県教育委員会は10日、県内の遺跡から出土した縄文土器などをインターネットのオークションで販売したとして、文化財主事を懲戒免職処分としたとのこと。県教委によると、主事は県教育振興財団東部調査事務所に派遣されていた昨年11月から今年3月にかけて、土器や石器、パソコンなどの備品計30点を事務所から盗み、ネット競売に出品。計約11万6000円を得ていた。
酒々井町の飯積原山遺跡で出土した高さ約25センチの縄文中期の土器は「一部欠けがあるが美しい」とPRし、2万2700円の値が付いたという。
共同通信。
05/11 飛鳥美人にまた黒い染み 高松塚壁画
文化庁は10日、国宝壁画の定期点検で、西壁の女子群像の顔付近など2カ所にカビのような黒い染みがあるのを確認したとのこと。除去が可能かどうかなどについて今後、専門家に調査を依頼する。
染みが見つかった女性像は、4体のうちの右から2番目で、今年2月に目尻や肩付近で黒い染みを確認したのと同じ人物像。5月2日の定期点検の際に撮影した写真を精査して気付いたという。染みは額付近と、胸の少なくとも2カ所にあり、それぞれ直径1-2センチの大きさ。
共同通信。
05/11 ウォーホル「スープ缶」、落札13億円
9日夜、ニューヨークで競売にかけられ、1170万ドル(約13億円)で落札されたとのこと。この作品は62年に制作された「小さな破れたキャンベル・スープの缶」。クリスティーズによると、一連のスープ缶の作品の中で過去最高の落札額とのこと。
また同じウォーホルの65年の作品「S&Hのグリーンスタンプ」も510万ドル(約5億6500万円)という高値で落札された。
読売新聞。
05/11 秘密補修、文化庁が決定 高松塚壁画、補彩の疑惑も
高松塚古墳で2002年、国宝の壁画を修復担当者が損傷した問題で、文化庁は11日、損傷の3日後、庁内の会議で損傷個所を石室の土で塗り固め、補修する方針を決めていたことを明らかにした。補修は関係者だけで行い、事実関係は公表しなかった。また文化庁と東京文化財研究所(東文研)の担当者が1989年と99年、文化庁のマニュアルで指示した防護服(無菌衣)を着ず、石室入り口付近で作業していたことも分かった。
共同通信。
05/14 さよなら交通博物館 70年の歴史に幕
14日、老朽化などを理由に閉館したとのこと。同館は、鉄道博物館として、1921年に東京駅北側に開館し、36年に現在の旧万世橋駅の隣接地に移転。大型の鉄道模型のパノラマや運転体験できるシミュレーターなどが人気を集めた。
来年10月には、さいたま市に新設される鉄道専門の博物館として、生まれ変わる。
共同通信。新幹線の顔は愛嬌たっぷりだと思います。特に初代。
05/15 大塚国際美術館の鑑賞ツアー人気 「ダ・ヴィンチ・コード」映画化
「ダ・ヴィンチ・コード」を原作にした映画が20日に公開されるのを前に、小説に登場する「モナリザ」などの名画を陶板画で紹介している大塚国際美術館が人気を集めているとのこと。同館は担当者の解説で名画を見て回る鑑賞ツアーの回数を増やし、来館者の増加に対応。旅行会社が行っている京都や大阪からの周遊ツアーの予約も好調で、映画化によるブーム再来の恩恵はしばらく続く見込み。
徳島新聞。和み記事というか。ブームらしいです。
05/16 「ダ・ヴィンチ」を追体験 ルーブルが新音声ガイド
パリのルーブル美術館は15日、小説と映画の「ダ・ヴィンチ・コード」を追体験しながら同美術館の芸術作品を鑑賞する音声ガイドの貸し出しを19日から始めることを明らかにした。音声ガイドは、映画で警部役を演じるジャン・レノさんが犯罪現場を案内する形式になっているとのこと。
同美術館の2005年の入場者数は過去最高の750万人に達したが、これまで美術館側はダ・ヴィンチ・コードと距離を置き、入場者増加への影響を認めたがらなかった。新しい音声ガイドは、ベストセラーの動員力を美術館側が受け入れざるを得なくなった結果とも言えそうだ。
共同通信。映画も公開され、ブームに拍車がかかったようです。
05/16 国宝万葉集の表具を損傷 巻物の端が大きく裂ける
独立行政法人国立博物館(東京)は16日、万葉集の写本の一つで、11世紀・平安時代の書の名品とされる国宝「万葉集巻第九残巻藍紙本」の一部が損傷したと発表した。破損したのは、巻物の端にある鉄製の軸を絹で包んだ「八双」と呼ばれる表具で、写本本体には影響ないという。
同館によると、万葉集藍紙本は中国・上海博物館の中日書法珍品展に展示されていたが、東京国立博物館の研究員が4月、撤去するため万葉集藍紙本を巻き取った後に、絹にもともとあった約13センチの裂け目が26センチにまで広がっているのを発見。八双は巻物に辛うじて付いている状態になった。八双は鎌倉時代の絹を使って、今から100〜150年ほど前に修理されたもの。
共同通信。
05/18 芝田米三氏が死去 幻想的な画風の洋画家
15日、死去していたことが18日、分かった。79歳。
故須田国太郎画伯に師事し、1958(昭和33)年から独立美術協会会員。94(平成6)年3月、リストやブラームスを描いた「楽聖讃歌」で日本芸術院賞を受賞した。
共同通信。
05/19 白虎の頭近くに黒い染み 高松塚古墳でまたカビ?
文化庁は19日、西壁に描かれた四神図「白虎」の頭から数センチ上にカビのような黒い染みがあるのを確認したと発表した。
同庁によると、染みは直径約5ミリ。ほかにも西壁の数カ所で同じような染みが見つかったが、いずれも壁画のない余白部分だという。既にサンプルを採取しており、カビかどうか分析した上で除去方法を検討するとのこと。
共同通信。
05/19 防護服着用の認識に甘さ 高松塚壁画問題
壁画損傷やカビ発生の問題を検証する文化庁の調査委員会は19日、非公開の第4回会合を庁内で開き、当時の関係者5人から事情を聴いたとのこと。
2001年、石室入り口付近で工事関係者がカビ防止用の防護服を着ずに作業し、石室内での大量発生につながったことが問題になっているが、防護服の着用について関係者の認識が甘い実態が明らかになった。
共同通信。
05/22 高野長英肖像画傷つける 重要文化財、半年以上放置
岩手県の奥州市立高野長英記念館で、職員が昨年、国の重要文化財に指定されている「高野長英肖像」を誤って傷つけ、顔料の一部がはげ落ちていたことが22日分かった。奥州市は文化財保護法に基づく文化庁への10日以内の報告を行わず、半年以上たった同日、損傷届を提出したとのこと。
岩手県教育委員会によると、傷つけたのは江戸時代の画家椿椿山が幕末の蘭学者だった長英を描いた掛け軸。昨年8月、貸し出しのため、職員が展示してある作品を収納しようと巻き上げた際に壁のくぎに引っ掛けて傷つけたとのこと。羽織を着た姿で描かれている長英の襟の部分の顔料が直径約2ミリの半円形状にはげ落ちた。2006年度中に修復するという。
共同通信。
05/23 マティスの絵画を米国へ売却 所有企業、バス事業赤字で
アンリ・マティスの絵画「ラ・ポエジー」を所有していた岩崎産業(鹿児島市)が、収蔵先の岩崎美術館から撤去し売却していたことが23日分かった。バス事業の赤字を補てんするための資産活用として、4月初旬に10億円を超える額で売った。売却先は米国という。
「ラ・ポエジー」はマティスが1938年に描いた油彩画。米国の富豪ロックフェラー家が、暖炉の装飾のため発注した。
岩崎美術館が83年に開館した際、同グループが寄託、全国的に知られる目玉作品だった。
共同通信。
05/23 正倉院最初から倉3つ 壁材も創建前の伐採
正倉院正倉の北、中、南3倉のうち中倉の壁材は、765年前後とされる創建より前の伐採とみられることが分かり、宮内庁正倉院事務所が23日、発表した。
正倉は床材の年輪年代調査から、一つ屋根の下に3倉を同時に建てたとする説が有力。中倉だけは当初床だけで、後世に増築したという見方もあったが、今回の調査結果は最初から3倉そろっていたとする説を裏付け、同事務所は「論争に終止符を打つ内容」としているとのこと。
調査した光谷拓実・奈良文化財研究所年代学研究室長によると、壁材3点を調べ、2点は679年などの年輪パターンを確認した。100年分以上削ることは考えにくく、679年の壁材は8世紀中ごろの伐採と推定した。
共同通信。
05/23 統一新羅の写経伝来か 正倉院の華厳経
正倉院の宝物「大方広仏華厳経」は、統一新羅の時代(677〜935年)に朝鮮半島で写経した可能性が高いことが分かり、宮内庁正倉院事務所が23日、発表した。
調査した山本信吉・元奈良国立博物館長(古代史)によると、新羅は日本と緊密に国交、金属製品が正倉院にあるなど文化的影響も大きいが、新羅時代の写経は日本で未確認だったとのこと。
朝鮮半島に現存する最古の写経とされる韓国の国宝「新羅白紙墨書大方広仏華厳経」(755年)とほぼ同時期で、筆遣いの特徴から、さらに古い可能性もあるという。
55枚の紙をつなぎ合わせ幅26センチ、長さ30.8メートル。コウゾでつくった白い紙は、当時の日本に使用例がなかった。
力強い楷書は日本の官立写経所で写した経に見られない筆遣いで、端正な鋭い線は新羅の特徴を伝え、中国・唐(618〜907年)前期の影響をうかがわせるという。
共同通信。
05/27 仏像胎内に銅鏡あった
甲斐善光寺(甲府市)の国重要文化財「木造阿弥陀如来及両脇侍像」の胎内に平安時代後期の銅鏡が納められていることが山梨県立博物館のX線調査で分かった。仏像の胎内から銅鏡が発見された例は全国に12例あるが、いずれも仏像を解体して判明。X線だけでの同館の調査は、文化財の保護の観点から注目されそうだ。
発見されたのは3体からなる「木造阿弥陀如来及両脇侍像」のうち、中尊である阿弥陀如来(高さ1.38メートル)の両脇にある観音菩薩像(同1.56メートル)と勢至菩薩像(同1.53メートル)の2体。観音菩薩像は足の部分からハギやススキなどの秋の草や2羽の鳥の文様が描かれた直径約8センチの鏡が、勢至菩薩像は頭部から水草や川、2羽の鳥が描かれた同じ大きさの鏡が各1枚見付かったとのこと。いずれの文様も平安時代後期に多かった文様。従来も仏像の様式から平安後期の制作とみられており、同じ時期の鏡が発見され、制作時に胎内に納められたとみられる。
毎日新聞。
05/29 作品酷似で文化庁が調査 「盗作された」と伊画家
今春の芸術選奨文部科学大臣賞を受けた洋画家の和田義彦氏が、主な受賞理由となった昨年の展覧会に、知人のイタリア人画家の絵と酷似した作品を多数出展していたとして、文化庁が調査していることが28日、分かった。和田氏は「似た作品」の存在は認めながら「盗作ではない」と主張しているとのこと。
酷似が指摘されている作品は、和田氏の回顧展の出展作のうち少なくとも7点で、1981年から2004年の制作。回顧展以外にも同様の作品が複数あるとのこと。
共同通信。続報:「和田氏に退会を勧告 酷似作品問題で国画会」(5月31日付共同通信)






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