2004年10月
▼2部構成。第1部「黄檗美術と詩箋」では、黄檗寺院の所蔵品を展示。異国情緒漂いつつ少々濃密な絵画が並びます。中国からやって来た「詩箋」の展示もあり。詩箋とは絵入り便箋のこと。絵の部分は版画で、淡い色彩の花鳥図が多いです。こちらは、黄檗宗関連+浮世絵のルーツという位置付けのよう。 ▼第2部「江戸時代の浮世絵」は、北斎、国芳、芳年他の展示。詩箋よりもたらされた版画技術が、日本ではあーなってこーなって江戸末期にはこんな感じになりました。てことなのでしょうか。起承転結から承と転を取った形というか、あまりにも唐突。1部と2部って別物でしょう。(10/16) |
▼版画いろいろ第3期 9月25日〜12月23日 ▼フローラの神殿 もっとも美しい植物図鑑 |
▼「時雨螺鈿鞍」目当てに訪問。で、見た印象は、とにかく細かい。鞍の前後には、細い線で表された松や葛が絡まり合っています。さらに葦手が隠れてる。葦手なだけに植物と同化しています。見えにくい部分にも文様が散らしてあったり。そうですね。500分の1口出資中の愛馬に装着したい。1勝馬や未勝利馬しかいませんけど。嘘です。 ▼この展覧会における自分勝手なテーマは、文様。「金銀錯狩猟文鏡」「金彩鳥獣雲文銅盤」に見られる虎と騎馬人物の戦いやら、のたうつ渦巻やらが気になってしょうがない。「金銀錯禽獣雲気文管金具」には、猿、鹿、猪(?)、孔雀(?)など、沢山の動物が散りばめられてたり。文様が岩山のような役割をしており、動物がちょこんと乗っているのが御愛嬌。 ▼国宝、重文、重要美術品が惜しみなく出ているのは良いのですが、菱田春草の「落葉」が右隻のみというのはどうかと思います。ぶつ切りだー空間広がらないなー。(10/16) |
▼光悦・宗達と来て、光琳、抱一、其一へ至るまで展示。加えて、他作家の出品も多く、「琳派」を概観するに充分な展覧会となっていました。宗達の新出・「雷神図屏風」の初公開もあり。 ▼その「雷神図屏風」は、雷神の口がデカイ。耳の辺りまで口。ちょっと間抜けで愛らしかったです。その他気になったのは、其一筆「草花図屏風」。下部に千代紙が貼られた謎の意匠。目的は何処に。絵はとりあえずスタンダードですが、芥子には其一風味が表出。阿片と呼びたい仕上がりでした。 ▼思っていたより、ずっと濃口でした。あまり見ない作品があったり、陽明文庫の抱一画を久しぶりに見れたり。デパートを甘く見てはいかんという一例でした。
▼山口晃原画展示:同会場の山口晃原画展示を見に行ったら、御本人が来ていてトークショー&サイン会を行っていました。装飾過多の天女像を背に、司会のお姉さんと2ショット。シュールな図でした。「同居人に色塗りを手伝ってもらった」とか「趣味は落書き」とか「温泉宿(だったかな)で上げ膳据え膳で襖絵を描きたい」とか話してました。原画は三越関連。線の感じとか、印象が違う。印刷は、線が太っちゃってます。(10/17) |
▼2度目の訪問。骨組みやら雰囲気やらは、前回より引き継いでおりました。 ▼前回、今回と見た中で、気になった事柄や作品など。 図録 |
▼タイトル通りの展示。世相を辿りつつ、月岡芳年、小林清親と井上安治が見られたりします。ビゴーの風刺画、日露戦争をパロったフランス製絵はがきに苦笑いしてみたり。 ▼オリジナルネタと言えそうなのが、たばこ関連の展示。ポスター、パッケージ、封入されていたカード。どれも、今見ると新鮮でキッチュなデザイン。「村井兄弟」製が、特に気に入りました。 ▼他館コレクションを含みつつの展示。159点の出品に、しっかりした作りのガイドブックが付いて100円。相変わらずお得感溢れています。今後もこの路線を希望。(10/23) |
▼立体的な展示が特徴。手を変え品を変えた展示方法、映像・模型などで鑑賞者の関心を惹き、飽きずに楽しませようと試みています。多分。テーマは、「たばこの来た道」「日本のたばこ」「日本の塩・世界の塩」。たばこの起源や歴史、喫煙具、塩資源や製塩の歴史他を一巡。 ▼好みは、たばこパッケージの展示。明治の民営期における「ハイカラの村井」と「天狗の岩谷」の対比、専売後の杉浦非水デザインなど。パッケージの一部は絵はがき化されており、ショップで手に入れることが出来ます。 ▼「企画展示 明治民営期のたばこ広告資料」:看板、盃、手ぬぐい、引札、パッケージの展示。「土人印看板」が、どうしても目に飛び込みます。紙巻煙草土人印 / 貮十本入 / 金五銭 / 原田製。今なら製品化困難。というより、企画にものぼらないことでしょう。 ▼こちらへは以前、見学会で訪れたことがあります。その時はみやげに岩塩をもらいました。塩関係の展示では、1.2tのポーランド産塩がド迫力です。塊。(10/23) |
▼2部構成。I「考古学の新発見」は、楚の発掘品が出色。「羽人」は、物の怪?、鳥、羽人の三段重ね。「鳥形脚豆」と「豆」では、龍、蛇、鳥が絡み合って立体図像と化し、蛇を掴んだ鳥の上に器がのっている。「酒具盒」の豚さん?は、今でも通用するデザインで愛らしさも装備。これらの奇異で面白な造形が、国の滅亡と共に失われてしまったのは残念です。他にも、モティーフてんこもり系や、屋根瓦みたいな武具、バリエーション豊かな俑など、見所多々。 ▼II「仏教美術」は、仏像が沢山見られます。個人的には、山東省の仏像群に心奪われました。柔和な表情と、全体を覆う優美なラインが実に魅力的。色が残ってる仏像もあったり。他には、普通に座ってる青銅製仏像とか。少々異形。 ▼東博のパスポートで特別展見られるし。入ってみるか。と、軽い気持で見始めたのですが、充実した展示で予想外に楽しめました。(10/23) - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - |
▼「室町時代から近現代にいたる日本画75点によって、田園のイメージの諸相を明らかにします」という展示。耕作図・風俗図として描かれた田園が、理想郷や郷愁の対象となっていくのが興味深い。あとは単純に懐かしかったり。「田園の夢」って子供の頃の夢ですね。周りに田畑があったので。牛はいなかったですけど。 ▼全国の美術館博物館、寺、個人など、様々な方面から、テーマに沿った作品を集めています。集めっぷり、かなり良し。そこに、自前のコレクションを加えた展示。多彩な顔ぶれだし、個人的には作品の質も高いと思います。久隅守景・英一蝶・呉春らによる耕作図、北斎による異彩を放つ図像、小川芋銭・森田恒友の浮遊感漂う風景、速水御舟の細密描写、千種掃雲の木洩れ日などが見られます。始興、雪村、探幽、若冲もあるです。(10/24) |
▼近代以降の日本・西洋美術が中心。郷土作家の作品も含まれてます。 ▼2004年度第III期 10月5日〜11月16日 ▼生誕120年・油井夫山特別展示 10月5日〜12月26日 |