臨済宗相国寺派の大本山。夢窓国師を開山に、足利義光が創建。金閣寺、銀閣寺は末寺です。

相国寺は、若冲と深い関わりを持つお寺です。若冲は、自作の「動植綵絵」や「釈迦三尊像」を寄進したり、生前から境内にお墓を建てたりしていました。
これは、当時和尚だった大典顕常と非常に親しかったためと思われ、お墓の側面には大典による若冲の経歴が刻まれています。また、相国寺や大典との縁もあってか、鹿苑寺(金閣寺)大書院の障壁画を任せられたりもしました。

現在、障壁画は保存のために取り外され、相国寺境内にある承天閣美術館に復元、常設展示されています。「葡萄図」、「月夜芭蕉図(上図参照)」とあり、それぞれ大書院にいるかのように観ることが出来ます。部屋がしつらえてあり、畳も敷いてあり、そこに絵がしっかりはまっているのですね。それにしてもヒドイ説明だ。ともかく臨場感があります。

こちらの美術館は、相国寺創建600年記念の一環として作られ、相国寺、金閣寺、銀閣寺などの寺宝を所蔵、展示しています。若冲の作品は、他に「釈迦三尊像」を収蔵。こちらは京博に行ってしまっており、留守でした。

若冲が観られたのはもちろんよかったです。が、若冲が模写した中国絵画、「鳴鶴図」が展示してあれば、もっとよかったのに。こちらで持ってるはずなのですが。(11/11)

しょうこくじ・じょうてんかくびじゅつかん:地下鉄烏丸線今出川駅、または市バス同志社前〜徒歩

チケット。若冲の作品を使用。

住宅街に囲まれ建っているお寺です。階段を上ると、竜宮城のような赤く可愛い門が現れます。

石峰寺は、1713年(正徳3)、千呆(せんがい)禅師により建立された黄檗宗の禅道場。若冲が晩年草庵を結び、生涯を終えた場所としても知られています。相国寺に加え、こちらにも若冲のお墓があります。お墓が二つ…ちなみに本人が眠っているのは石峰寺の方です。

本堂を通り抜け裏山にまわると、うっそうとした竹林が待っています。昼間でもほの暗く雰囲気がとてもある場所。時間軸がずれるような感覚にとらわれます。
ここには若冲が下絵を描き、石工に彫らせた五百羅漢が佇んでいます。釈迦誕生から来迎諸尊、出山釈迦、十八羅漢、釈迦説法、托鉢修行、諸羅漢座禅窟、涅槃、賽の河原に至るまで、菩薩、羅漢によって表されています。

若冲の原図では、様々な形をした橋をめぐらせ、釈迦説法、涅槃などに因む石像や塔を配し、亭まで設けてあったといいます。しかし、それらは、明治になって寺の衰えにより散逸、破壊などが進んでしまいました。
現在の配置は、昭和になってからのもの。当時の住職が残っている像を再配置し、復活させたそうです。

石仏たちは、どれも面白愉快で味わい深い表情。見てると思わずなごんでしまいます。風雨で磨耗したり苔むしたりしていますが、それもまた趣深い。長い年月が透けて見える感じがします。そして五百羅漢の間を歩いてると、一瞬、周囲が住宅街であることを忘れてしまいます。気持ちの良い空間です。

石峰寺は、若冲を知ってる方はもちろん、知らなくても十分楽しめると思います。それから、多分ここは穴場です。人もあまり多くなく、落ち着いた気分で歩き回れました。展覧会開催中に行ったにも関わらず、すいていました。(11/11)

せきほうじ:JR奈良線稲荷駅 京阪本線伏見稲荷、深草駅〜徒歩

10/24−11/26 京都国立博物館

没後200年目を機に開催された回顧展。京都国立博物館の企画で巡回なしとのことだったので行きました、京都。

当日は、時間読み間違えて8時半頃に着いてしまいました。が、しかし。門の前には既に待ってる人がちらほら。開館直前には長めの列が出来たりして、盛り上がってました。いや、多分盛り上がってたと思います。前日に「美の巨人たち」、当日朝に「新日曜美術館」で紹介されたからかもしれません。

会場に入ると人もばらけ、思ったよりすいていました。全作品、間近で真正面から観ることができました。薄塗りで繊細に透ける白い花びらや羽、細かい筆さばき、鮮やかな色彩、ぼんやりと滲む墨…印刷では決してわからない、作品の微妙な息遣いが聞けて、いたく感激しました。思う存分堪能しました。観たくてたまらなかった絵たちが、目の前にある。それってすごく幸せなことなのね、と改めて実感させられました。たくさんの生若冲。たまげました。たくさんの鶏にもたまげましたが。養鶏場開ける位いましたね。

主だった作品が殆ど揃っており、見応えたっぷり。満足しきりの展覧会でした。画巻が全部広げてある所に、伊藤若冲を徹底して観せる心意気を感じました。出来れば「動植綵絵」全幅、展示してほしかったのですが(今回は11幅出展)。

残念だったことがひとつ。作品名・解説カードが邪魔すぎ。ガラスケースの上部に張ってある為、作品を観るとカードも視界に入ってきてしまうのです。それに、斜めから作品を観ると、カードが作品と重なってしまいます。混雑時は、真正面から作品を観られないことも多いのに、そういう事態を想定してないのだろうか、と思いました。(11/12)

常設の中国絵画に、若冲関連の展示がありました。若冲が模写した「猛虎図」や、影響を受けたと思われる「草虫図」など。気を使った展示が有難い。

市バス 博物館・三十三間堂前、または京阪本線 七条駅〜徒歩





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