桂文樂音源データ

夢の酒−1

1.TS-02601D3

2.1962〜3,ビクター,ビクター・スタジオ,客なし

3.19:32

4.V.JL-266(初出),VCK-896(CT),VDR-21011(CD),VICG-15079(CD)

5.出囃子 野崎

えー、相変わらず、ェッ、御馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。えー、一年のうちに誠に良い月と厭な月がございます。五月雨月とか申しまして、この入梅へ入りますと、どんな綺麗好きな方でも、方々がじめじめいたしてまいります。一寸表へお出掛けンなろうと思っても雨がしとしと降っている。「まァ明日の事にしようじゃないか」なんてんで、(ポン)うちに居る退屈だから横ンなる、ゥッ、転寝をする風邪をひくというものはそれでも順に行っておりますな。「あなた、お起きなさいましよ。あなたァ。奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇーっ。あなた、お風邪召すといけませんよ。あなた。あなた」「はいっ、はいっ、えー、えーっエヘーッ、どうも、ァー、今日は大変に御馳走様ンなり…」「何を言ってらっしゃるの、あたしですよゥ、あたしですよ」「えーっ。おア。こらぁ驚いた。何だいおい起こしたのはお前(まい)かい」「はァ」「はァじゃァないよ何だそうか馬鹿馬鹿しい。お前(まい)ィ、いい心持ちで寝ているとこ出し抜けに起こす奴ありますか」「ありますかって、あなた奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるんですもの。お店にいらっしゃる時にはあなたワーワー笑ったりなんかして、奥にいらしたらたまにはね、今こういう事があったんだよあーいう話があったんだよって聞かして下さいなァ。あたしし、奥に一人で寂(さむ)しいわ」「おい何を言ってるんだよゥおい冗談言っちゃいけないよゥ、あたしゃ噺家じゃないよゥ」……

6.

7.V.JL-266 DISC COPY

8.ビクターのスタジオ録音の内、「かんしゃく」と「穴泥」と「夢の酒」は没後再発売の折に追加されたものだが、他の演題とは少し録音の状態が違っている。と言うのは文樂師の声の張り方が非常に抑制されていて、丸で人に聞かせるというので無く自分で稽古している如く喋っているようであるからだ。もしかすると、この三席はテストテイクで本番では無かったのか?。

夢の酒−2

1.TS-02593C1

2.1967.8.12(1967.9.3),TBS,東商ホール,「角栄落語名人会」

3.17:10

4.CS.SOGZ-30(初出),15AG-218,YP.CR18-27(CT)(Cutあり)

5.出囃子 野崎

えー、ェッ、お暑い所を、毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。相変わらず、御馴染みの、ォーッ、お笑いを申し上げる事に致します。一年のうちに誠に良い月と厭な月がございますな。エーッ、この五月雨月とか申しまして、(パン)この入梅へ入りますとどんな綺麗好きな方でも、方々がじめじめいたしてまいります。 (パチン)ァあどうも一寸表へお出掛けんなろうと思っても雨がしとしと降っている。 (パン)「何まァいいや明日の事にしようじゃねぇか」なんてんで、うちに居る退屈だから横ンなる、(ポン)転寝をする風邪をひくというものが順に行っております。(ボン)「あなた、お起きなさいましよ。あなたァ。奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇ。あなた、お風邪召すといけませんよ。あなた。あなた」「ァーエィはい、えーエーッどーも、今日は、ァッ、大変御馳走様ンなりまして、有難う存じま…」「何を言ってらっしゃんのよォ。あたしですよゥ」「あたし、えーっ、ァッ、おォ、オー驚いたね、今起こしたのお前(まい)かい」「はァ」「何だァそうかい、あァ驚いたどうも、おいいい心持ちで寝てるとこ出抜けに起こす奴がありますか」「ありますかってあァた奥へいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるですもの。おも、お店にいらっしゃる時には店の者やなんかとワーワー、笑ったりなんかして、たまに奥ィいらしたらね、今こういう事があってこういうおかしい事があったんだよってって、話をして聞かして下さいなァ奥に一人でいて、あたし寂(さむ)しいわ」「おい。冗談言っちゃいけませんよォお前(まい)オー、俺は噺家じゃないよォおい」……

6.良い時期の録音で客受けも良い。尚、ユピテルから出たカセットにはカットがある。

7.CS.SOGZ-30 DISC COPY

8.

夢の酒−3

1.TS-02603B3

2.1965.3.31,東宝演芸場,東宝名人会

3.16:08

4.東宝.AX-0090(初出),AP.KSZ-2023(CT)

5.出囃子 野崎

一杯のお運びでございまして、有難く、ゥッ、御礼を申し上げます。で相変わらず、御馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。一年のうちに誠に良い月と厭な月がございます。(パン)この五月雨月とか申しましてこの入梅へ入りますと、どんな綺麗好きな方でも、方々がじめじめいたしてまい(ポン)ります。一寸表へお出掛けンなろうと思っても、雨がしとしと降っている。「まァ明日の事にしようじゃねぇか」なんてんで、うちに居る退屈だから横ンなる。転寝をする風邪をひくというものは順に行っております。「あなた、お起きなさいよ。奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇーっ。あなたァ、お風邪召すといけませんよ。あなた。あなた」「ヘいっ、へいっ、へい、えーっエヘーッ、今日(こんち)は大変に御馳走様ンなりまして、有難く…」「何を言ってらっしゃるのあたしですよ」「えーっ。ァっ、オッ。こらァ驚いたね。今起こしたのはお前(まい)かい」「はァ」「何だそうかおい、冗談じゃないよおい。人がいい心持ちで寝てるとこお前(まい)出し抜けに起こす奴がありますか」「ありますかって、奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるんですもの。お店にいる時には、小僧やなんかでみんなで、ワーワー笑ったりなんかして、たまには奥にいらしたらね今こういう事があったんだよ、こういう面白い事があったんだよって聞かして下さいなァ。あたし寂(さむ)しいわァあたしが」「おい、冗談言っちゃいけない俺ァ噺家じゃないよゥおい」……

6.

7.東宝.AX-0090 DISC COPY

8.なかなか良い出来であるのだが、細かい所が結構省略した口演になっている。

夢の酒−4

1.TS-02525B2

2.1968.5.31,TBS,国立小劇場,落語研究会第3回

3.19:29

4.なし

5.出囃子 なし(拍手のみ)

えー、毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、ゥッ、御礼を申し上げます。相変わらず、エエーッ、御馴染みの、お笑いを申し上げる事に致します。(キリッポン)一年のうちに誠に、ィーッ、良い月と厭な月がございます。この五月雨月とか申しまして、この入梅へ入りますと、(パパン)どんな、ァーッ、もう、ォーッ、綺麗好きな方でも、方々がじめじめいたしてまいります。一寸表へお出掛けんなろうと思っても、ウーン、雨がしとしと降っている。(パン)「明日の事にしようじゃねぇか」なんてんでうちに居る。退屈だから横ンなる、転寝をする、ゥゥーン、風邪をひくというものが順に行っております。(ポン)「あなた。お起きなさいよゥ。あなたァ。奥ィいらっしゃって寝てばかりいらっしゃるのねぇ。あなた、おからだ召すといけませんよ。あなたァ。あなた、あなた」「へぇへぇ、スー、えー、エエーッどォも、今日は、大変御馳走様ンなりまして、どうも、ォ」「何を言ってらっしゃるの、あたしですよゥ」「えーっ」「あたしですよゥ」「あた、あた、オォ、こらァ驚いたね、今起こしたのお前(まい)かい」「はァ」「はァじゃぁないよ、何だァそうかァ、オオー何だい人がいい心持ちィ寝てるとこお前(まい)出し抜けに起こす奴があるかい」「あるかいってあなたォ、んゥォ奥へいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるんですものお店にいる時には、あの店の者やんとワーワー笑ったりなんかして、たまにねェ奥いらしたら、今こういう事があったんだよ、ああいう話があったんだよて聞かして下さいなァあたし奥ィ一人でいて、寂(さむ)しいわ」「おーおい。冗談言っちゃいけません俺は噺家じゃないよォおい。馬鹿な事言っちゃいけないよゥ」……

6.初期の落語研究会の録音で出囃子が無い。

7.TBS R 桂文樂その世界 放送録音 1973.11.18

8.全体にゆっくりした口調であるが、客の受けが良く、落語研究会独特の緊張感も無くて良い出来である。

夢の酒−5

1.TS-02770C2

2.1960〜1961頃,鈴本演芸場

3.14:56

4.Col.FS-7123(初出),CHY-9033(CT)

5.出囃子 野崎

ようこその、ァッ、お運びでございまして、(ゴトン)有難く御礼を申し上げます。えーっ、一年のうちに良い月と厭…(カット)…ますな。五月雨月とか申しましてこの入梅へ入りますと、どんな、アーッ、綺麗好きな方でも方々がじめじめいたしてまいります。一寸表へお出掛けンなろうと思っても、ウーン、雨がしとしと降っている。「明日の事にしようじゃねぇか」なんてんで。うちに居る退屈だから横ンなる転寝をする風邪をひくというものは順に行っておりますな。「あなた、お起きなさいましよ。あなたァ、お起ききなさいましよゥ奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇ。お風邪召すといけませんよ。あなた。あなた」「はいはいはいへいっ、えーっ、エーッ、どうも、どうも大変に御馳走様ンなりまして、有難う存じます」「何を言ってらっしゃるのあたしよ。あたしですよ」「えーっ。あた、おやっ、こらァ驚いたね。何かい、今起こしたのはお前(まい)かい」「はァ」「あーっ何だそうかァ、あーっどうもお前(まい)し、いい心持ちで寝てるとこお前(まい)出し抜け(カット)に起こす奴がありますか」「ありますかって奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるんですもの。お店にいる時には、みんな店のもンとワーワー騒いでるんでこ、今奥ィいらしたら、今こういう事があったよ、こういう面白い事があったんだよって聞かして下さいなァあたしおむ、奥にいてあの寂(さむ)しいじゃありませんか」「おい冗談言っちゃいけないよゥ俺ァ噺家じゃないよゥおい」……

6.2箇所のカットはオリジナルのテープの損傷の様で、(後の方は言い損いを編集でカバー出来なかった跡か?)一部音が抜けている。

7.Col.FS-7123 DISC COPY

8.喉手術前か後か判断の難しい時期の声であるが、結構言い違いの多い口演である。従って決して良い出来とは言えない。

夢の酒−6

1.TS-02858C2

2.1968.5.17,NHK,ヤマハホール,東京落語会第107回

3.19:18

4.Po.20CN-6564(CT)(初出)

5.出囃子 野崎

毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、ゥッ、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、御馴染みの、お笑いを申し上げる事に致します。エエッ、一年のうちに誠に良い月と厭な月がございますな。この、五月雨月とか申しまして、この入梅へ入りますと、どんな綺麗好きな方でも方々がじめじめいたしてまいります。(客の咳)(チッ)一寸表へ、えーっお出掛けんなろうと思っても、雨がしとしと降っている。「明日の事にしようじゃねぇか」なんてんで、うちに居る、退屈だから横ンなる、転寝をする、風邪をひくという、ものが順に行っております。「あなた。お起きなさいましよゥ。あなた!奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇ。あなたお風邪召すといけませんよ。ちょいと。あなた、あなた」「はいはい、へいっ、エエーッ、どーも今日は、大変に御馳走様ンなりまして、有難う存じます」「何言ってらっしゃるのあたしですよ」「えーっ」「あたしですよゥ」「あ、おっ、こらァ驚いたなぁ、何かい、今起こしたのはお前(まい)かい」「はァ」「何だァそうかァ、馬鹿馬鹿しいねぇどうも、何だいお前(まい)人がいい心持ちに寝てるとこ出し抜けに起こす奴がありますか」「ありますかってあなた奥へいらっしゃると、寝てばかりいらっしゃるんですもの。ンお店にいる時にはあァた、あの店の者掴まえてワーワー笑ったりなんかして、で奥にたまにいらしたらね、今こういう事があったんだよ、ああいう事があったんだよって言って、聞かして下さいなァあたし奥に一人いて、寂(さむ)しいわ」「おい冗談言っちゃいけないよゥおい、俺は噺家じゃないよォおい。何言ってんだい」…

6.

7.Po.20CN-6564 CT COPY

8.良い時期の録音で、とちりも無く、客の受けも良くて出来が良い。

夢の酒−7

1.TS-02915B1

2.1966.6.1,TBS,客なし

3.16:34

4.なし

5.出囃子 なし

相変わらず、ェッ、御馴染みのお笑いを申し上げる事に致します。一年のうちに誠に良い月と厭な月がございます。この五月雨月とか申しまして、入梅へ入りますと、どんな、綺麗好きな方でも方々がじめじめいたしてまいります。一寸表へお出掛けンなろうと思っても雨がしとしと降っている。(ポン)「明日の事にしようじゃないか」なんてんで、うちに居る。ま退屈だから横ンなる転寝をする風邪をひくと、ゥゥー、ものは順に行っております。「あなた、お起きなさいましよゥ。あなたァ。奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇーあァ、お風邪召すといけませんよ。あなた。あなた」「はいっ、はいっ、はいっ、えーっ、どォも、アアーッ、大変に、今日(こんち)は、アーッ、御馳走様ンなりまして」「何を言ってらっしゃるのあたしですよ」「えっ」「あたしですよゥ」「あた。おア。こら驚いたねぇ。今、起こしたのはお前(まい)かい」「はぁ」「何だそうかいおい馬鹿馬鹿しいねおい。人がいい心持ちに寝ているとこ出し抜けに起こす奴ありますか」「ありますかってあァた奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるんですもの。お店にいる時には、みんなとワーワーワーワー笑ったりなんかして、あたしにおも、あの一人で奥にいて寂(さむ)しいわ。(都電の警笛)ねぇ、奥ィいらしたら、たまには、今こういう事があったんだよ、ああいう事、ああいう事があったんだよって話をして聞かして下さいな。ゥゥーン、詰まらないじゃありませんか」「おい冗談言っちゃいけませんよおい、あたしは噺家じゃないよおい」……

6.スタジオでの録音かと思えば、突然都電らしき音が聞こえ、どうやら人形町末廣か鈴本演芸場での非公開録音の様である。

7.TBS TV 放送録音 野口氏ライブラリー

8.客なしの録音。速記掲載部分でいつもと順番を間違えて喋り、なんとか取り繕っている場面がある。

夢の酒−8

1.TS-02997A1,VT=TV-39066-3

2.1970.6.26,TBS,国立小劇場,落語研究会第28回

3.18:35

4.なし

5.出囃子 なし(拍手のみ)

えー、毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。間ィ挾まりまして相変わらず、御馴染みの、ォッ、お笑いを申し上げます。一年のうちに誠に良い月と厭な月がございますこの五月雨月とか申しまして、(パチン)入梅へ入りますと、どんな綺麗好きな方でも、方々がじめじめいたしてまいります。ちょいと表へお出掛けンなろうと思っても雨がしとしと降ってる。(パン)「明日の事にしようじゃねぇか」なんてんでうちに居る。退屈だから横ンなる転寝をする風邪をひくという、ものが順に行っております。「あなた、あなたァ、お起きなさいよ。あなたァ。奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのお風邪召すといけませんよ。あなた。あなた、あなた」「はいっ、はいっ、はいっ、えーっどうも、えーっ、今日は、大変に御馳走様ンなりまして、有難う存じます」「何を言ってらっしゃるのあたしですよ、あたし」「えーあたし。ァーッ、お。こらァ驚いたねぇ。何かい、今起こしたの、お前(まい)かい」「はァ」「何だそうかい。ァー馬鹿馬鹿しいねぇどうも。ゥーン人がいい心持ちで寝ているとこ出し抜けに起こす奴ありますか」「ありますかたって奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるんですもの。お店にいる時にはみんな店の者、やなんかとワーワーワーワー笑ったりなんかして、ンーな、今こういう者が、来たんでこういうおかしい事があったんだよ、こういう人が来たんだよって、んた、話して聞かして下さいなァどうもあたしは奥に一人でいて寂(さむ)しいわ」「おい冗談言っちゃいけませんよゥおい、俺は噺家じゃないよゥ」……

6.国立小劇場の落語研究会の録音である。過去に放送の記録が無く、この時が初めての放映であった。

7.TBS・TV 落語特選会 放送録音 1989.10.9

8.落語研究会では、第3回とこの第28回の2回にこの「夢の酒」が掛かっている。以前「桂文樂その世界」と言うTBSラジオの番組で放送されたものとこの「落語特選会」の2つの録音がその2回分な訳だが、どちらが第3回の録音でどちらが第28回の録音か正直な所確定が出来てはいない。タイムからすれば「桂文樂その世界」の方が第28回分と思えるのだが、VTRで残っていた事、画像の処理等が同じ日の笑福亭松鶴「高津の富」に似ている所から、こちらを第28回分の録音と一応判断して見た。但し、あくまでも推測に過ぎない。

夢の酒−9

1.TS-12626A2

2.不明(晩年),TBS

3.19:05

4.無し

5.出囃子 野崎

毎回の、ォッ、お運びでございまして、有難く、御礼を申し上げます。間へ挟まりまして相変わらず、馬鹿馬鹿しい事を申し上げて、ェーッお暇を頂戴を致します。一年のうちに誠に良い月と嫌な月がございます。(パン)この五月雨月とか申しましてこの入梅へ入りますと、どんな綺麗好きな方でも、方々がじめじめ致して参ります。(ポン)ちょっと表へお出掛けンなろうと思っても雨がしとしと降っている。(ポン)「明日の事にしようじゃないか」なんてんでうちに居る。(パン)退屈だから横ンなる、転寝をする風邪をひくと物が順に行っております。「あなた。お起きなさいよ。あなたァ。奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇ、お風邪召すといけませんよ。あなた。あなた、あなたァ」「はいはいへいっ。えー、ェーッ、どうも、こんちは色々御馳走様ンなりまして、有難う…」「何を言ってらっしゃるのあたしですよゥ」「えっ」「あたしですよゥ」「あたし。おっ、こりゃ驚いたねぇ。何かい今起こしたのお前かい」「はァ」「何だそうかァ。何だいいし俺がいし、いい心持ちで寝てるとこをお前出し抜けに起こす奴かあるかい」「あるかいってあなた思って、あのゥ奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるですものゥお店にいらっしゃる時には、何か、あの、店のもんとワーワー笑ったりなんかして、たまには奥にいらしたらね、今こういう事があったんだよ、こういう面白い事があったんだよって、話をして聞かして下さいなァ。あたしは奥にいて寂(さむ)しいわ」「おいっ。おいよせよォおい俺は噺家じゃないよゥおい」……

6.録音年月日は不詳だが、晩年の録音である。

7.東海ラジオ 源兵衛太助寄席の旅 1993.11.21 園部氏ライブラリー

8.晩年の落ち着いた口調による「夢の酒」で、のんびりした光景がマッチしている。

夢の酒−10

1.TS-12632A1

2.不明(喉手術前),TBS

3.19:53

4.無し

5.野崎

えー、ェッ、毎回の、ァーッ、お運びでございまして、有難く御礼を申し上げます。えー、『夢の酒』と言う極くお古い、ェーッ、お噺でございまして。えー、あまり連中が演りませんので、お耳、新しいかと存じまして。一年の内に誠に、ィーッ良い月と嫌な月がございます。この五月雨月とか申しまして、この入梅へ入りますと、どんな、ァーッ、もう、ォーッ、綺麗好きな方でも、方々がじめじめ致して参ります。ちょっと表お出掛けンなろうと思っても、ウーン、雨がしとしと降っている。(ポン)「明日の事にしようじゃねぇか」なんてんでうちに居る。退屈だから横ンなる、ゥーッ、転寝をする、ウーン風邪をひくと言う物が順に行っております。(ポン)「あなた。お起きなさいよゥ。あなたァ。奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇ。あなた。お風邪召すといけませんよ。あなた。あなた、あなたァ」「はいへいへいっ。へえ、エーッどォも、こんちは、大変御馳走様ンなりまして、どうも」「何を言ってらっしゃるの、あたしですよゥ」「えっ」「あたしですよゥ」「あたあた。おっ、こりゃ驚いたねぇ。今起こしたのお前かい」「はァ」 「はァじゃァないよゥ。何だそうかァ。アー何だい人がいい心持ちで寝てるとこをお前出し抜けに起こす奴かあるかい」「あるかいってあなたオッ、ゥと奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるですものゥお店にいる時には、あの店のもんやとワーワー笑ったりなんかして、たまにねぇ奥にいらしたら、今こういう事があったんだよ、ああいう話があったんだよって聞かして下さいなァあたし奥一人でいて、寂(さむ)しいわ」「オーおいっ。冗談言っちゃいけません俺は噺家じゃないよゥおい」……

6.録音年月日は不明だが、喉手術前の録音である。本編だけを聞くと喉手術前だか後だか良く解らない位声質が似ているが、枕の声はまさに喉手術前のそれである。

7.TBS R おはよう名人会 放送録音 1995.11.25

8.

夢の酒−11

1.TS-12688A1

2.(1968.11.1),TBS,朝日生命ホール,「まわり舞台」

3.19:36+対談:桂文樂・山本文郎アナ5:41

4.無し

5.野崎

一杯の、ォッ、お運びでございまして、有難く、ゥッ御礼を申し上げます。相変わらず、お馴染みの、ォーッ、お笑いを申し上げる事に致します。一年の内に誠に良い月と嫌な月がございますな。エーッ、この五月雨月とか申しまして、えーこの入梅へ入りますと、どんな綺麗好きな方でも、方々がじめじめ致して参ります。(ポン)ちょいと表お出掛けンなろうと思っても雨がしとしと降っている。(ポン)「明日の事にしようじゃねぇか」なんてんでうちに居る。(ポン)退屈だから横ンなる、ゥーッ、転寝をする風邪をひくと言う、物が順に行っております。(ポン)「あなた。お起きなさいよゥ。あなた。奥ィ、いらっしゃると寝てばかりいらっしゃるのねぇ。あなたお風邪召すといけませんよ。あなた。あなた」「はいはいはい、はいっ、エーッどォも、こんちは、アーッ大変御馳走様ンなりまして有難うございます」「何を言ってらっしゃるのあたしですよゥ」「えーっ、あたし、おっ、オー驚いたねぇ。今起こしたのお前かい」「はァ」「何だそうかァ。何だいおいいい心持ちで寝てるとこ出しにょこおお起こす奴かありますか」「ありますかってあなた奥ィいらっしゃると寝てばかりいらっしゃるですもの、お店にいる時にはあなた、あの店のもんやとワーワー笑ったりなんかして、たまにねぇ奥にいらしたらね、今こういう事があったんだよ、ああこういう、おかしな事があったんだよって聞かして下さいよゥあたしは奥にいて一人で寂(さむ)しいわ」「おい冗談言っちゃいけませんよゥ俺は噺家じゃないよゥおい」……

対談:山本文郎アナ「えー桂文樂師匠の熱演、『夢の酒』でございました。えーここで文楽師匠にちょっとお話を伺って見たいと思いますどうも有難うございましたです。もうちょっと前の方へ」文樂「へいへっ」山「やしかしまァあのゥ、落語の方にも、お酒のお噺は沢山ありますけれどもねぇ」文「えー、へっ」山「今日は一つあのゥ、文楽師匠といわゆる御酒ですね」文「へぇ」山「お酒にまつわるお話をお伺いしたいんですけど」文「ハァハハ」山「はい」文「ハッ」山「あの、実際に、師匠は、御酒の方はいかがですか」文「えっ、えーこの節ね」山「えー」文「大変にあの糖尿がありましたんでね、それであの洋酒にねぇ、一寸変えた時期がございます」山「ハァハァ」……日本酒はいいですね〜沢山召し上がると毒〜酒で出世し損なった芸人〜高座の湯呑みに酒を入れた講釈師の末路〜大道で寝転がって酔って見たい〜高座での酔い方〜下戸の方が上手い〜三代目圓馬が酒呑みを連れて観察した話

6.TBSの「まわり舞台」の録音で、後に山本文郎アナとの対談が付いている。

7.TBS R まわり舞台 放送録音 細田氏ライブラリー

8.

夢の酒・解説

この噺は鼻の圓遊の作だそうである。従って、『かんしゃく』程では無いが、明治の色が濃く出ている。サゲ部分だけを採って簡単な小咄として枕に使われている事が多く、元はと言えばその小咄のサゲにヒントを得て本題部分を作ったものだろう。似た物親子と甚だ度の過ぎるやきもち焼きの女房、しかし皆善人の様である。私は『親子酒』の親子の何年か後の姿の様に思えるが如何なものだろう。それから、どうでもいいと言ってしまえばそれだけの事だが、気になることを一つ。『入梅に入りますと…』と言う言葉が私はひっかかるのである。『入梅』とは梅雨に入ったことを言う訳で、『入梅に入りますと…』と言うと二重にダブっているんじゃないかな?。

時代設定:明治・大正時代であろう。

舞台:大黒屋の奥座敷、向島の軒の深く出ている家。

登場人物:大黒屋の若旦那、その女房、大黒屋の大旦那、向島の軒の深く出ている家に住む二 十五六歳のいい女。

ベストテイク:「夢の酒…6」。「夢の酒…2」も良い出来。

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