2004年6月
▼平木浮世絵美術館主催。展覧会は、第1部:美人画(〜4月29日)、第2部:役者絵(5月2日〜30日)、第3部:風景・花鳥画(6月3日〜)という構成。特別出品:杉村治兵衛「小式部内侍」、菱川師宣「絵入自讃歌註」、歌川広重「絵本手引草 初編」もあり。 ▼風景画は、歌川広重、葛飾北斎、歌川国虎、歌川国直、二代広重による日本橋が出発点。日本橋を飛び出すと、北斎の冨嶽三十六景少々や、鳥文斎栄之、歌川国芳、溪斎英泉他による景色が広がっています。個人的には、広重の「富士川雪景」が印象的。岩の描法と全体の構図に山水の香り。ジャンルを横断する広重の視野、表現の折衷加減が興味深いです。あと、司馬江漢、歌川豊春、鳥居清長の並びに、浮世絵風景画の始まりや新しい表現の咀嚼を見ました。 ▼花鳥画は、西村重長の「孔雀」にツボ突かれたり。原始な魅力が鷲掴み。孔雀だけど。国芳「萩に登り鮎」の斬新な波も印象的でした。心電図の重なりの如く揺らいでいます。脈あり。礒田湖龍斎の反転された鷲2羽の話も面白かったし、北斎、広重も良し。元々、花鳥画好きなので、馴染みの良い展示でした。(06/12) |
▼再考の結果、多くのテーマとサブテーマが生まれていました。面白かったのは、都現美の「画家とモデル−アカデミズムの視覚」。テーマと、文字通り(?)視覚に訴える展示が噛み合っていました。壁いっぱいに並んだ卒業制作が効果的。デッサン、自画像、裸体画の行き来も、作品により明確に描写されていました。 ▼と、書いてますが、テーマを追うのが難儀になり、途中放棄。15章立ては、正直イレ込み過ぎ。でも、「美意識の形成と展開」は、うっすら感じられました。アカデミズムやら、表現が転がっていく様やら。字面からより、膨大な作品から感じられたのですが。 ▼雰囲気は、「未完の世紀 20世紀美術がのこすもの」(2002年・東京国立近代美術館)。展示形態やテーマは、「ハピネス展」(2003〜2004・森美術館)。出品数が多い、見応えある作品、しかし少々散漫という。芸大の一部は、デパート催事場のように作品が並んでいるし。(06/19) |
▼新たな国民のたから 5月25日〜6月27日 ▼平成15年度新収品 5月18日〜6月27日 ▼江戸を見る 特集陳列「装い」 6月1日〜6月30日 ▼桃山・江戸II 6月1日〜6月30日 ▼特集陳列「定静堂コレクションの中国書画」 6月8日〜7月4日 リニューアルのため、7月1日から8月31日まで本館は閉鎖されるそうです。リニューアルって最近もやってたような。(06/19) |
▼違う見方で仏教美術に親しもうという主旨。御馴染みの「如来立像」は、拓本や、伊東忠太、高村光雲の書簡、来日時の新聞記事と共に展示。資料により、プロフィールが明確になった感があります。仏画は、修復の様子をパネル他で紹介。修復前は写真で、終了後は目の前の展示にて確認できます。ところで、他コーナーで「これも、修復した方が…」という作品があったのは内緒です。 ▼「普賢菩薩騎馬像」は、とことん分解された状態で展示。菩薩様不在で寂しそうな象さんとか、ありえない光景です。普段は隠れていたり、見えにくい部分にスポットライトが当たっており、色彩や截金の残り具合がよく見られます。最大の見所です。 ▼見えない、見られない部分が白日の下にさらされていました。それが面白かったです。あと、角度を変えた展示により、常に見えていたのだけど、見てなかった点があることが判明。しっかり目を見開いて見ないと、勿体無いなーと思ったです。(06/26) |
▼ブーダン、モネからシニャックまで、15作家による35点を展示。作品は、全体的に普通です。 ▼気になったのは、印象派から若干はみ出し気味の作品。ヴァルタ「水浴の女たち」の面による構成ぶりとか。違った意味で網膜に刻まれたのは、プティジャン「ニンフの居る風景」。悪魔のような配色です。 ▼あの〜、床の間にルノワールは、ミスマッチ感覚を軽く飛び越えてるのではないかと。世界で唯一の展示法でしょう。多分。(06/26) |
▼日本で初の回顧展。処女作をはじめ、ファッション作品を含む未発表作品、最新作の「HEAVEN(天)」にいたるまで、一挙公開。 ▼日本の鏡、ジャパネスクの鏡、ヨーロッパの鏡、アメリカの鏡、21世紀の鏡など、鏡がキーワード。時系列に展示は進み、鏡合わせや万華鏡を思わせる作品が最後に現れます。鏡が内部に入り込むというか、鏡と同化して幕を閉じるのでした。しかし、鏡合わせや万華鏡は、正直面白くなかったです。スタンダードですが、初期の「無国籍地」「人間の土地」の方が好みでした。壁のざらついた感触とか、波のうねりとか。 ▼個人的に興味深かったのは、円への拘り。円形の写真、回廊の半円や丸い照明を撮影した連作、パンテオンの天井からくり抜いた丸い青空と白い雲。これらには円への自覚(て、何よ?)や、円を写真に捕まえようとする痕跡が見受けられました。一方、円とは無関係な作品にも、円から覗き込む感覚があったり、円形のモティーフが写りこんでいたり。根底に、円が継続して在るのかなーとか、ひっかかりを覚えながら見てしまいました。(06/26) |
▼江戸狩野派を中心とした所蔵作品を<狩野派創業><狩野派江戸デビュー><変容する狩野派><狩野派バラエティー>のコーナーに分けて展示。 ▼流行画風への接触、人材や表現の多様化など、狩野派における動きが見られる展覧会。時代を経るごとに、面白い動向になります。 ▼興味深かったのは、狩野養信による沈南蘋の写し。外に関心が向いていたのだなと。外といえば、浮世絵を取り入れたと思われる作品もありました。狩野一信「源平合戦図屏風」は、波や人の顔、馬の筋肉描写が何とも粘っこい。さすが、増上寺・五百羅漢図の作者です。河鍋暁斎「鍾馗ニ鬼図」は、上手さと独自のユーモアが同居。あと、清原雪信をはじめとする女流画家について色々知りたくなりました。(06/27) |