2004年
07/01 扉黒かった−平等院鳳凰堂
極楽浄土をイメージし朱色に塗装されていたとされていましたが、1053(天喜元)年の創建時には正面の木製扉が黒く塗られていたことが1日までに、くらしき作陽大学の北野信彦助教授らの調査で分かったそうです。
共同通信。創建時の正面扉は、1670年に改修された際に取り外され、平等院が保管していましたが、表面の塗装はほとんど残っていないとのこと。
07/01 伊能大図最後の4枚発見
「伊能大図」(3万6000分の1)のうち、未発見だった京都など4枚の写しが見つかったと1日、民間の伊能忠敬研究会が発表したとのこと。大図は214枚全部の写しがそろい、200年前の列島全体の地形復元が初めて可能になったそうです。4枚は海上保安庁海洋情報部が所蔵しており、北海道稚内市、京都市、広島県福山市、愛媛県今治市の周辺。明治初めに旧海軍省水路部が作った大図の模写を、同時期に2分の1程度に縮小、転写したとみられるとのこと。京都の地図は近代的な表記を取り入れ、伊能の測量ルートや天体観測地などを詳細に記載していた。
共同通信。
07/02 レンゾ・ピアノ設計の新教会
オープニング式典が1日、サン・ジョバンニ・ロトンドで行われたとのこと。
完成に10年を要した教会は、建設費3000万―3500万ユーロで、内部に6000人、外の広場には3万人が礼拝などに参加できるよう作られている。
1日付ロイター通信。ピアノは、式典に集まった人々に対し、教会の精神性を商業目的で汚さないよう呼び掛けたとのこと。
07/06 重文300点にすす 高崎市の考古資料館で火災
群馬県高崎市文化財保護課は6日、同市の観音塚考古資料館の収蔵庫で3日に火災があり、国指定の重要文化財約300点を含む収蔵品約900点にすすが付く被害が出たと発表。すすは除去可能とのこと。
共同通信。
07/06 青竜、白虎はがし修復を キトラ古墳壁画で方針
極彩色壁画のうち四神図の青竜、白虎で特に傷みの激しい部分をはがし、石室外で修復するよう提案することを決めたそうです。東、西壁のこの2図は、顔料を塗った漆喰が青竜の頭部で最大約3cm石壁から浮くなど、剥離。元に戻すのは難しいと判断したとのこと。
共同通信。12日の委員会で検討、了承される公算が大きいとのこと。南、北壁の処置や修復後の保存方法などはあらためて検討。
07/07 40年ぶりに新たな壁画を発見−バーミヤン遺跡
独立行政法人文化財研究所は7日、菩薩を含む新たな仏教壁画を発見したと発表。壁画は、遺跡の東大仏から約1km東のダウティー地区の石窟で発見されたとのこと。最近まで住居として使われており傷みが激しいが、ブルーの背景に菩薩の頭部とみられる壁画がわずかに残っていた。5-8世紀頃描かれたらしい。
共同通信。
07/08 真贋めぐる論議呼んだフェルメールの絵画、落札
フェルメールの「バージナルの前に座る女」(縦25cm横20cm)が7日、約80年ぶりにオークションに出品され、1620万ポンド(約32億6300万円)で落札されたとのこと。フェルメール作品の落札価格としては、史上最高値。
7日付ロイター通信。この作品は、40年代に贋作の疑惑が浮かんでいました。しかし、科学分析で画材がフェルメールが使っていたものと一致したうえ、X線検査で「レースを編む女」と同じキャンバスが使用されていることが判明。こうした検証作業が10年近く行われた結果、フェルメールの作品と確認されたとのことです。
07/09 大谷探検隊の収集品寄贈、龍谷大に
仏教遺跡調査などを目的に1910年からインドを訪ねた第3次大谷探検隊の隊員が現地で収集、日本に持ち帰った仏坐像など17点が、隊員の遺族から寄贈されたとのこと。
共同通信。収集品はインド北西部などの仏教寺院で発掘されたもので、信者が寺院に寄進した仏塔のミニチュア版「奉献小塔」(8〜9世紀)や、砂岩製の仏坐像(5〜6世紀)など。
07/12 青竜、白虎をはぎ取りへ〜すべてはぎ取りを検討
奈良県明日香村のキトラ古墳は四神図の青竜、白虎以外に十二支図や天文図の一部も剥離していることが、明らかになったそうです。保存活用を検討する文化庁の調査研究委員会で作業部会が報告。それぞれ剥落の危険性が高い部分をはぎ取り、石室の外で修復する方針を提案、了承されたとのこと。国内の古墳で初の修復方法。
作業部会によると、青竜は顔料を塗ったしっくいが幅40〜45cmの範囲で最大3.5cm石壁から浮き、白虎も前脚を除き完全に剥離。西壁の十二支像も全面が剥離していたとのこと。〜

〜壁画について、文化庁などは、最終的にすべてはぎ取り、外部の施設で保存する方向で検討を始めたとのこと。方針に対しては慎重論もあり。
共同通信。1日の間に事態が動きました。
07/14 尼崎の民家から洛中洛外図
豊臣秀吉が京に築いた城館「聚楽第」に後陽成天皇を招いた「聚楽第行幸」を描いた洛中洛外図屏風が発見されたそうです。京の景観を描いた洛中洛外図は百点以上現存するが、聚楽第と行幸を合わせた作品は例がないとのこと。
神戸新聞。例がないということなので紹介。屏風は、江戸前期の制作と推定。作者は、名所絵などを手掛ける町絵師とみられるそうです。
07/15 重文の展示品が落下し破損〜再発防止申し入れへ
文化庁は、ドイツ・マンハイム市で展覧会の出展準備作業をしていた重要文化財「三重県縄生廃寺塔心礎納置品」のうち、三彩飾蓋など7点が14日午前9時40分(日本時間同日午後4時40分)ごろ、床に落下して破損したと発表したとのこと。文化財はライス・エンゲルホルン博物館などで開かれる「日本の考古−曙光の時代−」に出展予定だったそうです。
作業中、展示ケース内の作品を取り出していたところ、ケースが床に固定されておらず、前に開いたガラス扉の重みでケースが傾き、中にあった作品が床に落ちたそう。破損した作品は展示から除外し、日本に持ち帰って修復する方針。〜

〜文化庁は、同博物館が展示ケースの固定を怠ったのが原因として、再発防止を申し入れることを決定。修復に要する費用は、同博物館が保険で負担するとのこと。
共同通信。
15日付asahi.comによりますと、今月24日から来年1月にかけて、日本の旧石器時代から奈良時代までの考古資料を紹介する企画で、国宝5件、重要文化財32件などをドイツに運んでいたそうです。
07/15 堂塔建立は668年以降 法隆寺
現存する世界最古の木造建築とされる法隆寺の中心堂塔建立は、668年以降で金堂、五重塔、中門(いずれも国宝)の順とみられることが年輪年代測定法による建築部材の調査で分かり、奈良文化財研究所などが発表したとのこと。
法隆寺の大規模な年輪年代調査は初めて。607年ごろ聖徳太子が創建したとされる当時の部材は見つからず、調査成果は創建時のままとする説を完全に否定したとのこと。
共同通信。一方で、日本書紀の記述などから670年の火災後に再建とする定説に対し、金堂は火災以前の建立という可能性が浮かんできたそうです。
07/16 わいせつの恐れと上映中止 横浜美術館の展覧会
17日から開く展覧会への出展が決まっていた映像作品を上映しないと決めていたことが分かったそうです。上映中止になったのは、高嶺格さんの「木村さん」。重度の障害がある男性の自慰を高嶺さんが介助する様子を描いた作品。
共同通信。性器が映っているのはまずいのでは→警察関係者に相談→見解は「問題があるだろう」→6月下旬になって中止決定。とのこと。出展決定後におたおたされても。
07/17 美術館なくても好評 収蔵品がひっぱりだこ
千葉県松戸市立美術館の建設計画が財政難で20年以上宙に浮く中で、会場を借りて展示用に集めた珍しい近代家具の展覧会を開く、松戸市の“苦肉の策”が「箱ものの美術館にこだわらない発想」と好評とのこと。各地の美術館から収蔵品の貸し出し要請が相次いでいるそうです。
共同通信。建設計画が浮上したのは1970年代。84年には美術館準備室もできたが、財政難から95年にあらためて市民の合意形成を図り、検討することになったとのこと。そして今に至るということでしょうか。収蔵品はあれど…
07/17 ロダンの彫刻、川で発見
ロダンと、カミーユ・クローデルの共同制作とされる小型彫像が盗難に遭った末、パリのセーヌ川で見つかったことが分かったそうです。パリジャン紙によると、彫像はロダンとクローデルのほとんど唯一の共作とされ、高さ約20cm。推定80万ユーロ(約1億800万円)。3つに割れていたが修復可能とのこと。
共同通信。今年4月にパリ郊外の収集家の家からセザンヌの絵画などとともに盗まれたのだそう。
07/19 地中美術館、開館 香川・直島に
18日、施設のほぼすべてが地下にある「地中美術館」がオープンしたとのこと。
美術館は、山の斜面を利用した鉄筋コンクリート地下3階建て。館内は自然光を取り込むように設計、敷地面積は約1万平方メートル。数年後には建物の屋上部分が周囲に植えられた木々で覆われ、美術館は完全に地中に隠れるとのこと。設計は安藤忠雄氏。
毎日新聞。地中美術館:公式サイト
07/22 五輪時の彫刻里帰り不可能 ギリシャ、英
大英博物館に収蔵されているギリシャ彫刻「エルギン・マーブル」98点を里帰りさせる計画が、交渉が難航し実現不可能になったことが分かったそうです。
共同通信。関連記事:スクラップ2003年3月13日
07/27 8月2日からはぎ取り作業 キトラ古墳の壁画
文化庁は、壁画のはぎ取り、石室の外での修復作業を8月2日から始めると発表したとのこと。国内の古墳壁画で修復のためはぎ取るのは初めて。順調にいけば8月4日に十二支図の戌、同月11日に四神図の青竜、9月7日に白虎をはぎ取る予定。9月中旬までに作業を終えるとのこと。
共同通信。白虎の頭上などしっくいが浮き上がった絵のない部分に、樹脂でレーヨン紙を張り(表打ち)補強。約1日置き、全体が張り付いたら、ひび割れに沿って取り外すそうです。(7月31日付共同通信)怖いです。
07/30 アテネにイスラム博物館開館
イスラム古美術品を展示する博物館がオープンしたとのこと。収集家の名を冠した「ベナキ博物館」の展示品は、金装飾品、陶器、布製品など約8000点。時代は7世紀−19世紀、北アフリカからインドまで広範囲にわたるとのこと。
共同通信。目玉の一つとして、イラク北部モスルで出土した14世紀の燭台があるそうです。
07/30 高松塚古墳でガラス玉見つかる
床の土中から直径約3ミリのガラス製アワ玉3点が新たに見つかったとのこと。奈良文化財研究所の分析で、1972年に石室で出土した936点のガラス製アワ玉(重要文化財)と寸法や材質、製作技法などが一致。同種と判明したそうです。
共同通信。30年前の発掘時に取り残した?らしいです。






topback