谷崎潤一郎

(たにざき じゅんいちろう・1886-1965) 1914年発表の短編『金色の死』に若冲作品に関する描写があるとのこと。

「若冲の花鳥画にあるような爛漫たる百花の林を潜って孔雀や鸚鵡の逍遥して居る楽園のあたりにも導かれました」

(描写部分・2007年8月31日付読売新聞「若冲余話5」より)

夏目漱石

(なつめそうせき・1867-1916) 『一夜』『草枕』『硝子戸の中』に若冲作品に関する描写がある。

吉井勇

(よしい いさむ・1886-1960) 歌人。

或る日洛南石峰寺にゆきて、若冲の下絵によりて刻めりといふ五百羅漢の石像を見る
たそがれの羅漢の山にのぼり来てはろばろ遠き秋の日を見つ
痩羅漢落葉のなかに埋もれてゆふべ寒しとかこつごとしも
さまざまの羅漢の姿刻みたる石ことごとく秋風に鳴る
おほどかに落葉の谷を見下ろせる欠伸羅漢に夕日あたるも
しづかなる秋のゆふべや寝羅漢の石の鼾も聴こゆるが如
みづからの命楽しむごとくにも太腹羅漢空を仰げる
われもまた落葉の上に寝ころびて羅漢の群に入りぬべきかな

『天彦』(昭和14年10月初版 昭和9年秋から14年春までの作)より