2004年
01/07 同時テロ追悼施設、最終設計案決まる
NY世界貿易センタービル跡地に建設する、追悼モニュメントの最終設計案に、イスラエル出身の建築家マイケル・アラド氏の作品「リフレクティング・アブセンス(亡き人々への追想)」が決まったとのこと。作品は、貿易センタービル2棟が建っていた場所にそれぞれ人工の滝のある巨大な四角の人工池(深さ約9m)を配置。地下には滝の裏側をめぐる回廊も設け、池の周囲に同時テロの犠牲者全員と、1993年の同ビル爆破事件の犠牲者の名前を刻んだ石碑を作るとのこと。
6日付共同通信。総工費約120億ドル(約1兆2720億円)で約10年後に完成予定。跡地には、世界最高の超高層ビル「フリーダム・タワー(自由の塔)」(高さ約530m)の建設も決定済。
01/07 守屋多々志氏死去
歴史画や文化財保存で活躍した日本画家で、文化勲章受章者の守屋多々志氏が昨年12月22日、死去していたことが7日分かった。91歳。
共同通信。
01/07 桃山時代の化粧道具箱か−和歌山・慈尊院所蔵物
豊臣秀吉からもらったと伝えられている猿楽面の入った箱が、婚礼の化粧道具を入れる「菊桐紋蒔絵眉作箱」だったことが、京都国立博物館などの調査で分かったとのこと。菊桐紋の形式などから桃山時代に作られた最古の眉作箱となる可能性もあるそうです。
共同通信。箱は縦26.6cm、横20.8cm、高さ19.5cm。2段重ねの木製で、下段にひも金具を打つ形式や紋様が眉作箱の特徴を示していた。
01/08 国宝犬山城、財団に移管へ
国宝の城では唯一、個人が所有する犬山城の所有権が、今春新たに発足する見通しの財団法人に移管されるとのこと。天守閣と土地の他に、約6500点の古文書や工芸品、刀剣も寄付。
共同通信。犬山城は1537(天文6)年に織田家が築城し、江戸時代に成瀬家が城主を務めた。天守閣は国内最古で1965年から市が管理していた。
01/09 中近東文化センター窮地
支援企業である出光興産からの寄付が大幅に減らされ、公開展示の休止に追い込まれているそうです。
読売新聞。寄付金は年々減っており、目玉の展示品を岡山市立オリエント美術館に売却するなどしてしのいでいたそうです。10日から始まる予定だった企画展も中止となりました。
01/10 秦テルヲ、幻の絶筆発見−城陽市の個人宅で
絶筆は、「日月神図」の2点。いずれも紙に描かれ、ほぼ同じ大きさの対の額装作品。これまで草稿だけが残り、「未完」と記した遺族の書き込みから、本画は描かれなかったとされてきたが、今回の発見で、一応の完成をみていたことが確認されたとのこと。その他、亡くなる直前に書かれた絵入りの日記も見つかったそうです。
京都新聞。「日月神図」と日記は、「異端画家秦テルヲの軌跡−デカダンから光明へ」展にて14日から公開されます。他に、新たに見つかった「五月之頃」や「蓬莱山図」「雪景図」など約10点も追加出品。会場は京都国立近代美術館、1月25日まで。
01/12 琉球の朝貢品を共同調査へ−故宮博物院と那覇市
北京の故宮博物院に、琉球が朝貢した織物や甲冑、日本刀などが残っていることが分かったため。那覇市は調査後に、琉球王国の宝物里帰り展を開催する意向とのこと。
共同通信。
01/14 国立国際美術館が閉館へ
18日を最後に閉館するそうです。といっても、美術館自体はなくなりません。今年11月に大阪市北区中之島へ移転、完全地下型の美術館として生まれ変わるとのこと。
京都新聞。17、18日は入館料無料となるそうです。
01/15 米ホイットニー家所有の絵画44点、競売へ
今年5月、サザビーズのオークションに出品されるそうです。予想落札総額は1億4000万ドル(約149億円)と、サザビーズの競売としては過去最高。出品されるのは、ピカソの「パイプを持つ少年」(1905年)、モネなど。
14日付ロイター通信。
01/19 イスラエル大使が作品破壊
ストックホルムの歴史博物館で16日に開幕した美術展で、自爆テロ犯の肖像を飾った展示品に激怒したイスラエルの駐スウェーデン大使が作品を破壊し、騒動になっているとのこと。
作品はイスラエル出身の芸術家ドロール・ファイラーの「白雪姫と真実の狂気」。真っ赤な液体を入れた長方形の“池”に浮かべた小舟に、同国ハイファで昨年10月、20人以上の死者を出した自爆テロ犯のパレスチナ女性の写真を帆のように掲げた。
18日付共同通信。
01/19 阿弥陀像の魂抜く儀式 50年ぶり修復前に
京都府宇治市の平等院鳳凰堂で、本尊「阿弥陀如来坐像」(国宝)の本格的な修復を前に、坐像から魂を抜く儀式が営まれたとのこと。坐像は高さ約2.8mの寄せ木造りで、平安時代の仏師定朝が鳳凰堂本尊として制作。金箔の剥落などが目立っていたそうです。
共同通信。坐像上部の「天蓋」(国宝)も約100年ぶりに修理するとのこと。修理は来年9月頃まで続く予定。その間、鳳凰堂の内部拝観を中止するそうです。
01/21 海外から借り受けた美術品、国も損害補償
文化庁は21日、日本の美術館が海外から借り入れた美術品が、運搬中の破損や盗難などの被害にあった場合、政府が損害の一部を負担する「国家補償制度」を導入する方針を固めたとのこと。国内での良質な展覧会の開催を支援するのが狙いで、2005年度からの導入を目指す考え。
読売新聞。美術品を借り入れる際の保険料が、米同時テロの影響等により上りまくりで負担増。海外には、開催地政府の損害補償がないと、作品の貸し出しを認めない美術館もある。経費かかるし、思うような作品持ってこれないし、どうにかして下さいよ政府に文化庁。ということから、出て来た話らしいです。乱暴な要約で失礼。
01/23 狛犬は浦上天主堂の飾り 東大が保管の被爆資料
東京大学総合研究博物館(東京都文京区)が保管する「広島で被爆した狛犬の頭部」とされた資料は、浦上天主堂(長崎市)の柱を飾っていた獅子像の頭部と判明したとのこと。材質や残された資料を調べた結果、分かったそうです。獅子像頭部は1945年10月、故渡辺武男東大教授が持ち帰り、同博物館の収蔵庫で約60年間眠っていた。
共同通信。資料は、同博物館で開催中の特別展「石の記憶−ヒロシマ・ナガサキ」で公開されているそうです。4月12日まで。
01/24 ヘルムート・ニュートン氏死去
ロサンゼルス市内にあるホテル前の路上で23日、写真家のヘルムート・ニュートン氏が運転する乗用車が壁に激突、ニュートン氏は搬送先の病院で死亡した。83歳。
23日付共同通信。この方に対する死のイメージがなかったもので、かなりびっくりしました。
ヘルムート・ニュートン関連記事:スクラップ2003年10月23日
01/24 直接鑑賞は50%割れ目前 文化芸術に関心薄まり
1年間で劇場や会館に行き、映画、演劇、音楽、美術を直接鑑賞した人が、前回調査(1996年)の54.4%から50.9%に落ち込んだことが分かったそうです。足を運ばなかった人(48.8%)に理由(複数回答)を聞くと、「関心ないから」が前回の27.8%から39.5%に増加したとのこと。
共同通信。内閣府が24日付で発表した「文化に関する世論調査」をふまえての記事。
01/25 広重、京都へ旅せず「五拾三次」描く? 資料の転用判明
浮世絵研究家鈴木重三氏らが「保永堂版広重東海道五拾三次」(岩波書店)で明らかにしたとのこと。全55枚のうち少なくとも26枚が既に刊行されていた3種類の本からの転用だと指摘しているそうです。
朝日新聞。
01/27 石室の極彩色壁画は無事 キトラ古墳、発掘へ
奈良県明日香村のキトラ古墳(特別史跡、7世紀末-8世紀初め)調査チームは27日、デジタルカメラで石室内部を撮影。朱雀など極彩色の四神や天文図など石室の壁画はいずれも無事で、石室にカビは見当たらないと発表したとのこと。石室内部の撮影は2001年12月の調査以来、約2年ぶり。壁面と天井、床のいずれも前回調査時から変化はみられないそうです。
壁画の無事をうけ、石室につながる墓道の本格的な発掘を開始。保存・修復に向けて作業を進めるとのこと。
共同通信。続報:2月2日付共同通信より--発掘は2日、石室南側の壁に到達。壁画を肉眼で確認したとのこと。研究者が直接壁画を見たのは初めて。「玄武が思ったより大きかった」というコメントあり。
01/29 銀を使わず銀箔に見せた 光琳の特殊な技法判明
尾形光琳の「紅白梅図屏風」(国宝・MOA美術館蔵)が、銀を使わずに銀箔を張ったように見せるなど、特殊な技法で描かれていることが、東京文化財研究所(東京・上野)の調査で分かったとのこと。地の部分も金箔を使わなかった可能性があるそうです。
調査方法は、元素の種類と割合を測る蛍光X線分析とX線写真、異なる波長の光を当てて撮影した高精細デジタル画像の分析。中央を流れる水の部分は、銀を使ったとする説が有力でしたが、蛍光X線分析では銀だけでなく一切の金属が検出されなかったとのこと。金箔張りと考えられていた金地の部分からは、通常の金箔よりごく薄い金の反応しかなく、若干のはけ目も確認されることから、金粉を溶いた「金泥」を塗った可能性が高いそうです。
共同通信。水の部分は、何らかの有機染料を使ったと推測できるとのこと。
01/30 彫刻家小田襄氏死去
24日死去。67歳。鏡面化したステンレスに周囲の風景を映し込む抽象作品を制作、国際的に知られた。2002年に紫綬褒章を受章。
読売新聞。
01/30 円山応挙「幻の作品」見つかる
所在の分からなくなっていた「四睡」図が京都市内で見つかったとのこと。四睡図は、中国唐時代の高僧「豊干」などが虎と寄り添って眠る姿を描いた、応挙46歳の作品。1934年に売買のために撮影された写真が残っているものの、所在不明だったそうです。
毎日新聞。昨年秋に、大阪市立美術館で開催された「特別展 円山応挙」の会場で「幻の作品」約100件の1つとして紹介したところ、所蔵者が名乗り出たそうです。紹介してみるものですね。現在は、京都市の大雲院に譲渡されたとのこと。作品は、江戸東京博物館で2月3日に開幕する「円山応挙<写生画>創造への挑戦」に特別出品されるそうです。2月15日までに限り展示。
円山応挙関連記事:スクラップ2003年8月29日2003年12月29日






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