2005年
11/01 十二支図の丑、亥はぎ取り 奈良・キトラ古墳で文化庁
1日、北壁に描かれた十二支図3体のうち「丑」全体と「亥」の一部をはぎ取ったとのこと。古墳の保護施設内でいったん冷蔵保存し、残る四神図の「玄武」や東壁の「寅」などをはぎ取った後、奈良文化財研究所(奈良市)へ運ぶ予定。
共同通信。
11/01 長崎歴史文化博物館3日開館 近世長崎交流史がテーマ
美術工芸品や歴史資料、古文書など約4万8000点を収蔵。長崎県と長崎市が共同で設立し、運営は指定管理者の「乃村工芸社」が担当するとのこと。黒川紀章さんが設計した建物の一部は、長崎奉行所立山役所を復元。
共同通信。
11/02 一休和尚の直筆も被害 文化財盗、奈良県警が回収
近畿を中心とした文化財、古美術品狙いの窃盗事件で、室町時代の一休和尚の直筆とされる掛け軸も被害に遭っていたことが2日、分かったそう。奈良県警は既に回収、近く所有者の吉水神社(同県吉野町)に返還するとのこと。調べでは、掛け軸は「一休和尚墨蹟」で縦約210センチ、横約50センチ。県警が実施した鑑定で1億5000万円相当とされた。
犯行グループが昨年9月、吉水神社に侵入、室町時代の「鉄鍔」(国の重要文化財)とともに、この掛け軸や1億円相当の「十三仏画像」も盗んでいたとのこと。
共同通信。スクラップ2005年6月30日の続報と思われます。
11/02 高峰秀子さんが絵寄贈 梅原龍三郎氏の作品など
高峰秀子さんをモデルに、梅原竜三郎氏や宮本三郎氏が描いた油絵やパステル画計11点(計2億円相当)が2日、高峰さんから東京都世田谷区に寄贈されたとのこと。寄贈作品は、高峰さんが長野県軽井沢市で映画「カルメン故郷に帰る」(木下恵介監督)のロケ中、梅原氏に頼まれモデルになった肖像画「高峰秀子像」(1950年)など。高峰さんは梅原氏と約40年間、親しい交流があった。
共同通信。世田谷美術館で22日から一般公開されるとのこと。
11/04 露の大富豪 世界の美術品買いあさり オイルマネー武器
好景気にわくロシアの大富豪らが世界の美術・芸術品を買い求めているとのこと。
また、石油好景気の追い風でロシアの大富豪や石油を産出する地方自治体は、世界のオークションで、海外に流出したロシアの美術品を買い戻す動きもみせているとのこと。石油・金属関係のビジネスで財を成したビクトル・ベクセルベルク氏は昨年、ロシア皇帝のために作られた、たまご型の宝飾品ファベルジェを1億ドル(約115億円)で買い戻した。同じく資源と深い関係がある大富豪ポターニン氏もロシアの画家マレービッチの代表作「黒い正方形」を100万ドル(約1億1500万円)で入手している。
産経新聞。
11/04 コンスタブル風景画と確認 日本の収集家所有、競売へ
ジョン・コンスタブル(1776-1837)のこれまで確認されていなかった風景画が日本で見つかり、今月24日にロンドンで競売に掛けられるとのこと。サザビーズが3日、明らかにした。同社は落札価格として8万〜12万ポンド(約1650万〜2500万円)を予想している。風景画はコンスタブルの出身地サフォーク州にあるデダムの谷を描いた油絵で、1810年ごろの作品とみられるとのこと。
今年9月、日本人収集家が絵の写真をサザビーズ東京事務所に持ち込み、専門家が実物を鑑定したところ、コンスタブルの作品と判明。同社は収集家の氏名などを明らかにしていない。
共同通信。
11/04 北大総合博物館2階展示場がオープン
常設展示場が3日、オープンしたとのこと。「ユニバーシティ・ラボ―知を生み出し伝承する」をテーマに、約130年にわたる北大の研究方法の変遷が紹介されている。
同博物館は99年にオープン。当初は3階で標本や材料などの学術資料が展示されただけだったが、01年には1階に北大の歴史と研究結果の展示コーナーが設置された。04年に学術資料の移転により2階の一部に空きスペースができたため、有効利用方法を検討していた。
毎日新聞。
11/04 七面製陶所 登り窯跡の一部発見
第9代水戸藩主・徳川斉昭公が開設した「七面製陶所」の所在確認調査を進めていた水戸市教育委員会は、同市の常磐神社敷地内で、登り窯の窯跡の一部が見つかったと発表したとのこと。
窯跡があったのは、「灰原」と呼ばれる陶磁器の失敗品や窯道具の捨て場のすぐ西側。江戸時代の絵図「好文亭四季模様之図」に描かれていた3基の登り窯のうち、一番東側の窯とみられる。東西4メートル以上、南北2メートルにわたり茶褐色の砂が敷かれ、砂に半磁器類の破片、炭化物や焼土が含まれていたことなどから窯の底部と判断された。さらに、その下に別の砂床があり、窯道具や窯本体とみられるレンガ片なども出土し、同じ場所で窯を建て直したことも分かった。窯跡の西側約75メートルの場所では別の灰原も見つかり、素焼きの土瓶の蓋や焼き台の破片などが多数出土したとのこと。
毎日新聞。
11/05 古美術盗難 展示中に明代の漆器
古美術品取扱会社「古裂会」は5日、同社内のオークション会場に展示していた「堆朱牡丹鳳凰盆」が盗まれた、と発表したとのこと。同社によると、この盆は目玉出品の一つで、最低入札価格は180万円。最終的な入札額は数百万円になる見通しだったという。
毎日新聞。
11/08 中国絵画の巨匠・呉冠中氏の作品、過去最高値で落札
水墨画としては過去最高の3000万元(約4億4000万円)で落札されたとのこと。これまでの最高記録だった徽宗(12世紀北宋の皇帝で画家)の作品の落札額(2300万元)を大きく上回った。
今回の落札金額は中国現代絵画の単品作品としても過去最高。落札者は中国系インドネシア人だという。
ロイター通信。
11/09 アフガンで新たに仏教石窟 龍谷大調査団が発見
アフガニスタン中部の世界遺産、バーミヤン遺跡の西方のバンデアミール川上流域に位置するケリガン仏教遺跡の一帯を調査していた龍谷大の調査チームが9日までに、同遺跡西方で仏教文化の特徴を示す8世紀ごろの新たな石窟を発見したとのこと。イスラム勢力が興隆し始めた8世紀前後に、ケリガン遺跡を中心としたバンデアミール川上流域に今まで考えられていた以上の規模の仏教文化圏が存在していた可能性もある。
共同通信。
11/09 博物館などの「市場化テスト」に学者・文化人が反対要望書
官民の競争入札を通じて官業の民間開放と効率化を促す「市場化テスト」の国立博物館・美術館への導入を巡り、平山郁夫東京芸術大学長と美術評論家の高階秀爾氏が9日、小坂憲次文部科学相と河合隼雄文化庁長官を訪ね、導入に反対する声明を手渡したとのこと。
声明は市場化テストについて「展示が流行追求型になる」「調査研究などの長期的取り組みが軽視される」などと指摘。政府内で検討されている国立博物館、国立美術館などの統合にも「文化施設の多様性が失われる」と反対しているとのこと。
テストが実施されれば、美術品の収集や展覧会の企画などが民間に委託される可能性がある。
日経新聞。
11/09 学長らの作品を販売 芸大構内に展示施設
東京芸大は9日、平山郁夫学長のリトグラフや陶板画など、教授らの作品約130点を展示販売する「芸大アートプラザ」を構内にオープンしたとのこと。今後、非常勤の若手講師や学生の作品も加えるという。売り上げの一部を学校の運営費として教授らが寄付する。
共同通信。
11/10 サントリー学芸賞9氏に 贈呈式は12月9日
第27回サントリー学芸賞が10日、決まったとのこと。
【芸術・文学部門】斎藤希史「漢文脈の近代」(名古屋大学出版会)、柴田元幸「アメリカン・ナルシス」(東京大学出版会)、宮下規久朗「カラヴァッジョ」(名古屋大学出版会)
共同通信。芸術・文学部門のみ抜粋しました。
11/11 加茂・岩船寺の仏像の一部盗難 木製花飾り
本堂で公開している重要文化財の普賢菩薩騎象像から像の一部である木製の花「未敷蓮華」が盗まれていることが10日、分かったそう。
同像は、平安時代の作とされ、高さ約80センチの木像。未敷蓮華は、ハスのつぼみと茎をかたどった長さ約9センチの棒状で、ゾウが鼻の先で巻いていたが、外れる構造になっているという。
京都新聞。昼間に盗まれた模様。
11/12 1年9カ月ぶり戻る 盗難の釈迦如来座像 熊本
あさぎり町の「阿蘇釈迦堂」から昨年2月、県指定文化財の仏像3体(計3千万円相当)が盗まれた事件で、このうち県警の捜査で発見された本尊「釈迦如来座像」が地元に返還されたとのこと。釈迦如来座像は平安時代後期製作とされる木像で、高さ約85センチ。毎春の祭礼と盆正月に住民らが参拝していた。
県警は今年6月までに男3人を窃盗容疑で逮捕。町によると、釈迦如来座像は海外に渡る寸前に税関で押収され、残る2体は既にオーストラリアに持ち出されたという。
西日本新聞。
11/12 日本画の巨匠、東山魁夷の記念館がオープン
12日、99年に90歳で他界するまでの50年余りを過ごした千葉県市川市にオープンしたとのこと。市が約10億円を投じ、自宅の2軒隣に記念館を建てた。
1階では生い立ちや人物像を紹介。岩絵の具や、中学生時代に描いた風景画、病気で療養中の弟を励ますために毎日送った絵手紙など110点がそろう。2階では試作やスケッチなど約30点を展示。未完のまま残された連作「冬の旅」や、戦災で焼けた7連作「スエズ紀行」の下絵など未公開作品もあるとのこと。
朝日新聞。 市川市東山魁夷記念館
11/13 19世紀仏人作家が執筆・伝記「北斎」のノート明らかに
エドモン・ド・ゴンクール(1822―96年)が、葛飾北斎の伝記「北斎」(1896年)を書く際に作ったノートの詳細が明らかになったとのこと。小山ブリジット・武蔵大学教授の調査による。
ノートは東京都新宿区の雄松堂書店が7年ほど前にフランスのコレクターから購入したもので、縦が16.3センチ、横11.6センチ、398ページ。一部の研究者には存在が知られていたが、詳しい調査が行われたのは今回が初めてとのこと。
日経新聞。
11/14 石室の部分解体案を議論 キトラ壁画、文化庁調査委
キトラ古墳で、石室にカビや細菌が繁殖し壁画が急速に劣化している問題で、文化庁の調査研究委員会が14日開かれ、一部委員から石室の部分解体が提案されたとのこと。
共同通信。
11/14 幻の屏風絵求めローマへ 安土城図探索を法王に依頼
約420年前、織田信長がローマ法王に贈った後に行方不明になった安土城の“幻の屏風絵”を探すため滋賀県安土町の町長らは近く、バチカンで法王ベネディクト16世に会見、調査協力を求めるとのこと。
安土城は、天下統一を目前にした信長の命で造られ、5層7階の天守閣を持つ城だったとされるが、わずか3年で焼失。一部図面や後世に描かれた「想像図」があるが、当時の外観を描いた絵はない。宣教師フロイスの記録などによると、屏風絵は狩野永徳作とされる「安土城之図」。天守閣や城下が描かれていたという。
共同通信。
11/15 キトラの「子」はぎ取り ユーモラスな表情くっきり
壁画を修復・保存するため、石室の部分解体案が検討されているキトラ古墳で文化庁は15日、石室の北壁中央に描かれた十二支図「子」のはぎ取りに成功したと発表した。
子が描かれた漆喰層には、壁石の接ぎ目に沿って大きな亀裂ができており、絵は2つに分かれているとのこと。顔料の残りは良好。
壁面をレーヨン紙で補強した後、修復担当者が子の左半身から着手。漆喰層と壁石の間にへらを差し込み、周囲の余白を含め縦21センチ、横16センチの範囲をはぎ取ったとのこと。作業による新たな損傷はないという。
共同通信。
11/15 「朱雀」新たに10個の穴 キトラ古墳、壁画劣化深刻に
南壁の四神図「朱雀」に新たに10個以上の穴が開いていることが、15日までの文化庁の調査で分かったそう。文化庁によると、修復担当者が4日に石室内に入り壁画全面をチェックした結果、朱雀の首や目、胸などに直径0.2-0.3ミリの穴を10個以上新たに確認したとのこと。
微生物が原因とみられる穴は天文図で無数に、朱雀も尾羽と腹部にそれぞれ1個見つかっていた。
共同通信。
11/16 レンブラントの生涯、英の監督が映画化
レンブラントの生誕400年にあたり、ピーター・グリーナウェイ氏が準備を進めているそう。「鍵は『夜警』にある」とのこと。題名は「ナイトウオッチング」になると予告。
監督は、生誕400周年記念事業の一環として、アムステルダム国立博物館の依頼で「夜警」の演劇的な展示を担当、レンブラントを題材にしたオペラ公演の演出も務めることが決まっているとのこと。
読売新聞。今さら感が漂う記事という気もしないでもないですが。
11/16 ムンク「叫び」など公表 世界の盗難芸術品10選
米連邦捜査局(FBI)が16日までに公表したとのこと。エドバルト・ムンクの代表作「叫び」などが含まれ、時価総額は6億ドル(約720億円)を上回るという。FBIは、盗難リストをホームページに掲載し、情報提供を呼び掛けている。
「叫び」は2004年8月、オスロのムンク美術館から強奪された。このほか、レオナルド・ダ・ヴィンチの「糸車の聖母」、バイオリンの名器ストラディバリウスのほか、イラク戦争後の混乱の中で盗まれた美術品も入っている。
時事通信。FBI Seeking Stolen Art Top Ten Art Crimes Announced
11/16 独映画のポスター、史上最高値で転売
1920年代に製作された「メトロポリス」(フリッツ・ラング監督)のポスターが15日、史上最高値の69万ドル(約8200万円)で英国人ビジネスマンから米カリフォルニアの個人収集家に転売されたとのこと。この売値は、これまでの最高値だった「ミイラ再生」(1932年作品)が1997年に付けた45万3500ドルを上回った。
「メトロポリス」のポスターは、グラフィック・アーティストのハインツ・シュルツ・ニューダムがデザインしたもので、今回のを含め4枚しか現存が確認されていないそう。ニューヨーク現代美術館とベルリン映画美術館が1枚ずつ、また個人収集家が残り1枚を所有しているとのこと。
15日付ロイター通信。ロンドンのリール・ポスター・ギャラリーによる。
11/16 印象派絵画54点差し押さえ スイスのロ美術館展から
タス通信などによると、スイス司法当局は16日までに、ロシア政府との取引で巨額の債権を持つスイスの貿易会社ノガ社の訴えに基づき、スイス国内で出展されていたロシア国立プーシキン美術館所蔵の印象派の有名絵画を差し押さえたとのこと。
スイス警察筋によると、差し押さえを受けたのはルノワールの「女優ジャンヌ・サマリーの肖像」やクールベの「波」のほか、モネ、ゴッホらの作品で、11月13日までスイス国内で開かれた同美術館展で展示されていた。絵画54点の保険金額は10億ドル(約1200億円)以上になるという。
共同通信。続報:「押収無効 スイス連邦政府が決定」 スイス外務省の声明によると、連邦政府は「国有の文化財は国際法上、公共財とみなされ、差し押さえの対象とすることはできない」と判断、憲法の規定により司法当局の判断を覆したとのこと。(11月17日付共同通信)
11/18 小林清親 武士時代の居候先 湖西で探し出す
小林清親(1847-1915)が世に出る前の明治の初め、武士として当時の鷲津村(現・湖西市)で居候のようにして過ごしたとされる住居が、市内の研究家らによって特定されたとのこと。
住居は当時の屋号が「庄次郎」。地域の有力者の農家で、清親は今から3代前の家主の時代に居候していたと見られる。清親が庄次郎という屋号の家に一時期、居候していたことが文献などに記されており、湖西市とのつながりがあったことは定説となっていた。しかし、研究者らが突っ込んだ調査をすることもなかったため、どの家に居候していたかは不明のままだったという。
asahi.com静岡。
11/18 王家由来の真珠とダイヤの王冠、過去最高額で落札
ナポレオン時代のフランス王家の宝石の1つである真珠と、ダイヤの王冠が16日、競売にかけられ過去最高落札額を記録したとのこと。競売会社クリスティーズが17日明らかにした。2つの宝石はある中東のコレクターが生前に集めていたものの一部で、遺族が競売に出品したという。
落札翌日に出された同社声明によると、ルビーや真珠が散りばめられているダイヤモンド(45.27カラット)の王冠の落札額は約800万スイスフラン(約7億2000万円)で、王冠としては過去最高額だという。一方、現存するもののなかで世界で5番目に大きい卵型の真珠は326万スイスフラン(約3億円)で落札された。
17日付ロイター通信。宝飾系。科博でパール展開催してることですし。
11/18 アフリカ初の本格的なピカソ展が開催へ
「ピカソとアフリカ」と題された展示会が、来年2月から5月まで南アフリカの2つの画廊で開催されるとのこと。主催元によると、この種の展示会としてはこれまでで最大規模であり、アフリカで開催される数少ない展示会の1つだという。
展示のために選ばれたのはフランス・パリの国立ピカソ美術館とピカソの遺族から貸し出された1906年から1972年までの絵画、素描、彫刻など計61作品で、ピカソが創作活動上大きな影響を受けた西アフリカの伝統工芸品とともに展示される予定。
17日付ロイター通信。
11/18 創建前の奈良期制作か 安祥寺本尊
京都市山科区の山岳寺院・安祥寺の本尊、木造十一面観音立像の制作年代が、寺創建の平安初期より古い奈良後期の可能性があることが、京都大を中心とするグループの調査で17日までに判明したそう。高さ約2.5メートルの半丈六仏で、当初はかなり大きな寺に安置され、創建後のある時期に同寺に移されたとみられる。
十一面観音立像はカヤ材による一木造りで漆の上に金箔を張った漆箔仕上げ。造形や衣の文様、材質などから、奈良後期−平安初期に作られたと判断したとのこと。また頭部だけは江戸期の修復で付け替えられていたことも分かった。
寺創建時の様子を記した「安祥寺伽藍縁起資財帳」には、等身の十一面観音像の記載はあるが、大型の半丈六仏についての記録はなく、創建後に運び込まれた可能性が高いとのこと。仏像の大きさからみて、当初安置されていた寺はかなり大規模な寺だったとみられるそう。
京都新聞。
11/18 近江の水郷の初選定を答申 重要文化的景観で文化審
文化審議会は18日、滋賀県近江八幡市の「近江八幡の水郷」を、地域の人々の生活に結び付いた「重要文化的景観」の第1号として選定し、保護していくよう文部科学相に答申したとのこと。
重要文化的景観は、棚田や里山など日本の原風景を荒廃などから守るため、今年4月施行の改正文化財保護法で新たに設けられた。景観維持に向けた国の事業や固定資産税軽減の対象となる。
共同通信。
11/20 現代美術評論の第一人者、東野芳明さんが死去
19日、急性心不全で死去した。75歳。
1954年、東京大学を卒業し、同年、クレー論で美術評論の新人賞を受賞。アメリカ現代美術など国際的な評論活動を積極的に展開した。現代美術の国際展であるベネチア・ビエンナーレ日本館のコミッショナーなどを務め、マルセル・デュシャンやレオナルド・ダ・ヴィンチの研究も深めた。主な著書に「グロッタの画家」「現代美術」「マルセル・デュシャン」など。
読売新聞。
11/21 広重の「名所江戸百景」、「地震から復興」宣伝か
制作時期に注目すると、6割近くの作品に1855年秋の「安政江戸地震」との関係が浮かび上がってくるとのこと。当時の文書と照合すると、被災した名所が復興した直後に描かれている作品が、次々見つかったそう。「江戸の復興ぶりを伝えるメディアの一つだった可能性がある。一部では、復興した店の広告の意味も込めたようだ」と推測されるとのこと。
朝日新聞。国際浮世絵学会員の翻訳家原信田実さんと、災害史を研究する神奈川大非常勤講師の北原糸子さんによる。
11/23 安土城の屏風探し依頼 ローマ法王に町長
織田信長から当時のローマ法王に贈られた安土城の屏風絵を探している滋賀県安土町の町長らが23日、バチカンでローマ法王ベネディクト16世に会い、調査協力を求めたとのこと。
城の姿は文書で伝えられているだけで、絵が現存すれば一級の史料。イタリアに帰国する宣教師や伊東マンショら少年4人の天正遣欧使節によって、屏風がバチカンまで届けられたことは分かっているが、当時の法王グレゴリオ13世の急死もあって行方が分からなくなった。
共同通信。11月14日「幻の屏風絵求めローマへ」の続報です。
11/24 篠田桃紅氏が井上靖賞辞退
井上靖記念文化財団は24日、第13回井上靖文化賞に決まったと同日公表した抽象画家で書家の篠田桃紅氏から辞退の申し出があったため、今回は受賞者なしとする、とあらためて発表したとのこと。篠田氏が絵画や書の受賞をこれまで一貫して辞退してきたため、としている。
共同通信。
11/26 「宗達派」研究に一石 泉屋博古館「伊勢物語図屏風」
日経ネット関西版より。
11/26 盗難絵画、25年ぶりに展示 アルゼンチンの美術館
アルゼンチンの国立美術館から盗まれたセザンヌ、ルノワール、ゴーギャンの絵画3作品が25年ぶりに美術館に戻り、25日から展示が始まったとのこと。
計100万ドル(約1億2000万円)の価値があるという3作品は、1980年のクリスマスイブに盗まれた23作品の一部。2002年にパリのギャラリーで見つかり、アルゼンチンの司法当局が法的措置を講じ取り戻したとのこと。
25日付共同通信。
11/29 日本芸術院が新会員9人を決定
日本芸術院(三浦朱門院長)は29日、新会員9人を決定したとのこと。同会員は114人になる。
小川国夫=作家▽寺坂公雄=洋画家▽蛭田二郎=彫刻家▽河合誓徳=工芸家▽金子兜太氏=俳人▽前登志夫(本名前登志晃)=歌人▽川村二郎=評論家▽22世金春惣右衛門(本名金春惣一)=能囃子方太鼓▽3世杵屋五三郎(本名増田元弘)=長唄三味線
共同通信。
11/29 伊東マンショの肖像画?見つかる ローマ法王の子孫宅で
16世紀に九州のキリシタン大名が送った天正遣欧少年使節の代表伊東マンショらの可能性の高い肖像画を、当時のローマ法王グレゴリウス13世の子孫が所持していることがわかったそう。邸宅の古い本にはさまっていたという。
肖像画は2枚あり、1枚はえり付きの服の上に和服を着た少年。「マンティオ師 ブンゴの王の使節 ローマ法王グレゴリウス13世、1585」などと書かれており、豊後のキリシタン大名だった大友宗麟の名代だったマンショとみられるそう。もう1枚は聖職者の格好で「ディエゴ・メスキート神父 日本からのインド人を引率した人物」などと書かれ、少年使節の教育係役だったイエズス会員メスキータ神父とみられるとのこと。
朝日新聞。
11/30 洋画家・脇田和氏死去 新制作派協会を旗揚げ
27日、亡くなったとのこと。97歳。
「アンティミスト」とも評された繊細で穏やかな画風が持ち味。グッゲンハイム美術賞の日本国内賞などを受賞。
読売新聞。
11/30 四神図「玄武」はぎ取り 奈良・キトラ古墳で文化庁
30日、石室の北壁に描かれた四神図「玄武」などのはぎ取りに成功したと発表した。
はがしたのは周囲の余白を含め縦20センチ、横28センチの範囲で、甲羅の六角形模様や、絡み付く蛇を目玉をむいてにらむ亀の表情などがはっきり残っているとのこと。絵の下地になっている漆喰層に、壁石の接ぎ目に沿って亀裂ができていたため、4分割した。蛇の頭部分は補強剤がうまく染み込まず壊れる恐れがあったため、急きょ小さなかけら(縦3センチ、横2センチ)に割ってはがした。亀の甲羅は左右真っ二つになったが、修復すれば元に戻るという。
共同通信。文を読むと、成功か失敗か微妙に思えてくるのですが。






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