2004年
12/01 最古の本格彩色壁画か 法隆寺若草伽藍跡で出土
聖徳太子が607年(飛鳥時代)に建立したと伝わる法隆寺の若草伽藍跡で、彩色壁画とみられる焼け焦げた破片が多数見つかったとのこと。斑鳩町教育委員会が発表。若草伽藍の壁画が出土したのは初めて。金堂か塔を飾った可能性が高いという。
壁画片は最大で縦4センチ、横5センチ。文様を確認した約30点は、衣装やハスの花の一部とみられる図柄もあり。現存する南大門のすぐ東で見つかり、飛鳥時代の瓦なども一緒に出土したそう。
共同通信。若草伽藍跡で焼けた壁が見つかるのも初めてで、670年に法隆寺焼失という日本書紀の記述を裏付け、現存の伽藍がその後の再建とする説を証明する資料となる模様。
12/02 ピカソの名作、便器の彫刻に負ける
世界の芸術をリードする500人に、最もインパクトのある現代芸術の作品5点選んでもらったところ、1位がマルセル・デュシャンの「泉」、2位がピカソの「アヴィニョンの娘たち」、3位がアンディー・ウォーホルの「Marilyn Diptych」、4位が「ゲルニカ」、5位がマティスの「赤いアトリエ」だったとのこと。
1日付ロイター通信。ターナー賞のスポンサーとジンの製造会社が行った調査による。
12/02 「貧しい食事」史上最高値 ピカソ銅版画1億2000万円
11月30日、クリスティーズで競売にかけられ、62万1250ポンド(約1億2340万円)と銅版画として史上最高値で落札されたとのこと。ロイター通信などが伝えた。「貧しい食事」は1904年、ピカソ初期の「青の時代」の作品。ピカソの友人だった90歳のドイツ人美術商が落札したとのこと。
共同通信。
12/07 英ターナー賞にジェレミー・デラーの作品
優れた現代アートに贈られるターナー賞に、英アーティスト、ジェレミー・デラーが米テキサス州を旅しながら撮った映像を基に制作したインスタレーションが選出されたとのこと。デラーはブッシュ大統領の私邸があるクロフォードから、カルト教団「ブランチ・ダビディアン」の集団自殺事件が起きたウェーコまで旅し、ビデオ映像に収めた。
6日付ロイター通信。
12/09 エル・グレコの絵画故郷へ 競売でクレタ当局が落札
エル・グレコ(1541-1614年)のこれまで知られていなかった祭壇画「キリストの洗礼」(縦約24センチ、横約18センチ)が8日、クリスティーズで競売に掛けられ、約79万ポンド(約1億6000万円)の高値で落札されたとのこと。落札に成功したのはエル・グレコが生まれたギリシャ・クレタ島の自治体で、“里帰り”した後は生家に展示されるという。
共同通信。関連記事:スクラップ2004年10月21日
12/10 装飾たんすを38億円で落札 絵画以外で史上最高値
クリスティーズで9日、英公爵の注文によりイタリア・フィレンツェで18世紀に製作された装飾たんすが、約1900万ポンド(約38億円)で落札されたとのこと。絵画以外の美術品では史上最高値。このたんすは1990年、クリスティーズで当時の史上最高値858万ポンドで落札されており、同じ品が再び記録を更新することになったそう。落札したのは、リヒテンシュタイン美術館の担当者。リヒテンシュタイン公国のハンス・アダム2世の代理とのこと。
たんすは、高さ約4メートル、幅約2.5メートルで、黒檀や金箔をはった青銅などを使い、さまざまな宝石類で装飾してある。
共同通信。リヒテンシュタイン美術館は、最近ハイビジョン特集で見ましたが、まさに宝庫ですね。箪笥は、2005年春から常設展示予定とのこと。
12/10 鹿児島で14世紀の日本地図 現存資料では最古級
鹿児島県坊津町の坊津歴史資料センターにある古文書に、現存するものとしては最古級とみられる14世紀の日本地図があることが分かり、坊津町教育委員会が発表したとのこと。発表によると、日本地図が収載された文書は同県指定有形文化財の「坊津一乗院聖教類等」。確認された日本地図は、幅約14センチ、長さ約72センチ。「建徳元年極月十日肥州山鹿庄於/金剛乗寺書寫畢/金剛資隆尊」と朱書きで記され、1370年に現在の熊本県北部にある寺で「隆尊」という人物が描いたとみられる。
共同通信。
12/11 仏教壁画5-9世紀に制作 バーミヤン遺跡を年代測定
東京文化財研究所と名古屋大博物館は10日、アフガニスタンのバーミヤン遺跡にある仏教壁画の制作時期を調べた結果、5世紀後半から9世紀前半に描かれたことが分かったと発表したとのこと。遺跡で採取したわらなどを試料として、放射性炭素年代測定法で調べた。同遺跡の制作時期を科学的方法で測定したのは世界で初めて。
共同通信。壁画については、美術史的な比較研究から6-8世紀に描かれたと推定されていたが、今回の調査で、最も早く描かれた壁画は5世紀後半までさかのぼることが明らかになった。そうです。
12/11 ディレクター辞任 来秋予定の横浜トリエンナーレ
「横浜トリエンナーレ2005」のディレクターに就任し構想を練ってきた磯崎新氏が、実施内容をめぐり横浜市などと対立し辞任が濃厚になったとのこと。横浜市は後任探しと新しい構想づくりに迫られているそうです。
東京新聞。開幕まで1年きってるのに、この有様。余計なお世話だろうが、大丈夫? 続報:後任ディレクターに川俣正氏(12月13日付共同通信)
12/17 メディア芸術祭賞決まる
文化庁は、アートやマンガなどの4分野で新たな表現技法を開拓した作品を表彰するメディア芸術祭賞の2004年度の大賞に、アニメーション部門で「マインド・ゲーム」(湯浅政明監督・脚本)、エンターテインメント部門で任天堂が開発したゲームソフト「まわるメイドインワリオ」など4作品を選んだとのこと。優秀賞は宮崎駿監督のアニメーション「ハウルの動く城」など16作品、奨励賞は同「夢」(新海岳人氏)など4作品、功労賞に元少女漫画誌編集者の山本順也氏を選んだ。
共同通信。
12/18 破壊大仏は6世紀に築造 アフガンのバーミヤン遺跡
アフガニスタンの旧タリバン政権が2001年に破壊したバーミヤン遺跡の大仏立像2体のうち、東側の東大仏(高さ約38メートル)は6世紀初めごろに、西側の西大仏(同約55メートル)が6世紀中ごろに造られたことが、遺跡の保存調査をしている国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の分析で分かったとのこと。
共同通信。 東大仏については、大仏表面の破片に含まれていたワラなどを放射性炭素年代測定法で調べた結果、507年を中心に前後15年ずつの範囲内に造られたことが分かったそう。西大仏は、同様に大仏表面の物とされる木製のくぎやロープの分析から、551年を中心に前後12年ずつの範囲内に造られたことが判明。
関連記事:寺院跡発見(12月19日付共同通信) ストラスブール大のゼマルヤライ・タルズィー教授は、3-5世紀(一部は2世紀)の寺院跡や彩色した多数の仏などの塑像の頭部が見つかったと、同遺跡の保存に関する国際会議で明らかにしたとのこと。寺院跡は、東側大仏の南東で見つかった。
12/20 人間国宝の吉田文之氏死去
人間国宝の撥鏤(ばちる)工芸家、吉田文之氏が19日、死去したとのこと。89歳。
染色した象牙の表面を彫り、文様を浮かび上がらせる細工「撥鏤」の技法のただ1人の伝承者。正倉院宝物の「紅牙撥鏤尺」を復元。1985年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。
共同通信。
12/21 坂本繁二郎の2作品窃盗未遂 福岡県立美術館
常設展示されている坂本繁二郎の絵画2点の窃盗未遂事件が起きていたことが21日、判明。同館などによると、先月21日午後、福岡市の美術品搬入業の男が、繁二郎の水彩画「石」を脇に抱えて展示室を出ようとしているのを女性職員が発見、取り返したとのこと。男は逃走したが、警備員に取り押さえられた。油彩画の「鋏」も壁から外され、盗難防止用のワイヤで壁からつり下げられた状態になっていたそう。
共同通信。評価額は「石」が約600万円、「鋏」が約5000万円らしいです。
12/22 トム・ウェッセルマン氏死去
17日、ニューヨークの病院で心臓手術の後、死去。73歳。
米国ポップアートを代表する画家。ニューヨークを拠点に1960年代初頭から活躍、特に女性のヌードをテーマにしたコラージュで知られた。
読売新聞。
12/24 金堂完成は奈良時代末 唐招提寺
奈良時代末に完成、平安時代に大修理したとみられることが、建築部材の年輪年代測定で分かり、奈良県教育委員会が発表したとのこと。柱など測定可能な部材152点のうち、屋根の裏板を支える地垂木3点は樹皮が残り、いずれも781年の伐採と判明。ほかにも8世紀の部材が見つかったそう。
共同通信。
12/25 人間国宝の金城次郎氏死去 壺屋焼に独自の境地
沖縄を代表する陶芸家で人間国宝の金城次郎氏が24日、死去した。92歳。那覇市出身。
共同通信。
12/28 「官邸を美術館に」 首相指示で彫像など展示
首相官邸は28日、官邸内のホールやロビーに女性をかたどった彫像など美術品12点を展示したとのこと。「官邸を美術館のようにしたら素晴らしい」という小泉純一郎首相の指示による。これまでは3階のホールと2階のロビーに絵画を1点ずつ飾っているだけだったそう。
共同通信。「官邸にもっと絵画があれば、外国からのお客が来ても雰囲気が華やかになる」と官邸事務所に展示品を大幅に増やすよう要請。事務所はいったん予算不足を理由に難色を示したが、首相が「展示してもお金は要らないという芸術家はいるはずだ」と押し切った。 とのこと。発言に驕りが見られますなぁ。それ以前に美術ネタではないような。
12/29 スーザン・ソンタグ氏死去
批評家で作家のスーザン・ソンタグさんが28日、死去した。71歳。
63年、長編小説「恩人」でメリット賞を受賞。66年には「反解釈」で評論家としての活動も開始。さまざまな分野で活動した。
共同通信。






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